のら猫の三文小説

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香奈とコシロの子供たち No.2

2013-05-31 00:00:55 | 香奈とコシロの子供たち

神太朗と神子がそれぞれ結婚




神子は、大学を出ると直ぐにジブトラストに入り、同時に結婚した。神子もやはり社長秘書として、株式売買を担当してジブもカミカミも大きく、利益を上げていた。上場株式は、四兆になり、非上場は二兆になった。非上場の会社が幾つか上場した。株式用の口座には三千億、商品と先物の口座には六千億はもう変わりなかった。一千億程度貸しており、現金としては、海外にも分散していたが四兆もあった。



神太朗は、大学を出て2年後、結婚した。神太朗と神子は結婚しても、敷地内に住むようになり、二人とも社長秘書として勤めていたが、神子は株式投資を担当していたが、神太朗は、香奈と相談して企業支援や企業相談を担当し、新宿のオフィスとも良く連絡を取るようになった。



神太朗の妻、みどり




神太朗は東大の法学部を出て、直ぐにジブトラストに入っていた。結婚相手の岡崎みどりは資産家の娘で、野心家で、スタイルも顔も頭も良かった。ただ一つ悪かったのは、根性と性格だけだった。それに直ぐに人を馬鹿にした。性格の悪さが顔に出た。男遊びも激しく、10人以上と遊んでいた。


親が甘いので、贅沢に慣れた。男は初めはスタイルと顔に惹かれ、みどりの上で遊んだ。みどりは不感症で、ほとんど感じなかった。やった男をこき下ろした。小さいとか柔らかいとか役立たずとか言った。男たちは離れていった。又別の男が寄ってきた。そして離れた。


成績はよかったので、法科大学院に行き、司法試験に通った。ただ大学時代、秀才と言われた神太朗にはなぜか怯えていた。離れて座っていた。ところが卒業間近に、神太朗が声をかけると夢遊病のように神太朗に近づき、そして黙ってホテルについていき、神太朗のものを受け入れた。そしてみどりの人生が狂った。




みどりは大学院にいる時も、神太朗の元を定期的に訪れ、頭が痺れるほど感じ、司法試験に受かると直ぐに結婚した。神太朗はみどりの中に入るとみどりは身体中が感じ、みどりの精神はすべて崩壊し、神太朗の意志のまま動く人形と化した。みどりの父の岡崎三悟は、治部一族との縁が出来て喜んだものの、治部ホテルではなく、敷地内のホールで結婚式を挙げる事に難色を示していたが、何故か最後には同意していた。そして結婚式を挙げ、新婚旅行にも行かず、三日間みどりは神太朗と交わる事で人格改造を受けた。そしてみどりは変わった。性格の悪さは消え去り、綺麗な顔になった。




新婚旅行にも行かなかった事を岡崎三悟は怪しんだが、遊びに来たみどりは別人の女に変わっていた。みどりはそれでも神太朗の指示に従い、乳幼児施設での補助に1年間働いた。キャピキャピの元不良上がりの保育士や普通の保育士らの指示の元、おしめを替えたり、子供たちと遊んだ。そして財団での相談を横で聞き、各地の財団事務所にもよく行った。


その間、神太朗は、みどりと交わりを続けていた。しかしみどりはまだ妊娠しなかった。みどりの性格の悪さと根性の悪さは強烈だった。愛よりは打算を、そして誠意よりは計算を、熱情はなく、狡猾な性格は、神太朗にとっても予想を超えていた。


みどりは子供の頃、両親からネグレクトされていた。みどりには愛なんかは与えられなかった。金と世間体と知恵そして美貌は与えられた。みどりをそれを元に、打算と計算と知恵で、大きくなり、美貌そして持って生まれたスタイルの良さで、男たちを手玉にとり生きていた。


