のら猫の三文小説

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新しい子猫たち No.46

2014-02-28 00:00:43 | 新しい子猫たち 
香奈と恵の会話 その一



「子猫は、やっぱり可愛いね。神太朗君は、リトルホワイトやリトルチャたちと話をして感心していたけど、こんな猫たちもいるのね。

香奈「そうだね。こんな猫もいなくてはね。リトルチャやリトルホワイトは難しい事を言い過ぎるよ。この頃リトルホワイトも時々話をしてくるよ。やたらと難しい話をするんだよ。リトルチャは複雑な取引をしているのよ。チャもよく判らないとこぼしていたよ。チャタロウたちのチームの取引はわかり易いけど、リトルチャたちのチームの取引は、リスク管理しているのか、往復で儲けようとしているのかよく判らないらしい。



神之助君には、よく狙いが判るらしいよ。加代子ちゃんのアメリカでも大体判るようだよ。神之助君たちのグループと加代子ちゃんの取引グループとそれなりに話をしていると大体、狙いがわかるらしいよ。波長が合んだろうね。



聡美ちゃんのグループは、よく判らないし、やり方が複雑すぎるから、むしろコッソリートたちと色々と意見交換しているらしい。スイスカナコインのグループの取引方法が性に合うらしいのよ。



リトルチャも少しは話をするようになったけど、あんな複雑な方法をよく考えるよ、正人が説明しないのも判るよ。正人なんかでは、なぜ利益が出ているかも判らないと思うよ。私も神之助君に説明して貰ってやっと判ったけど、あんな取引は、私には、気に入らないね。どっちに大きく動いても、それで儲けようとする取引手法だよ。いわば一種のトリックだよ。あるキッカケを契機に相場の動きを一瞬加速させ、みんなの上前をはねるやり方だよ。昔のような吊り上げが可愛いとさえ思う取引だよ。取引も大変な時代になったね。」

「安い時に買って、高くなったら売ると言う事ではないの。」

香奈「基本はそうだけどね。リトルチャなんかのやり方は、自分たちで一瞬の隙に、ナンダカンダと理由をつけて、高値に上げて、一挙に売って、大きく値を下げて、また買い戻すなんかの複雑な事をしているのよ。失敗しても自分達でも売り買いをするから、大きな損はしないけど、成功すると大きく儲けるのよ、まさに経済戦争みたいな取引だよ。値段は大きく変動させ、怯んで狼狽して売買する人たちを食い物にするみたいな方法だよ。あんな仕掛けを聞くと、相場は怖いと思うよ。」

「大変な猫だね。でも子供が出来た後はのんびりしていたのでしょう。」

香奈「ちょっとの間だけはね。でも又、昔のように戻ってきたよ。リトルキャット運用会社の新しい事業資金を出す必要があると思ったらしいよ。チャタロウが猫たちに慕われているから、猫たちの取りまとめはチャタロウに頼み、事業計画はリトルホワイトが、研究担当と技術担当の猫たちと調整しているよ。



神帥君なんかは、実業なんだか運用なんだか訳が分からないようにて取引しているから、そんな仕掛けには加わらないよ。



神元君はまだ少しは神之助君達と協力して運用しているらしいけどね、神元君たちのグループでも実業比率が高くなってね。相場関係は、少人数で取引しているらしいよ。昔のように少人数で取引するのは、もう限界があるのよ。今は取引も一種の団体プレーなのよ。リトルチャや神之助君たちそして加代子ちゃんの所は、複雑な子会社システムの組織になってね。組織として取引しているから大きく儲けられるのよ。難しくなったのよ。」

「大変な時代だね。でも正子さん、マリアさんや沙織ちゃんは一人で取引しているのでしょう。」

香奈「あの三人はそうだね。正子さんやマリアさんは何回も止めるといいながらも、ペースは落ちたけど、自分のリズムで先物を細かく取引しているよ。儲けてはいるけど、みんなの儲け方が大きくなったから、目立たなくなったのも知れないね。昔のジブでは年間で一千億以上も儲ければ、大変な事だったからね。沙織ちゃんは、不動ファイナンシャルとしても会長室としても株式保有が増えたから、その保有リスクも考えての先物取引がほとんどだからね。取引する時間も減ってきているよ。株式投資は、やっぱり大きな会社よりは、将来性のある小さい会社を新宿から連絡を受けて細かく、少しずつ安い時に買うのがほとんどだからね。まあ昔のジブの新宿がそうしたやり方をしていたのよ。昔のジブも少しはまだ残っているのよ。



