のら猫の三文小説

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香奈とコシロ No.56

2013-04-30 00:36:23 | 香奈とコシロ

海外のジブトラストでも本格的に先物取引を始める。




正子は自分の家でもディーリングルームを作った。三人の子は家では増幅したパワーを正子に送った。香奈の家にも元々ディーリングルームがあったが、ジブトラストでは、ごきげんソフトが優秀なため、セキュリティー対策が優れており、外部ログインするには、何桁ものパスワードが複雑な周期で次々と変わり、香奈はあっさり諦めた。


スイスの運用会社は香奈だけのものだったので、コッソリートとの連絡を取って、色々な情報も貰い、ジブトラストとしても参考にして、自分だけの運用会社でも活用していた。コッソリートはジブトラストスイスとしても香奈とよく連絡を取って手堅く十分なリスクを取って細かく儲けていた。コッソリートは若い頃の経験を生かし、損をしない運用を心がけていた。年間数割程度の儲けを取る事を目標にして、十分なリスク取りを心がけていた。香奈には色々なヨーロッパの情報を教えてくれた。


香奈はスイスの運用会社でも、コシロと相談しながら少しは運用をしていたが、ただもうそんなに遅くまで取引はしなかった。コシロも香奈もそんなに若くなかった。アメリカ時間まで起きているつもりもなかった。コシロものんびりしていた。香奈とコシロは、規則正しい生活をするようになった。香奈はそれでも時々徹の部屋に襲いに行く事はあり、コシロは呆れて自分の部屋で寝ていた。



香奈オフィスからの香奈子飼いの人たちは、香奈オフィスの業務と関係する業界の株式相場や資源や貴金属の商品相場には強かった。ただ時折、香奈と話をするうちに正子は、ヨーロッパの先物にも関心を持ち、支店やジブスイスに本格的に株式先物担当もおき、ヨーロッパの先物取引も始め、ここでも無類の強さで勝ちまくった。


元々香奈オフィス時代から、コシロは大きく儲けがありそうな時は、株式先物を香奈と一緒にしており、窓口はあった。ただ商品や株式相場が中心の香奈オフィス海外だったので、先物担当専門はいなかった。先物に比較的強い奴が中心となって、本格的に株式先物を取引する事になった。そしてこれが香奈オフィス海外からジブトラストの海外に本格的に変化していく切っ掛けにもなった。





株式や商品相場だけでは、香奈オフィス時代と同じで、ジブトラストとしての資金の他にも香奈の現地財産管理会社から資金融通を受けていた時も最初はあった。現地の幹部たちは、いつものように勝手に資金を出して。利益配分を適当に処理し、香奈も適当に認めていた。それが儲けだして、ジブ海外に金が出来、ジブ海外だけの金庫会社を作りだしていた時だった。そこに正子が株式先物で又儲けだした。香奈と現地の幹部たちでは、香奈海外と同じ雰囲気だったが、正子の天才的な株式先物がそこに加わり、ジブ海外として完全に運営されていくようになった。



影響はホテルの運営本部や貴金属まで及んだ。エコノミーホテルも、運営本部は同じ場所においてあり、システムも良く似たものを使用していたので、影響を受けた。客室稼働率は90%はいつも満室に近い事を意味するが、本当に満室が続いた。貴金属では真理は元々慎重だったが、上がれば真理が少し売りを出す。売りを出すと、下がり、手じまうと又上がった。連戦連勝で進んでいた。



一応出資枠の拡大は一巡していて、出資者はもうそんなに増えなかった。香奈は配当を少しずつ増えしていったが、配当が出資金の倍になった時点で、香奈は配当ふやさなくなった。毎年、年間二千億以上も現金が増えていった。支援していた企業からの配当も増えていった。


ジブトラストが安定して、配当を出せるように香奈は考えていった。



香奈は、コッソリートからの情報を貰い、コシロと一緒に検討しながら、短い時間ではあるが、こっそりとスイスでの運用を続けていた。数時間だけしか取引しなかったが、コシロも香奈を助けてくれた。コシロの先物は、まだまだ正確だったが、それほど先物でオーバーナイトはしなかった。そんなリスクをおく必要もなかったし、コシロもそんな表情を見せる事もそうなかった。大きく儲ける事もなかったが、少しづつ儲けるだけで香奈はよかった。香奈には、コシロとのんびりしている時間だった。取引に気分が乗らないと、コシロとお不動さんの絵を見ている時もあった。コシロも歳だったが、元気だった。



香奈は、ジブトラストとしても長期的な投資もしていった。ジブは正子がやたらと稼ぐが、いつまでも先物に頼っている訳にもいかなかった。儲けたお金はリスクの高い先物や商品相場にどんどん投入するのも危険だったし、じっと現金だけを抱いているのも効率が悪かった。そして儲けたお金の三文の一程度は長期的な視点で株を保有する事にしていた。その株の選択は香奈とコシロが話して決めていた。