みどりは、自分の外壁を壊す可能性のある神太朗を直感的に恐れていた。神太朗の力で、みどりは神太朗に服従を誓ったが、それは一時的な麻酔でしかなかった。みどり自身が持っている本当の自分を厚い氷のように、打算や計算そして狡猾さが覆いつくしていた。神太朗には、とても熱い気持ちを持った、優しいみどりが見えていた。しかし、本当のみどりに帰るのは、神太朗の力をもっても、時間がかかった。神太朗はそれを知っていた。




みどりは、財団に相談に来た、若い女性の話を相談員と一緒に聞いていた。その若い女性は、自分勝手な言い分を述べ立てていた。子供の頃に、実の父に、性的な悪戯をされ、中学生から、父に玩具にされ、そして高校生になると、色々な男と付き合い、高校も退学し、怪しげな店で働き、誰とも知らない男の子供を身ごもっていた。定職はなく、わずかな貯金でなんとか暮らしていた。堕胎する金もなく、財団のポスターで引き寄せられ、子供を産めば、生活ができると計算して、相談にやってきた。堕胎せずに、シングルマザーでも生きる決意を固めれば、財団は住居や生活そして子供の育児や学校の費用まで応援し、女性が自立して、子供を育てる事を手助けしていた。


財団に相談にくる女性の多くは、自分で道を切り開こうと努力し、そして疲れ果てて相談にくる人だった。そして財団の支援の元に、休息して出産し、託児所に子供を預け、懸命に働こうとしている人だった。


相談員はそれでも、関係する病院を手配して、一時的な住宅を提供して、一時的な生活費を受け取れるように手続きをする為に、席を外した。みどりはその女性と話していた。その若い女性は、みどりにネットは出来るの、パチンコにも行っていいでしょう。住まいは2LDKは欲しいとか言っていた。


みどりはこんな奴に金やるのは、どぶに金を捨てるのも同じだと思っていた。ただその若い女性は、スタイルも顔もよかった、スタイルは妊娠して少し無様になっていたが。高校でも成績だけはよかったようだ。それでも神太朗の力が及んでいたみどりは大人しく、色々と話をしていた。この女性も父への嫌悪感を心の中で持っていた。




ふと話が切れて、その女性が横を向いた時に、みどりは鏡を見ているような気がした。自分勝手で我が儘で、愛を知らず、自分の美貌だけを売り物にしてきていた。みどりには、父も狡猾で、風呂場でのみどりの裸を見る程度であったし、金もくれた。みどりも狡猾で、いい子の振りをして育った。


みどりは、なぜかこの女性に嫌悪感と親近感を感じ、産婦人科病院まで付いていき、財団の用意した住居に連れて行った。お腹の子供は順調に育っていた。そして少しは働く事も出来るようであった。みどりには、お腹の子供がありがとうと言っているような気がした。みどりは、その女性を誘い、一緒に乳幼児施設で働くようになった。その女性は渋々だが、働くようになり、おしめの替え方などを慣れない手つきでやるようになった。


みどりの心の中で何か音を立てて、崩れ落ちるような気がした。そしてみどりは妊娠していた。みどりはまだ知らず、教団での相談を一緒に聞いたり、あの女性と話したりしていた。


子供が産まれる前には、風俗にでも行って、働いてみようとその女性は言っていた。1ヶ月ほどたつと、保育士になってみようとか言い出した。みどりは財団の支援や協力体制を整えて、その女性に勉強も教えるようになった。元々頭もよかったその女性は、少しずつ勉強して、子供が産まれた後は、子供を託児所に預け、看護婦の学校に行きだしていた。


みどりは、その頃は敷地内で大きなお腹を神太朗にさすって貰っていた。みどりは、ゴロゴロと音が出ているように感じていた。みどりはやがて、ジブトラストで、法律問題を扱うようになった。みどりの法律からのブランクは長く、とても回復できないような気がしたが、何故か直ぐに頭の中は整理できた。神太朗の霊力は強制する力は、比較的弱いが、会う人の善意や可能性を見抜き、育てる事には優れていた。みどりはやがて、財団や施設などの総合的な管理や運営にも強く関与する事になっていた。みどりは小さい時には、野良猫や子猫の行く末まで案じる程優しい子供であった。




