のら猫の三文小説

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新しい子猫たち No.1008

2016-12-31 00:00:05 | 新しい子猫たち 

 


 


社会福祉財団 が金を儲けるとは奇異な感じを受けるかもしれないが、関係する会社との相互的なやり取りの中で財団として金を貯める行為にもっていく事は十分可能であってただ問題となるのは財団の金を普通の会社に還流する時の条件だった。財団として行う行為にそれを行う会社が巨額の利益をもつ商行為を行う事は可能だが、それには税金が必要だった。


 


実態的には普通の会社に対して出資する形でサポートする程度だった。


 


不動財団と不動ファイナンシャルとの関係は、陽太を理事長として以来、この関係は崩れていた。陽太はカミカミファイナンシャルの事務局長でもあって、カミカミからの金も寄付として入り、不動ファイナンシャル頼りではなくなっていた。それに不動財団として 神二郎直系の別の財団執行部も当然あって、益々複雑だった。


 


ここは還流そのものが理屈でも実態としても難しかった。


 


原則的には、加代子教は宗教法人ではあるがよく似た構造を持っていた。ただ加代子はこれに全く関与せず、初期に大きな金を寄付したのにすぎなかった。もはや還流と云う事すら考えられなくなっていた。加代子教とその関連会社はあるのであるが、加代子教設立の時に大きな金を出していた加代子の日本での資産管理会社のカヨコジャパン抜きでのやり取りなので大きく還流する事も出来ないし、幹部にもその意思はなかった。


 


恵の財団は規模としても大きいし、ジブから多額の寄付を貰い、ジブの無税扱いの資産管理財団と揶揄された事もあったが実際にしている母と子のために拠出している金も膨大であり、継続的に事業を進めるための準備金と云われると誰にも反論できなかった。


 


ただ神代財団ではこの還流と云う行為をやりそうな雰囲気があった。神代財団とそれに付随する会社組織の中に占める神代と云うかカミヨファイナンシャルの占める比率はヨーロッパでは約50%、アメリカでは約33%と低く、筆頭株主、出資者ではあるが支配力は低かった。神代自身も関心は低かった。


 


神代財団とその関連会社も実際には神代の意向で動いたものではなかった。神代自身も神子に言われた時はナニを言われているのか咄嗟には判らなかった。ただ神代もカミヨファイナンシャルに問い合わせて事態の深刻さに気が付いていた。


 


そしてカミヨファイナンシャルの強い意向と、財団内部の福祉部隊の強い意向に、神代財団とその関連会社の執行部が、折れたのが真相と云えた。その影には神代自身が強く言ったのが原因だった。あっさりと云えば 神子に何と思われるか判らないとと神代が恐れたのだった。カミヨファイナンシャルの幹部が調査すると一部の財団幹部がこの還流と云う行為をやりそうな雰囲気のある事に気が付いて、強くけん制し、財団幹部が慌てたのが急展開の原因だった。


新しい子猫たち No.1007

2016-12-30 00:00:12 | 新しい子猫たち 

神代 と 神帥 は いわば ジブトラスト 内部ではそれぞれ、自分勝手に動く人たちと見られていた。 神代は神子の娘、神帥は神之助の息子。後ろに控えているのは、ジブを築いた人たちで、しかもそれぞれ怖い。


 


あいつ等は好きなようにし過ぎ と思っていても、背景を考えると 内心とか親しい人たちが集まった時だけ不満を言い合っていた。


 


勿論、運用の事なのですべて自己責任なので最終決定はそれぞれがするのは当然だったが、加代子のカヨコファイナンシャルは協力的にしてくれる、情報の交換もスムーズ、あの二つの組織は 貰うものは貰うが 出すものは舌でも出さない


 


ジブの進める福祉活動に協力的になった事以上に 本業としても協力的になったのが、ジブとしては大きかった。


 


ジブアメリカの社長が神太郎の所に 定期的な報告にくるが、その時にポロっと 言ってしまった。神太郎はさり気なくきいていたが、最後に


 


誰がバックにいても、私から注意する事も出来るから今後はちゃんと言ってくれよ。内心こう思っている事が溜まると組織としては不安定になるからね


 


と言った程だった。


 


神太郎 は神子も神之助もそれぞれ 彼らを叱咤している効果だろうなと思っていた。


それにしても香奈の真意までは判らないが、


こんな事も香奈は知っていたのかもしれない、香奈は恐ろしい程知っている人かもしれない、直接香奈が言うとそれぞれ反発があるかもしれない、自発的に気がついた事にしたいと香奈は思ったかも知れないと 神太郎は香奈の凄さに改めて確認していた。


 


新しい子猫たち No.1006

2016-12-29 00:00:14 | 新しい子猫たち 

アメリカの神代財団は、社会福祉を表向きの看板にして、福祉は細々、再生ファンドとしてはアメリカ一 と云われていた。


 


いい加減にしな、公益法人 社会福祉財団がボロ儲けして しかも税金は無税


 


