のら猫の三文小説

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純子の挑戦 No.17

2013-01-03 00:06:44 | 純子の挑戦

日本は、満州事変から、戦争への道を進んでいった。




軍部に強い安倍鉄鋼は儲かっていた。商会も盛んに活動していた。紡績も製薬も順調だった。化学は飛躍的に大きくなっていた。 



先代の次平の家は、次平が咲恵と結婚して住んでいた。ただ次平も軍医として出征した後は、咲恵は郊外の家にいっていた。
純子自身には、窮屈な時代だったので、紡績や商会は週に1回程度顔を出すだけになり、化学へ出ている事も週数回になった。郊外の屋敷で人に会ったりしている事が多かった。



病院でも、妙子は心臓の外傷性疾患には、麻酔により、手術できるようになり、心臓外科と言う言葉も生まれていた。しかし戦争が激しくなるにつれて、中断していった。 



純子は、ほとんど会社には出なくなり、郊外の家にいるようになった。色々な人が訪問していた。林の中をよく散歩していた。実験農場だったが、単に農場になり、収穫された農作物を地代代わりにくれていたのだ、食料が豊富だった。純子は子ども、孫たちと暮らしていた。幸之助が先に亡くなった。私は多くの人を見送ったが、弟まで先立たれるとは思わなかったと言っていた。物資がなくなり、仕事もなくなった安倍グループは、製薬会社の旧薬草園やこの家の農園や純子の新しく買った土地を耕作していた。 



純子は、子どもや孫たちに見守られ、静かにこの家で死んだ。



純子の挑戦 No.16

2013-01-02 00:35:45 | 純子の挑戦



製薬の社長室での会話
 


幸之助「知子、姉さんがほとんど出社しなくなった紡績は、大丈夫かい。うまくいってるのか。」

知子「順調だよ、でも本当は、もっと利益は上がると思うけど、洋次郎さんはわざと利益出さないようにしてると思うほどだよ。お姉さんが直接やっている時も厳しかったけど、自由な雰囲気もあった。お姉さんは不良や規格外の気持ちも分かる人だから。洋次郎さんは、純粋でいい人でしょう。今は、何というか、心が洗われる会社になった。製造も必要な人に絶対数人多く配置し、細々とみんなの面倒みるの。総務は社員の世話もするのよ。奥さんや旦那さんの誕生日に、まだ珍しいケーキを配り、早く返す会社なのよ。

洋次郎さんは、真弓さんを愛して、私の宝物といつも言ってる。人もそうだと思っているのよ。それに困った時相談にのるし、お金も貸す。営業の人も原価みせて商売しているのかと思うほどだよ。なんというか折り目正しい会社。適切な利潤しか取らない。社員の人も心込めてつくるから、品物もいい。いいものを適切な値段で売る。それがあの会社の看板になった。会社は社員とその家庭を愛し、社員も会社を愛している。会社も社員も世の中に役になりたいと考えているよ。もう教科書みたいな会社になった。」

幸之助「まあ姉さんもお前も不良だからね。どんな良いこといってもそれなりに対応しているけど、洋次郎くんは、本当にいい人だから、不良は住みにくいだろうね。でも人には、有能だが少し礼儀知らずとか、規格外はずれって言う人もいるだろう。」

知子「私は多分息できなくなるよ。品行方正の人たちの集団だよ、紡績は。でも少しは融通が欲しいとお姉さんも思ってるけど、お姉さんは、純粋な人には弱いの。している事は正しいから。仕方ないから、化学部門を紡績から出資させた形にして、お姉さんが資本を追加して、規格外の優秀な人集めて安倍化学という新しい会社を作った。繊維も少しやっている。商会も少し出資している。ここの製薬も少し出資した。仕事を組んでいた会社も将来性を評価して出資するようになり、大きくなっていった。
紡績は息苦しいと思う人はここに来ている。ここは自由だよ。不良集団だからといって、勤務時間も自由にして、いつ来てもいいのよ。もちろん深夜は除くけど。服装も自由と言うかだらしないというか。営業も外でる時に少しましな服装する程度の自由な会社をつくったの。なんでも自由に考えて良いの。

幸之助「極端だね。足して二で割ればいいのけど、まとめられるのは姉さん位か。そうか、両方とも姉さんの挑戦だよ。化学は、みんなで考えろ。紡績は洋次郎くんに託した。僕はそう思う。化学みたいな会社は、程度の差あれ、又出てくるよ。しかし紡績は難しいだからお金を預けて、洋次郎君に託したんだよ。

知子「考えすぎじゃないの。」

幸之助「会社は、多分商会のような会社が増えていくと思う。だから商会をそのような形にした。紡績は姉さんがやっていれば、化学と紡績を併せたような会社もできるだろう。しかしみんないずれ死ぬ。そうすれば、夢を託す人に合わせて会社を分けた。そうは思わないか?」

知子「そう言えばそうかも知れない。」

幸之助「ここはどうするかをお前が考えていく事になるよ。母さんは現実的に考えていた。僕も知子も母さんが手本だろ。姉さんは、夢を現実に変えてきた。僕は現実的に少しずつ対応していく。僕はそれしか出来ないし、それ以外の事はやる積もりもない。母さんは姉さんを高く評価していた。お前が、姉さんの挑戦をよく見て考えて欲しい。母さんがお前を役員にした理由が、ようやく分かった。」

知子「兄さんが断って、私になったのでしょう。」、

幸之助「母さんは、僕を知ってるよ。僕の行動を。僕は断るだろうが、声をかけておく必要はある。今の僕でもそうしたと思う。お前は、化学と紡績をよく見て考え欲しい。」、

知子「よく考えてみるよ。今は、類は友を呼んでね。真面目な人は紡績に、少しワルで自由が欲しい人は化学に集まるの。

幸之助「鉄鋼はどうなの。」

知子「少しはましね。それに鉄は景気良くなった。洋一さんが少し真面目になっているけど、鉄造さんや鉄二郎さんは相変わらずだけど、他から来てる人を含めて、洋一さんがまとめ役になってる。洋一さんは才能ある人で技術も判る人だから、少しつづ会社を変えてきている。真面目な人も増えてる。真面目といっても紡績では息できないほどだけど。」

