のら猫の三文小説

のら猫が書いている、小説です。
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新しい子猫たち No.229

2014-08-31 00:24:33 | 新しい子猫たち 

猫はジェルジュと言う猫で、ロボット研究所でマイクロパウダーの研究で、丹羽と言う研究者と組んで、レアメタルのマイクロパウダー化もした猫だった。丹羽はナンダカンダと研究して、ナンタラと言う賞まで取っていた。つれてきた人間は丹羽だった。

丹羽「ジェルジュが心配していた。君が真剣に悩んでいるみたいだから、僕たちとしても力をかしてやりたいと言っているよ。

大体の話は聞いたけど、企業分析研究所は今は創造性のある事は考えようとする意欲がなくなっている。既存の大手企業の企業分析が多すぎるからね。

それに化学関係は、このジブ総研はそんなに強くないよ。薬理化学は結構強いけど、化学一般だろう。ジェルジュは、全体の構想は、リトルチャタロウさんに頼む方がいいと思うと言っている。」

ソイツ「力を貸してくれるのはありがたいですけど、リトルチャタロウさんは誰なんですか」

丹羽「ここの猫たちの中の経済系のボスと言われている猫だよ。経済基礎研究所に大体いるけど、経済全般に強くて、企業分析研究所の奴らよりも独創性のある事を言うと思うよ。


実際の開発研究には僕たちも力貸すけど、全体の構想を考えないといけないね。化学関係の事だから、阿部紡績の中央研究所の力を借りたら強いけど、阿部紡績自体が閉鎖的な企業でね。紡績グループ以外の会社との共同研究は原則としてしないのだよ。あそこは化学系の基本特許は山のようにもっている研究所で日本どころか世界でも有数の化学関係の研究所なんだけどね。リトルチャタロウさんに任せてみたら。」

リトルチャタロウは、リトルチャの子供、いや子猫で、リトルチャと反発もしながらも、リトルチャの依頼も受けて、経済的な助言もする猫で、基礎経済学の大家ともいわれながら、実際の経済、税制そして今の経済のあり方、リトルチャ系列の業界の状況なんぞにも、詳しい猫で、香奈の家の猫たちの中で経済学一般の事についてのボスみたいな猫だった

ソイツが、リトルチャタロウと会ってから、話は急展開していく事になった。

新しい子猫たち No.228

2014-08-30 00:00:33 | 新しい子猫たち 
突然の急展開

思いもしなかった会社から、短期間なら、引き受けてもいい。ただ、今考えている製品の開発をしてくれと言う内容だった。


ナント娯楽大手と言われる会社から、新しいメディアの素材研究と開発をしてくれ、今までの業務は段階的に縮小して、そうした開発に力を入れて欲しいと言う内容だった。ただ5年間で成果出なければ、整理する事を了解して欲しい。金は今はあるが、娯楽業界の利益の変動は大きいので、成果でない事業に長期間付き合う事はできないと条件をつけていた。

娯楽大手の会社は、純粋に神太郎グループと言えるかどうかは微妙だった。なにしろ、神子系のお元気レストランも株式を持っていたし、コネコ通信などのリトルチャ系列も株式を持っていた、トータルのジブトラストグループとしては、40%近く株式を保有していて、株式保有しているジブ関係の会社は、ジブアメリカに議決権を委任しているだけの形だった。

元々お元気レストランのレジャーランドが、この娯楽大手の会社から一部ランセンスと名前の使用を借りている事から、株式を保有していた。加代子騒動で加代子がドーンと株式を取得したのを、ジブ関係に割り振っていた。お元気レストランは株価が安くなった時に、ジブとは関係なしに株式を買い増していた。リトルチャ系列も同様に安くなった時に買い増していたので、保有株式が増えていただけで、ジブアメリカ自身としては、たいした保有でもなかった。しかし香奈は神太郎グループになぜか入れていた。

経営陣も、元々の創業者一族から出ていて、創業者一族も保有株式もそこそこあるし、特殊な分野なので、ジブアメリカとしては、単に非常勤の役員を形だけだしている形だった。しかも神太郎が、その経営者とはソリが合わず、ジブアメリカも半身引いた形の会社だった。

