のら猫の三文小説

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新しい子猫たち No.391

2015-02-28 00:00:35 | 新しい子猫たち 

エンジェルホープジャパン病院 その4



ただこのビックな組織は、厚生労働省とは仲が悪かった、正しくは病院事務局そしてその背後のエンジェルホープ財団、カヨコジャパンの首脳と厚生労働省との関係は最悪だった



保険病院辞退という手段をいつも考えていた



医療費全額国庫負担とはいうものの、それは保険医そして保険病院に限られる制度だった。



例えば、敷地内の病院は、敷地内の冶部一族の健康管理をするためだけの病院で、ジブトラストがゼニを出して、製薬関係の病院が医療スタッフを出していた。敷地内は不思議の里でもあり仙人の里でもあって、生きている伝説とか化石がいる所だったので、その秘密を探る目的もあった。医療費を国庫に頼る事はなくて、全額自分たちで負担していた





金が金がという、エンジェルホープ財団やカヨコジャパンの連中は、医療費は患者に請求するものでなくて、くれるといった寄付で病院は運営するものだと云う原則が、この連中の頭に、今ではこびりついていた、それに国からくれる医療費は全体の病院運営では、それほど大きな比重ではなくなっていた、この薬は保険外、この検査は保険外とかグタグタ云うし、請求も邪魔くさい、保険適用外の処置は患者の了承がいるのに、この病院はその承諾書もないとか文句言われた。どっちにしても金請求しないから関係ないとか、年中揉めていた。





国から出る筈の医療費は遅れて、病院から請求する医療費もギリギリの時期に請求するなど、揉めに揉めていた





エンジェルホープジャパン九州病院は、同じ財団、カヨコジャパンの下ではあるが独自の運営が出来上がっていた、関係病院と関係医院も含めて、国から貰う医療費以外の治療費は、加代子教から患者に渡すゼニを病院が貰うシステムが確立して、その契約書というか一連の書類が完備していた。



加代子教は医療費以外の交通費とか栄養費とかいった、金まで出していた。そして加代子教からの寄付も今では巨額に上り、加代子教の愛染明王講の信者総代会がこれを管理すると云うシステムが出来上がり、カヨコジャパンつまりエンジェルホープ財団からの援助の金は微々たるものになり、いわば独立しているような組織となっていた。





九州の加代子教の愛染明王講は信者数は増えて、リトルキャト九州の社長も入り、九州財界の大物は大抵入っていて、報酬のある程度の比率でいつも寄付し、多くの人もそこそこ寄付していた。支払うゼニは膨大だが、入ってくるゼニも膨大になっていた





元々、設立当初は、巨額の寄付をカヨコジャパンがする事で成り立っていたのだったが、今はカヨコジャパンの寄付は、入ってくるゼニと出て行くゼニ、基金の残高をみながら調整してだしていた。そしてその金はドンドンと減ってきた。



金の切れ目は縁の切れ目で、出す金が減ると影響力も減って、カヨコジャパンの影響力よりも愛染明王講の信者総代会の影響が強くなっていた。





書類は完備しているし、なにしろ宗教も絡み、九州ではその威光に逆らうと、愛染明王さんの祟りがくるとまで言われている組織なので、厚生労働省の九州当局もその威光にひれ伏していた。





厚生労働省の大臣は、陽太親衛隊、陽太グループの番頭みたいな人で長年、厚生労働大臣であった人で、しかも今は、陽太の命令でジブシティーや敷地内を含む、選挙区にその地盤を換えていたが、それでもエンジェルホープジャパン病院とは仲は悪かった。



選挙の時には病院の中には、この大臣のポスターは、一枚も入っていない程だった。





陽太が総理を辞めてから、全額医療費国庫負担は、微妙に変わり、自己負担の治療、検査とかが増えていった。初めはくそ高い、先進的医療とか先進的な検査をドンドンと使い、ゼニ儲けをいそしむ奴らの対策だったが、それが微妙に変化していった



外圧も陽太が総理でなくってから、それまでおとなしくしていた海外の保険会社が、医療保険を売り込みたい狙いもあった。



大臣は別の事を考えていた、医師とか医療スタッフの報酬は、医療費全額国庫負担制度が開始してから下がってきて、医師の報酬面での魅力が減ってきて、医師の質が低下していっていた。ある程度自由な料金設定が可能な分野を作らないと日本の医療の質が低下してしまう恐れを感じていた。



保険適用外の検査とか治療は、患者の承諾書が必要、その必要性に応じて、やはり国も補助する細かい規定まで作ったが、やはり補助対象者の年収も考慮に入れたりするので、申請手続きは結構鬱陶しく、医療保険は少しつづ増えていっていた。