幸之助「商会は?」

知子あそこは、いくつかの会社の集合体という会社なの。一つの会社なのに、競合製品売っている部門もある程よ。姉さんも扱っている製品知らない事多いと言ってるよ。貿易の人なんか、平気で競争相手の貿易会社に納入する。姉さんも週1日か2日出てくるだけだし。会社としては、販売チャンネルを持ちたい会社が出資したいと云ってくるし、資本金も増やしている。我々の出資比率も下がっているでしょう。本当にみんなの会社になった。姉さんは辞めたいといっても、ここまで大きくした人の責任ですから、姉さんは死ぬまで会長をやって貰いますと言われているの。」

幸之助「そんな会社が増えていくのだろうね。」

知子「化学はね。面白いよ。雑談とも夢とも分からない話もしてるし、ちゃんとした話もするしね。妙子さんも役員になってね。血管を繊維でつくれないかと血液はどうかと言ったりしてね。研究の人も真剣に話したりしてるの。

幸之助「それ面白いよ。まあ直ぐじゃ無理だと思うけど。製薬会社として出資増やして、ここの研究か開発の人も役員にしてもらおう。姉さんに共同研究を申し込んでみる。」 


化学と製薬は結びつきを強めた!




幸之助「姉さん、化学にもう少し出資させてよ。知子以外にうちの研究部門の責任者を役員にしてよ。それと製薬会社と医療用製品の共同研究しようよ」、

純子「いいけど、化学としても製薬に出資させてよ。私だけじゃなしに研究の人だすよ。共同研究もいいよ。功一郎さんにも声かけてみよう。でも化学は自由な人多いから、私も制御できないよ。」、

幸之助「それでいいんだよ。どこが作ってもいいよ。でも製品として販売するのは、基本的に製薬会社にしておくれよ。

純子「それくらいね、お前の所の弁護士と化学の弁護士で話させよう。」

幸之助「姉さん、この家は昔のままだね。うまく改築したものだ。ここは広いから、洋次郎君たちも十分住めるね。」

純子「付け足した所もあるんだよ。結局改築といってもちょっと補修しただけでね。同じような家をもう一軒つけたようなものだよ。洋次郎も途中から一緒にくると言ったからね。みんな来ても大丈夫なようにね。次平先生の家にあるものみんな持ってきた。整理できないものは蔵に入れたよ。でも昔の農場により広いと思わない。こんなに広かったかい。」

幸之助「来る時に聞いたけど、製薬の子会社で種苗会社が借りていたけど、広くしたいので、付近を買い取っていた。でももっと大きいのが、欲しいと言ってる。大きな場所も見付けたそうだ、姉さん付け足した所を買い取ってあげてよ。数年間は準備期間で欲しいそうだ。

純子「それは構わないよ。庭でもしたいけど、こんな時代だからね。種苗会社も忙しいだろう。当分貸してあげるよ。」 



医療用製品としては、手術用の糸から、医療用のチューブ等などの医療に必要な道具を作り始め、功一の後を引き継いだ功一郎がしている機械会社とも協力しながら、医療用の繊維そして化学用品そして医療用機械を作り出すようになった。

特殊な機械であったので、製造は化学が総括的に指示して、販売は多くが製薬が担当し、一部は化学も売るようになっていった。


そして化学は色々な事業部門が、自由に考えて行動していた。純子はそんな会社にしていた。

多くの会社と技術提携したり、共同に仕事を進めていた。純子はそんな空気が好きだったので、総括的な管理を行うようになっていった。役員会は自由討議のような場所になり、研究からも複数の役員を出し、研究や技術出身の人も多く、一部の報告や承認事項の他は、みんな自由に討議していた。肩書きをつけて、人を呼ぶ事は少なく、自由な気風の会社になっていた。それだけに暴走を危惧した純子は法務部門を充実して、内部の管理も行っていたが、普通の自由な討議には影響なかった。 



純子は子どもたちを呼んで、話をした。

純子「洋一、ここは広々としているだろう。家も広くしたしね。お前も引っ越してこないか。」

洋一「鉄鋼は、福岡にも工場があってね。駅に近い方が便利なんだけど、考えてみるよ。」

純子「ところで、化学の事で相談したいの。」

妙子「あの会社面白いわ。幸之助おじさんも良くきてるし。洋次郎のおかげだわ。」

洋次郎「私は何もしてませんよ。あそこは、お母さんが新しく作った会社です。」

妙子「お前が真面目すぎて、息できない不良たちをお母さんが集めたの。程度問題よ、真面目も。」

純子「洋次郎、もう少し、広い心で接してあげてね。真弓さんも無理する事ないのよ。もっと自由に、ゆったりとね。」

真弓「そんな事すると、私怖いのです。それに洋次郎さんといる時は身も心ものんびりしています。それで十分です。」

妙子「これだもんね。でも少しは、息抜かないと。」

純子「お前は抜きすぎだけど、真弓さん自信もって、洋次郎と一緒に、のんびり歩くのよ。 化学は、多くの会社から出資を受けているけど、私の名義も結構あるのよ。妙子が一番詳しいから、私の名義の半分は妙子に、そして四分の一ずつ、真弓さんと京子さんにするよ。私個人で、様々な会社に出資しているけど、今は、ほとんどお金は入ってこないよ。適当に子どもたちに割り振っておくよ。」

