のら猫の三文小説

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新しい子猫たち No.552

2015-08-31 00:00:28 | 新しい子猫たち 

エンジェルホープジャパン病院の外科は世界最高水準にあると知られ、ガン治療ではそこに遺伝子治療を入れて、遺伝子修復しながら、一気に病巣をカットして、その後も遺伝子修復と、免疫系統の強化を目指していた





ガン治療は、世界では群を抜いていた。





神三郎自身は、学会とは無縁の人だったが、杉山たちは盛んに発表し、外科でも手術報告はしていた。





神三郎ははじめは冶部病院にいたが、そこの学閥、ナンタラ学会とかの抗争には嫌気をさしていて、神三郎は東大の医学部の外科に勤めていて、医学部内部の抗争にも嫌気をさして学校とか学会とは距離を置いていた





冶部病院には冶部一族は多く勤務していたが、冶部病院系の外科もジイサン、バアサンたちは、神三郎との距離感で、ある人は軽く手伝うが別の人は無縁とかに別れていた。





今度は敷地内のジブトラスト直営の病院の医師として、エンジェルホープ病院との協力業務として手伝うので、何の遠慮も要らなかった。





神三郎も父親の神太朗に言われた事もあって、礼を尽くした対応をしたし、内科のジイサンも医系グループの長老として、ジイサンたちに、神三郎を手伝うという意識を持てとジイサンやバアサンたちにいっていた。





ただ冶部病院に長く勤務していた外科のジイサン、バアサンたちは、学会の長老としても知られていた。すべての分野での学会との調整が行われるようになっていった。


新しい子猫たち No.551

2015-08-30 00:55:17 | 新しい子猫たち 

ただ、このアメリカの権威の出張は、ああそうかでは終わらなかった。元々の病気は、根治は難しいとされていた病気だった。それがよくなっているらしい。



産婦人科だけの問題ではなくて、内科の教授も関心があった。まして内科のあのジイサンには昔会った事もあった。ワシもいくと言い出した。あのジイサンにはワシから頼んでみる。



一方、生理学の教授も、遺伝子治療には関心が高く、そんな治療方法があればワシもいく。第一遺伝子治療については、二人ではよくわからん筈だ、杉山さんとはワシは友達だから、ワシもいく、杉山さんにはワシから頼んでみる



悪い事にアメリカの権威は、友達だった、もう一人の権威にはこっそりと話をして、その友人もいく事になって、こいつも、別の大学の教授だったので、同じように教授会で話して、同じような事が起きて、ナンダカンダと10人近い、アメリカの権威たちがエンジェルホープジャパン病院にいく事になった。


新しい子猫たち No.550

2015-08-29 00:00:12 | 新しい子猫たち 

アメリカの権威は、自分の検査結果、診察記録をまとめて、ジイサンの所に電子ファイルにして送った。暫くすると、ジイサンからの、この女帝のした診察記録と検査結果、画像データまで送られてきた



圧倒的な検査、丁寧な診察記録、色々な角度から取った画像データに圧倒された。まさしく妊娠していた。



女帝の診察と検査記録は、自分の検査と診察記録はミスボらしくみえるものだった。最低限度以上の検査はしたつもりだった。標準以下の検査や診察ではけっしてなかった積もりだったが、女帝の検査と診察に比べると、月とスッポンほどの差があるとは認めざるを得なかった。



電話するのもシバシ躊躇っていたが、思い切って、ジイサンに電話してみた



アメリカの権威



流石に奥様の診察は凄いです。確かに妊娠してます。



あのジイサン




君にはがっかりしたよ。あんな診察しかしないのか、あの診察で絶対に妊娠しないと言い切る事こそ絶対に無理だよ。確かに妊娠しにくいとは思うがね。



君が、ウチのバアサンの下にいたなら、何を言われるか判らないぞ。



バアサンは酷くガッカリしていたよ。



アメリカの権威と呼ばれる人に診察を受けようとする女性の気持ちになれば、あんな診察とか検査だけですます事はできない。医者は決められた手順に従っていればいい職業ではない。診察を受ける人の気持ちも考えないといけないと言っていたとだけ、伝えておこう。



ただこれで子宮の構造まで治せる遺伝子治療と断言はできなくなった。子宮の状態は改善している事は事実だがね。卵管の問題はちゃんとした治療すれば、治せるのは君もしっているだろう。



アメリカの権威も色々と言いたかった。費用の事を考えずに医療できる、浮世ばなれした冶部一族のような事は普通の医者ではできない。私でもなかなか難しい。恩師も色々と過剰な検査や診察をしていると指摘されつづけてきた。恩師がそうしてきたのは、このジイサンと女帝の診察を知っていたからなのだと初めて痛感した。



ただ、不妊治療では新しい光明が開ける事は間違いのない事実だった。エンジェルホープジャパン病院で、内科の治療として行ったナニカが不妊治療では革命的なナニカを含んでいるのは事実だった



ジイサンにお願いして、エンジェルホープジャパン病院にいって、色々と教えてもらう事の約束はナントカした。



このアメリカの権威は、大学では有名な教授でもあったので、医学部の教授会で暫く、日本のエンジェルホープ病院にいく出張の予定を話した。一ヶ月程度の長い出張になるのだった。


新しい子猫たち No.549

2015-08-27 00:00:41 | 新しい子猫たち 

このジイサンの嫁はんは80歳に近づいていたか、大変若く見えた。この幹部の奥さんがバアサンの診察を受けてといわれて診察室に入った時には、50歳前後のオバハンにみえた。