香奈は、仕手集団とも云えた、相場ゴロのような香奈オフィスのグループをジブトラストに移し、取引をさせたが、その元金というか投資のお金は儲けてもそんなに増やさなかった。いつもいつも儲かる儲けられる事はない。欲をかくと大損すると思っていた。そうして儲けたお金は、土地や金、現金、そして長期的な展望に基づく投資に振り分けていた。香奈は長期的な投資をしながらも一方で株を保有するリスクも考えていた。


ジブトラストと云うべきか香奈と云うべきかは分からないが、2つの側面を持っていた。一族の会社や気に入った会社は、じっと長期的に保有したが、リスク低減のため情け容赦なく、売る事もあった。それは香奈の相場師の直感の一面とコシロとの会話による長期的な視点を併せ持つ複雑な一面でもあった。





コシロは香奈以外の人間は嫌いだったが、それでも顔なじみになってくると恭助とかジブトラストの管理の部長とかになるとイチイチ逃げるのも邪魔くさくなり、香奈と一緒にいた。正子がやたらと儲け出し、海外のジブも好調だった時に、ジブトラストは国内や海外で長期的な視点に基づく株投資を、香奈とコシロが相談しながら、進めていた。後年ジブトラストの出資や融資で成長の土台を築いた企業は、国内のみならず海外にも多かった。保有株の名義は、複雑に分散していた。特に海外では、ジブトラスト名義の財産管理会社群や香奈個人の財産管理会社まで時には使用する事もあって、ジブトラスト単独での名義は案外少なかった。





ただ管理の部長の斎藤は、コシロを横においた香奈が色々と検討しながら進めていると思っていた。コシロは香奈に時々にゃーにゃーと言っているだけのように見えた。時々斎藤の心にコシロの声が響く時もあった。そんな時は斎藤の出した書類に間違いがあったり、未調査のまま提出したりしていた。香奈は柔らかくもう一度検討してみてよと言うだけだった。



香奈とコシロが話し合って、今後の成長する分野に投資したりしていた企業は上場だけでなく、非上場の企業もあった。神之助の霊力に恐れ逃げるためにつくった新宿オフィスであったが、逃げ出した連中もそれなりに成長していく企業を探し、将来性のある企業に出資し、応援したいと言ってきた。そしてその調査結果を香奈とコシロが話し合って判断していた。


勿論香奈は相場師でもあったので、もう下がると直感した時は売り飛ばし、又の機会を待つと云う事は当然あった。香奈は元々チャンスとみれば大儲けをしたい性格なので、コッソリートの情報で儲かると思った時は、自分の管理会社でも、海外のオフィスでも、新宿でも連絡して果敢に買った。それは海外のオフィスの現地の連中も同様だったが、大規模な買いは、香奈の了解を得て進める事になっていた。



香奈はいつもいつも儲ける事はできないと思っていた。休むのも相場なのだ、儲けられない時に焦って相場に手を出しても損するだけと海外オフィスや新宿の連中にもいつも言っていた。こうした香奈の直接指導は神太郎が新宿を手伝い出すまで続いていた。


香奈は正子が神がかりで儲けたお金を三分の一は現金で、三分の一は不動産や金そしてもう三分の一は長期視点の株として更に大きくするようにしていった。香奈はそんなに株をじっと保有するタイプでもなかったが、なぜか気に入った会社はじっと保有していた会社もあったのも不思議だった。


ただ後年大きくなった神子はこうした長期保有の株も神がかり的に高いと思うとさり気なく売り、安くなるとさり気なく買い戻して、元のように保有するといった神業をみせたので、調整売買は神子に任せていった。神ならぬ香奈は、なかなかそんな事は出来ないので、香奈は直感的に閃かない時はじっと我慢して保有していた。この時の香奈やジブトラストもそうだった。






香奈とコシロ No.55

2013-04-29 00:11:21 | 香奈とコシロ


快適やニコニコホテルは、正子の出資で出発した。




そして正子も立ち直り、香奈から今までの運用手数料と報酬を受け取り、俊子から配当分の残りも受け取り、自分でお金の管理も出来るようになり、低価格路線を考えていた悦子や聖子を応援していった、出資したり、貸したりした。ジブトラストからの出資もしていった。


香奈は元々、鉄鋼や機械そしてエネルギーや貴金属を重視する傾向があったが、正子は先物系の意識も強く、株価先物と連動している株式保有が必要と思い、基盤産業以外にもその他の食品や小売やサービス業などの香奈が興味の少ない分野についても、香奈と話しながら、企業支援や出資を広げていった。


正子は企業支援や企業への中長期的な投資は、原則的には香奈に任せていたが、香奈も相談していたので、正子の希望もある程度聞いていった。


香奈も運用利益は増えていく一方だったので、保有する現金の比重も高めながらも、少しずつ財団への寄付やジブトラストの配当も増やしていった。



瑠璃石油の誕生


ジブトラストが支援し、出資している石油会社は、挨拶に来て、神之助を連れた正子と香奈と会った。正子は挨拶を受けると直ぐに取引があると言って、神之助ともに下がった。神之助の霊力に当てられて、その石油会社の社長は本音を漏らしてしまった。石油会社は、日本では資源開発に、いいようにピンハネされている現状を憂慮して、独立したがっていた。