洋一「京子、俺のせいだよ。俺が信用されてないから。」

妙子「京子さん、洋一のあそこ囓ればいいの。他で使えないように。」

京子「大丈夫ですか?」

妙子「囓り方おしえるわ。京子さんの使いたい時だけ使えればいいように。」

洋一「京子、本気でしないで。」

京子「どうも若い芸者と。」

真弓「強く吸っても、尿道こたえますよ。特に先端部分、翌日痛いですよ。」

妙子「疑わしい時は、歯形つければいいのよ。多分数日間出し入れ出来ないよ。」

京子「今度やってみます。」

洋一「京子、本気にしないで、俺そんな事してないから。」

純子「京子さんとちゃんとやる事だよ。あっと云う間に出来なくなよ。」

洋一「ここはひろい農園もある。あれもここのもの。」

純子「そうだよ、昔からついていたけど、種苗会社が買いましていた。付け足した分も買っておいた。食えなくなったたら、ここがあるよ。鉄平お祖父さんはそう考えたのかもしれないね。」と冗談を言った。
 




真弓「お義母さん、前から気になっていたんですが、このお酒は、お純と言いますが、他では売ってないですね。美味しいのに。何かお義母さんと関係あるんですか?」

純子「鉄平お祖父さんが、ここの屋敷を作ったときに、近くに小さい醸造元があって、とても美味しいので、いつも買っていたの。何かお金が必要になって、売ろうとしていた。お祖父さんが、必要な金額より多い金額を預けたの。今まで通り、そのままお酒を造って貰って欲しいと言って。醸造元も、少しずつお金を返してくれた。毎年新酒できたら、送ってくれた。お祖父さんは、そのお金がある程度の金額になったら、もう返さなくていいと言ったけど、その醸造元の人は、新しい蔵を作って、鉄平蔵と名付けたいといってきた。私が可愛がって貰っていた時だから、新しい蔵をお純蔵として、お金関係なしに良い酒を造って欲しいといって、毎年お金を渡していた。出来たお酒に、お純と名付け、少量作っていた。でも家だけじゃ飲めないから、東京近くの料理屋でも出していたの。私は、あまり料理屋には行かないのは、お純下さいと言う声がするでしょう。私が飲まれるみたいで行きにくいのよ。名前替えてと言ったのに、みんな気に入ってると替えてくれないの。」

洋一「俺もこの酒好きだよ。美味しいし、お純くれと言うの気持ちいいよ。商会や化学の連中もよく料理屋いってるよ。」

純子「もうどうでもいいけどね。」

真弓「そうだったんですか。」

妙子「その話、少しだけ聞いた事ある。」

純子「いつもお金はいらないと言われるけど、今は、私が払っているの。みんなの家にもお酒届いているでしょう。」




純子の挑戦 No.15

2013-01-01 00:00:05 | 純子の挑戦

妙子と宏も話していた。
「お義母さんは凄い人だ。今回の相続は、洋一くんの説教が目的か。」、
妙子「そんな気もしてたの。洋一がお母さん避けてるの、おかしいと思っていたの。でも私は、病院は半々と思っていたけど。でも共同名義なら一緒か。」
「妙子は自分の娘だからじゃないの。」
妙子「お母さんは、そんな甘い人じゃないわ。むしろ真弓さんへの配慮よ。」
「そうかな。」
妙子「私とお母さんは、同類よ。ゆくゆくは子ども達を見て、お互いに考えろと言うことなの。さあくだらない話は終わり。今晩も頑張ろう。」

洋次郎と真弓も話していた。
洋次郎「私で紡績会社大丈夫かな。才はないのに不安だ。」
真弓「才はなくてもいいの。人の話聞けと言われているでしょう。私は子ども達への代理で受け取ればいいって。」
洋次郎「お母さんが、私を評価している理由なんだと思う?」
真弓「純粋な所?」
洋次郎「それは真弓さんだよ。真弓さんを愛して、真弓さんと一緒になる事ができた。愛しつづければ道は開けると言われた。私の宝物は、真弓さんだよ。」
真弓「私の宝物は洋次郎さんの子どもたち。私は洋次郎さんのものなの。身体中に洋次郎と書いて欲しい程よ。今日も抱いてね。」


洋介は元気で暮らしていたが、5年位すると老いが見え、ついに亡くなった。この間に洋介は、病院及びその資産は妙子と真弓に、贈与や譲渡をしていた。まだ処理できず残っていたものについては、子ども達は放棄し、純子が持っていた。純子は、60才を超えていたが、まだまだ元気で、週に何回か商会と紡績に行っていた。引退したいと言っていたが、元気なので出て来て欲しいと言われて、商会では会長になっていた。純子は少しつづ、贈与と譲渡の形で、子ども達に名義を変えていった。


安部化学が、再び出来た!


紡績は、輸出も行っていたし、好調だった。一時下がった給料も、利益が出て戻っていた。純子個人の貸付も減ってきていた。洋次郎に紡績を任せてみると、真面目で純粋な洋次郎も、懸命に頑張っていた。だが洋次郎が頑張れば、会社も生真面目になった。有能だが、規格はずれや自由な人は息苦しくなってきていた。純子は、一度は紡績に戻した化学部門を中心に、新しい化学会社を作っていった。純子自身の資産も加えた。純子は、この会社では、様々な出資を受け入れていた。安倍紡績と安倍化学とは重複する所もあったが、紡績も好調であった。自由な気風のある安倍化学は、新しく分野を多く手がけていた。この会社は、様々な人材や出資を受け入れていた。


紡績での、純子個人資産からの貸付は少しずつ会社としての貸付に変更していった。洋次郎は、紡績の会社として社員に無利子で貸す事を思いついた。今までの個人の貸付ではなかった。想像を絶する運営だった。詐欺師やペテン師は泣いて喜ぶ会社だった。紡績は、寺や修道院のような会社になっていた。

化学を創立した時に、洋次郎は、純子に返還を申し出た。純子は洋次郎にお前のものだと言ったが、まだ洋次郎は、お母さんのものだと言って聞かなかった。純子は宏の意見を聞き、紡績の幹部を呼び、話をしていた。純子は、一部は紡績会社に寄贈し、化学への出資に当てた。純子が年を取るようになり、個人としての貸付は、もう限界であった。商会はすでにそうしていた。紡績もそのようにした。純子は、純子個人が運用していく事にした。もう個人資産と会社資産との混同は無理であった。これ以降は、純子は給料は受け取るようになった。貯まっていた配当などの利益反映金も受け取るようになった。名義書換は少しずつ行っていたが、かなりの金額を純子は受け取るようになった。


妙子、安部化学の役員になる!