ソイツはもう日本に行って、途中でハワイで少しのんびりする予定だった。ジブアメリカがソイツにハワイで静養してからいけ、その憔悴した顔で、神太郎に会うと神太郎が要らぬ心配をするといってから、薦めたのだった。

今更ソイツに仕事を話をするのもなんだから、神太郎には報告したが、ソイツには連絡しなかった。神太郎は、連絡を受けて、吃驚した。この話は娯楽大手の会社の経営者が自分に恩を売っておきたいために仕組んだとも思ったが、神太郎も真剣に考えた。

業態変更ではなくて、今までの経験を生かして新しい製品を研究開発する方法は考え付かなかった。ジブ総研に対して、企業分析研究所を窓口に技術関係の研究所とも連絡を取って、方針をまとめてくれと依頼を出したり、ジブアメリカも資金を出して、娯楽大手の会社と共同出資する形にして、5年ではなくて、10年で成果出すように変更するように指示したりと神太郎も忙しかった。

ソイツが神太郎の元に来た時は、新しい企業の構想はほぼまとまっていた。ただナニを実際に開発していくのかは、娯楽大手からの新しいメディア素材と言う依頼だけで、全ては未定と言う不安定な状態だった。

あの一部門が新しい会社になり今までの事業も規模縮小しながら、新しい開発研究を進めていく方向だけが決まっていたには過ぎなかった。それでも神太郎から、新しい会社の責任者として、もう一度頑張って欲しいと依頼を受けて、少しは元気が出たソイツだった。

企業分析研究所にも直接お願いにいったが、難しい顔をしていた。神太郎からの依頼なので、鋭意検討中ですとかいいながら、難しいですよねとかつぶやいて、ソイツは不安になった。

ジブ総研の中庭のベンチで休んでいると、猫が寄ってきた。思わず、ソイツはナンダカンダと自分の不安を打ち明けた。猫は大人しく聞いていたが、しばらくすると立ち去り、今度は人間もつれてきた。

新しい子猫たち No.227

2014-08-29 00:00:58 | 新しい子猫たち 
神太郎が

全体として運営責任を持つグループが、
人員整理を含むリストラをまったくしなかった訳では実はなかった。細かいリストラは実際に行われていたし、ジブトラスト系列グループ間での移動なんぞも結構あった。

ただ大きな解雇を含む人員整理を経営手段としては、最後の最後と考えていただけだった。そして大きな人員整理はしなかったが、何千人とも言われている大きな部門の閉鎖と言う危機が実はあった。

神太郎グループで大きな化学製品を作っている会社があった。その一部門が赤字になり、市況は最悪だった。業界としても設備過剰とも噂されていた。その会社は独自の製品を作っていたけど、全体としてはその部門の赤字はデカク、会社全体にも影響しつつあった。

その会社には、神太郎が特に頭も性格も根性もいいと気に入っていた人が経営の責任を取っていた。その人は真摯な人だったので、その部門の経営を盛んに考えていたがついに策がなくなり、その部門の閉鎖と人員整理をするしかないと決意して、経営責任も取って、自分も辞める事を決意した。しかもジブアメリカからも退職すると言った。

アメリカの神太郎グループの経営専門家たちは、一応ジブアメリカにも籍があって、担当の会社に派遣されていると言う形だった。コイツはダメとか、有能だからもっと大きな会社に移るとかの移動があって、旗本寄り合いではないけど、移動の間には、ジブアメリカからアメリカジブ経済研究所の客員研究員とかになるのが普通だった。

アメリカの神太郎グループからも、身を引きたいと、そいつは言っていた。経営に自信がなくなりました。多少の蓄えもあるし、神太郎グループとしては企業年金も完備されていて、引退するには少し早いけど、引退しても生活に困るほどではないとも言った。

ジブアメリカは、神太郎お気に入りの人だったので、ここで辞表を受け取る事はできない、日本に行って、神太郎と話をして欲しいと言った。ジブアメリカとしては、部門の閉鎖と人員整理はナントカ避けたいので、ジブアメリカが役員を出している全ての会社で、この部門と人員をそっくり引き受ける会社を探してみると言った。

