のら猫の三文小説

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新しい子猫たち No.606

2015-10-31 00:04:44 | 新しい子猫たち 

エンジェルホープ病院の基本的な維持のお金は、従来通りのエンジェルホープ財団が病院に支払う、エンジェルホープ財団は、カヨコファイナンシャルから寄付を貰う、その他の寄付はエンジェルホープネオ財団が受け取る。原則的ではあるが、そう決めた。





ただカヨコファイナンシャル自体の利益が10倍にもなったので、利益比率の寄付そのものが10倍になった。利益の一定比率とは云え、今では財団の金はカヨコファイナンシャルが運用をしているので、会計一体化を問われかねないが、それは問題としないとの密約が出来ていた。



香奈の言う特別な寄付は、従来のエンジェルホープ財団と新しいネオ財団で山分けの形となった。ただジブアメリカの作った社会保障財団とリトルチャ財団の動物シェルターの財団にも寄付を分割した。これがカヨコファイナンシャルからのお礼とも言えるものだった。





ジブアメリカとジブ系列の企業もこの特別な寄付をしたのではあるが、基本はジブアメリカの作った財団への寄付だったが、多少の寄付はエンジェルホープネオ財団と大統領への口利き窓口であった、リトルチャのアメリカ代表の手前、動物シェルターを維持するための財団にも寄付する事になった。





結局、ジブアメリカの作った社会保障財団への寄付はジブアメリカの利益からそっくり、この財団に寄付した場合より少し多いだけに留まり、リトルチャの動物シェルターへの寄付はリトルチャグループがそっくりここに寄付した時よりも少し少ないだけ。エンジェルホープ財団をネオを含めると、これはカヨコジャパンがそっくりと寄付したよりも大分多くなった。





ジブアメリカの作った社会保障財団はナンタラケアーの補助だったが、これは具体性にかけた。





エンジェルホープ病院は現に医療活動を行っていて、救貧対策の病院としては全米で既に有名だった。それにいい医者をドンドンを採用しだして、金持っている人たちも医者につられていくようになっていた。病院も貧乏たらしい内装から少しは豪華になっていて、金持ちも行きやすい病院となっていた。具体性のある、実態も目に見える医療活動に寄付したいと思うのは人情でもあった。





金持ちたちが別財布として作った社会保障財団も形だけは、社会保障をしないワケにはいかず、考えるのが邪魔くさい所はエンジェルホープ財団(ネオを含む)に寄付したら、形になった。


新しい子猫たち No.605

2015-10-30 00:00:19 | 新しい子猫たち 



カヨコファイナンシャルからの寄付は、問題が多かった。まず金額がとてつもなく多かった。もはや実質的にアメリカ最大の運用会社になっていたのもあった。



ジブアメリカはジブカヨコトラストの最大の株主であったが、配当として受け取るので、課税対象金額は少なく出来た。ジブアメリカ代表のナンダカンダの工作も効いていて、税対象金額はカヨコファイナンシャルより少なく出来た。それにナンタラケアーの補助をする約束でもあって、政治的配慮も強かった。



カヨコファイナンシャルの場合はエンジェルホープ財団は、実質的にカヨコファイナンシャルと一体化してしまっていた。問題になりそうだったが、エンジェルホープ病院が実質的に全米最大規模の救貧対策病院組織として知られていた。



加代子の会社の責任者は、アメリカに行って、ナンダカンダの裏工作をした。大統領と近い、リトルチャグループのアメリカ代表と話をして、密約をした。



いくらかはジブアメリカの作った、社会保障財団に寄付をして、リトルチャグループの作った動物シェルターの財団にも寄付をして、更にエンジェルホープネオ財団を新たに作り、カヨコファイナンシャルと一体化していない、独立した財団にも寄付するなどの小細工をした。しかも今までの寄付の無税枠も広げてもらった。元々ナンタラケアーの先駆的な試みである事も強調していた。



大統領は本音ではエンジェルホープ病院を好意的にみていた。ただ全米規模で実行するのは難しいと思っていた。冶部一族の考える事はわからん、あれほどリアリスティクな考えをするのに、こうした試みは理想主義的に過ぎる。そんな事が上手くいったら、誰も苦労はせんと思ってはいた。