香奈とコシロの子供たち No.1

2013-05-30 00:01:49 | 香奈とコシロの子供たち

ジブトラストは、安定化して影のような存在に


影に隠れていくジブトラスト


 



財団は、エコノミーホテルを出した地方都市にも託児所や財団の相談室を作り、ジブトラストも地域の優良企業を探したり、調査する連絡事務所を置いたり、複合ビルや商業ビルを持った。そしていつしか駅や道路のように、あるのが当然のように思われるようになった。敷地内は森の中にかくれていた。木々は異様に大きくなり、枝も伸びた。敷地内に入る道路も分かり難くなった。大きな家も外部からは、見えず、大きな森のように見えた。



「この頃はタクシーで帰ってくると、みんな分からないのね。森の中に家があるなんて知らないのよ。
香奈
「そうだね。私も苦労するよ。家から来て貰う事が多いのよ。だれか居るよ。」

「私もそうしよう。この頃財団もみんな気軽に相談に来てくれるよ。シングマザーでも十分に生きていけるし、生活や色んな相談にものっているよ。関係する企業も多いから、就職も斡旋できるようになったよ。でも今運用会社は何をしてるの。配当は変わらないけど、前みたいに、がんがん取引して儲けているのじゃないのでしょう。
香奈

「私は、午前中は海外からの報告と海外担当からの連絡を見ているよ。正子さんは、静かに取引をしてるよ。ただ扱う金額も多いし、そんなに派手な動きはしないようになったの。ただ色々な所に出資したり、持っている株も多いでしょう。色々な会社にも関係があるのよ。世界中に出資しているし、結構その配当だけでも多いのよ。昔みたいな売買差益だけでもないのよ。小さかった時分に出資していた会社が大きくなって、その出資額以上の配当を貰っている事もあるのよ。今は今後大きく伸びそうな会社に投資したり、その相談にのっていく方が多いの。株式取引は、敷地内で、神子ちゃんが主に、少数の人と検討して指示を出しているわ。神太朗君は、企業の支援や相談なんかをして貰っているわ。正子さんの所には、離れを3軒作って、神太朗君の所は子供部屋が2つ、神子ちゃんの所も2つ、神之助君の所は3つ作ったらしいよ。子供の数までもう決まっているのよ。みんなあの3人には逆らえないから。

「怖いのね。」



香奈とコシロ No.84

2013-05-29 00:00:08 | 香奈とコシロ

コシロが死んだ!




香奈は、神太朗がジブトラストに入り、ジブトラストも益々安定的になってきたので、ゆったりとした生活をおくっていた。神子も、大学を卒業した後はジブトラストに入る予定だった。神子は、カミカミで株式投資をして、好調な成績を上げていた。神太朗は若いのに、国内の支援や出資を、良くまとめており、香奈も安心していた。


正子も、神子の株式投資の予測を信頼して、先物にゆっくり取り組んでいた。香奈は、コシロとジブトラストに行き、海外チームの報告を見て指示し、全体的な話を決定して、家にコシロと一緒に帰り、お昼を食べ、コシロと一緒に香奈オフィスからの報告を読み、たまには画廊の人とお不動さんのコレクションの話をしたりしていた。


奈津実たちも大きくなり、奈津実は大学を卒業し、大学院に入った。晩ご飯の食卓も賑やかであった。晩ご飯の後、コシロと一緒に、スイスのコッソリートからの連絡をみながら、チャンスがあれぱ短時間取引して、海外の動向も入手していた。海外のジブトラストも順調だった。


香奈オフィスも瑠璃が上手に運営して、鉱山や油田の利権も取り、安定していた。香奈は、冗談を言って、雑談する程度であった。香奈は益々元気だったし、コシロも不死身のように元気だった。香奈にとっては、穏やかな日々が続いていた。ある日、コシロは、ジブトラストの会長室にかけてある青不動さんに向かって、にゃーにゃーと言って、ジブトラストから香奈と一緒に帰り、何度も振り返った。



