のら猫の三文小説

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新しい子猫たち No.77

2014-03-31 00:00:30 | 新しい子猫たち 

勝は技術屋



そのおっさんは、純粋の技術屋で、経理なんぞは判らず、技術開発に金を使いすぎ、大赤字を出して、株価を下げても平気なおっさんだった。技術は強いので、新製品を出せば、ドーンと儲かる筈だった。今までもそうだった。自分の会社の技術を、香奈国内が評価してくれたと勘違いしていた。



勝と勝彦は技術屋だったので、このおっさんとは気が合った。そのおっさんに、ロボット工学研究所の工場を見せたり、自社の研究所を見せたり、自分達の研究所のような感覚で、ジブ総合研究所の研究所もみせた。勝のロボット工学研究所やジブ総合研究所は秘密の塊みたいなものだった。



普段はそんな事はしなかった。秘密保持契約をして、仕事の話をする時だけに見せていた。勝は、このおっさんの技術開発力を高く評価していた。ロボット工学研究所の技術革新にも役立つと思い、このおっさんに見せていた、このおっさんは、研究設備や研究スタッフに驚いた。ぜひ一緒に仕事をしたいと、勝に言った。



このおっさんは、優秀な技術者だった。一代で、このおっさんの技術で、会社を大きくした。波乗りみたいに、業績はデコボコしていたが、このおっさんが、次々と出す新製品が、会社を支えていた。勝は、色々な話をする内に、このおっさんの技術開発力を高く評価していた。技術屋の勝は、技術屋としてのこのおっさんを評価していた。



勝は、単なる技術屋だけでなく、技術屋を評価する事の出来る人でもあった。それが、機械の技術担当として、多くの会社の技術を評価していた勝の特技とも言えた。


経理屋の意見と営業の意見



一方、正人は、このおっさんの持ってきた経理書類を見た。酷いものだった。昔の商店で、売上をザルに入れて、要るだけ使っているような、会社だった。資金計画なんぞもないし、新製品を出しても、それを販売する経費も営業網も不足しているし、今後の開発の金も足りない、一発当てて、余韻で儲けて、金がなくなったきて、慌てて次の新製品の開発をして、大きな金を使い、赤字になるような、一発狙いの会社だった。



ただこのおっさんの技術力は高く、このおっさんが熱心に開発した製品は、優秀な製品だったが、フォローする人もいないので、このおっさんが走り回って営業をして、新製品を売り込み、それでドーンと儲けるが、その間、開発はお留守になり、新製品の細かい改良は出来ず、大手にその点をつかれ、類似製品を出され、やがて、新製品の魅力が消えてきて、売上は低迷して、このおっさんが慌てて、次の新製品の開発に取り組み、ドーンと金を使う。



その間、今度は営業はお留守になり、経理に人もいないので、無計画な資金繰りをして、次の新製品が出るまで、赤字で苦しむ。要するに、経理に人がいない。営業網が不足していて、それを構築するにも金も足りないと思った。



政則と健次郎が偶々、正人の部屋に来て、これを見た。政則は、こんな経理書類を作って、平気な経理屋のいる会社は駄目だと素っ気無かった。健次郎まで出てきて、これは酷い、これで、よく会社が続いているね、新製品が出来ないと直ぐにつぶれるよとか言い出した。



経理屋の超高齢者や高齢者たちがガヤガヤ言っていたので、健太郎、洋治や徹まで話に加わった。この三人の意見は少し違った。



洋治は、色々な会社と共同開発してきた。何か不足している部門があれば、化学として、その部門の足りない所を補って、関係する企業を応援する事で、その企業も助け、化学も儲けてきた、共存共栄は洋治の経験から出た言葉だった。甘いと言われる事もあったが、洋治はそれで一応成功していた。



健太郎は、鉄鋼の営業総括として、色々な会社の営業力も見てきた、リトルキャット系列の販売会社の力は大したものだった。健太郎は、もう超高齢者だったので、そんなにウロウロとはしなかった。それでも色々な人と会い、色々な話を聞いて、そう思っていた。



徹は、あっさりと正人に言った。そんな会社には、経理や管理の人を出して、金を出してやればいいんだよ、技術はいいんだろ、勝さんは誉めていたよ。正人は、経理の出来る奴らを紹介できるだろ。リトルキャット系列の販売力はしっかりとしていると健太郎さんは言っているよ。そこに頼んでやれよ。そうすれば、金も大した金額は要らないだろ、必要なものを出して、育ててやれよ、それが投資じゃないのと言った。