今は、組織的に取引主体で荒っぽく儲けているのは、子猫たちと神之助君たち、加代子ちゃんのグループ位になったね。



スイスカナコインもコッソリートたちの年寄りグループと聡美ちゃんのグループと連携を取りながら、取引をしているけど、それぞれ実業も大きくなってね。聡美ちゃんのグループもスイスカナコインも実業分野に、若い人を中心に、それなりに人も取られるし、制約もあるらしいよ。昔のようには行かないらしい。



神元君でもぼやいていたよ。相場師なのに、実需がドーダコーダと言って、調整しているのは、相場師じゃなしに、単なる購買部みたいになっていると。まあ仕方がないよ。」



新しい子猫たち No.45

2014-02-27 00:00:00 | 新しい子猫たち 


変わっていくジブトラストと財団




ジブトラストも実業主体へ変わりつつあったが、財団も又総合的な社会福祉の財団へ変化していた。従来の乳幼児の保育や託児所の充実と云ったお母さん支援、若い女の子支援から始まって、各年代層の総合的なサポートをする総合社会福祉財団に変化しつつあった。



長年のジブトラストなどの高額な寄付により、財団の基金は、膨大に膨れ上がり、多様な立場の人に対応していくようになった。働いている人の数も増え、民間財団と云うよりは、公的な社会福祉と思われるようになった。全体的な社会福祉を勉強した人も増え、公的な福祉制度にも影響力が出来、国や地方自治体の福祉の役人たちとの人材交流までしていた。



恵教の信者を中心に活動していた時代はとっくに過去のものとなっていた。自前の保育士、看護士の学校まで備え、千恵の娘の千恵美の始めた財団の付属の学校は、初めは私立の小さい学校であったが、スイスカナコインの学校が大きくなっていくのに、恵は刺激を受け、やたらと資金を出し、今や幼稚園から大学まで広がる大きな私立の学校法人になっていた。



大学には社会福祉学部もあったが、自由な気風の学校なので、社会福祉学部といいながら、野球やスポーツにも強い学校になり、駅伝に出たり、サッカーや野球などのプロスポーツに進む人もいたが、やっぱり不思議と社会福祉に進む人もいた。そうした人も財団にも入っていた。



財団は、設立当初から冶部産婦人科小児科病院と協力して活動を進めていたが、対象が子供や母親から広がっていくにつれ、内科のマチコジブ記念病院、外科を中心としたエンジェルホープジャパン病院とも協力関係を進め、全国各地には地域病院を持ち、多くの協力病院を抱えていた。



財団の研究所か思うように建設したジブ総合研究所の社会福祉研究所は、運営費はジブトラストが出しているのに、完全に財団の研究所のようになった。財団付属の私立大学の社会福祉学部とも連携を取って、研究していた。財団は今や、巨大な組織となっていた。



財団は、一体となって活動していた。


財団は、奇跡のような膨張をしていったジブトラスト、カミカミファイナンシャルそして香奈ファイナンシャルから膨大な寄付を貰いつづけていた。恵は、いつまでもこんな事が続くとは考えず、放漫な支出を監視して、基金にして貯めていた。それでもジブトラストなどからの寄付は多少の波はあるものの、増えつづけ、貯まってくる基金は巨額になっていた。



世の中は、諂いの人もいて、ジブトラストの顔色を窺って、税金の控除対象にもなるので、財団にも寄付もして、益々膨れ上がっていた。基金が膨れ上がっていくので、それに応じて、財団の活動は少しずつ拡大していた。



恵の前ではみんな一体となって協力していたが、内面では今までの財団活動を中心とする保守派と広範囲な社会福祉活動を目指す革新派、それに役人や公的福祉とも協調して社会福祉政策にも関与する公正重視派、目の前の人を助けるのが先決と云う民間福祉重視派とか入り混じっていた。



更に保守派の中でも、難病の子供たち支援とか託児所グループとか、妊娠している女の人の相談とか、若い女の子の相談を受ける人たちなどに、それぞれの専門的なグループに分かれ、革新派の中でも、高齢者の介護サービスとか、生活相談をして、公的福祉とも相談して、対応策を探し、不動財団とも相談したりするグループとか、全体的な福祉政策を地方自治体と協議して、財団のサービスの方向性を検討するとか、それぞれ重視する点が違っていた。



財団の中では、色々と多様な意見が存在していた。恵は、半世紀どころかそれ以上、財団のドンとして、膨大に膨れ上がった資金の配分を厳しく監視し、決定権を依然として持ち続けていた。恵の了承があれば、大金が出た。それだけに恵の権力は絶大だった。ただ化け物のように長生きではあったが、いくら何でもいつかは死ぬだろうと思う幹部たちの恵亡き後の膨大な基金を持つ財団の運営を巡る主導権争いも、裏側では続いていた。