ただ世界の冶部一族と対立するのは避けた。ジブアメリカの作る社会保障財団に一定の寄付もしてくれるのであるから、すべて大目にみると、リトルチャグループのアメリカ代表と話をつけた。


新しい子猫たち No.604

2015-10-29 00:00:31 | 新しい子猫たち 



この特別社会保障財団は、医療補助をメインとするが、今回だけのジブからの寄付が前提だった。基金の十分の一程度を年間使用して、基金の運用も可能としていた。



明示されてはいないが、ジブで再運用する事は当然可能だった。いわば、利益の中で五割を無税扱いにしたものとも言えた。



香奈はそれを狙っていたのではないが、各地のジブはアホではなかったので、上手く運動して、そうなった。運用する金は確保して税金を予想よりは下げたのだった。



税務当局も税収としては増えているので文句は言えなかった。増えた税収で国防費なんぞに回さられるよりは、社会保障に回す事が確実な今回の処置に真っ向から反対できる奴はいなかった。



実はアメリカの場合、共和党の有力者というのは、自由な競争を頑固に主張する奴で大統領候補にもなった奴だったが、そいつがこの法案に賛成していた。ゼニだけの奴と思われていた奴が賛成しているのに、反対できる奴はいなかった。



コイツは、リトルホワイトにちょくちょく、相談にきていた奴で、リトルホワイトの妖刀に感心していた。



リトルホワイトは、コイツの相談に乗る代償として、リトルチャの動物愛護施設への公的保護に力を入れるように要請していた。リトルチャの動物愛護組織はまず財団を作り、下請けとして動物愛護に従事する会社組織を作る、日本と似たような組織構造を考えていた。ところが、日本でのシックステンの取締役のようなキレモノは現れず、財源問題がネックになっていた。



ここでこの税務体系になって、ごっそりと稼いだリトルチャの運用組織、関連企業からの寄付をしやすくなった。もっとも動物愛護組織への寄付は全体の3割を上限とするとされて、悩んでいたが、リトルチャのアメリカ代表は、ジブアメリカの代表と裏取引をした。



この時に出来た特別社会保障団体は、やたらと多かった。ジブ関係だけでは当然なかった、無税扱いの別財布にもなりうると判った奴はやはりいた。



特別な時限立法でもあって、各地でタケノコのように出来ていた。社会保障援助といっても長い期間に実施していく必要があってと云う表面的な理由をあって、実際にする援助金額は少なく、現金とか株式を無税扱いの別財布にでき、運用といって、そこからいざと云う時に使える、株式を相続税の対象外にできると言う利点に早速気がつく、小賢しい奴らはいた。



この財団の理事になれば、金になると気がついた弁護士、会計士、税務関係者は多くいた。しかもこの時の法律では特別社会保障法人関係の職員への税もオマケしていた。要するに寄付を受け付ける組織はヤタラとあった。



リトルチャのアメリカ代表は、裏交渉で、大統領の言うナンタラケアーの補助としてもらう代わりに、ジブアメリカに幾つかの便宜を図るように大統領に助言する、リトルチャの組織からの人間用の医療補助関係の財団への寄付はジブアメリカの作った社会保障財団にする。その代わりに3割とはいわないが、ある程度は動物シェルターへ寄付して欲しいとの依頼だった。



あの共和党の有力者も、動物シェルターへの寄付を呼びかける一方で、残りは、ジブアメリカの作った社会保障財団への寄付でもいいといっていた。



コイツは元々ナンタラケアーの激しい反対者であって、ナンタラケアーの補助となるジブアメリカの社会保障財団への寄付には反対するだろうと思っていた奴らは吃驚していた。





コイツと大統領は裏取引もしていた。もはや再選の選挙のない大統領はナンタラケアーが、自分のした代表的政策として残したかった。コイツは、動物愛護組織への公的な補助といってもゼニではない、幾つかの法的保護、通常の寄付の免税枠の引き上げを狙っていた、そしてその妥協が成立していた。




