社会福祉財団 が金を儲けるとは奇異な感じを受けるかもしれないが、関係する会社との相互的なやり取りの中で財団として金を貯める行為にもっていく事は十分可能であってただ問題となるのは財団の金を普通の会社に還流する時の条件だった。財団として行う行為にそれを行う会社が巨額の利益をもつ商行為を行う事は可能だが、それには税金が必要だった。
実態的には普通の会社に対して出資する形でサポートする程度だった。
不動財団と不動ファイナンシャルとの関係は、陽太を理事長として以来、この関係は崩れていた。陽太はカミカミファイナンシャルの事務局長でもあって、カミカミからの金も寄付として入り、不動ファイナンシャル頼りではなくなっていた。それに不動財団として 神二郎直系の別の財団執行部も当然あって、益々複雑だった。
ここは還流そのものが理屈でも実態としても難しかった。
原則的には、加代子教は宗教法人ではあるがよく似た構造を持っていた。ただ加代子はこれに全く関与せず、初期に大きな金を寄付したのにすぎなかった。もはや還流と云う事すら考えられなくなっていた。加代子教とその関連会社はあるのであるが、加代子教設立の時に大きな金を出していた加代子の日本での資産管理会社のカヨコジャパン抜きでのやり取りなので大きく還流する事も出来ないし、幹部にもその意思はなかった。
恵の財団は規模としても大きいし、ジブから多額の寄付を貰い、ジブの無税扱いの資産管理財団と揶揄された事もあったが実際にしている母と子のために拠出している金も膨大であり、継続的に事業を進めるための準備金と云われると誰にも反論できなかった。
ただ神代財団ではこの還流と云う行為をやりそうな雰囲気があった。神代財団とそれに付随する会社組織の中に占める神代と云うかカミヨファイナンシャルの占める比率はヨーロッパでは約50%、アメリカでは約33%と低く、筆頭株主、出資者ではあるが支配力は低かった。神代自身も関心は低かった。
神代財団とその関連会社も実際には神代の意向で動いたものではなかった。神代自身も神子に言われた時はナニを言われているのか咄嗟には判らなかった。ただ神代もカミヨファイナンシャルに問い合わせて事態の深刻さに気が付いていた。
そしてカミヨファイナンシャルの強い意向と、財団内部の福祉部隊の強い意向に、神代財団とその関連会社の執行部が、折れたのが真相と云えた。その影には神代自身が強く言ったのが原因だった。あっさりと云えば 神子に何と思われるか判らないとと神代が恐れたのだった。カミヨファイナンシャルの幹部が調査すると一部の財団幹部がこの還流と云う行為をやりそうな雰囲気のある事に気が付いて、強くけん制し、財団幹部が慌てたのが急展開の原因だった。