香奈の家の隣のレストランで、財団の最高幹部会を開催し、財団の方針や全体の活動について報告を受けていた。しかし広範囲な通常業務を見る事はもう当然出来ずに、ジブシティーの財団事務所に時折、出かけ、相談を受けたり、話を聞いたり、支出の承認印を押すだけになっていた。



財団は規模も拡大して、活動も広範囲になり、財団が育児、保育、そしてこの世に生まれてきたいと願う子供たちの支援のために作られた財団である事すら、詳しく知らない人も、財団の幹部の中にもいるようになっていた。



新しい子猫たち No.44

2014-02-26 00:00:12 | 新しい子猫たち 





九州新開発は、



ナンダカンダと一杯の建設前払い金を貰い、着々と基盤整備を行っていた。実際の金の支払いは、麻田エンジアリングが、姫子流に厳しくコントロールし、建設業者と相談して、全体の建築計画を立てていた。実際の金の支払いはそれほど多くはなかった。



猫ハウスと不動マンションは大慌てで、大きなビルを作った。香奈に報告する必要があったので、正人は急がせた。不動マンションと言いながら、不動財団もそんなに急には対応できないので、猫の世話担当を決め、当面は、リゾートホテルと並ぶ工事関係者の宿舎のようになった。猫たちがのんびりしたり、ご飯を食べている写真を香奈に見せた。香奈はそれで納得した。



リトルキャットの九州の事業は、食品事業だけでなく、猫たちが得意なハイテク工場をつくり、研究室も作り、リトルホワイトも研究担当や技術担当とも協議して、幾つかの案をまとめ、チャタロウは、それを踏まえ、慎重に検討していた。猫たちは、みんなで話していると、一次産業は利益率が低いと、企業分析担当が言った。投下資本も大きいのに、それでは、ゼニを稼げない、付加価値の高い製品も作らないといけないと言い出した。食糧安全保障と云うけど、結局はゼニも稼がないとやっていけないとも言った。



元々香奈の家の猫たちは、結構実利的な研究をしていたので、ハイテク素材を作ろうと、研究担当の猫たちがよって、試作品を作り、リトルキャット企画が出資している販売会社の意見も聞いて、ようやく、動き出していた。人も集めないといけないし、色々と準備を、リトルキャット企画の連中は走り回っていた。








リトルチャは猫たちの真価が問われると思い、着々と資金の準備を進めていた。猫たちは盛んにアーダコーダと議論して、猫資金による運営方法を検討していた、もう一つの大きな銀行の退職者を中心とした自前のチームと話し合って、猫資金で子会社としてリトルキャット九州を創立して、前線本部とした。猫資金で、猫たちの関連企業にも新しい出資をして販売体制や流通も考えたバックアップ体制を整える事にした。このリトルキャット九州には、チャタロウの企画調査チームの国内組の総本山のようになり、チーフ自身がここに定住する積もりだった。


香奈オフィスの採掘が大掛かりなものになり、自動レアメタル選別ラインを持つ毛利レアメタルの工場を山の麓に作った。今回の毛利レアメタルは、新しい新会社として九州毛利レアメタルを作り、香奈オフィスがほとんど出資をして、毛利レアメタルが最新設備を導入して、分別精錬そして一時保管をする事になった。資源探索契約も一部手直しをして、この山で採掘するすべての鉱物を、香奈オフィスが全部買取って、二十年間は、かなりの高額の大きなお金を、毎年一定額、九州新開発に渡すと云う破格の好条件を奈津美が提案した。その後の契約更新も状況によって更新する。今話題のレアメタルなので、採掘結果はオープンにしたくないので、香奈オフィスが自由に、マーケットの事情で採掘し、分別保管したいと云うものだった。



更に香奈オフィスは、今回の採掘は、この山脈の広い部分を独占的に使用するので、採掘の邪魔にならないルートを選び、鉄道用の造成も基礎までは負担する。香奈オフィスが広範囲な場所を、鉱区として独占的に使用する事の代償だと言った。



九州新開発は、流石に公明正大と評判の高い奈津美だと評価して、棚ボタみたいな大金が毎年入ってくるこの契約をすぐに承諾した。

リトルキャット九州は、働く人の都合や物資の運搬用に鉄道が必要と思っていたので、ジブ交通と話をして、猫資金がほとんどの費用を負担して、九州ジブ交通を作り、香奈オフィスの造成を利用する事で、造成費用もそんなにかからず、山の端っこを走るモノレールスタイルの鉄道を作り、最寄の駅に接続する事にした。製品の輸送ルートのターミナル基地も確保した。



