のら猫の三文小説

のら猫が書いている、小説です。
質問があれば
gmailのnaosukikan
まで連絡ください

香奈とコシロの子供たち No.163

2013-11-08 00:00:17 | 香奈とコシロの子供たち






ところが、香奈の予想とは違い、


あっさり広大な土地が香奈ハイテクの工場や研究所ビルに隣接する広大な土地が手に入った。冶部東京不動産には、俊子がジブの里の近接する場所でいい物件がでれば、買っておくようにとの指示が以前からあり、冶部東京はいつも調査していた。たまたま広大な工場が閉鎖される事を聞き、早速交渉してあっさり入手する事が出来た。



冶部東京はそれ以外にも色々とジブの里近くの土地を調査していた。俊子は増えていく子供たちの住まいを今後確保しようと思っていた。ジブの里の近くには大きな、それほど高くない山が連なった山脈があった。ジブの里にはふもとの山林が隣接していた。そこなら開発費用も少ないと思い、調べるとなんと香奈オフィスがこの大きな山脈をそっくり入手していた事も判った。


それにその山脈の北の端では、レアメタルの鉱山まで持っていた。敷地内とこの山を挟んで、10キロ程離れた所にはポロい電車が走っている私鉄が駅も持っていた。冶部の里との間は山なので、その駅周辺は冶部東京は考えなかったが、山の端の山林に道路を作れば、ジブの里とは近い事も判ったので、色々調査を開始した。ポツポツと交渉も始めていた。


折角入手した広大な土地を持つ工場であったが、ジブの不動産チームは、ジブの里に隣接していた土地なら、どんなに高くても買うと言ったので、早速転売する事にして、この転売益で、新しい土地を買おうとセコイ考えを持っていた。





そんな時に、この私鉄が大きな事故を起こした。運転士がネットゲームしながら、運転して脱線事故を起こしたものだった。死者は出なかったものの、多くの負傷者が出た。理由がわかるにつれて、内部管理がなっていないと非難され、運転免許取り上げまで噂された。その上賠償問題があった。



元々、関東エリアでは、鉄道はそんなに並行して路線をもたない事が多いが、この私鉄は路線が短い上に、並行する他の私鉄やJRもあった。何故か沿線にやたらと土地は持っているが、有効利用もせずに、都心のデパートやビルの家賃のかすりを取っていた。何もこの私鉄を使わなくても、ちょっと歩けば、他の私鉄やJRを使用する事ができた。営業輸送人員は激減した。


いくらかすりを取っても赤字はなると思われ、株価も当然、急降下していった。1週間たつと、元の3割程度まで落ちていった。神子は下値では、買い捲った。神子は、この私鉄が復活するとなぜか確信があった。以前の高値の倍にもなると思った。


神子は株屋なので、倍になればドーンと売って、株価を冷やし、又下値で買うとかいった事もやった。そうしているうちにこの私鉄の保有株が増えていった。一応保有株報告書を出すので、なぜジブがこんな私鉄を買うのだろうと噂された。デパートやビルの含み資産があるので、それを狙っているのではないかとの憶測も出て、提灯買もあり、下がりにくくなった。


神子は平均購入価格も安かったので、時々ドーンと売って、利益も確定して、冷やしにかかったが、下がってくると又買うので、更に保有株が増えてきた。




元々、この私鉄は狙われやすい会社だった、営業成績は、パッとしないので、株価は安く、その割に含み資産があり、株の保有も分散化している会社だった。何代か前の社長が株屋で、思わず買い占めて、売るつもりが売れず、社長になったような会社だった。


やたらと沿線の土地や都心にも不動産を買っていた、都心ではデパートや商業ビルが、それなりに儲かったが、肝心の鉄道事業はほったらかしの会社だった。そのおっさんは、鉄道事業などはよく判らず、安いと思われた土地は、山も谷も買っていた。


都心の不動産を除けば、含み資産などは、売ったら二束三文で、大した額ではないとか云う人やジブは利益率が上がってきた「安いよスーパー」も系列でかなりの不動産もこの会社は持っている、ジブトラスト自身も大量の不動産を都心に持っている、こんな山とか谷とかの土地が欲しい訳でもないだろうと解説記事も出た。




神子も売ったり、買ったりの繰り返しだった事もあり、やはり営業成績が良くないと云う当たり前の事実が重くのしかかり、神子の予測とは異なり、株価もそんなには上がらなかった。


神子は、売ったり、買ったりして、程ほどの利益も得たし、平均購入価格よりまだ株価はそれなりに高かったので、売って処分しようかとも思ったが、そうなるとドーンと下がりそうな気もして、初めの神子の予測を信じて保有する事にした。しかしだらだらとした状態は尚も続き、時々大きく下がったので、その時は買い続け、少しづつ保有株も増えてきた。



一方、冶部東京の買収交渉に応じる人が増えてきた。向こうから買ってくれと言う人まで現れた。冶部東京もジブの里近くの土地なら、買っていった。冶部東京不動産は結局、駅周辺から定規で測ったようには買えないものの、この駅から山を挟んで多くの土地を買収する事が出来た。