政則は、経理屋としては超一流だった。香奈ハイテクの経理体制は、政則が構築していた。それをくわせ者と言われた徹彦が管理体制を整えていた。



未来テクノの経理や管理体制も、コバンザメのような大介が、政則や徹彦の真似をしていた。



健次郎も老練の経理屋だった。健次郎は、菊子金属や冶部金属の経理体制を作り、冶部金属の経理もそれとなく見ていた。菊子金属や冶部金属に行った赤川は営業に強く、元々ジブトラストの管理に属していたので、管理への配慮も忘れなかった。



政則は、勝の技術力や徹の全体的な見通しの中で、経理を考えていた。それはそれで大した事だったが、徹や勝みたいな人はそうそういないし、政則みたいな、コンピューターみたいな経理屋もそうそういないものだった。健次郎は、経験のある老練な経理屋だったし、菊子金属や冶部金属の技術力は、世界的なものだった。赤川の営業力も大したもので、今や赤川は、鉄鋼業界を代表する長老とも名経営者とも言われていた。



二人の経理屋は、そんな人たちの中で、会社の経理を担当していた。技術や営業や管理には、それなりの人と云うより、優れた人がいる組織だった。経理屋としても、そんな人たちと協力して、経理としての意見を伝え、会社の資金計画を作成し、会社の長期的な方針を作る時に、キチンと意見を言うのが経理の仕事だった。家計簿みたいな書類をつくり、電卓を叩いているのが、経理の仕事ではないのだ、二人は、超一流の経理屋だったので、いい加減な経理屋の仕事には我慢できなかった。しかもそんな経理屋がいる会社には、信頼も出来なかった。会社を維持し、大きくするために経理として方針を提案するのが、本当の経理屋の仕事だと思っていた。


新しい子猫たち No.76

2014-03-30 00:00:28 | 新しい子猫たち 

ココの一発倍増路線の失敗




買っていた会社は、そんなに大きな会社でもなかった。所 謂ボロ株で、株価も安かった。香奈ファイナンシャル国内の香奈特別基金としての株式保有率は、馬鹿にした比率でもなかった。



株価は長い間低迷していた。コ コは、少しづつ買い増していたつもりだったが、かなりの株だった。このポロ株は生意気にも信用銘柄だった、このおっさんの会社の浮動株は少ない筈だった。 このおっさんとおっさんの一族が分散して、40%に近い程の株式を保有していたのに、株価が下がる時の売買数量は、発行済み株式に近いづいていた。



この おっさんとおっさんの一族は、さすがに株式を売る事もなく、当然信用でも売らなかった。証券会社に預けていた株があった事は事実だった。何連続ストップ安 になり、株価は思い切って下がった、売買数量も増えた。


一日の売買株数が、発行済み株式に近づくのが、おかしいと思う人は少なかった。最初にココが買った価格よ り、何連続ストップ安にもなり、思い切った安値になった。ココの目算は外れた。普通なら損切する所だったが、何故か、ココは損切もせず、辛抱強く、更に下 値で買い続けて、平均購入価格を下げた。



ココの保有株式は、ドンドンと増えていた。実質的には、暫くの間、ココが下値を支えていたと言う程、買っていた。 やたらと保有株式が増え、業界でも話題になった。



何故、香奈国内は、こんな株を集めているのだろうとみんな不思議がった。それでも暫くすると、我慢してい た甲斐があって、株価はやっと上がってきた。浮動株も少なくなり、上がる勢いも増えてきた。ココの買っていた株式の平均購入価格が、今の価格よりは低く なった。



なんでも新製品が出来たようだった。ココは喜んだ。この会社は新製品を出すと、利益が急増して、株価もドーンと上がる会社だった。ただ少し経つ と、大手に類似製品を出され、販売網や維持管理に欠けるこの会社の製品はジリ貧になり、利益が落ち、あせって、ドーンと開発費用をかけ、赤字になり、又次 の新製品を出すまで低迷し、株価もそれにつれて低迷する会社だった。



今度の新製品は、開発費用もやたらと使い、なかなか画期的なものらしい。これからドー ンと上がり、暫くは高値を維持する筈だった。ドーンと上がれば、この間に少しづつ売って大儲けと喜んでいた。


とこ ろが、ここからは、以前とは違った。その会社が、なんと正人に挨拶に来て、今後ともよろしくと言って、業績の説明を詳しく説明したり、やっと出来た新製品 の説明をしたり、香奈ハイテクのお手伝いをしたいとか言い出した。



ロボット工学研究所とぜひ協力していきたいと言い出した。正人も経理の事は判るが、技術 の事をペラペラと喋るおっさんだったので、勝と勝彦に、そのおっさんに会ってもらった。