妙子「宏一は、竹内の家と宏さんの影響を受けたのか、法学部へ行ってしまった。玲子は医学校へ行ったのに。」
純子「玲子は、遊んでいるの。」
妙子「時代が違うの。あの子はふらふらして、男の子と付き合うけど、まだやってないのよ。」
純子「もう二十歳を超えたのに、お母さんは16、私は15、お前も16で男知ったのに、玲子は遅いね。」
妙子「今は、そんなに早く医者になれないし、勉強も忙しいし、玲子自身も早くやりたいと行って、ふらふらと男の子付き合うけど、馬鹿嫌いだしね。そんなにいないとぼやいているの。 いい男落ちてないとうるさいのよ。」
純子「お前も食べてから考えてたのにね。そうすると記録は更新中ね。残念だね。お前が、お腹の大きい玲子抱えてウロウロすると所を眺めたかったのに。」
妙子「それはお母さんの事でしょう。恵子お祖母さんが言ってたよ。お母さんがよく医者に診察いかされていたでしょう。私も、あいつが16になったら、半年毎に、病院で診察しても貰ってるの。知子さんの事もあるし。あいつは勘ずいて、私はまだやってないのに、うるさいの。」
純子「さすが、お前は医者だね。でもそれは、竹内さんの家にいた事が原因かもしれないね。」
妙子「じゃ、慶子ちゃんも16でしょう。お母さんの影響もあるし、もう知ってるの。」
純子「あの子もまだだよ。真弓さんは男選べとうるさいの。くだらない男なら、お前は売春婦にもなれるし、いい男なら大きくなれると言うのよ。私は洋次郎さんと出会ったからこうしているけど、出会わなければ、くだらない男の玩具にされ、笑いものになってるか死んでいたかも知れない。お前はそんな女の娘だよ。真弓さん隠さずに、真剣に言うの。慶子は男好きそうだけど、いつも脅されているから、慎重なの。」


妙子「次平くんは、やっばりうちの学校に行ったね。みんなの期待どおり。でも同名ならこれから大変だ。」
純子「例の家に、住まないの。」
妙子「広いし、大きいけどもう何十年もたってるでしょう。お母さんは立て直すのは、いやだと言うし。改築を考えているの。竹内の家も宏さんは次男だし、いつまでも居られないでしょう。お義兄さんも帰って来たがっているし、早くしないとね。実験農場付きとは知らなかった。種苗会社に貸しているのね。製薬会社の子会社に種苗会社があるとも知らなかった。製薬会社も色々な会社も持っているのね。」
純子「私が子どもの頃、時々鉄平おじいさんに預けられたの。思い出の家なの。私も行きたいけど、真弓さんが気にすると悪いから、完全に引っ越す訳にはいかないの。でも私は、あの家で暮らしたい。洋介さんももう少し生きて欲しかった。そうだ。新しい家を林の中を建てればいいよ。お前の好きなように。私はあの昔の家を改築するよ。その方が早いよ。」

妙子「それしてくれると助かるわ。林の中のいいところを探すわよ。洋次郎の会社どうなの。」
純子「紡績は、順調よ。ただ、洋次郎は、安い賃金で長時間労働させる事は、出来ない子だから。他の会社に比べると利益はそんなに上がらないけど、機械は良く入れて効率を上げる事を考えるの。まあそれがあの子なんだけど。」
妙子「それは、お母さんからの厳命だと洋次郎言ってるわよ。機転が利かないから、愚直という感じだね。お母さんがまだ指示してるの。」
純子「洋次郎に任せているけど、どうも紡績は、まじめとか熱心とか言う人が多くて、才能ある人は悪い所もあるから、少し居づらいので、新しい会社に来るの。あんまり偏るのもどうかと思うけど、会社の空気よね。」
妙子「お母さんは、相当悪いところあるから、不良は新しい会社の方が住みやすいのよ、水清ければの類ね。」
純子「洋次郎に、機転というのも無理だし、お前こそ紡績の役員になってみな。少しは人間良くなるよ。品行方正な人が多いよ。知子もここは凄い。心が洗われる会社だ。でもすこし行き過ぎと言うよ。でも言い方も難しいのよ。洋次郎は、真弓さんがお酒のむから、少しは付き合うだろう。あんまり接待しない会社だけど、たまにはするだろう。正座して飲むの。言い方丁寧だしね。接待される方も、どうぞ気楽に言われても限度あるだろう。飯を食って、どうもで、直ぐ終わるよ。名義少しわけてやろうか?」
妙子「私、いやだよ。役員会って想像つくよ。床も良く磨いてあり、机も綺麗、背筋伸ばして真面目な人が真剣な顔で話をする。社員は礼儀正しくお辞儀する。そんな気する。洋一と洋次郎を足して、二で割れたらいいのよ。洋一も少し真面目になった?」
純子「少しはね、接待続くと、京子さんが電話してくるよ。洋一の名義書換、少し遅らせているし、私も少し接待の度が過ぎると脅している事もあるし、まあそこそこよ。」
妙子「新しい会社は、どうなの。」
純子「私は仕事中は、雑談嫌いだから、勤務時間内は真剣だけど、姿勢悪いし、タバコすってるやつもいるし、時々は、こそこそ話しているよ。私が行っても、社長まだお若いですねといいながら、平気で座って仕事してるよ。まあ仕事中に私のために立つなと言ってるけどだよ。同じ事を紡績で言っても、直立不動で立つ人が多くて、みなさん仕事してくださいと私がいつも言わないといけない。規格外でも、できる奴が、新しい会社に集まってくる。礼儀しらずも一杯いるよ。机の上もぐちゃぐちゃだよ。」
妙子「お母さん、考えているね。そんな人たちも住める所、つくるために、新しい会社つくったね。私、そこならなってもいい。自由な感じするもの。今の真弓さん、もの凄く真面目なの。話も真剣だしね。診断も正確だし、真弓さんが診察の時は朝から番号札配っているの。私は特に診察しないの。時々診断するけど、手術のための診断ね。何人かそんな医者が集まってきているの。外科には手術の好きな自由な外科医が集まり、内科も真面目な医者が集まっているの。」
純子「お前、なってみるかい。毒には毒で自由に意見言えばいいよ。役員会といっても、半分夢語る奴いる場所だしね、役員会も遅くすれば良いんだよ。」
妙子「お母さん、残業嫌いじゃないの。」
純子「新しい会社は、勤務時間は決めてないの。平気で遅れてくるから、逆に自由にしたの。みんな自由に選んでるの。製造も勤務時間は志願制で、真夜中は避けるようにしてけど、みんな好き勝手に働いているよ。人揃うかどうか心配だったけど、なんとかやってるよ。」
妙子「いつもいけないよ。手術がない時だけだよ。」
純子「それでいいよ。お前は医者だし、それに朝弱い奴多いから、いつも午後からやるし。出れる時だけで良いよ。毎回出る必要はないよ。」