ただ独立すると、資源開発からの原油もカットされるし、原油入手の安定的な確保が難しくなると言ってしまった。香奈は、予定数量を聞いた。そんなに多い量ではなかった。資源開発は香奈の夫である徹が経営しているし、香奈も元役員で大株主でもあった。それも知りながら、本音を言ってしまった。香奈が聞いたピンハネの額も多く、ピンハネを貰っていない香奈は義憤を持った。ここは精製設備は持っている会社だった。私のアメリカの会社では原油は扱ってますよと言ったものの、よく調べて連絡しますと言った。



そして、ボブにこんな話もあったけど、コーポーレート石油会社との共同購入は出来ないのと聞いた。日本に香奈オフィスが直接入れるのはさすがにまずいと思っていた。アメリカのコーポーレート石油会社は、インパクトのある材料を欲しがっていた。この話に飛びついた。合弁会社として、上場できないかと聞いていた。原油は2社で一括購入すればいいと言ってきた。タンカーとか色々な問題もあった。それに上場だけで一挙に販売ルートも出来る訳でもない、すったもんだの問題もあった。ただ各地のローカルルートも纏めて大きな販売ルートを持つ合弁会社、「仲良し石油」をジブトラストが更に出資して日本で作る事になった。その上で、アメリカのコーポーレート石油会社と合弁会社を作り、新たな石油会社、「共同仲良し石油」を作る事になった。



瑠璃が日本で、アメリカではボブが、ウロチョロして工作していた。瑠璃は香奈と違い、組織的な工作が得意だった。香奈は個人的には名プレイヤーで、香奈の海外オフィスにも、商売の感覚的にも優れたいわゆる商売人や相場に強いプレイヤーたちがいた。香奈はジブトラストにそんな人たちを連れて行った。まだ一体的な活動を香奈オフィスとジブトラストがしていたので、瑠璃は名プレイヤーの意見も経験も聞きながら、組織も再編し、香奈オフィスも継承できた。


瑠璃は組織的な工作が得意で、秘密工作も得意だった。瑠璃は日本での工作が済むと、アメリカへ行ったし、ボブも日本に来たりしていた。工作は思いがけず短期間にほぼ終了した。


中東が、突然日本向けの原油供給を停止した。中東依存が高すぎた資源開発は原油の確保が難しく、供給量をカットし始めた。香奈は中東以外にもルートを持っていたので、資源開発に原油を斡旋した。単なるピンハネ対象は率先してカットされはじめた。上場時期を検討していた日本の合弁会社と資源開発との間に、運用会社として香奈が仲介してアメリカのコーポレート石油と合弁した「共同仲良し石油」を作り、資源開発もお情け程度の出資もする事に決まった。


合弁会社を作る前だったが、中東依存度が少ないアメリカのコーポーレート石油会社は当座の必要量を、香奈の脅しもあり、中東からのんびりきていたタンカーを、日本の「仲良し石油」に回してくれた。香奈オフィスは、中東以外でも色々と原油に関与していた。ボブは中南米出身で、中南米の原油の利権も、香奈オフィスは持っていた。ただ販売量は少なくボブは折角取った利権をあまり使えないとこぼしていた。香奈オフィスは、アメリカでは中南米産も使用できたので、アメリカのコーポーレート石油会社に売る事もできた。



そして「共同仲良し石油」が出来て、上場した。株式は公募の形を取り、ジブトラストも相当株を売らされる事になった。香奈オフィスも儲かったし、ボブも臨時ボーナスが出た。瑠璃も名前も売った。原油、原油とお題目を唱えていた時代だったので、株を売らされたジブトラストはもっと儲かった。会社支援チームとしては快挙を達成して、利益も上がった。



その後「共同仲良し石油」は業績が好調で、精製設備を更新する計画があった。だれかが、最新設備を作った方が安いとか、ほざいた。調べてみるとそんなに差はなかったが、うるさいおっさんが言ったので、後生大事の人は従った。しかし解体費用は省いていた。


香奈は、このおっさんの頭の中がみたいとも思ったが、じゃ新しい精製設備を別の土地に造って、古いのを売ったらと言ってみた。そんなもの買う人も会社もないとそのおっさんがぼざいたので、安くすれば売れるよと香奈は言った。おっさんは新しい会社では西日本系の販売ルートをもつ会社群のまとめ役で高い地位を得ていた。香奈は日本での合併工作を瑠璃に任せていた。


このおっさんは、香奈をアメリカのコーポーレート石油会社の役員で、アメリカ資本からの推薦の若い姉ちゃんと思い、少し敵意も持っていた。おっさんは、商売を知らない香奈に恥をかかせるつもりで、じゃ売ってなと言って思い切り安値を言った。香奈は、腹が立って、ジブトラストの配当や運用手数料を貯めていた金の一部を瑠璃に貸し、ジブトラストとしてもお金を出資して、「瑠璃石油」を作らせて、思い切り安い値段で精製設備を買ってしまった。