その会社は、通信機器を作る会社だった。GPSとか云う、現在位置 の確認ができる機械を改良して、車のナビターみたいなものに、パソコンみたいなものを組み合わせ、ATSみたいなものまで組み合わせた新製品が出来てい た。



行き先をセットすれば、混雑個所を避けて、最適のルートを示してくれし、地図情報システムと道路情報システムと車間距離確認システムみたいなものを組 み合わせていた。車間距離確認システムを改良して、物と物との間を確認するシステムを位置確認システムとを組み合わせて、ロボットの遠隔操作をより精密に できる通信機器みたいなものをロボット工学研究所に売り込みに来た。




新しい子猫たち No.75

2014-03-29 00:00:32 | 新しい子猫たち 


チャタロウとリトルチャの運営方法




九州の事業には、猫資金があっちこっちと多額の資金を出していた。この資金はリトルキャット基金と運用子会社群から出資を受けたリトルキャット九州が出していた。



多額の投資が一瞬にして回収できた訳でもなかった。少しずつ収入が入り、利益が増えていっていた。リチルチャ、チャタロウそしてリトルチャたちは、敷地内からは、一歩も出なかった。現地見学などはしたくても出来なかった。九州事業には、リトルキャット九州からの報告と本体とも云えたリトルキャット運用会社のチャタロウの企画調査チームの議論や、販路として狙っていたアジア、アメリカでの調査を全体として考えて、判断していた。



現場を直接見る事は、一見すると重要そうだが、大名行列をして、現場の責任者の業務を止めさせて、結局一部だけしかみていない事もある。最高責任者が全てを見る事は出来ない、現場からの意見を最大限尊重し、直ぐに意思決定して、現場に任せる事が一番重要だと、チャタロウは思っていた。



これは神太朗も昔からそうだった。神太朗は、そんなに外に出なかった。人を信頼して、任せるのが、大事だ、現場からの意見を尊重し、多方面での情報を集め、現場ともよく話し合い、広範囲な手配り、素早い決断と権限委譲が大切なんだよとチャタロウに何気なく言っていた。



チャタロウは素直な性格だったので、それに従っていた。それに、リトルホワイトは、今は人間の世界だ、猫には猫権もなく、人格権すらない。モノ扱いでしかない。我々が前面にでる事はかえってマイナスだとも言っていた。それも参考にしていた。


リトルチャの異常な儲けは、以前の神がかりの水準からは、確実に減っていっていた。それでも相当な儲けはまだ維持しているように、正人は経理の書類から感じていた。海外からの配当は相当な水準で推移していたが、もうそれほどの勢いは、もう感じなかった。運用額は云われている額よりはずっと多いとは思っていたので、利益率としては、さすがに減ってきたなと正人は密かに感じていた。リトルチャは投機よりもリチルチャの金融チームの統一性の保持が重要となり、投機を考える時間は減っていた。






ココは一発倍増路線に戻っていた。



チャもココも猫としては、超高齢だったが、まだまだ元気だった。ココは、細かい取引で、リスクを取って細かく稼いでいたが、金も貯まり、細かく稼ぐ事は子猫たちに任せ、ココとしては、従来の一発倍増路線に戻った。



ココは、自分のチーフ猫としての運用枠の中で余裕をもって投資するつもりで、一発倍増路線に沿って、ボロ株を自分で研究し、選んで、その株を子猫たちに買わせる事にした。これは、ココの株式投資の原点とも言えた。



株式投資の制約はやたらとあったが、それをかいくぐって、大きく下がった株を買っていた。ココもリトルキャット運用会社で子猫たちが長期保有をしていた事も知っていたので、その保有株の保有リスクも考えて、先物は、売り主体で考えていた。



株価が大きく下がりそうな局面では、先物の売り残を増やすように指示していた。現物の株式では、ココとしては、ドーンと下がった株の中で、一発倍増しそうな株を購入していた、ところが、ココも超高齢猫だった。昔の感覚で、株を買っていた。ココは単純に自分の運用枠の一割程度を限度として買っていた。今のココは、運用枠は、昔と違って大きくなっていた。ココのチームの運用枠は制限もなく、細かく稼いだと言っても、増えつづけて、膨大になり、ココのチーフ猫としての運用枠も膨大になっていた。思わず買いすぎてしまった。ナンタラ報告書も必要となった。ジブトラストが、それは出してくれた。高いシステム料は、そんな手続き代も入っていた。




