神太朗と神子がそれぞれ結婚
神子は、大学を出ると直ぐにジブトラストに入り、同時に結婚した。神子もやはり社長秘書として、株式売買を担当してジブもカミカミも大きく、利益を上げていた。上場株式は、四兆になり、非上場は二兆になった。非上場の会社が幾つか上場した。株式用の口座には三千億、商品と先物の口座には六千億はもう変わりなかった。一千億程度貸しており、現金としては、海外にも分散していたが四兆もあった。
神太朗は、大学を出て2年後、結婚した。神太朗と神子は結婚しても、敷地内に住むようになり、二人とも社長秘書として勤めていたが、神子は株式投資を担当していたが、神太朗は、香奈と相談して企業支援や企業相談を担当し、新宿のオフィスとも良く連絡を取るようになった。
神太朗の妻、みどり
神太朗は東大の法学部を出て、直ぐにジブトラストに入っていた。結婚相手の岡崎みどりは資産家の娘で、野心家で、スタイルも顔も頭も良かった。ただ一つ悪かったのは、根性と性格だけだった。それに直ぐに人を馬鹿にした。性格の悪さが顔に出た。男遊びも激しく、10人以上と遊んでいた。
親が甘いので、贅沢に慣れた。男は初めはスタイルと顔に惹かれ、みどりの上で遊んだ。みどりは不感症で、ほとんど感じなかった。やった男をこき下ろした。小さいとか柔らかいとか役立たずとか言った。男たちは離れていった。又別の男が寄ってきた。そして離れた。
成績はよかったので、法科大学院に行き、司法試験に通った。ただ大学時代、秀才と言われた神太朗にはなぜか怯えていた。離れて座っていた。ところが卒業間近に、神太朗が声をかけると夢遊病のように神太朗に近づき、そして黙ってホテルについていき、神太朗のものを受け入れた。そしてみどりの人生が狂った。
みどりは大学院にいる時も、神太朗の元を定期的に訪れ、頭が痺れるほど感じ、司法試験に受かると直ぐに結婚した。神太朗はみどりの中に入るとみどりは身体中が感じ、みどりの精神はすべて崩壊し、神太朗の意志のまま動く人形と化した。みどりの父の岡崎三悟は、治部一族との縁が出来て喜んだものの、治部ホテルではなく、敷地内のホールで結婚式を挙げる事に難色を示していたが、何故か最後には同意していた。そして結婚式を挙げ、新婚旅行にも行かず、三日間みどりは神太朗と交わる事で人格改造を受けた。そしてみどりは変わった。性格の悪さは消え去り、綺麗な顔になった。
新婚旅行にも行かなかった事を岡崎三悟は怪しんだが、遊びに来たみどりは別人の女に変わっていた。みどりはそれでも神太朗の指示に従い、乳幼児施設での補助に1年間働いた。キャピキャピの元不良上がりの保育士や普通の保育士らの指示の元、おしめを替えたり、子供たちと遊んだ。そして財団での相談を横で聞き、各地の財団事務所にもよく行った。
その間、神太朗は、みどりと交わりを続けていた。しかしみどりはまだ妊娠しなかった。みどりの性格の悪さと根性の悪さは強烈だった。愛よりは打算を、そして誠意よりは計算を、熱情はなく、狡猾な性格は、神太朗にとっても予想を超えていた。
みどりは子供の頃、両親からネグレクトされていた。みどりには愛なんかは与えられなかった。金と世間体と知恵そして美貌は与えられた。みどりをそれを元に、打算と計算と知恵で、大きくなり、美貌そして持って生まれたスタイルの良さで、男たちを手玉にとり生きていた。
みどりは、自分の外壁を壊す可能性のある神太朗を直感的に恐れていた。神太朗の力で、みどりは神太朗に服従を誓ったが、それは一時的な麻酔でしかなかった。みどり自身が持っている本当の自分を厚い氷のように、打算や計算そして狡猾さが覆いつくしていた。神太朗には、とても熱い気持ちを持った、優しいみどりが見えていた。しかし、本当のみどりに帰るのは、神太朗の力をもっても、時間がかかった。神太朗はそれを知っていた。