ソイツは、それは無理でしょう。私も知る限りの会社とは交渉しましたが無理でした。ソイツは、身を引く前に、会社としての全体の運営状況とか、人員整理する人たちへの退職金の都合とかもまとめて、少し休んでから、日本に行くと言った。

ジブアメリカもあまりにもソイツが憔悴していたので、そうしろと言った。役員にもそれなりの奴らがいるから、そうした奴らに仕事の整理はまかせて、少し休養を取らないといけないとも言った。

ジブアメリカは、役員を出している、全ての会社に、この部門を引き受けてくれるかどうかの案内を出した。今の業績そして赤字見込み額とか、対応できる仕事なんぞもつけた。ソイツは色々と自分でも動いていたが、関係する会社は全て断ってきた、なにしろ当分の間、大きな赤字がでるし、業態変更なんぞはできそうもない部門だった。

新しい子猫たち No.226

2014-08-28 00:00:32 | 新しい子猫たち 
神太郎は、

紡績の伝統である純子の言葉、「企業は雇用するための組織であり、人を雇用して社会に役にたつ製品を提供するための組織であり、決して利益を上げるための組織ではない。利益は会社が存続するための必要なものにすぎない。」をそのままそっくりと取り入れたのではなかった。

神太郎は理想主義ではあったが、実務家でもあり、ファンド運営のプロでもあり、証券会社の経営者として優れていた。ジブがアメリカで大規模な投資をしたが、その投資金額は、10年ほどでほぼ完全に回収していた。

今ジブが保有している株式は実はオマケのようになっていた。保有株式も実は細かく変動していた。インサイダー取引と疑われる取引はしないものの、株価が高い時に、じっと眺めているだけの人でもなかった。株価が低迷している時も同様だった。

神太郎がジブアメリカを指導しながら進めていた。神太郎は、ヨーロッパでもそれ以外でも数多くの企業を見ていた。それぞれに担当を置いていたが、全体的な総括は神太郎がしていた。

香奈は、その運営方法を評価していたので、単に理想主義者としての神太郎を評価しているものではなかった。神太郎がそれが出来たのは、人の潜在能力を見抜き、それを育てる事ができたからだった。

アメリカで神太郎が選んだ経営専門家の多くは非常に優秀で、それぞれの会社を大きくしていた。ジブトラストの神太郎オフィスと言えば、こうした総括をする部署として知られ、神太郎オフィスが保有している株式は、神太郎が優秀と認めた企業であると思われていた。

神子が保有している株式は、株価が上がるかどうかを視点にしているが、神太郎は経営姿勢もその評価に入れていた。ジブトラストの保有株式は、神太郎系の証券会社で、明示していた。一定期間でこの保有株式も更新していた。ジブトラストの子会社やジブ系列の運用会社のどこまでが、それに含まれるかは謎だったが、少なくともジブ本体やジブ海外法人程度はそれに含まれると考えられていた。

単に株価があがりそうな株式も神子が指示して保有していたし、経営姿勢も利益もあると神太郎が評価していた株式だけが神太郎オフィスが保有していた。神子が保有責任を持っている株式はあがりそうな株式だったし、神太郎が保有責任を持っている会社は、神太郎がそれなりに経営姿勢を評価していると言われていた。

滅多に神太郎オフィスが保有の判断をしていると公表する事は稀だったが、時には声明を出して、この株式は神太郎オフィスが保有責任を持つとか云う事があった。ナンダカンダと騒がれていた時にはそうした。世間はそれで安心した。神太郎オフィスとしては、ナンダカンダと、株式を保有している会社に要望書を出していた。それが履行されないと、神太郎オフィスは株式を処分していくと言われていた。

海外の年金基金などの公的ファンドは、神太郎オフィスが保有責任があると思われる株式を好むと言われていた。神太郎オフィスが保有責任を持つと思われる株式一覧なんぞと言う憶測記事も時には、投資雑誌は憶測記事を出していた。