周辺や市内のバス路線や空港へのシャトルバスも用意した。周辺と市内のバス路線は先行した。片田舎なので、雇用の維持どころか、人手不足になり、周辺から働く人を集め、その人たちのための交通手段は必要だった。車通勤だけの人だけでは効率も悪かった。



正人はそれなりに報告も受けていたが、正人は忙しく、リトルチャの文句も減り、チャタロウも独立したチャタロウチームの編成で忙しかった。猫資金での九州事業への取組み方を自前のチームと相談していた。



正人は、金の計算には強いが、結局金融屋の世界で生きてきて、実際の実業では、組織の運営をした事がない人間なので、全体のリトルキャット運用会社の財務が問題なければ、それで文句はなかった。猫たちが自由に使えるお金の使い方に口を挟むとリトルチャが山のような文句を言う事が判っていたので、そんな馬鹿な事をする正人ではなかった。




チャタロウは時々、猫たちの協力組織作りについて、色々と香奈に相談した。香奈も相談には応じた。香奈は大きな損がでないようにそれとなく注意した。バックアップ体制は大事だよ。最新の設備でいいものを作れば、それだけで売れるわけでもないのよ。二流品が売れて、高品質の製品も売れない事もあるのよ。販売や流通網の整備は必要だよとも言った。



恵はその後、冶部ビル福岡の利益は、福岡の責任者の言ったように、九州事業の建設期間中に、ジプタウン福岡の利益が急拡大していって、内部保留金を出資させられた各地の冶部ビルの要求に従い、配当を高くした。各地の冶部ビル子会社も好調だったので、冶部ビル本体や各地の冶部ビル子会社の内部保留も元に戻ったので、恵の関心も失せていった。





新しい子猫たち No.43

2014-02-25 00:00:11 | 新しい子猫たち 


ジブ交通も



香奈オフィスのボーリング調査の結果を待って、ケーブル又はモノレールスタイルの専用交通を作る事も計画していた。香奈オフィスの採掘事業が山の造成を伴う事が多いので、それを便乗して進めれば、費用が安くなると考えた。



そして遠い九州の事なので、毛利不動産と毛利ビルが新しい会社を作り、冶部ビル福岡が、リゾートホテルとレジャーランドの会社を買収して、そしてこれらの会社が最後に合弁会社を作る事にした。



その合弁会社に、毛利ビルと冶部ビル福岡が新しく出資金も少しずつ出し合い、九州新開発株式会社を作った。リゾートホテルとレジャーランドの会社には、自治体の金も入っていたので、この自治体も九州新開発に出資している事になった。



この九州新開発は、基盤整備をして、その会社が主体となって建設計画を進め、それを各社に分譲するが、九州新開発が、一括して幾つかの基盤整備を行うので、すべての建設は九州新開発株式会社が一括して請負、つまりピンハネし、姫子の麻田エンジニアリングに丸ごと建設工事の管理を任せ、つまりピンハネさせるが、そのくせ建設にかかる費用は、基盤整備費用も含めて、進出する各社にそれぞれ割り振って分譲するので、土地代も含めて総建設費用の半分程度を建設費前払い金としてもらう建設費前払い制度を導入すると勝手な理屈を振り回して、九州事業がスタートした。




「リトルキャット運用会社などから高額の建設前払い金を貰うし、今度は分譲スタイルにするから、そんなに金は必要ないといいながら、合弁会社での毛利ビルや毛利不動産との比率をそんなに落としたくないと云って、冶部ビル本社や各地の冶部ビルの内部保留を、結局かなりの金額を冶部ビル福岡に増資させられたよ。初めに説明を受けていた契約金額なんて遥かに超えているよ。」

香奈リトルキャット運用会社、不動そしてカヨコジャパンが、元々九州新開発そのものに出資したいと言ったのに、毛利ビルが今回は分譲スタイルにするからと言って、出資ではなく、建設費用の前払いとして貰うらしい。


毛利ビルの出資分は、毛利不動産に貯まっているお金も借りた事にして、毛利ビルが持っていた金を加えたみたいだよ。奈津美は、山をそのまま買うといったのに、資源開発委託契約にさせられたらしい。



ジブシティーの時には、香奈ファイナンシャルの出資にして、毛利ビルには出資させなかった事を根に持っているらしい。加代子ちゃんは、カヨコジャパンとしてもドーンと出資をしたいと言ったのに、病院などの必要な用地は分譲するからと言って、断って、建設前払い金として大分貰うらしい。