建築会社に連絡して、新築と改築を両方進めてさせた。改築は遅い予定だったが、純子が住む事になると聞かされ、大至急で行われた。それに古いけどしっかりした作り方だった事も判った。純子は、真弓さんが気にすると言ったけれども、旧宅が気に入っていた。洋次郎と真弓も、純子の意向を尊重して、引っ越した。戦争の足跡がして、市中は騒がしくなっていた。


純子の挑戦 No.14

2012-12-31 00:17:53 | 純子の挑戦


洋一と京子




洋一と京子は、家に帰り、子どもたちを寝かした。

洋一「参った。お母さんはなんでも知ってる。」

京子「貴方、まさか」

洋一「冗談じゃない。少し接待でいい気になっていただけだよ。会社の金で遊ぶな。その通りだね。」

京子「自分の金でも駄目よ。お母さんにいいつけるよ。それに私、少し変なのよ。久しぶりに激しくやるから。火付けてそのままにしていると、お母さんに直訴するよ。」

洋一「あれだけやったのに。」

京子「私じゃ駄目なの。若い芸者でないと駄目。」

洋一「そんな事言ってないよ。」

京子「じゃ今夜も頑張ってね。」


洋一と京子はこうして結婚していた!



京子は、名古屋の大きな機織工場をもつ庄屋の箱入り娘だった。整った顔立ちで、上品そうな顔だちで、近在でも有名な娘だった。

父の横山太吉は、辺見織物の一人娘だった母から譲り受けた機織工場をを安倍紡績に売った。文明開化で、洋風化の波に対応して将来を考えるより、急成長している安倍紡績に売った方がいいと思った。安倍商会に勤めていた知人を頼って依頼した。横山太吉は安倍紡績は、軍服や官服などの洋装と従来の和服等もやっていた繊維の会社であり、いくつかの機織場も居抜きで買っていると聞いていた。働いている人にも迷惑をかけず、政界入りを夢見る自分の評判にも傷が付かず、金になると計算していた。出来れば辺見織物の名前を残してくれるかもしれないとも考えた。安部紡績からの調査団も来て、横山も話をした。

安倍紡績は、辺見織物の技術や立地場所が良い事を評価し、辺見織物の株を8割を安倍紡績が買い取り、2割を横山太吉のものとする。名前も辺見織物で構わないとする案を出してきた。金額も横山には妥当と思えた。安倍紡績の交渉担当は、社長も工場を見てるし、問題ないと思いますが、最終的な社長の決裁を取りますので、少し時間を下さいと言った。横山は、そんな人が来たのかとは思いながら、結果を待っていた。


社長の決裁がおりました。本来なら社長と最終合意して頂くのですが、社長の時間が取れません。社長の長男が取締役になっています。その人をつれていきますので、最終合意をして頂けませんかと言う返事だった。横山は了解して待った。横山の自分の大きな屋敷で、最終確認をした。

もう相当の年輩の遠藤副社長とまだ青年の洋一が交渉担当とともに現れ、横山と最終的な確認をした。


安倍紡績側は、横山が安倍紡績に出資できる案も提示した。完全な子会社よりも横山の面子を立つのではないかと言った。金額は拘らないが、安倍紡績が買い取る金額の1割以内として欲しいというものだった。横山はその案にのった。安倍紡績の出資金総額では百分の一以下ではあるが、単に身売りした事にもならない。金も入ってくる。辺見織物の名前も残る。




合意が済んで帰ろうとする安倍紡績側に、横山は酒席に招待した。遠藤と洋一は断った。せめて汽車の時間までくつろいでください。京子がお茶を持ってきた。京子は18才になっていた。若い洋一を見て、頬が赤くなった。そして安倍紡績側は出発した。横山は商会の知人にお世話になったが、合意した。商会の知人はそれは良かった。安倍紡績の出資金も得たと聞いて、それは凄い。利益反映金などの配当だけで、直ぐに何倍にもなります。交渉がうまいですねと言った。色々と話をすると、社長の息子は22才で独身と言う。横山は、純子が安倍商会の社長でもある事も知った。


横山は安倍紡績の担当と話をして、社長に挨拶するために上京したいと言い、そんな事は結構ですという担当を説き伏せ、時間を調整してもらった。横山は、京子をつれて、東京に行き、純子と会った。挨拶もそこそこに京子を紹介した。純子は横山の意図が判った。洋一を呼び、横山親子を料理屋に行って、接待するように言った。時間はお昼頃であった。


横山は直ぐに用事を思い出したと言い、席を立ち、洋一に宿まで、京子を送ってもらうように頼んだ。横山は1週間程度東京に滞在していたが、京子は夕方にもそわそわしていなくなっていた。洋一は、相手を探していた。