新しい子猫たち No.225

2014-08-27 00:00:34 | 新しい子猫たち 

ジブトラストは、本当に実業分野での比重が高くなった。


取引の最強集団と言えた加代子の会社が激変し、最後まで頑張っていた神之助のグループまでも激変して、神子のグループまで、実業シフトしてしまった。




ジブトラストの運用会社の側面は減り、それに大きな商品相場や債権そして為替の取引は、ジブ系列のグローバルな資本として完全に外部に切り離し、最悪でも限定的な損失に留めるようにした。もはやジブトラストグループは、従来の取引中心のグループから一変していた。




猫たちの運用でも、保有する株式の保有リスクを、経済状況を研究しながら、先物やデリバティブでカバーしようとする運用に変わっていった。






こうした、ジブトラストの変化は、やっぱり香奈が狙っていたものだった。神太朗が実業向きとは誰でも分かっていた事だったが、神之助や加代子のような取引の神様みたいな連中も、神太朗とは違う意味で、それなりに実業でのセンスはあると思っていた。






加代子は突然、多くの会社を実質的に保有して、神太朗が経営専門家を派遣して、それらの会社を成長させた。これは香奈の計算外の事ではあったが、今回の欧州救済は、実は神之助に大きな欧米の金融機関を運営させる事が目的でもあった。






金融システムはやはり、経済の根幹であった。ジブが一族の銀行、そしてもう一つの大きな銀行の過半数の株式を持っても、その銀行から金をドンドンと借りて、ジブは大きくなったのではないが、実は金融機関を安定させる事が、経済を伸ばす早道だった。そして経済が伸びて、ジブが利益を上げていった事を、香奈はちゃんと知っていた。






ジプが急速に大きくなっていったのは、一族の銀行を支配下においてからであった。配当も雀の涙なのに、ジブの将来のエースと目された神一を派遣したり、香奈の孫である正人を、もう一つの大きな銀行に派遣したりして、ジブは、大きな銀行の株を保有しつづけていた。






リトルチャの国際金融ルートも香奈は高く評価していた。神之助は、ジブの大きな金融センター群を上手く運営していた、投機などに走らずとも、その金融センターを通して、各地の金融機関を運営してくれるものと信じていた。






神之助は債券運用のプロでもあった。こうした金融機関を安定させ、ヨーロッパ経済を安定させる。それが未来のジブの成長に役立つと期待していた。






神子のグループも、香奈がそれ程重視していなかった、消費者に近い分野での企業を日本、アメリカなどで展開していた。ジブ自身の株式保有はそんなに多くはないものの、そうした企業で優秀な経営陣に大きな株式を持たせ、会社が大きくなれば、やっぱりジブも儲かっていた。ジブが株式を多く保有するのは、実はやっぱりリスクのある事であった。






それなりにリスクを取りながら、それなりに配当を貰う。そうした事も必要だと思っていた。そんな神子の配下の人たちは、計算高いけれども、優秀な経営能力、経済予測能力があった。






神太朗が抱える経営専門家グループと神太朗自身による運営方針を、香奈は高く評価していた。しかし、やっぱり神太朗には、理想主義的な面が強い事も、やはり事実だった。






神子のグループは、極めて現実的に予測し、運営するタイプの人が多かった。そうした人たちを、ジブ傘下とはいえないものの、かなり支配力をもった各国の企業群に配置しておく事も必要だと思っていた。それが所謂、本当にリスクを取るという事だとも思っていた。




猫たちの実業への方向転換は、香奈には予想外の事だったが、ジブトラストとしての完全な実業シフト、そしてリスクの多い商品相場チームを完全に子会社化して、損失リスクを限定的なものとする事などは、従来から香奈が考えていた事でもあった。






ただ大きなグローバルな資本となり、従来のようにリスクの大きな、そして儲けの大きい商品相場ではなくなり、世界的な一種の購買システムのようになり、極めて安定化してしまった事は、香奈の計算外でもあった。






取引の才能が遺伝する事は稀だった。ドンドンと儲けた相場師の子供が、やはりドンドンと儲ける相場師になる事は、稀だった。香奈は、相場は好きだった。しかし、相場の怖さも知っていた。将来のジブトラストのためには、実業シフトにする事が必要なのだと思っていた。香奈は、単なる超超高齢者ではなかったのだ。