コッソリート、ディラーに復活、
年寄り運用チームのリーダーに
コッソリートは、しぶとく生きていて、金の廃坑が金色に光る金山になったと聞いて、子分だったオタスケーと一緒に見に行った。
金は、ともかくこの辺りの風景が気に入った。そこで、二人はテツダウーノに頼んで、隠居場を牧場の近くに作る事にした。この辺りには水道なんて気の利いた設備はなく、井戸から水を汲んでいた。井戸水を汲みに行くのも大変なので、ポンプでくみ出すように工事したら、湧き水も泉のようになり、簡易水道の設備まで作って、コッソリートの隠居所だけでなく、牧場や学校などの周辺の家に給水できるようにした。
発電装置は、徹の未来エネルギーシステムが、大介の未来テクノを通して、既にヨーロッパでも盛んに販売していた。未来テクノは、コバンザメ企業だったので、徹の未来エネルギーシステムからパテントを取り、キクコドイツメタルなどの協力を得て、少しは替えたコンバクトタイプも考えて、発売していた。
その方が、ただの販社より、儲けが多かった。それが存外に好調だった。ヨーロッパの僻地でも、簡単に発電できた。スイスカナコインの土地は広く、大きな家を建てた。テツダウーノももうすぐ引退する積もりだったので、二人の家を参考に見に行った。
その家が気に入り、テツダウーノも自分の隠居場をその隣に建てた。コッソリートはもう超高齢だったので、のんびりしていた。その水も美味しく、牛乳は美味しかった。スイスカナコインのワインも美味かった。不思議と段々元気になってきた。毎日若くなっていくような気がした。自分に良く似た顔を持つ猫が遊びにきた。なんとなく気持ちが通じた。コッソリートは益々元気になった。
テツダウーノはヤリマッサーノに実務を任せていたが、まだスイスカナコインの名目的には責任者だった。コッソリートの作った証券会社の若い連中がのさばりだして、年寄り連中は押され気味だった。
ヤリマッサーノに命じて、年寄りたちの部屋と若い連中の部屋を分けた。年寄りたちはのんびりとした取引に戻った。成績は若い連中がいいようだった。訳の分からんデリバティブなんかを多用して儲けていると、コッソリートたちにこぼした。コッソリートは興味を持ってこの話を聞いた。
元々山っ気があり、それで失敗して、かたい取引をしてきたが、もうこの年だ。後は好きなようにやろうと思い出した。証券研究所の若い兄ちゃんや姉ちゃんを呼んで、オタスケーと共に勉強した。
オタスケーも堅い取引をしてきたが、最後は一発倍増の取引をしてみたいとコッソリートと同じように思った。テツダウーノに命じて、ここにスイスカナコイン別室を作らせた。コッソリートは実は金持ちだった。
持っていた金を半分に分け、その半分がなくなったら、取引を止める事にして、そのデリバティブなるものに挑戦する事にした。テツダウーノは無謀と言ったが損したら補填するとまで言われ、結局認め、ここでの取引の損は、コッソリートが補填する条件にした。オタスケーも同様の条件を出して取引をする事になった。
証券研究所の若い兄ちゃんや姉ちゃんにもバイト代を払い、実戦でも講師になってもらった。それが持っていたお金を一夜にして無くした訳ではなかった。そこは用心深く、なくしても良いお金を三分割し、その三分の一のお金で勝負していった。それが一夜にして倍になり、それが又倍になり、賭けるお金はどんどんと増えていった。
テツダウーノはまだ若く、先も少し長い身だった。大先輩の二人だったが、思い切って言った。一定額になったら、又三分割し、その三分の一で勝負すればと長く楽しめますよと言った。
コッソリートもオタスケーもどんどんと若くなり、まだまだ頑張れると思い出したので、その提案にのった。大きく賭けて失敗した経験のあるコッソリートは、若くなったと感じ出すと段々慎重になった。オタスケーももっと若いだけによりその気持ちは強かった。
証券研究所の若い兄ちゃんや姉ちゃんにもっと詳しく聞いた。多彩な技を教えてくれた。結局反対方向にリスクを取るようなやり方も教わった。テツダ
ウーノも引退して二人と一緒に、スイスカナコイン別室で働き出した。
スイスカナコイン別室は偉いさんのご意見無用の別室だった。
ただテツダウーノは、二人とは違い、株式投資をした。大きく下がった時に買った。バイト代を貰ってきていた若い兄ちゃんや姉ちゃんも、利益比例のバイトにして貰い、利益が出ると三人の手数料のかすりを貰う事にして、損がでれば知らない振りをする事で、三人を丸め込んだ。三人はそれほど甘い連中ではなかった。色々アーダコーダと質問した。若い連中も勉強して答えた。別室の稼ぎは飛躍的に増えた。スイスカナコインの若い年寄りも勉強にきた。