市橋も治部も、恵子も純子もどたばたしたものの若くして結婚した事もあり、見合いは考慮されない、当時としては希有な家であった。しかし洋一には、見合い話も来ていたし、純子や洋介の元にも来ていた。姉の妙子は出来ちゃた結婚に近いし、洋次郎はなんか怪しい。少し焦っていた。お淑やかな京子に、惹かれていた。京子もこのまま見合いで結婚して地方暮らしと諦めていた。飢えている動物にエサを出した時の様に、簡単に話は進んだ。結婚は直ぐ決まった。 



洋一は、洋介と純子が新婚時代に住んでいた家を改築し、京子と共に住んだ。すぐに洋次郎と真弓の熱愛事件が起きた。京子には、洋一は初めての男であり、洋一は純子と妙子の影響から抜け出した。京子は結婚後5年の間に、女の子を二人出産した。そして洋一は女三人に囲まれて、暮らした。京子が純子に会う度に、京子の性知識は増え、洋一は、夜には大変になった。洋一は、頻繁には京子を洋介と純子の家に連れて行かなかった。洋一が鉄鋼に移籍し、出張や接待が増えるにつれて、京子の夜は、寂しくなっていた。 



京子は、年を取らない純子や自分より年上の妙子が自由に暮らし、若く綺麗になっている事や自分より年上の真弓が熱愛されて、若く綺麗になっている事をみながら、30才半ばになっていた。私が一番老けている。一番若いのに。二人とも40才を超えてるのに輝いている。私はくすんでいく。洋一さんは、この頃遊んでいる。福岡から帰ってきた時もおかしかった。そんな思いになっていた時に、「美人競争」が起き、必死になった洋一が京子の身体に火を付けた。私も妙子さんや真弓さんのように輝ける。純子、妙子そして真弓と話をする機会が増え、色々と話を聞いた。以前なら恥ずかしいと思っていた事もやれるようになった。


以前は和服一本であったが、家では洋装も増えた。洋一にもして欲しいと言う事も増えた。「女は40からだよ」と義母さんも言っていた。これからだ。私の青春は。して欲しいと迫る京子に、洋一が、激しく何回かしたのも、ガソリンに火を入れた。そして京子も綺麗に若くなっていった。そして京子の感じ方が深くなり、ついに、40才手前で、白い霧の中で意識が消えていき、不安と絶頂の中で声を上げた。 



京子「私、この頃とても感じる。深く感じる。貴方が入ってきた時から感じているし、身体全部で感じている。真弓さんは結婚してから、妙子さんはもっと前から。私は今から。」 
洋一「嫌な事いわないで。頑張るからさ。」

京子「宏さんや洋次郎さんよりも頑張ってね。」

洋一「あいつらは、ちょっと異常。女房命みたいな連中。」

京子「貴方にとっては、私はどうでもいいの。」

洋一「そんな事いってないよ、俺も京子は好きだよ。」

京子「じゅ今夜も頑張ってね。」 






純子の挑戦 No.13

2012-12-30 00:39:37 | 純子の挑戦
純子、家族会議をする。



純子は、商会と紡績からかなりの金額を引き上げた、純子が会社に預けていた報酬や配当のお金も相当溜まっていた。給料の三分の一ずつと配当の一部も紡績と商会で貰っていたものの、そんなに使っていない。妙子、洋一、洋次郎を呼び、洋介と一緒に家に呼んだ。 



京子、真弓そして宏そしてその子ども達も連れてくるように頼んだ。泊まり込んで家族会議するからといって。系列の料理屋から料理も運ばれてきた。



純子「私も年だ。色々と相談したくて、お父さんとも話して相談してきた。私とお父さんが死んだ後の事だよ。」

洋介「私はもう年だし、お母さんと話してきた。私の資産など知れているが、私は兄さんや姉さんから、病院はお前やっているし、お前が継げと言われてきた。お父さんから継いだものだ。多少の資産もある。」

洋一「そんな事言わないでくれよ。お母さんとお父さんが家族会議すると言って、2日休暇取った。鉄造さんも鉄二郎さんも吃驚していたよ。ここを見捨てないでくれと言って大変だった。幸之助さんや知子さんも心配しているよ。大体お母さん若いのに、俺より長生きするよ。」

妙子「又馬鹿話が出来ると思ってきたのに、お母さんはそんなに若いのに。」

みんなそんな事は話したくないと言った。

純子「人の命は分からないものだ。弁護士とも相談したよ。取りあえず聞いてよ。今お父さんと私の財産は、これだけだよ。みんなに配るから見て。細かい点は省くよ。洋一お前は、鉄鋼の私名義の出資金そしてお祖父さんやお母さんから継いだ、紡績と商会を除く私名義のほとんどの出資金と、私とお父さんが死んだ後に残った現金の半分をお取り、洋次郎には、紡績の私名義の出資と紡績に預けている現金、そして少しだけの各社の出資名義と現金の四分の一をお取り、妙子は、お父さんの資産の三分の二と現金の四分の一を取ってね。私とお父さんが長生きすればどれだけ残るかわからないけどね。宏さんには、銀行の私名義の出資を譲る。京子さんには、商会の出資金の半分とまだ残っている現金を、そして真弓さんにはお父さんのの名義の資産の三分の一と商会の私名義の出資の半分を譲る。洋一には今住んでいる家、ここの家は洋次郎に渡す。ただ商会や紡績に預けている私の資産は人に貸しているものだし、できればそのままにしておいて欲しい。残った地所や資産は、三人で分ける。そしてお父さんと私のどちらが死んだら、私とお父さんがすべて管理する。」



京子「私になぜ。」

真弓「私なんかに」

「銀行はこれから伸びますよ。それを全部僕に」

純子「まあお聞き。京子さんや真弓さんに譲るものは、できれば現金に換えないでおくれ。みんな子どもたちに残しておくれ。配当などの利益反映金がでれは、自由に使ってもらっていいけど。宏さんもそうだよ。できればそうして欲しい。京子さん、宏さん、真弓さんに譲るもので税金がかかれば、洋一や洋次郎そして妙子が支払っておくれ。みんなそれでいいかい。」