青不動さん
「コシロ、いよいよ明日の早朝だよ。こっちの世界に来る事になったよ。今日の晩は香奈とゆっくりしなさい。」

コシロ
「色々とありがとう。今日は香奈とゆっくりするよ。長い間ありがとう、もう会えないね。」

青不動さん
こっちではいつも会えるよ。お前の子供たちが出来ているよ。又香奈と一緒に暮らすよ。香奈はまだこの世でなすべき仕事が残っているんだよ。コシロもこっちから見ているといいよ。



コシロが死んだ。やっぱり不死身ではなかった。前日は元気で、香奈に、にゃーにゃーと普段無口なコシロなのに、いつになく声をかけていた。人嫌いで香奈だけには寄ってきたが、抱かれる事はない猫なのに、その晩は香奈に長い間、抱かれて甘えていた。


ジブトラストに一緒に行く時間になっても玄関に来ず、不審に思った香奈が、コシロの部屋に行くともうコシロは、お不動さんの絵の裏でもう冷たくなっていた。コシロは眠るように死んでいた。


香奈は、コシロのお葬式を挙げ、ショックのあまり、ジブトラストを1週間も休んでしまった。香奈とコシロは、60年以上の付き合いであった。香奈は海外によく出かけたが、家に帰るとコシロがいた、香奈にとっては空気のようなコシロだった。そのコシロが突然いなくなった。お不動さんの絵の裏を何度も眺め、涙が出てきた。とても取引や支援の話をしている気持ちにはなれなかった。


予め予定された出張とは異なり、ジブトラストの重要な決定は延期され、いくつかの来客の訪問も延期され、急ぎの話は、正子が取引が済むまでじっと待って、承認を貰う羽目になった。正子は取引の時は静寂な環境の中で、お香を焚いて心を静めて取引しており、さながらお寺の中のような雰囲気の社長室であった。緊急の事で、話できるのは香奈程度であった。


漸く会っても、正子は細かく色々と質問した。正子は神掛かり的な取引をしていたが、やはり天才的な先物ディラーであり、そして自己責任を重視し、他人の弱さや間違いを大目に見る事はなかった。要するにボンクラを相手にしなかったし、失敗や間違いを大目に見る事は出来ない人だった。人にも厳しく、自分にも厳しい人だった。

香奈は人に任せると細かい事は言わなかった。細かい間違いを指摘する事もなかった。文書も何回も書き直して、やっとの思いで、正子の了解をとっても、香奈の意向を確認してねと最後に言われ、管理セクションの常務は、毎日香奈の家に行き、コシロにお線香をあげ、香奈の意向を聞き処理した。これ以上香奈が出てこないと仕事にも影響が出そうだった。親しかった恵に、香奈を慰めるように依頼した。香奈の家でも、香奈は黙って、部屋にいて、みんな言葉もかけられなかった。瑠璃や徹彦も恵に頼んでいた。香奈には、青不動さんも夢の中に出てきて香奈を慰めていた。



「香奈さん、大丈夫なの。猫で60年以上生きれば、信じられない程の長生きだよ。本当の大往生だよ。」

香奈なんと言っても長い付き合いだからね。私とは徹さん以上に長いのよ。歳に不足はないけど、やはりショックだよ。前の晩は、いつも触られるのが嫌な猫なのに抱きついて、ゴロゴロと鳴いていたのよ。いつもいる存在が突然いなくなるのよ。徹彦や瑠璃よりも付き合いは長いのよ。」