それだけでは、安く買い叩いたようで後味も悪いので、俊子に頼んで、新しい精製設備用の土地を見付けてきた。別のおっさんがくそたかい土地が見つかったと言った。俊子は地価が下がった時に、千葉のホテルの事も考えて、海岸付近に広い土地を買っていた。ただ近くに大きな工場が建ち、ホテルには向かなくなっていた。香奈はさやを抜いて儲けようとも思ったが、それはまずいと思って、俊子の言った値段を言い、その場所も言った。別のおっさんはそんな馬鹿なと言って、二つの場所を詳細に調べて、検討する事にした。結局調べば、調べるほど差が出た。そのおっさんの面子もあって、「共同仲良し石油」は、俊子とこっそり会って、俊子が隣接してもっていた少しの土地もくっつけて、おっさんの面子を尊重して、おっさんの言った価格の1割安程度で買う事になった。



精製設備ができるまでは、「瑠璃石油」は、「共同仲良し石油」にレンタルして使用させる契約になっていた。この間に瑠璃は親しくなったボブに中南米産の原油を回して貰う約束や原油品質にあった精製設備の更新の計画を進めていた。中南米にもボブの力で「瑠璃石油」の現地支店を作った。タンカーも良子の息子たちが運営している安倍海運と話していた。


「瑠璃石油」は、原油の多角的な確保を目指して、日本でも中南米産の原油を精製する事にしていた。「瑠璃石油」は、ジブトラストからの出資も貰い、精製設備は更新された。中南米産の原油を使用としたガソリンなどの関連物資を販売する事になった。予め化学とは話もしてあったので、関連物質は化学が使いやすい用に分別していた。化学でも手間が省けたと喜んでいた。独立系のガソリンや石油として安く売る積もりだった。またまた中東は日本向けの原油を止めた。中東の誰かが日本に来た時に、すりにすられたとか、銀座で女の胸を掴んだら殴られたからだと言う人もいたが、表面的には日本とイスラエルとの貿易の拡大に抗議するとか言う事になっていた。



取りあえず、中東の原油が一時止まった。中南米産のガソリンや石油を、他の石油会社に売っていった。精製設備の周辺には、他の石油会社からのタンクローリーで一杯になった。値段は中東産よりは、少し安くした。いつも他の石油会社が買ってくれるとは限らないので、瑠璃は、又ジブトラストからもお金を借りて、関東の周辺の地価の安い国道筋を治部東京不動産に依頼して、完全自動化のガソリンスタンドを少しずつ、増やしていったが、他の石油会社への販売が安定的になったので、ガソリンスタンドの数は限定的なものとなった。


やがてジブトラストから借りたお金は増資の形を取った。香奈はそうして、瑠璃石油の一定部分をジブトラストが持つ事にした。しかし瑠璃も瑠璃石油の報酬を利益比例にして、香奈から借りたお金も返しはじめて、意見も通すようにしていった。



香奈オフィスは、幾つかの鉱山の利権と油田の利権を持ち、アメリカのコーポーレート石油会社との取引もあった。そして、鉱山からの鉄鉱石や貴金属原石の販売、資源用機械の販売や斡旋、原油関係の販売と仲買などの業務はあった。原油の先物ヘッジは、少しは、行っていた。香奈オフィスは、日本とアメリカに関係の深い石油会社を三社持ちながら、原油販売もするようになった。資源開発とも関係していた。


香奈は相場関係に注意を払いながらも、実業としての香奈オフィスにも同様の注意を払い、自分が動けない時は瑠璃を派遣して、直接指導を取っていた。実業としての貴金属や原油などの動向を見ながら、貴金属相場や原油相場を慎重に手がけ、儲けが取れそうな株があれば買うようにしていた。香奈にとっては、香奈オフィスでの海外の相場取引がそのまま、ジブトラストとして取引になったようなものだった。



「新宿のビルは少し時間はかかったが、結局、成功したよ。小遣い銭程度のバイトも一杯くるよ。第一、不良たちも爺さんや婆さんと本音の話が出来て、みんなの意識も変わったよ。あんな所でも子供預ける人も多いのに吃驚したよ。」

香奈
「あそこの賃貸は、子供がよく出来るのよ。それに勢いもよく、子宮直撃弾が良く出るのよ。子供が出来るビルとして有名になったよ。結婚して10年間出来なかった人も子供が出来たと云う噂も出ているよ。今は、空席待ちだよ。ジブトラストが押さえた部屋も貸し出したよ。奴ら、変な下心もあったのよ。新宿オフィスでの支援や増資は先行投資をしたつもりだったけど、配当も思ったより早くくれるようになって、そこそこ儲かっているわよ。」