妙子「病院は、私と真弓さんが協力して継げ、自分勝手にしないように。さすが策士よね」

洋一「今やっているものは、その人にか。よく考えているよ。ただ現金はそれぞれ三分の一ずつにしてよ。俺がそんなに受け取る必要はないよ。」

洋次郎「僕が一番多い気がする。それでいいの。」

洋一「でも使えるお金は差はないよ。お前紡績を手放すの? 借しているお金回収するの?」

洋次郎「そんな事はしないよ。」

洋一「だからお前に管理してやっていけと言ってるの、母さんは。人見てるよ。」

「銀行も、洋一さんや洋次郎さんに持って貰いたい。それを修正してください。」

京子「私は、そのままにしておきますよ、お母さん。子どもたちの代理です。」

真弓「私なんかじゃなしに子どもにして貰った方がいいのですが。」

純子「少し、お父さんと相談するよ。」

暫く相談して、

洋介「みんなの意見を参考にして、少し修正したよ。純子から説明してもらう。」

純子「まず残った現金は三分の一ずつ子どもたちに渡すよ。商会の名義と安倍不動産の名義の株は、京子さん、真弓さん、妙子に三分の一ずつにする。銀行の名義は、五分の一ずつ洋一と洋次郎にして、五分の三は宏さんにする。但し、洋一も洋次郎も宏さんに口だしするのは、控えておくれ。それと地所の中で、あの郊外の屋敷は、妙子の名義にしておいた。料理店は京子さんとした。お父さんが譲り受けている長崎の屋敷は、次平名義で真弓さんが管理しておくれ。お父さんはそのつもりで名前を付けた。お父さんの思い出の家だからね。それに三人の子ども達には、自分の会社以外も少しだけ名義を分ける事にするよ。現金なんて残らないかもしれないよ。それは残った時の事だよ。」

洋一「分かったよ。私はいいよ。」

妙子「私も、異存ないよ。」

洋次郎「私も異存ありません。」

「私は、異存ありません。銀行を大きくしますよ。」

京子「私はこどもたちの為に残して置きます。」

真弓「私名義にすると問題も」、

「大丈夫ですよ。弁護士もついてる。こどもたちのためですよ。」、

純子「じゃこれで決まったよ。私は化け物だから長生きするかもしれないけど、今日決まった事は、それぞれ胸において頑張ってね。温かいものはもうすぐくるからね。後はのんびり食べよう。」



子ども達もよばれ、賑やかな食事会になった。

洋介「純子、お前考えていたね。最後の案。お前は本当に凄い。みんながどういうか見るためだろう。」

純子「私は、化け物だからね。でも良かったよ。みんなが考えてくれて。」

暫く、みんな歓談して食べていた。

真弓が来て「私じゃなく、洋次郎さんか子どもたちに。」

純子「真弓さん、どちらにしても子ども達へいくよ。弁護士もついてる。心配しないで。」

洋介「病院は、妙子と協力して頼んだよ。」

真弓「それは言われるまでもなく、拾って頂いたのですから。」

洋介「今でも、真弓さんがやってようなものだよ。妙子は、病院出ると、馬鹿になる女だから。」

妙子「だれが馬鹿なのよ。お母さん、終わった後は、やってもいいでしょう? 私、やりたくて。」

純子「お前の部屋開いてるよ。掃除もしてもらってる。 こどもたちは見てるよ。」

妙子「宏さん、もう食べたの。私食べたよ。」

「そうなると思って、折に入れて貰ってる。覚悟してた。」

妙子「私たちは、別のものを部屋で食べるね。宏さん行こうよ。」

宏と妙子は出ていった。

洋一「姉貴は変わらない。あれが神の手かと思うよ。」

真弓「いや、外科医では、常人の腕ではありません。」

洋一「たしかに、常人ではないよ。病院ではきっと顔も頭も変わるのでしょう。」

洋介「それは確か。ここではやりたいだけの馬鹿女の顔に直ぐになるけどね。今の会議終わったら、顔が変わった。」

純子「京子さん、おいでよ。」

京子「お義母さんなんでしょうか?」

純子「洋一、頑張ってるの?」

京子「頑張って仕事しています。」

純子「仕事は、自分のためよ。女は40から感じるの。」

京子「そうなんですか?」

純子と京子はひそひそ話をしていた。京子は、時々「えっ」とか「そんな」とか言っていた。純子は洋一を呼んだ。



純子「洋一、お前、努力が足りない。京子さんを明日の朝までに綺麗にしないと返さないよ。女を綺麗にしない男は、紡績に帰ってもらうよ。もう一度私が修業さすよ。さあ京子さんをつれて、お前の部屋で。子ども達は私とお父さんがみてるからね。明日の朝、京子さん、真弓さんと妙子の顔みるから」

洋一「そんな急に。」

京子「真弓さんも妙子さんは、元々綺麗ですよ。」

純子「輝きが違ってくるの。京子さんも頑張ってね。色々教えたでしょう。さあ早く。」

洋一と京子も出ていった。



純子「洋次郎と真弓さん、片づけは料理店がもうすぐ来るよ。洋次郎、お前も頑張らないと真弓さんを綺麗にするのよ。明日の朝までに。」

洋次郎「真弓は十分綺麗だよ。」

純子「お前は若いのよ。真弓さんをもっと輝かすのだ。」

洋次郎と真弓も離れに帰った。いつの間にか、子守と乳母が来て、別の部屋に子ども達を連れて行った。料理屋は、残った料理を折に詰めて、片づけ始めていた。




洋介「純子、お前、強引な事するな。姑のする事じゃないよ。」

純子「これが私なの。女房を綺麗に出来ない男は、どこか信用できないの。明日の朝、楽しみだよ。洋介さんも頑張ってね。」

洋介「私は年だから。」

純子「私が大きくしてあげるよ。子どもを見てから開始だよ。」
 





妙子、真弓、京子の部屋には、その晩に封筒が入れられていた。翌朝は朝9時から朝食なまで、8時50分過ぎに、食堂に来て欲しい。洋一、洋次郎と宏には、9時丁度に来て欲しいと書かれていた。 