生き物だから、いつかは死ねよ。私たちもそうだよ。」

香奈
「それはそうかも知れないね。コシロの分も頑張るよ。青不動さんにも、猫でも一生懸命、生きたのだからお前も頑張れと言われたよ。」


「そうだよ。頑張るしかないのよ。」



コシロは天才の孤高な猫だった。コシロの助言は香奈にしか判らなかった。コシロの偉大さも香奈しか実感していなかった。そしてコシロは長い間香奈を見守り、香奈オフィスそしてジブトラストも見守っていた。神の子たちが生まれ、大きくなるまで香奈と一緒に
ジブトラストを大きくしてきた。そして神の子たちがジブトラストに入りだして、より一層安定してきた時に、コシロの役割が終わった。まだ猫が世界を支配していると云う事はけっしてなかった。


香奈とコシロ No.83

2013-05-28 00:19:03 | 香奈とコシロ


香奈は元気だったが、もう80歳を超えていた。 




香奈「この間誕生日が来て吃驚したよ。私も、もう82才になっているんだよ。」


「私も78才になったよ。この間財団で話していると、ここは仙人の里と言われているらしい。お義父さんたちも長生きだったけど、最近はなんかおかしいね。病気にもならないし、みんな元気だね。」

香奈
「この間気が付いたけどね、神太朗くんが生まれてから、100才以下では死ななくなったね。」

「そう言えばそうだね。小百合さんもここに越してから、元気そうだね。もう大丈夫なの。」

香奈「もうすっかりいいよ。貴金属会社に副会長室も作って、お店関係の総括をしているよ。真理さんは会長になったよ。海外関係は美枝子さんが動いているよ。


「徹さんもこの頃家に居るね。」

香奈もう年だからね。会社も完全に辞めたよ。未練たらしく、会長とかにしがみついていたが、さすがに85になったら、辞めたよ。今は徹彦が副社長になっているけどね。徹さんは瑠璃の会社をこっそり見ているよ。瑠璃は日本でも石油会社も持っているからね。


「瑠璃さんは海外にも良く行くけど、よく帰ってくるね。」

香奈
「ここの家に帰ってくると元気が出てくるらしいよ。」

「香奈さんの海外の会社はどうなったの。」

香奈
ある程度はジブトラストに吸収したよ。資源関係のビジネスなんかは、瑠璃が面倒見て大きくなっているよ。機械販売会社まで持っているよ。資源利権をボッタクリのように取ってくるのよ。それに相当あいつのものになっているよ。増資もしたからね。報告は受けるけど、もうほとんど瑠璃に任せているよ。私は、今、ジブトラストの会長と香奈オフィスの会長なのよ。」


「私もビルはほとんど小夜さんに任せているよ。ビルは結局、小夜さんが大きなビルを、大阪と福岡にも作ったので、私も、集中的にビルを管理する会社の会長になったよ。みんな孫も大きくなってきたからね。」

香奈
「徹彦や瑠璃の子供でさえ、大学に行くようになったよ。みんなの孫も同じような年齢になってきたね。瑠璃の娘の奈津実は大変な娘になったよ。」


「やっぱり売春でもやっているとか、変な趣味があるとか、妊娠しているとかなの。真面目そうな女の子に見えるけど。」
香奈
「瑠璃の娘だし、瑠璃は海外によく行くし、放任しているから、そうなるかと思っていたけど、くそ真面目な女の子になったよ。色々とうるさいんだよ。飯食う時の箸の持ち方が悪いとか、新聞読んで飯食うなとか飯食う姿勢が悪いとか言うんだよ。瑠璃にもこそこそ工作するのではなくて、相手の気持ちを酌んで、誠意を持った対応をしなくてはならないとか言ってるよ。瑠璃は、一枚の紙にも裏もあるし、表もある。裏で処理する方がその人の面子を守る事にもなるんだよとか云ってるよ。


この間格安で鉱山の利権を取った事を説明していたよ。ボッタクリだと言われたが、色々相手側にも事情があったんだね。陰で売った人の援助しているなんて、私も始めて知ったよ。私は、瑠璃が又金で頬撫でて、ボッタクリしたと思っていたよ。みんな、須坂瑠璃とは言わないよ。資源ハゲタカと言われているのよ。


