正人は、香奈から言われて、こうした話を組み立てた。彼らが断れない、旨みのあるストーリーを考えた。
正人には正人なりの考えがあった。正人と切人は、香奈のファミリーではあるが、お互いに認め合った間柄でもあった。
そんな甘い、単純な男ではないと、二人とも相手を見ていた。
切人の海外香奈の運営は非常に上手くて、保有する現金も多い、正人からみれば、もう少し、株式保有を増やしてもいいと思ってはいたが、切人は今が旬、高値と思うと直ぐに株式は処分する傾向が強かった。そのためキャッシュはいつも山のように持っているグループであった。
ただマリアのアフリカに対する思いがあって持続して保有しているのはアフリカとの関係の強い会社が圧倒的で、この会社群が伸びていた。
海外香奈の株式は魅力的ではあるが切人がいる限り、手だしはできない。それよりも香奈オーバーシーズの株式の保有割合を増やした方が得と思っていた
チャタロウやリトルチャのグループの株式はもっていても、手出しは元々出来ない。それよりもスイスカナキャットの保有している企業群は社会的にも名前が通っている会社があって、これらの会社をリトルキャット運用会社を経由して、香奈ファイナンシャルに移動させると、海外の資産管理会社が単なるペーパー会社から脱皮するができる。
実体のある会社を子会社としてもつ事が出来た。海外に金を節税しながら貯めたが、これらの会社群を実体のある会社にしておいた方が得と思っていた。
国内香奈といいながら、海外に実体のある幾つかの会社群を整備しておいた方が、単に資産管理会社を持っているよりも、これからは得ではないか、ペーパーカンパニーに金を貯めているとの非難がくる時代がくるかもしれないとの思いもあった。
正人が香奈にハイハイと言って従ったのにも理由はあったのだった。