新しい子猫たち No.603

2015-10-28 00:04:24 | 新しい子猫たち 






この時の寄付に対する特別控除はアメリカで、速やかに取られた。ジブの取った巨額の寄付を、行う社会保障を限定して、特別社会保障法人の申請手続きを取れば、寄付は、従来の枠を超えても、全額税控除する事ができる特別処置が速やかにできた









アメリカでは大統領はナンタラケアーを推進していたが、この財源は弱かった。リトルチャのアメリカ代表は、元々共和党支持のジブアメリカ代表とも相談の上で、この財源になりうると大統領にも言ったからだった。









ジブアメリカ代表はナンタラケアーの財源、特別な製品への特別な課税には批判的ではあったが、ジブを始めとして幾つかの企業が寄付する受け皿財団をつくり、そこからもサポートする形になれば、問題はすくなくなると考えていた。









共和党の有力者も全面的支持を明らかにした。こうした背景もあって法案を作る時に、民主党も共和党もナンダカンダと意見を言って、議会に出されるとあっと云う間にに可決していた。









世界各国の政権にもジブは浸透していたし、政権与党にも財源問題を抱える社会保障があった。その社会保障を特定社会保障に指定すれば、政権与党が推進する社会保障が一気に進むのだった。あっと云う間に、世界で、こんな社会保障財団ができた









ただアメリカの特定する社会保障には医療補助だけではなく、動物愛護、動物シェルターへの寄付も含まれていた。









リトルチャグループのアメリカ代表も強く言ったし共和党の有力者も同様に強く言った。ただすべての寄付が、動物愛護組織への寄付とは出来ないような歯止め処置は取られた。









大統領はふと思った、香奈の飼い猫のリトルチャの意向かもしれない。リトルチャのアメリカ代表のあげた保護すべき動物の最初が猫だった。動物愛護組織だけへの寄付を認めると、リトルチャグループの寄付が偏ると恐れた。









事実、リトルチャは動物ではなく、猫に特定しろとか、人間への医療補助に寄付しないといけないのかと、文句を言った、猫を世話する人間も大事でしょうととりなす奴もいたし、猫だって、犬だって、生きているんだ、友達なんだと歌の文句のような事もいう奴もいた。







新しい子猫たち No.602

2015-10-27 01:02:51 | 新しい子猫たち 

香奈は特に善人ぶっていた訳ではなかった。各地のジブの中に、社会保障団体、財団への寄付を重荷と考えている人がいると思っていた。今回のトレードは、内情を深く知っていて、大儲けをしたのではあるが、この時代のジブはいわば、国家権力とさえ話し合う規模になっていて、内情を深く知るのはいつもの事だった。





ただ香奈は、自分が生きているのが信じられない程の年寄りになった事を自覚していた。社会に奉仕する気持ちを忘れたら、単なる投機家グループと同じになり、一陣の風が吹けば、消えていく存在になりかねないと深く危惧をしていた。自分がいなくなっても寄付を続けていける企業にならないといけない。今回はそのための投資でもあると自覚していた。





香奈にジブの中で異論を言える奴は存在しなかった。とろくさく、儲けが少ない所もあった。ブーブーと不満を持っていた奴はいた。ただ幾つかの逃げ道も見つける奴はいた。





節税の枠は、後述するがアメリカでは巨額の寄付に対して、特別に税控除を認める法律が、あっと云う間に出来た。世界各地の政府も同様だった。





加代子のアメリカの会社の責任者が考えたように、隠れた無税扱いの財布にも社会保障財団はなりうるのだった。今回だけの特別処置なので、基金として貯めておくしかない事もあって、各地のジブにとっては、運営を考えるとそんなに損な話ではなかった。





香奈がそれを期待したものではなかったが、実態として、各地のジブは特別な社会保障財団をつくり、社会保障分野での貢献をしていく事には違いなかった。世界の中でジブを見る目は、大きく変ってきた。





各地のジブもそれに対する責任感も出てきた。金さえ儲けていればいいのではない、社会に貢献する必要も自覚してきた、香奈はそれを狙っていた。





香奈は存続していける企業は社会にとって必要な企業でなければいけない。金を儲けるのは大事でもそれを忘れてはいけないと本当に思っていた。