奈津実も真剣に聞いていたよ。徹彦の長男の徹志も言葉使いも丁寧で、飯なんて云うとご飯でしょうとか言うんだよ。勝彦君の子供の瞳ちゃんも綺麗な女の子だけど、地味な格好で真面目だし、最近おかしいと思わない。恵の所の孫も頭もいいし、真面目な子みたいばっかりだね。」

健一の息子の健は、頭良いんだよ。東大の工学部に行って、鉄鋼に入る事になったのよ。健一は身体だけの男だし、小夜さんはハデハデおばさんなのに。


健二の娘の由香里も格好は派手だけど、真面目で優秀なんだよ。医学部に行っているのよ。由香さんの息子の健太君の所も、健行君が東大の理学部の数学科で勉強して、大学院に行くつもりらしいよ。


家の中は、一時キャバクラみたいな雰囲気だったから、どんな子に育つか心配していたのに、友一まで東大に入っているのよ。もうすぐ法学部を卒業して安倍化学に入る予定なのよ。あの友貴の息子だよ。私の家から四人も東大に入るなんておかしいね。香奈さんの所は、ほとんどみんな東大だけから珍しくないかもしれないけど、私の家では大変な事だよ。」

香奈
「俊子さんもそう言ってるよ。悦子さんの子供も真面目な子でね。聖子ちゃんの息子の清太郎君はモデルにでもなりそうな男の子なのに、真面目なんだよ。禎子ちゃんの子供も真面目なんだよ。みんな品行方正な子ばっかりだよ。東大なんてマイクロバスで行っていた時もあるらしいよ。


「神太朗君の影響かも知れないよ。みんな一緒に幼稚園まで行っていたから。」

香奈
「いい子に育つのはいいけど、なんか面白くないね。小百合の息子の道太郎君は、まだ本音を言うよ、道之助さんの真面目な所も引き継いでいるけど、小百合に似て結構生意気な面もある子なんだよ。みんな、もっと本音言い合う事もして欲しいね。」


「いい子に育つのは良いことだよ。結構子供同士では言い合っていると思うよ。」

香奈
「瑠璃は頭は良かったけど、不良でそれなりに私と同類みたいで分かったけど、孫たちは、みんな真面目で姿勢もいいけど、本音は分からないから、大丈夫かね。神太朗君はみんな大丈夫だと言ってくれているけどね。」


「真面目な子で心配するのはおかしいよ。神太朗君は運用会社にも行ってるみたいだね。」

香奈
「そうだよ。よく来ているのよ。社長室には正子さんの椅子以外に大きな椅子が3つのあるよのよ。神子ちゃんも時々来ているよ。神太朗君たちがくるとすぐ分かるよ。空気が変わるもの。真理さんまで分かるらしいよ。」


「今度、運用会社に行ってみるよ。私はビルには週1回程度しか行かないよ。香奈さんはいつ行くの。」

香奈
私は午前中は、コシロと一緒に毎日いるよ。午後はコシロと一緒に早く帰るよ。香奈オフィスからの報告を見るのよ。



神太朗が大学を出て、ジブトラストに入り、社長秘書となり、正子を手伝いだして、一層大きくなり、現金とは別に、運用資産は六兆になった。



香奈とコシロ NO.82

2013-05-26 00:08:41 | 香奈とコシロ

香奈は元気で、香奈オフィスもジブトララストも好調だった。



香奈は、コシロと一緒にジブトラストに通い、海外のオフィスからの報告を見て、指示して、支援や出資の相談を受け、来客と会う日々だった。来客の予定がなければコシロと一緒に家に早く帰り、コシロと一緒にお不動さんの絵をみたり、香奈オフィスの報告をみたりとのんびり暮らしていた。歳にも拘わらずたまにスイスのコッソリートからの情報を元に、香奈ファイナンシャルとして取引したりしていた。スイスの運用会社での運用もコシロと一緒に取引していた。スイスの運用会社はまだ香奈だけの会社にしてあった。香奈ファイナンシャルには入れず、香奈の個人的な取引をするためだけの会社としていた。国内株式は、香奈ファイナンシャルとして取引していたにも拘らず、不思議にもこの会社は香奈ファイナンシャルとは別系列の組織としていた。コッソリートが完全に面倒を見てくれていた。
コシロが、コッソリートのメールを見て、香奈に、にゃーと鳴いて、国内株式を買う事もあったし、先物取引もコシロの表情に見ながら取引していた。