エンジェルホープジャパン病院は、こうした厚生労働省の対応に、真っ向から反対するものだった、必要な医療に先進的とか保険適用外とかの区別は要らない、必要な薬、処置などは保険適用云々とかは考慮せずに行っていたのが、厚生労働省の大臣そして下の局長には癪に障った。病院内で張られていた。医療費を請求する事は本病院では致しませんとのポスターも問題視していた。



医師全てに、加代子のような大富豪の嫁さんはいない。神三郎とか専門病棟の腕自慢の外科医には、がっぽりと寄付してくれる金持ちの患者がいるかもしれないが、そんな医師はそんなにはいない医師は医療活動で生活しないといけない。日本全体の医師の生活を考え、そして医師の質も維持していくために、考えだしたのが今の制度と云う自信が彼らにはあった。



医療費全額国庫負担の大前提を財務省の攻撃から守りながらも、医師の生活と医療の質も考えてつくり上げた制度と云う自信もあった。担当の局長は官僚ではあったが、少しは骨がある人だったので、政界の黒幕と言われた陽太の従兄弟の神三郎が院長であろうとなかろうと国が決めた手続きを守ってもらわないと困ると言っていた





エンジェルホープジャパン病院と九州病院の話題は、マスコミでは流れなかった。主要の新聞社、通信社そして週刊誌に至るまで話題にもしなかった。



むしろ、悪口は構わないが、褒めるとか実態を報道するのは固く禁止していた、実際は強い要請ではあったが、禁止しているのも同様だった





厚生労働省は、年金の金も握っていて、年金の金は運用もしていて、強い要請に逆らうとナニされるか判らないと云う恐怖があった。





陽太と神三郎は従兄弟ではあるが、神太朗と神子の仲は一種の緊張状態でもあって、そのため、神三郎と陽太も仲が良くない事も、陽太側近の大臣は知っていた



流石に、三流週刊誌騒動で、エンジェルホープ財団が取った対応とかもみんなにも知れ渡り、悪質なデマを流すと厄介との認識もあり、紡績の洋太郎と云うよりも今では実質的に冶部本家とも云えた洋之助の家系は、主要マスコミに滅法強く、悪口も言えない、権力にも逆らえない、板ばさみになって、この病院の問題は無視する事にマスコミは決めた。





遺伝子治療の話も、日本のある研究機関としかいわず、それも外電引用する程だった。そして大きな病院や大学付属病院も、エンジェルジャパン病院の遺伝子分析を利用して、遺伝子治療を行えるようになってくると、この病院で日本全体、いや世界の殆どで行っている遺伝子治療の基礎になっている遺伝子分析がこの病院で行われている事は報道しなかった。

新しい子猫たち No.390

2015-02-27 00:00:29 | 新しい子猫たち 

エンジェルホープジャパン病院 その3






エンジェルホープジャパン病院は、ドンドンと拡張していった





健康管理センターは、検診のためのセンターだったが、一度寄付してくれた人の定期健診を行い、ジブシティーに住む人は大抵多少の寄付はしたので、ジブシティーの健康管理センターと化して、周辺の住民も巻き込み、治療して治った人にも当然声かけて、ドンドンと対象は膨れ上がっていた



研究センターは、元々冶部産科婦人科小児科にあった、小児疾患の中で、難病奇病研究の組織だったが、金儲かるよりも出て行く金が多いし、対象が小児だけでもなくなったといって、エンジェルホープジャパン病院が引き取って、遺伝子治療センター、元々協力関係にあった、ジブトラスト遺伝子分析センターとも協力しながら、難病奇病の治療に取り組んでいた。




基礎医学研究所は、本来、看護婦たちに助言するための、医師を辞めたジイサン、バアサンを採用して出来た組織だったが、エンジェルホープジャパン病院では、患者にどんな医師を割り振るかを決定する組織と変わっていた。

エンジェルホープジャパン病院は、医師が患者を選択するのではなくて、患者が医師を選択できる病院であるのが原則だった、患者が医師を選択するにも専門知識が足りないので、担当看護婦がそれをサポートし、看護婦をサポートするのが、基礎医学研究所として始まったのだったが、結局は基礎医学研究所には臨床系のジイサン、バアサンたちも集まり、それがドコドコの名誉教授とか元教授とかになって、看護科だけでも治療できるようになって、ワシがワシがという腕自慢の外科医たちも、その権威に負けて、大人しく従うように変わって行った