香奈とコシロ No.54

2013-04-28 00:01:02 | 香奈とコシロ


神之助パワーは凄かったので、逃げた筈の

新宿オフィスも影響を受けた




新しいビルが建つと、多くの人は、新しいビルに行った。ただ数人は、平気な人も居て、直属の少数の国内やアジアの取引チームに残った。海外担当は時間がずれ、神之助の余念は残るものの、被害は少なかった。管理チームは影響の少ない人を無理矢理残し、午後には都心のオフィスによく打ち合わせと言って逃げた。



新宿のビルは何の計画もなく突然と建てたビルだった。ビルが完成間近になって、漸く慌てだして動き出した。ただジブトラストには金があり、しかもその金で企業を支援したりしていた。蜜にたかる蟻のように、事務所もやがて一杯になり、店舗も金目当てにやがて満室になった。賃貸まで高額の家賃だったが、見栄を張るジブトラストの不良はやたら豪華にして、成金も居て、やがて埋まった。


ジブトラストの不良たちは、女を連れ込むための部屋を残しておいた。緊急の時に泊まり込むための部屋と名目はつけた。


完成すると、正子は珍しく関心を示して、神之助をつれて完成したビルを見に行った、神之助は広い建物を見て喜び、いきなり強力な念を送っていた。ジブトラストの不良たちはある程度予測もしていたので、建物は頑丈にし、ガラスも防弾ガラスに近い程の強化ガラスを使っていた。神之助が来ると噂があり、案内した社員は、比較的被害が少ない人を選んでおいた。


そして、このビルにも神之助のオーラは及んだ。この頃の神之助の念は強力であった。神太朗と神子も、日曜日に見学に行った。二人は、神之助の念の強さに驚いて、癒しの念を神太朗は送り、神子は予知の念を送った。


ジブトラストの不良たちも少しは改心して真面目になり、予測の力も少しついた。この賃貸を借りた好き者のおっさんが、浮気で女を連れ込むと立たなくなったが、賃貸で借りた夫婦は、夜には旦那のものはそそり立ち、女は絶頂感を味わった、いい加減な奴らの事務所は段々悪くなり、熱心な人たちの会社は繁盛した。


そして数年が過ぎると、家賃も高いので、いい加減な奴らは去り、みんな、繁盛するビルになり、賃貸でも子供がよく産まれた。託児所も利用されるようになり、ビルの医院まで客が増えた。寿クラブもネットカフェとか一時的な事務所みたいな使われ方もされたが、都心でもウロウロする爺さんや婆さんもいて、いつしか老人割引も効いて、老人が集まり、子供たちを見ているようになった。


中には、色々な事をああでもない、こうでもないとほざく年寄りと、不良上がりの保育士との間でバトルが起き、婆さん、やってみなと言う事になり、婆さんの知恵が再発見されたり、キャピキャピの姉ちゃんが正しかったと爺さんと婆さんたちが認める事もあった。このビルでは自然と本音がでた。みんな本音をぶつけ合う内に、それなりの不思議な雰囲気のビルになった。


それにここの寿クラブには若返る力もあり、爺さんでも立った。爺さんと婆さんのラブロマンスまで起こっていた。そしてここの医院では、病気もよく治った。ジブトラストに相談に来た会社は運用会社の出資を受けると成長する事が多かった。



都心に移ったチームは取引はあまりしなかった。やれば本体との差は歴然だった。それでもビルは当分赤字だと思って、仕方なしに、将来性のある会社を必死になって探した。有希にも聞いたし、恵のビルにも企業相談所まで作った。合併や合弁そして増資などの仕事も探した。そうして支援した会社を本当に発展させ、利益を出させるためにも経営相談も行っていた。


ジブトラストの不良達は、神之助に対抗する事の無意味さを知り、自分たちの取り柄は経験でしかないと思い、それを元に懸命に努力した。上場企業でも、将来性のある企業には、10年先に何倍にもなる事を目指して、自らの判断で単独に買う事もあった。このような株は普通扱いの長期保有株扱いとなった。保有するのは何倍にもなると思う株しか保有してはいけないと香奈は、言っていた。時間が必要でも、将来性を見て、非上場や上場を問わず、未来を買うための調査をしろと言っていた。暴落や少し下がってオタオタする株や世間の噂や評判を鵜呑みにせず、自分たちで納得できる株しか保有してはいけないと言っていた。



しかし株価は変化する事があるので、いいと思った株でも下がる事もあった。先物でヘッジしているとは云え、売った方がいいと思う時もあるのだ。ジブトラストには、保有株でランク付けがしてあった。一族の会社は、大体売ってはいけない株だった。信用でリスクヘッジする事はあっても、現物は売らなかった。普通の長期株は、信用でも売るし、現物でも売っていた。そして又状況次第では、又買い戻していた。それ以外の株は、目標株価を決め、全量売っていた。



本体の取引は、神之助の影響を素直に受けた人たちと神懸かりの正子がしているので、連戦連勝だった。あれよあれよと云う間に儲かった。正子は日本の先物相場で儲けていたが、多くの人の生活を改善したり、役にたつ企業を応援する事にも目が向いてきた。頭の良い子がおだてられ、いい学校にも入り、資産家に嫁ぎ、贅沢にチャラチャラ暮らそうと考えていた正子であったが、いつしか神太朗に教育され、そんな思いも強くなった。