瑠璃も香奈オフィスを資源大手と言われるまで大きくしていた。ハゲタカの瑠璃と陰口を聞かれていたが、それでも香奈オフィスの保有する資源利権は多くなり、香奈が運営していた時の相場での荒稼ぎはなくなったのに、むしろ利益はあがっていた。香奈は通常の運営は瑠璃に任せて、ハゲタカ度を調整する程度だった。香奈が直接見ていたジブトラストも順調だったし、香奈はこんな生活が永遠に続くと思っていた。香奈はいつまでも健康で元気だったし、歳の事は忘れていた。コシロも化け猫のように元気な猫だった。香奈はまだ海外総括だったので、海外に出かける事もあった。コシロはそんな時はゆっくり自分で部屋で休んでいた。香奈は出張の予定をコシロに言うのが癖になり、コシロもそれが分かるのか、そんな時は香奈を玄関で見送っていた。



ただコシロには、友達だった青不動さんから、


夢の中で伝えられていた事があった。



コシロは元気だったが、もう60才を超えていた。



青不動さん「コシロ、もうそろそろ香奈とはお別れだよ。もうそんなに生きられないよ。わしの力も限界があるのだよ。」

コシロ
「折角のんびりした日がおくれているのに、残念。でも今まで、楽しかったよ。香奈は海外に行っているけど、最後に会えないの。」

青不動さん
「今日や明日の事ではないよ。暫くは大丈夫だよ。でも心の覚悟をつけておきなさいよ。」

コシロ
「香奈と会った大学へ行ってみたいけど、無理だろうね。」

青不動さん
「奈津実の彼の良平が、今日夕方、奈津実を送りに敷地の端の美術館の前にくる。その車は屋根のついてない車だから、潜り込めば、大丈夫だ。お前が乗れば忘れ物を思い出して大学に戻るようにしてやるよ。その車は出発出来ないように、させるから、翌朝までゆっくりしなさい。朝、奈津実を迎えに来るようにしてやるよ。」

コシロ
「ありがとう、1晩ゆっくりとしてくるよ。」


コシロ、雌猫と一夜を過ごす






コシロは、良平が奈津実を送ってくるのを美術館の前で待ち、こっそり車に乗って、大学に戻った。良平は忘れ物を取りに帰った隙にコシロは抜け出し、香奈と初めて会った大学の夜の構内を見て回った。コシロが香奈をつけ回していた頃から、月日が過ぎてすっかり、様子が変わってしまった。そして懐かしい部室の裏に行った。そこには茶色の猫が段ボールの中で寝ていた。茶色の猫は、何故か、怒りもせずに、じっとしていた。



コシロ「君が今ここに住んでいるのか、大昔ここに住んでいたので、一晩だけ、ここに休ましてもらうよ。」

茶色の猫
「大昔というといつの頃なの。」

コシロ
「60年ぐらい前かな。ここはあまり変わらないね。」

茶色の猫
「冗談の多いおじさんなのね。猫はそんなに生きられないのよ。」




茶色の猫は雌猫だった。コシロは、天才肌の孤高の猫だった。若い時の香奈を見て、秘めた想いを胸に隠し、長い間香奈と一緒に暮らしてきた。コシロは、猫が嫌いだったが、茶色の猫は真摯な、そして純粋な心を持つ雌猫だった。語り合っているうちに、初めて猫と関係を持った。コシロは、無意識に生きた証を残した残したかったかもしれない。翌朝まだ寝ている茶色の猫に無言で別れを告げ、激しい疲労を覚えながら、屋根のない赤い車に足を早めた。