所長は、格式のある関西の大学の医学部部長まで勤めた、病理では日本の権威とか云われた事もあるジイサンだった、なにしろ文化勲章まで貰っていた。





そのジイサンは病院の検査室を充実させて、大学付属病院の病理と変わらない設備と人員を持ち、放射線科も充実させていった、看護科に属する組織ではあるが、実際には病院の医学的な体制を決定する組織といつのまにか変わっていた





神三郎は院長ではあるが、初診外来で診察して、お得意の消化器外科の手術していれば、ごきげんで、全体の病院運営は、化け物のような総婦長にほとんど任せ、総婦長は医学的、治療の実際は、この所長に任せ、この所長は、元名誉教授とか元教授たちに、それぞれの分野を割り振って、コレマタ任せ、実際に治療するのが腕自慢の医者たちとなっていた





そのほかに、心理学センターは、財団に対する心理学的なアドバイスもしていたが、病院の患者のための心理学的アドバイスも行い、精神病疾患の治療も行う組織と変わっていた





そして遺伝治療センターが世界一といわれる人員と設備を誇り、各科からの相談にものり、遺伝子治療の実践も進めていた。そして遺伝子治療の研究そして遺伝子分析を行っている、ビックな組織となっていた


新しい子猫たち No.389

2015-02-26 00:00:43 | 新しい子猫たち 

エンジェルホープジャパン病院 その2



エンジェルホープジャパン病院の初診外来は、通院患者と医療スタッフとの関係は不思議な安定状態にあった。神三郎はコスト考えない人なので、忙しい時の事を基準と考えて、医療スタッフを充実させたので、ちょっと多い医療スタッフで丁寧に診察できる状態が続いていた


神三郎は初診外来で時々診察して、自分の専門分野の消化器外科の手術をして、緊急外来の様子をみたりして、自分で納得できる医療をして患者が治れば、それが医者の幸せと単純に思っていた。



神三郎はゼニ儲けとして医療を考えてはいなかった。黙っていても加代子の会社から配当が入り、ジブトラストからの配当も入る、それで裕福な生活はできる。ただ神三郎は医師としての生活がしたかった、そして加代子もそれを望んでいた。


病院としての経理の運営は、事務局に任せ、全体の運営は、化け物みたいな総婦長に任せていた。



加代子の金を減らしてしまう事を一時恐れていたが、香奈の旦那の徹から、


君には君の役割が在る筈だ、それを行うのが君の進む道ではないか、僕にはゼニ儲けで香奈には対抗しようと思わないけど、例え香奈の金を使ったとしても、僕の役割を果たすための金ならば香奈は黙ってだしてくれた。僕の役割を果たすのが僕の生きる道だった。僕はそうしてきた


と言われ、神三郎も自分の役割をしようと決意して、今は専門病棟となった第二病院を作った。その決意をした時からも皮肉な事にエンジェルホープジャパン病院は大きくなり、そして病院運営の赤字では段々と少なくなり、遺伝子治療に乗り出して、一気に黒字転換していた。


患者に医療費請求せずとも、ナンタラカンタラと寄付が入り、遺伝治療センターも各方面から、指導料とか分析料とかがごっそりと入る状態は続いていた。赤字の補填のための筈のエンジェルホープ財団からの寄付さえ、時々の調整程度となっていた。加代子は寄付がゼロとなると、カヨコジャパンの経営陣に文句言ったので、むしろ設備更新とかなんとかの名目で最新式の設備に更新して、無理やり赤字としてその調整をしていた。


つまり、最新式の設備はそろえ、いつもそれを更新していた。









新しい子猫たち No.388

2015-02-25 11:55:21 | 新しい子猫たち 
エンジェルホープジャパン病院 その1



遺伝子治療センターはビックな組織となっていたが、エンジェルホープジャパン病院も巨大な病院に変わっていた



元々神三郎の冶部病院での緊急外来から発展したものだったので、緊急外来と初診外来と神三郎の看板とも云えた専門病棟の消化器外科は神三郎の完全支配下で、これがリアルなエンジェルホープジャパン病院の中核とも云えた。



しかし内科は、マチコジブ記念病院から応援を貰い、産科、婦人科、小児科は、冶部産科婦人科小児科から応援を貰って、発足していた、





それにワシがワシがと云う、腕自慢の外科医を揃えた、専門病棟の外科があって、これが複雑に分けれていた、消化器外科とか呼吸器外科、脳神経外科、小児外科とか細かく分かれ、大きい科では1、2、3とかに分かれていた、