みどりは、財団に相談に来た、若い女性の話を相談員と一緒に聞いていた。その若い女性は、自分勝手な言い分を述べ立てていた。子供の頃に、実の父に、性的な悪戯をされ、中学生から、父に玩具にされ、そして高校生になると、色々な男と付き合い、高校も退学し、怪しげな店で働き、誰とも知らない男の子供を身ごもっていた。定職はなく、わずかな貯金でなんとか暮らしていた。堕胎する金もなく、財団のポスターで引き寄せられ、子供を産めば、生活ができると計算して、相談にやってきた。堕胎せずに、シングルマザーでも生きる決意を固めれば、財団は住居や生活そして子供の育児や学校の費用まで応援し、女性が自立して、子供を育てる事を手助けしていた。
財団に相談にくる女性の多くは、自分で道を切り開こうと努力し、そして疲れ果てて相談にくる人だった。そして財団の支援の元に、休息して出産し、託児所に子供を預け、懸命に働こうとしている人だった。
相談員はそれでも、関係する病院を手配して、一時的な住宅を提供して、一時的な生活費を受け取れるように手続きをする為に、席を外した。みどりはその女性と話していた。その若い女性は、みどりにネットは出来るの、パチンコにも行っていいでしょう。住まいは2LDKは欲しいとか言っていた。
みどりはこんな奴に金やるのは、どぶに金を捨てるのも同じだと思っていた。ただその若い女性は、スタイルも顔もよかった、スタイルは妊娠して少し無様になっていたが。高校でも成績だけはよかったようだ。それでも神太朗の力が及んでいたみどりは大人しく、色々と話をしていた。この女性も父への嫌悪感を心の中で持っていた。
ふと話が切れて、その女性が横を向いた時に、みどりは鏡を見ているような気がした。自分勝手で我が儘で、愛を知らず、自分の美貌だけを売り物にしてきていた。みどりには、父も狡猾で、風呂場でのみどりの裸を見る程度であったし、金もくれた。みどりも狡猾で、いい子の振りをして育った。
みどりは、なぜかこの女性に嫌悪感と親近感を感じ、産婦人科病院まで付いていき、財団の用意した住居に連れて行った。お腹の子供は順調に育っていた。そして少しは働く事も出来るようであった。みどりには、お腹の子供がありがとうと言っているような気がした。みどりは、その女性を誘い、一緒に乳幼児施設で働くようになった。その女性は渋々だが、働くようになり、おしめの替え方などを慣れない手つきでやるようになった。
みどりの心の中で何か音を立てて、崩れ落ちるような気がした。そしてみどりは妊娠していた。みどりはまだ知らず、教団での相談を一緒に聞いたり、あの女性と話したりしていた。
子供が産まれる前には、風俗にでも行って、働いてみようとその女性は言っていた。1ヶ月ほどたつと、保育士になってみようとか言い出した。みどりは財団の支援や協力体制を整えて、その女性に勉強も教えるようになった。元々頭もよかったその女性は、少しずつ勉強して、子供が産まれた後は、子供を託児所に預け、看護婦の学校に行きだしていた。
みどりは、その頃は敷地内で大きなお腹を神太朗にさすって貰っていた。みどりは、ゴロゴロと音が出ているように感じていた。みどりはやがて、ジブトラストで、法律問題を扱うようになった。みどりの法律からのブランクは長く、とても回復できないような気がしたが、何故か直ぐに頭の中は整理できた。神太朗の霊力は強制する力は、比較的弱いが、会う人の善意や可能性を見抜き、育てる事には優れていた。みどりはやがて、財団や施設などの総合的な管理や運営にも強く関与する事になっていた。みどりは小さい時には、野良猫や子猫の行く末まで案じる程優しい子供であった。