新しい子猫たち No.74

2014-03-28 00:00:12 | 新しい子猫たち 


ジブタウン東京は拡大し、ジブトラストの再開発と協力していた。




敷地内の数少ない人は、この町が大きくなっている事は知っていたが、多くの人は何も知らなかった。



正人も財産管理会社と思っていた毛利不動産や毛利ビルの財務なんかにそんなに興味もなかった。経理書類はチェックして、利益がやたら上がっている事は知っていたが、香奈オフィスのレアメタル採掘による利益が入っていた事を知っていたので、それだろうと簡単に思っていた。



小夜も流石に、冶部ビル福岡の利益が五倍を超えて、急拡大している事は、当然知っていたが、レアメタルでの利益が冶部ビル福岡にも九州新開発を通して流れていたし、ジブタウン福岡が好調だった事やあの町のリゾートホテルが好調な事は知っていた。



福岡は、あの町へ行くためには、一種のベースタウンになって、人の出入りも増え、より一層好調になっていた。ただ小夜も結構歳だったので、それ以上はそんなに詳しく聞かなかった。



ジブタウン東京の拡大を検討している時だけに、東京を除いて、冶部ビル本体にお金を集めるために、各地の冶部ビルの配当率を少し上げていた。冶部ビル福岡や大阪の利益が急増している時期とも丁度重なっていた事も都合が良かった。東京でのジブトラストの不動産チームとのジョイント部分の開発も7:3で出資比率は少ないものの冶部ビル本社が出資する事になり、福岡からの高配当やジブタウン大阪が好調な大阪からの配当が大きな支えとなった。



ジブタウン東京も、本来のジブタウン東京エリアの再開発分は、元々仲が良かった名古屋からの出資と本体からの出資を受け入れて、ジョイント開発と同時にジブタウン東京の再開発を進める事に、漸く決まった。



ジブトラストの不動産チームも運営は、ジョイント部分は、冶部ビルに運営委託方式で任せてくれ、商業ビルでは実績のあった冶部ビルのソフト力を評価してくれ、ジブトラストが運営する商業ビルについても、レイアウトやテナント選択などのかなりの関与を認めてくれた。大きなゾーンが冶部ビルの再開発の対象になった。



冶部ビルは、基本的にはジブタウン東京に担当させたが、冶部ビル本体も当然ビックプロジェットなので、調整に忙しかった。これは大きな事業で拡大ジブタウン東京とも云える大きな開発だった。小夜は九州の事なんかにそんなに拘っている時ではなかった。小夜も忙しかった。


新しい子猫たち No.73

2014-03-27 00:00:19 | 新しい子猫たち 

あのレアメタルは、本当は凄い可能性を持っていた。


一方、栽培されたエンジェルスターやパワースターは勝手にやたらと茂り、山の中のあっちやこっちに群生していた。




井戸の水や川の水どころか温泉の水まで、分岐状の水やリング状の水は増えていった。あのレアメタルは、話題になったレアメタルと違い、水に溶解せず、リング状の水や分岐状の水を直接発生させる事はしなかったが、微量の粒子がリング状の水を包み、より安定化させる効果があった。




あのレアメタルは、ここの山では地表近くには多く含まれていた。そして話題のレアメタルそのものを包むように保護していたので、ここらの水には、リング状の水が発生していなかった。






泉はあのレアメタルの被いが偶々切れていた部分だった。森の動物たちはそれを知って、ここの水を飲んでいた。ここらの動物は賢いと昔から猟師は知っていた。




そこにエンジェルスターやパワースターが栽培され、製薬もほったらかしにして、どんどんと茂り、香奈オフィスも話題のレアメタルとあのレアメタルをどんどんと採掘していったので、話題のレアメタルもどんどんと地表表面に顔を出し、あっちこっちと微粒子がばら撒かれ、あのレアメタルも微粒子としてばら撒かれ、リング状の水も分岐状の水の濃度もどんどんと増え、しかも長期間安定し、更に話題のレアメタルの作用は持続していた。






エネルギー用途とは別にしても、大きな可能性があった。そんな所で栽培していた農産物はやたらと大きくなり、味も良くなっていた、養豚場の豚の肉は美味しくなり、牧場の牛乳も美味しくなった。そこに遺伝子研究センターで勉強していた猫たちの工夫が加わった。






農作物は引っ張りダコとなり、食品加工施設の商品も飛ぶように売れていた。食品や農作物は、精々九州一帯から西日本に販売して、残りは、アジアとアメリカにも一部プレミアム製品として輸出していた。チャタロウがアメリカの企業に投資したのは、こうした目的もあった。アジアは富裕層が遊びに来て、農作物や食品の美味しさに魅力を覚えたり、数は少ないけれども、遊ぶ事よりも、リトルキャット関連企業や不動総合の工場の工場見学に行き、リトルキャット九州の人と話して商売にしようとした人もいた。