加代子ちゃんなんかに出資を受けるとそれこそ片隅に追いやられる事は目に見えているからね。加代子ちゃんは、お金の感覚が一桁も二桁も違う人だからね。今度は毛利不動産、毛利ピルそして冶部ビル福岡だけの合弁会社で、とりあえず計画を進める。自治体の出資比率も減ったとは云え、少しは入っているし、基盤整備とリゾートホテルやレジャーランドの運営が中心の会社とすると報告があったよ。



みんなに出資を受ければ、主導権を取られ、又隅っこに追いやられると恐れているらしいよ。まあいいじゃないの。どっちにしても建設費用は、皆で出すのだから、いざとなったら、香奈ファイナンシャルから毛利ビルに増資するように正人にも言ったわよ。みんなには迷惑を掛けないわよ。



新しい子猫たち No.42

2014-02-24 00:00:01 | 新しい子猫たち 


財団でも色々あった。

不動財団は税法的にも、認められた財団だった。不動ファイナンシャルなどの寄付も増えたし、香奈国内、カミカミも寄付していたが、それ以上に陽太がドンドンと活動して、支出も増えていた。竹花の爺さんはそれなりに計算している爺さんで、しかもジブシティーに引っ越して、一層、頭も冴えていた。長い間、財務大臣を勤めた爺さんでもあった。ほとんどの税法は爺さんが絡んで修正したり、作っていた。しかも現在の財務大臣にも影響があった。国税庁や税務署のどんな偉いさんも爺さんの前では、所詮、若造の洟垂れ小僧で、相手なんかにはならなかった。




リトルキャット財団は、地域猫の保護を目的とした財団なので、元々税金の控除対象の財団にもしてくれなかった。子猫たちは、猫の事をどう思っているのかと憤慨しながらも、税金も払い、寄付をしていた。リトルキャット財団は一応財団にはしてもらっていたが、寄付しても税金の控除もしてくれなかった。





ドンドンお金が貯まるカヨコファイナンシャルジャパンは、香奈オーバーシーズやジブトラストオーバーシーズ、カミカミオーバーシーズ、リトルキャット運用会社と並ぶ巨大な資金を持つ組織となっていた。



神之助は、リトルキャット運用会社やカヨコジャパンなどからの運用委託は、ジブトラストの正式な組織とも言えないので、三つのオーバーシーズとは異なり、香奈と相談して、運用上限を決めていた。利益に相当する部分は、手数料を取り、それぞれに渡していた。



オーバーシーズでは、元々、現金の半分だけを受け入れて、利益に相当する部分もほとんどを元金に加え、それをまた運用委託する事もしていたが、それはしなかった。これは当初、オーバーシーズと同様に、利益分も含めて、運用していたが、預かっているお金の額も増え、あまりに多大なお金をジブや香奈系列とは言え、一応外部の組織なので、組織として好ましくないと、考えた事もあった。それにリトルキャット運用会社も単に貯めておくだけでもなく、リトルキャットプロダクツのような事業展開をしていたし、カヨコジャパンは、元々財産管理法人ではなく、エンジェルホープ財団に資金援助するための組織だった事も考慮した。



リトルキャット運用会社も、カヨコジャパンも、利益に相当する部分は、それぞれの組織の利益となり、それこそ、現金として、貯めておくだけだった。カヨコジャパンは、当初神之助グループからの運用委託による利益は、帳簿上のマジックみたいな借金返済に回っていた。神子のグループからの運用委託の利益は入っていた。それでも神子のグループから入ってくる利益は大きく、益々、神三郎は、お金の事は考えず、医療だけを考える人になった。今回の九州の病院もそんな姿勢のまま作ろうとしていた。



カヨコファイナンシャルジャパンは今度こそ、その役目が果たせると加代子は思い、エンジェルホープジャパン財団には、九州の病院建設には、ドンドン必要な金を使うように言った。減った基金は、カヨコファイナンシャルジャパンで、寄付して基金は維持するからねと言った。



そして、神三郎は、エンジェルホープジャパン財団の資金で、あえて儲けの少ない療養型医療を進めるために、内科のマチコジブ記念病院にも協力を貰い、エンジェルホープジャパン九州病院を建設する事になった。神三郎はリハビリや慢性疾患を対象とした病院を作ると言った。静かに治療を受けられる病院にするつもりだった。言葉にはしなかったが、のんびりと暮らして、最後に息を引き取れる、終末期医療も視野にいれていた。病院は源泉から温泉も引き込み、泉の水の供給も受ける事にした。