元々初診外来での診察の結果からこうした専門病棟の外科に回すのであるが、実態は初診外来で通院していると、大抵治ったので、余程の患者しか専門病棟には行かなかった。



緊急外来は患者の程度によって、専門病棟に回る確率は比較的高かったがそれでも直ぐに治る事が多かった





内科とか小児科とかの専門病棟の医師は、初診外来と緊急外来に応援をだしていたが、やがては初診外来そのものに属する事になる事もあった





専門病棟はヒマだったと言いたい所が元々の病院から紹介されてくる患者がいた、専門病棟の外科も遺伝子治療を併用して、目覚しい成果を上げていたので、関係病院だけでなくて、日本だけではなくて、世界の大学、病院から紹介されていた。





世界から来る奴は、高い航空賃払ってくる奴らだったので、金持ちが多く、寄付もがっぽりくれていた、





エンジェルホープジャパン病院発足時から、神三郎目当ての特診患者も当然いて、神一とか神二郎経由で頼んできた、当然そんな奴らは、がっぽりとかそこそこの寄付はしていた。





週刊誌で瞬間流れた、金ふんだくられる病院との誤解は底流にあったが、世界では、この病院で手術受ける時の寄付の相場とか云うのは噂されていた。





世界の旅行代理店にはエンジェルホープジャパン病院への入院と手術受付代行サービスとがちゃんとあった。そこにはちゃんと、目安の寄付料金が明示されていた、明示されるとそれよりは少し多い金を出したいと思うのが金持ちなので、その値段は少しつづ上がり、実勢もそれに応じてあがっていた。



こうした事は微妙に漏れて、エンジェルホープジャパン病院は、金持っている奴らの病院と思われていた面もあった。要するに患者が押し寄せてくる病院ではなかった





ただ、自分で調べて、この病院にたどり着く患者たちとか、この病院でさっさと治った患者の親戚、友人などか集まってくる事もあったし、元々金はどうでもいい、さっさと治りたいと思ってくる人とかはやっぱりいた。そこそこの患者はやはりいたのだった。


新しい子猫たち No.387

2015-02-23 00:00:54 | 新しい子猫たち 



珠実とクリス研究所 その2



珠実は自信満々で、クリス研究所に行った。ほとんどの研究員は大学教授又は助教授、準教授クラスの研究員だった。その中の一員として認められたと誤解していた。





香奈の家の猫の部屋で見る、クリスは大人しい猫だった。クリスも姑のココの前では、猫被っている猫だった。ココは気が強い猫だったし、ココに逆らうような愚かな事はしなかった





クリス研究所でのクリスは、自信に満ちていた、研究員たちの質問にも淀みなく答え、あらゆる事を知っているかのような態度だった。クリスの回りの若い猫たちでさえ、自信に満ちていた





珠実の持っていた知識では、手も足も出なかった。到底話題の中に入っていけなかった



杉山は、クリスがまとめていた論文の整理をするように、珠実に言った。クリスは断片的に論文を書いていて、論文と云うよりはメモに近いものだったので、それをまとめて、論文として発表したかったのだった





珠実は読んでも、さっぱり判らなかった。クリスに聞くと一応答えてくれるが、その説明もさっぱりわからず、引用する論文は多岐に渡っていた。





珠実は、それでも平然としていた。ガッツを持って勉強していれば、その内には判るさと思っていた。それよりもクリスのしていた、リトルチャエメラルドが気になった、香奈の家の猫たちの高齢猫がしているのはしっていたが、クリス研究所でクリスがしていたネックレスのエメラルドの輝きは違っているように見えた。





珠実は、香奈におねだりをして、小さいエメラルドだったが、リトルチャエメラルドのネックレスを買ってもらった。とても高い宝石だった。





香奈のゼニは、毛利貴金属が手数料を取り、リトルキャット貴金属に渡した。リトルキャット貴金属がもっていたリトルチャエメラルドは、リトルチャが蹴って見つかったものを冶部ホテル伊豆から安く買ったものだった。





リトルキャット貴金属はリトルキャット運用会社が100%近い株式を持って、猫野にもほんの少し株式を分けていた、そしてリトルキャット運用会社は、香奈ファイナンシャルが100%近く株式を持っていた。



ゼニはなんの事はなく、冶部一族の間を帳簿上、動いただけで、ほとんどの金は、香奈か香奈一族が株式をほとんど持っている香奈ファイナンシャルの各組織に流れただけの話とも言えた。





珠実は、このネックレスを身につけてから、今までなかなか判らなかった論文もよく判り、頭も冴えてきた、それでもまだ知識と経験の差は大きかったが、持ち前のガッツで頑張っていた。