奥さん



バアサンとかいわれていましたが、お若いですよね



バアサン



おっほっほ、あのジイサンはどうしようもないのよ。自分をジイサンと言われるとあれでも怒るのよ。もう90歳近いのに。



なかなか、キレイなバアサンで結構英語も出来た。奥さんもカタコトの日本語も判るようになっていて、診察というよりお喋りしている感じもした。産婦人科特有の検査もしたが、診察されている感じはまったくしなかった



バアサン



妊娠はしているよ。子宮もいたって正常に見えるわよ。ただ少し小さい感じはするわね。ウチのジイサンがアメリカで貴方を診察していた医者も知っているらしいから、話をしているらしい。



それほど神経質になる必要もないけど、無理な姿勢とか激しい運動はしないでね。軽い運動はむしろいいのよ。定期的に顔を見せてね。年齢的には、少し若いとは言いかねる歳になっているとは、貴方もわかるわよ。



このバアサンは、冶部産科婦人科では女帝とよばれて、実際の診察を牛耳っていた。キレイではあるが、診察態度が悪いとか診察を受ける女性をバカにした話し方、その女性の普段の生活を考えないような医者には、容赦ない発言をした。言われた人たちが半分ねたんで、半分茶化して女帝となずけた。普段はキレイな、オバハンで、おっほっほとよく笑うので、おっほっほ女帝ともいわれていた。



このバアサンが冶部産婦人科の柱となっていたが、ジイサンが敷地から出ると疲れだし、自分も確かに疲れてきた。いく時は、50歳台に見えるが、返ってきた時は、70歳台に見えるようになって、折角の自分の帝国にもいけなくなっていた。



エンジェルホープジャパン病院に、ジイサンと一緒にいくようになっていた。ジイサンは、遺伝子医療センター、基礎医学研究所にいる事が多く、バアサンは、産科婦人科にいる事が多く、バアサンの診察室は、女帝の棲家といわれていた。



このバアサンの診察は、産科婦人科の世界では、女帝の裁きとかいわれて、異議を唱える命しらずはいなかった。これは世界でも有名だった。あのアメリカの権威ですら、女帝の裁きにはひれ伏した。



普段はそれ程診察はしないで、みんなを観察して、時にはきびしい励ましをしていた。難しい病気、重大な病気などは、女帝自ら診察した。冶部産科婦人科でも難しい診断となると、わざわざ、このエンジェルホープジャパン病院に患者を紹介して、この女帝に診てもらうようになっていた。


新しい子猫たち No.548

2015-08-26 00:08:01 | 新しい子猫たち 

この少し若いジイサンは、冶部産科婦人科病院にいたジイサンだった。今は冶部小児科病院と合体しているが二つの病院が合体しているともいえた。



冶部産科婦人科病院は、有希が自分の娘の妊娠、出産の時に主治医だったオッサンを口説いて作った病院だった。このオッサンは名医で長生きした。ただ敷地内に住んでおらず、長生きも限界があったがここに冶部一族からの医者も産婦人科医として働きだしていた。



そして、このオッサンの教育を受けて、優れた産婦人科医になった。冶部産科婦人科病院は、遺伝的な疾患で、この世に生まれてくる事が出来ない胎児を少なくしようとした。このために、香奈はわざわざ、ジブトラスト遺伝子研究センターを作ったのだった。



遺伝子的な基礎的な研究はこの研究センターが主力となり、病院としては不妊医療にも力を入れて、このジイサンも不妊治療では権威と言われるようになっていた。



コイツの奥さんも優秀な産婦人科医だったが、このジイサンは研究主体、コイツの奥さんは診察主体と分担していた。



世界中の不妊治療している産婦人科医とか研究者とは交流があった。奥さんが名前を挙げた、アメリカの権威は、実はこのジイサンのアメリカの友人の教え子だった。



このジイサンは、アメリカが夜中なのに、こいつに電話していた。言葉はもう少し飾っていたが、本音ではこういっていた



このジイサン



起きろ、お前が不妊とか診察した人が妊娠しているぞ、オマエ、ナニ診ていたのか、その当時の検査資料を送れ、夢でも見ていたのか、オマエを、なかなかの医者と褒めて、可愛がっていたアイツもあの世で嘆いているぞ。



アメリカの権威



夜中に何事ですか、あの人は、子宮の構造も問題があって、卵管にも問題がありました。あの人が妊娠するのは、無理です。先生はエンジェルホープジャパン病院に勤められたと噂で聞きました。遺伝子治療でもなさったのですか、子宮の構造までそれで直せるものなんですか



このジイサン



そんな治療はなにもシトラン。他の病気で入院して治療していたらしい。その病気でも遺伝子治療を検討していたらしいが、ナニをしたとは聞いていない。



何か芳香剤みたいな気休めをしたらしいがあれが遺伝子治療なのか、それは遺伝子治療センターの奴も本当はよく判らんらしい、杉山君は、あれが効いたといってはいるがね。



オマエが診た時の検査資料をみれば、子宮の構造まで治せる遺伝子治療となる可能性もある。オマエが誤診していないとすればとの前提がつくが。だから検査資料を送れといっておるのじゃ。



アメリカの権威



それは大変な話です。検査資料は明日大学にいって、揃えてお送りします。私もエンジェルホープジャパン病院に伺ってもいいでしょうか



このジイサン



違う病気の検診の時に、妊娠しているらしいとわかって、ワシがちょっと診た。今はワシの嫁はんが今、もう一度慎重に診察しているが、ワシの診た所、あれは妊娠している、しかももう五ヶ月近い、ワシよりも嫁はんの方が、診察は丁寧だから、はっきりとするじゃろ。



アメリカの権威



先生だけでなく、あの病院には奥様も勤められているのですか、お二人が診ておられるなら確実です。ぜひ私も現在の状態とか検査データも見てみたいです。先生の所に、検査資料をお送りしてから、又お電話します。