香奈とコシロ No.53

2013-04-27 00:06:44 | 香奈とコシロ


爆発的な神之助パワー



そして神之助が、正子と一緒に会社に来るようになった。神之助は午前中は託児所に行っていたが、午後は大体正子の側にいた。神之助の霊力は凄く、神之助がおぎゃと鳴くと、ジブトラストの入っている建物の窓ガラスが割れ、強化ガラスに交換した。


そして社長室の前には室内ではあったが、室内庭園のようなものを作り、観葉植物を幾つか置いた。それが異様に大きくなっていった。正子は、株や先物で利益を上げだした。海外のオフィスの株式相場や商品相場まで神之助の霊力のお陰で好調になり、運用利益も再び、八千億ペースに戻っていった。


海外のジブトラストも金が出来て、香奈の個人的な財産管理会社に退避させていた金は使う必要もなくなって、逆にジブトラストとしての財産管理会社を作る事にしていった。香奈オフィスの連中にとっては複数の会社に分けて、税金対策する事はもはや習慣になっていた。香奈の財産管理会社からの資金提供を受ける必要は、あまりなかったが複雑に使い分けていた。香奈オフィスでの資金融通も必要であり、ジブトラスト用の香奈個人の財産管理会社も作っていった。海外のジブトラストの資金供給ルートは複雑だった。海外のジブトラストは、まだ香奈の個人の組織の色彩は強かった。



ジブトラストの配当も出資金の同額を続けていった。ジブトラストでも国内や海外で、現金の保留が増えていった。それに非上場で支援していた会社からも利益が上がるようになってきた。香奈は、それでもまだ怖く、株は長期保有のものを除き、利益が大きく出ている株は少しずつ処分し、ビルなどの不動産、換金性の強い金などの貴金属も買い、そして現金比重を高めていこうとしていた。


香奈は余程の理由がないと上場株の長期保有はしない人だった。保有株式や商品相場そして先物相場への投入額はそんなに増やさなかった。株は暴落する事もあるし、保有する株は、経緯のある株や一族の株などが中心だった。いつまでも、こんなに好調に推移する事はないと、思っていた。



ジブトラストの総合展開は、神之助対策から始まった。




しかし神之助の霊力は益々強なっていく一方だった。ジブトラストの運用はうまく行っていたが、被害もあった。香奈自身も実感して、ジブトラストとしても都心のビルを持ちたいとのみんなの要求にも応える事にした。それに都心のビルなら、そんなに大きな損もしないだろうとの思いもあった。



神之助の霊力が強すぎて、やましい心がある人間は、金縛りに会うようになった。ジブトラストでは、牧師や坊さんのように心が静寂な人は少なく、みんな動けなくなると困り、もっともらしい理屈を付けて、ジブトラストが資金を出して、複合ビルを都心に作り、やましい心の持っている人間は飛び出す事を考えた。香奈に直訴すると香奈は仕方ないと同意し、みんなに任せると言った。

計画もヘッタクレもなく、どんどん進めた。金額的にも大きかったが、兎も角も神之助パワーで買えば上がり、売れば下がるので、金はヤタラとあった。俊子の不動産会社にも無理矢理頼んで、土地を探すと簡単に新宿のど真ん中に大きな空き地が出ていた。改築しようとしている間に、ある不動産会社が業務縮小の嵐の中、密かに買い主を探していた。現金なら安くすると言った。地価と建物の高さとか、建物の利用方法とかを慎重に検討すべきだったが、午後に金縛りに会う恐怖から、ジブトラストの不良達は、これに食いつき、すべて無理矢理急いで建てた。ただ変に見栄を張り、高層にしようと思った。

関係の深い建築会社に設計させ、格好いい高層ビルにしてくれと言った。教科書にあるような高層ビルの設計図を持って来た。そこに色々注文が出てやり直すつもりだった。簡単にそれでいいと言って、ただ託児所、医療スペースそして寿クラブだけを作ってくれと頼んだ。事務所や店舗、高層階の住宅など、どこにでもあるようなビルにした。ただ頑丈な建物にして、ガラスも防弾ガラス並みの強度にしてくれと言った。建築費は上がった。


そんな事は気にしなかった。兎も角早く建てろと云う事しか言わなかった。新宿のど真ん中に、広い託児所なんかいるのかと言う声にも、耳を閉ざした。そして産婦人科や小児科、内科まで、金に物を云わせ、医師に説得した。寿クラブまで作って、従来の路線ですよと云った素振りをした。

大きな事務所を運用会社が使う事にして、のんびりゆったりとしようと思った。かなり、高層のビルを作ってしまったので、事務所の引き合いなども事前に交渉すべきであったが、そんな事により、取りあえず無理矢理急いでつくった。上層はチャラチャラとした、いかにも株屋が金を儲けたと云う事が分かるような豪華な賃貸住宅にしてしまった。