と言う声はアメリカ内に満ちていた。ただ神代はジブトラストの役員でもあって、ジブに喧嘩売る形になると当局も歯がゆい思いをしていた。


 


神代の短期筋としての相場活動もマーケットの攪乱要因とも言われていた


 


それが神代財団がジブ本体、神帥の社会福祉法人と協力して広範囲に福祉活動を広げだしていた


 


神代の短期筋も少しは変わってきて、マーケットの一つの指標にもなり、今まで自己資本だけだったのが、小口の個人からもマメに資金を集め、しかも結果を公表しだした。短期筋ながらも相場見通しなども出して、相場の攪乱要因とも言われなくなった。


新しい子猫たち No.1005

2016-12-28 00:00:41 | 新しい子猫たち 

ジブトラストの社会福祉に対する 寄付 は結局は上手くいった。香奈が長期的に、持続しているジブトラストを作る試みは、目先の利益に拘らない体質に変化させていた。元々ジブトラストが利益を出していたのは、徹底的に 目先の利益を追い求めていた結果だった。日々の少しの値動きを利益に変える事をしてきた結果だった。ただジブトラストが巨大になると共に、そうした体質はいつか変えなくてはいけなかった。


 


それにミスターと呼ばれた猫のシステムとして利益を持続的に上げていく事は、天才とか神のように変化を読めるスターたちのいるジブトラストでは本来的には不適だったが。そうしたたスターに頼らない、システムとしての体制づくりもそれと共に進んでいた


 


こうした二つの要素がジブトラストを徐々に変えていった。社会福祉に対する寄付は膨大だったが、ジブグループの実業の会社部門に対する信頼性は上がっていた。


 


神子や神之助たちも、自分の息子や娘たちに対して冷静な行動を呼びかける結果になって、ややもすると、社会的な評価が低かった 神帥の実業グループに対する評価は上がり、元々頭の切れた奴が揃っていたいた組織は、かえって利益を上げだしていた


 


神代財団も 社会福祉の財団の筈が再生ファンドかよ、税金制度、財団制度を見直さないといけないとの声もあった程だったが、ジブと共に積極的に福祉をはじめて、そうした批判は姿を消した。なによりも短期筋としか見られなかった 神代の運用にも影響を与えていた。


 


新しい子猫たち No.1004

2016-12-27 00:00:37 | 新しい子猫たち 

神子には、理想を追い求める陽太の他に、神代と云う娘がいた。陽太が理想だけを追い求める奴かは、疑問の余地は大いにあった。現代の政界に潜む 魔王とも言われている男ではあった。ただ云う事は理想主義、福祉優先ではあった。


 


神子は 元々現実主義、合理主義ではあったが、陽太を可愛がった。陽太が政界に出る時も援助していていた。


 


一方 神代は神子そっくりの現実主義だった。神子は一瞬自分を見ている既視感が時々あった。


 


神代は神二郎と幼い時に仲良かった。神二郎が不動財団を作り、貧しい、報われない人たちの援助をすると聞いて、何の方針もなくて、アメリカとヨーロッパに同様の財団を作っていた。神二郎の不動財団は有名になり、アメリカとヨーロッパでもそれを深く感心する人たち、そして教会系の人がいた。神代財団はこういう人たちによって運営されていた。ただそれは初期の話だった。


 


不動財団ですら、人助けといいながら再生ファンドみたいになった。アメリカとヨーロッパの神代財団は結局、もっとはっきりと大手の再生ファンドになっていた。


 


そこそこの人、経済に明るい人、ゼニ儲けに上手い奴らを財団に誘う、ソイツらが勝手にそうしてしまうのであった。


 


神二郎は忙しく、通常の運営は任さざるを得ない。神代は何の理念も理想もない女で、神二郎に対する虚栄心だけで作った財団、しかも無理して作ったので、ゼニ儲けに頑張らないといけない。結局神代財団はなんの事はない、無税の看板を利用した大手の再生ファンドになっていた。


 


肝心の人助けは、教会関係者が細々としているだけになっていた。


 


神子はなかなかやるなとは思わなかった。現実だけに流される、そういう組織をもっていても、ゼニ儲けだけしているとは情けない奴めと云う思いで神代を見て、そう言った。


 


神子個人の資産は巨大でもあるし 神子側近、神子のチームは日本各地で巨大なグループ、シックステンをはじめとする 消費者に近い分野でも大きいものだった。神子自身が運営しているのではなく神子の子分が運営して、神子が資金援助していたものだったが、そういう資産、影響力を考えると大きな資産だった。


 


神子が陽太を可愛がっているのは神代も当然しっていた。神子の不興を買うのは決して徳にはならないと現実主義の神代は思った。それにそう 人助けのための組織は すでに持っている。神代財団には金もある


 


神代財団は、この時のジブトラストの福祉への寄付に対する運動を主導していった 理由の一つに 神代の神子に対する アピールの一つであった。