良平は、忘れ物を取りに、大学に帰ったが、忘れ物を取って戻ってきると車の鍵が見つからなかった。ポケットの中に入れた筈なのに、判らなかった。修理会社に連絡しようとも思ったが、とりあえず明日の朝にしようと思い、カバーを掛け、タクシーで家に帰った。降り際にお金を払おうとして財布の中に車のキーがあった。大切なスポーツカーだったが、何故だか酷く疲れ、明日の朝は早く、奈津実を迎えに行く約束をしてしまっていた事に気付き、そのまま寝た。翌朝早く、家から又大学に行って、敷地の美術館に行った。道もすいていたので、早くついた。まだ時間には早く、少し散歩していると奈津実が来て、もう一度大学に行った。



香奈の家では大変だった。


香奈が大事にしていたコシロの姿が消えていた。

瑠璃「コシロがいないのよ。お母さんが出張の時にいなくなっているのよ。お母さんが、帰ってきたら、大騒ぎだよ。いついなくなったのだろう。もう歳なのに。

正人
「帰ってくる時に出かけるのを見たよ。姉さんも見たでしょう。」

奈津実
「美術館の前まで良平さんに送ってもらったけど、見かけなかったよ。」

正人
「良平さんとキスでもしていたから、判らなかったのでしょう。どちらにしても遠くには行っていないよ。不用心だけど、庭に面しているコシロの部屋の窓を少し開けておこうよ。」


そうしよう、泥棒なんてこないよ。コシロを閉め出して、風邪でも引かすと香奈がうるさいよ。

瑠璃
「お母さんには内緒だよ。お母さんは、2日したら帰ってくるから、それまでに帰って欲しいもんだね。」

正人
「明日みんなで探そうか。」

奈津実
「明日は、私早く大学に行くの。卒業論文の整理をしておきたいの。良平さんが迎えにくるのよ。」

瑠璃

「それは勝手にしなさい。こんな時にそんな事いって大変なのよ。コシロは私よりお母さんとの付き合いは長いのよ。60年以上も生きている猫なのよ。ギネス級の長生きの猫なの。取りあえず明日まで様子を見ましょう。」



そんな時、ジブトラストの管理セクションの常務で部長の斉藤から電話がかかってきた。


斉藤会長は元気ですよ。ジブドイツの連中が今日はベルリンに案内して、良いブランディの出すレストランに案内してから、ホテルに送ると言ってました。翌日は空港まで送るので、もう電話出来ないから、コシロに言っておくようにとの会長からの伝言です。

瑠璃
「コシロがいなくなったのよ。」

斉藤
「それは大変です。管理の連中で捜索隊を編成しましょう。みんなを呼び戻しましょう。」

瑠璃
「一応、明日の朝まで様子を見ましょう。お母さんには内緒にしてね。恵おばさんにも言ってないの。」

斉藤
明日の朝、お電話しますね。捜索隊を作らないといけません。警備会社からも応援の人を出してもらいますよ。ヘリコプターも準備させるか考えます。


翌朝、朝ご飯の前には、コシロはいなかったが、おそるおそる見に行った智恵子が、コシロが絵の裏で、深い眠りに入っているコシロを見つけた。死んでいるようにぐっすり寝ていた。

智恵子「コシロが寝ています。でも動きませんよ。」

徹彦
でもお腹が少し揺れているよ。ぐっすり休んでいるんだよ。

瑠璃
「コシロの部屋とお母さんの部屋の窓を閉めておいてね。もう大変だよ、コシロがいなくなると。内緒だよ、コシロがいなくなったのは。斉藤さんにも口止めしておくわ。

徹彦
「そうしよう。智恵子も黙っているんだよ。」

智恵子
「そうします。」