ジブトラストの不良たちの発想はまだその程度だった。取りあえず大急ぎで進めた。神之助が小学校に上がるまで続くと、何年も金縛りにあう事になり、みんな慌てた。神之助の霊力は益々強くなり、金縛りにあったまま、ついに座ったまま、おしっこを漏らす人まで出たので、建設会社も脅して信じられない程早く作った。



「なんで、新宿の繁華街で、託児所なの。しかも広いのよ。財団や施設でも呆れているわよ。赤字丸見えよ。」
香奈
「みんな金縛りになるんだよ。やましい心があれば、今はジブトラストでは、動けなくなるよ。やましい奴は理屈つけて、外出するけど、限度があるだろう。おしっこ漏らす奴まで出ているよ。家賃は安くするし、赤字が出たら補填するから、使ってやってよ。


今回は、ジブトラストがすべて持つ直属のビルにするよ。みんなに泣きつかれて、仕方ないのよ。今回のビル建設で赤字が出たら、みんなで頑張って稼ぐと言っているのよ。正子さんには、従来のビルと言わないといけないからね。ジブトラストでは、静寂な心を持っている奴は少ないのよ。ホテルの運営本部や貴金属でも影響が出てきたよ。仕方がないから、私と真理さんは、コレクションも一部飾っているけどね。ジブトラストでは神之助君の力が強すぎて、あまり効果ないのよ。恵も行ってみなよ、大体、昼から午後3時半頃までは、神之助君は居るよ。やましい心があるかないか直ぐにわかるよ。風俗なんかで遊んだ翌日は、大体お漏らしだよ。大変らしいよ。


「やだよ。おしっこ漏らすと大変だよ。香奈さんは大丈夫なの。」
香奈
「会長室の中には、青不動さんの掛け軸かけているのよ。コシロも一緒にジブトラストに来るのよ。青不動さんと友達みたいなの。それにその時間は、滅多にいないよ。家に帰っているよ。コシロと一緒に家に帰るよ。午前中は、コシロと一緒に海外オフィスや担当チームの報告を見て、仕事してるよ、昼には家で飯食って、午後は、家で香奈オフィスのオフィスの報告を見てるよ。急用や来客の時は会社に行くけど、金縛りにはあわないよ。少し身体は強ばるけどね。会長室では大丈夫だよ。成績は驚くほどいいけどね。


「コシロは、まだ元気なの。」

香奈元気だよ。足腰もしっかりしているよ。私より、先に歩くのよ。コシロも神之助君の影響からか元気になったよ。

「神之助君って凄いのね。」

香奈神子ちゃんも一睨みで花瓶割る子だったけどね。今度は窓ガラスが割れたよ。今は防弾ガラス並みの強化ガラスにやり替えたよ。コップもみんなガラスものは使わないよ、金属物に替えたよ。



香奈が自分の部屋に掛けてあった青不動さんの掛け軸をジブトラストの会長室に掛けたので、コシロは寂しくなり香奈と二人で会長室に来て、青不動さんの掛け軸の下で、香奈を見ていた。コシロと青不動さんとは毎日お話する仲になっていた。


コシロは香奈に言って、香奈と一緒にジブトララストに行くようになった。そして香奈と一緒に家に帰った。香奈は、普通のお客さんと会うのは応接室で会ったが、それでも部屋に来る人や社内の人も相談にくる事もあった。コシロは香奈以外の人が来ると面白くない顔をして睨むので、香奈は、お不動さんの絵も持ってきて、コシロが隠れる場所を作り、コシロは、その絵の裏で寝れるようにした。コシロは誰もいないと香奈の横に来て、メールやチャートなどを、香奈に印刷して貰い、不審に思ったり、変なポジションを持っていると香奈に知らせた。


コシロは、誰かくると、絵の裏に隠れた。香奈が連れてきた香奈オフィスからの海外のオフィスは、香奈と同じように情報を集め、一発倍増とか大きな利益が取れる時に絞って取引する傾向があった。いつもそんなに細かく取引しなかった。コシロの判断も正確だったし、取引量は、時期により、大きな変動があった。香奈の部屋が、ジブトラストに来たようなものだった。香奈は午前中程度しかジブトラストにいない事が多いが、念のため猫のお便所も置いていた。





香奈とコシロ No.52

2013-04-26 00:00:15 | 香奈とコシロ


香奈は、ジブトラストの組織を再編成していた。 






正子が、神之助を出産して、会社に出てくるまでに、4ヶ月程も時間がかかった。正子も35才になり産後の回復も遅れていた。




香奈オフィスの海外を入れたものの、香奈は、今度は株式相場を中心に、慎重に取引していた。短期に上がりそうな出遅れた上場株を買っていた。ジブトラストには、税金分といいながら、お金もあった。それにジブトララストは、香奈オフィスから資産を含めて、購入しているので、金は香奈オフィスに移動し、香奈の個人的な財産会社に移動しただけであった。