妙子は、書かれているものを見て、宏に言った。「宏さん、朝も頑張ってね。朝は美人競争よ。お母さんは強引ね。さあもう一回頑張ってね。」



京子も読んだ。「洋一さん、私は不利よ。妙子さんも真弓さんも元々綺麗なのよ。洋一さんは、紡績に戻る事になるよ。」



真弓も読んだ。「洋次郎さん、これは、朝やりなさいと言ってるみたい、私は、いつでも洋次郎さんに抱かれていたい、朝はひさしぶりね、興奮してきた。由美子出てきそう。お願い、手の形と歯型をはっきりつけて。」



翌日 艶っぽく綺麗になった3人が食堂にいって、食事の準備をして、お腹空いたという子どもたちと洋一や洋次郎そして宏もきた。食事が終わると子ども達は乳母や子守に付けられて、別室にいった。

 


妙子「美人競争はどうなったの。私は気になってるの。」

洋一「無理矢理させておいて何考えているの。」、

純子「妙子、京子さん、真弓さんで誰が一番、昨日より輝いていると思うの、昨日と比較してよ。」、

洋介昨日と比較すれば、京子さんだろう。別人のように綺麗になっている。」

妙子「それは認めるわ。真弓さんもずっと綺麗になったけど、京子さん、今日は本当に綺麗。」

洋一「じゃ俺達の勝ちだ。」

純子「誰が美人競争と言ったの。 妙子は、言わなくても宏さんとやる。しかもよくやっている。だからそんなに差がでない。真弓さんもよくやっているけど、朝は久しぶりだから少し差がでる。京子さん、あんまりやってないね。子どももびっくりしてたよ。」

妙子「分かっているのね。」

純子洋一、京子さんと真弓さんそして宏さんになぜ遺産分けしたと思うの。」

洋一「それは、宏さんや真弓さんに分けるつもりだから京子にも分けたと思うけど。」

純子「それは逆よ。宏さんや真弓さんになら妙子や洋次郎名義にしてもいいのよ。二人はそれぞれ一心同体だからね。私はね、洋一の分をすべて京子さん名義にしようとも思ったの。でも、お前も私の子だから親馬鹿でおまけしたの。お前は鉄鋼行って、接待でよく外で遊んでいるのでしょう。鉄二郎さんに妾いて、鉄造さんもつくりそうでしょう。お前も感化され、遊びだしている。一時の混乱収まって、利益もでて、また元に戻りそうになっている。鉄は基本産業だからといって、戻り出せば又だらけているね。宏さん、業界の回復ぶりに比べて、鉄鋼は遅いでしょう。」

「持っている潜在力からすると少し。」

純子「お前、鉄鋼変えるといって、自分が変わっているの気付かないの。このままお前変わっていくと、お前の分は、京子さんに変えていくからね。それが言いたかったの。」

洋一「そんな事ないよ。俺はちゃんとやってるよ。接待は多いけど、それも仕事だから。」

純子この間、会社の工場に行って、少しだけ見て直ぐに工場の接待で、芸者呼んでいたでしょう。それが会社を変えると言っていた人のやる事ですか?お前の才なんてしれてるの。少しの才に慢心する位なら、なくても人の意見聞いた方がましなのよ。

洋一「なんでそんな事まで知ってるの。」

純子「洋一、お前はみんなに見られているの。折角設備も製品も揃ったのに、上がだらけると、何にもならないの。妾持とうと遊ぼうとそれはいいけど、自分の金で遊び、女房を綺麗にしてからにしなさい。」

洋一「分かりました。昨日の事は俺に説教するために仕組んだ。そういう事か。」

純子「今朝の京子さんが、本当の京子さんよ。女に愛と精を与えれば女は変わると、私いつも言ってるよね。人も会社も、愛情もって育てれば変わるのよ。鉄鋼も愛情を持って、育てれば、もっと輝くような会社に変わるのよ。」

妙子「お母さんは、やっはり策士だよ。」

洋一「もう一度、やり直すよ。色々とありがとう。今朝の京子見て、俺も分かったよ。でも時間はかかるよ。今の会社変えるのには。俺の部門から少しずつ変えていくよ。」

洋介「じゃ、これで終わる。洋一もしっかりしないと、お母さんを怒らすと怖いよ。」 



家族会議は、午前中に終わると聞いていた、幸之助と知子がやってきた。純子が相続について、決まった事を話した。

幸之助「姉さん、まだ若いのに、そんな事決めて。でも大体予想通りだけど、病院は半々にして、商会の名義で差をつけると思ったのに。製薬会社の出資名義はほとんどは、洋一くんか。知子、少し製薬会社の出資増やせるかな。」

知子「それは出来るよ。洋次郎さんなら歓迎するわ。」

純子「お前達、洋一の事知ってるね。なぜ教えてくれないの。」

知子「お姉さんも知ってるでしょう。それにまだ噂だし。」

純子「あいつには説教したの。少しばかりの才を鼻に掛けて、慢心するなんて。」

幸之助「まあ、洋一くんはまだ遊び始めた段階だから。知子から聞いてるけど、会社も改善してるらしいよ。」

知子「前よりは、ずっとましよ。でも洋次郎さんはいい人ね。」

幸之助洋次郎くん個人名義じゃ、少し目立つ。安倍紡績として持って貰いたい。製薬会社も、会社として紡績の出資を増やすようにするよ。それなら洋一くんも刺激しないしね。一種の交換だかね。お姉さん若いから頑張ってね。うちの役員会には出てよ。」

純子「お前も、なかなかだね。」

幸之助「私も姉さんの弟だよ。ある程度はね。病院は共同名義か。なるほど、考えているね。まあ子ども達次第という事だね。でも学校は、それも一緒か。参考になるよ。僕も考えてみるよ。」