現地の香奈オフィスの株ゴロたちも今までと何の変化もなかった。ただ利益配分をどうするかを香奈と調整してしていた。香奈も自分の家で、コシロと相談しながら、運用の指揮を取っていた。それが香奈オフィスとしてか、ジブトラストとしてかの違いであった。


香奈は、正子から頼まれて今までの運用手数料も預かり、正子の税金の管理までしていた。配当分は俊子に頼んでいた。香奈は、香奈オフィスの分割に伴い、色々と忙しかった。香奈は、税金は税理士に任せて、頼むよと言っていた。



ジブトラストは、香奈の海外オフィスの一部を引き取ったので、取引規模は拡大していた。香奈は、海外で取引している人たちを、今度はリアルタイムで管理しておくために、少数ずつ海外の相場に詳しい専門家たちを雇い、各取引チームも人数は少ないが、アジア、日本、ヨーロッパ、アメリカと、24時間市場を観察して、取引ログを残しておく事にした。


コシロも、冷静に取引の評価をしておく部門を作るべきだと香奈に言っていた。香奈にとっては、香奈オフィスとジブトララストの仕事は渾然と一体となりながら、進めていた段階であった。



ごきげんソフトは国内だけでなく、海外のジブトラストの支店の取引システムのシステム整備もするようになった。ごきげんソフトは、大手通信会社と話し合い、ジブテレコムと云う会社までつくった。ジブだけの専用回線を確保するためだった。




国内のジブトラストのメインコンピューターと各支店のコンピューターを結び、国内と同様に取引する海外の証券会社とのシステムを整備して、ジブトラストサイドでの取引状況の記録を本体に転送する事から初め、やがて国内と同様に、複数の証券会社の取引会社を一つの画面で一度に取引できるようにしていった。それぞれのクラスで見られるレベルには差があった。香奈と正子はすべて見れた。各取引チームは、それぞれの担当する支店の取引状況を確認する事ができた。付き合う証券会社の選択は、香奈と正子が話し合い、預けるお金も決めていた。



香奈はジブトラストに毎日行き、結果や報告を丹念に見た。家でもコシロと共に海外の取引状況を検討していた。海外オフィスにも足を運んだ。運用の取引規模は拡大して、利益は増えていった。


香奈は、コシロとも話をして、手堅く運用していく積もりだったが、引き取った香奈オフィスの海外は、少しずつ貴金属相場や原油相場もしていくようになった。元々商品相場に強い人が多かった。香奈も少しだけならと思い、監視しながら、慎重に取引していた。

ごきげんソフトは商品相場についても、株式や先物取引ほど取引量が多くはないものの、支店での取引を取引相手の取引システム画面で取引するのではなく、各取引相手とシステムと協調して、ジブトラストの各支店のコンピューターシステムと取引相手のシステムと結び、取引状況をジブトラスト側のコンピューターでも記録させる事にした。




これで各支店の商品相場での取引状況もジブトラスト本体のコンピューターですぺて判る事になった。ヨーロッパでも、貴金属の先物だけではなく、ジブトラストとしても真理の協力も貰い、スイスに貴金属会社を10億で作り、金の備蓄もしていった。



スイスのコッソリートにも、資本金100億程度のジブトラストスイスを作って貰い、ジブトラストスイスの社長にして、自分の運用会社やジブトラストスイス貴金属会社の面倒を見て貰った。コッソリートは、十分なリスクを取って、慎重に儲ける人になっていた。大きく儲ける事はないが、慎重だった。それにそんなに株式も多量に保有せずに、現金比重を高くして運用していた。売り、買いを同時にして、先物でリスクを調整して運用する良子プログラムのような運用だった。香奈はコッソリートの慎重さを評価していたので、スイスの運営を任せていた。


それにコッソリートは、多くのヨーロッパの情報を良く知っていた。香奈オフィスとは違う立場での意見を聞く事にした。コッソリートは自分の証券会社の自己売買のようにして運用した。コッソリート自身もジブトラストスイスに少し出資した。ジブトラストスイスは、その他の海外の支店とは異なり、独立した組織であった。コッソリートの作った証券会社の中に間借りするようにつくられた。あっさり云えば、コッソリートの証券会社に運用を委託したようなものだった。



お金だけじっと持っていて、ごっそりと税金に取られるのを待つよりは、税金分程度は稼ごうと思った。株が上がれば株を売り、貴金属が上がれば貴金属を売り、それでも駄目なら、ジブトラストに、株を売って、お金を持っている香奈オフィスがお金を貸すつもりだった。



香奈現地オフィスにおいてある自分の運用会社のお金も計算していた。香奈としては考えられるだけの手を打った。



しばらくすると、株も貴金属も上がりだした。税金分もこれを売れば、なんとかなりそうだった。遺伝子研究センターへの大幅な投資や色々な投資も効いたのか、税金は恐れていた程高くなかったし、税金支払い程度は、ジブトラストは稼いでいきそうだった。税金や経費程度を稼いで、後は慎重に運営していこうと香奈は思っていた。