洋治は リトルキャット勢を高く評価し これを化学の助けにならないかと思って出資したのであった。チャタロウも 化学グループを利用しようと考えた。リトルチャはもっと深く考えた。ただ表面的には 治部一族の代表とも云える紡績との関係を暗に上げて 香奈に説得した。香奈もリトルチャとかチャタロウの真意も判り 納得していた。それに猫たちと敷地内の治部一族の有力な家系と仲良くする事は好ましいと香奈が考えたのは無理はない。
化学は実に多岐に判る子会社群を持っている、紡績の子会社対策を知って色々と考えた、紡績はあまりの社員福祉をしているために、その負担のない子会社群を作らないと始まらないし、気概のある若手に 起業と云うか独立と云うか子会社になってみないかの道を提示していた。資本も出してもらえて中心とした技術を使えようにした。そしてそれは成功していった。そのために紡績の中央研究所は基礎となる技術を貸し出した。中央研究所は世界で有数の化学系研究所となったが 初めは知財対策で充実しようとしたものでもなく 単純に紡績クループの技術的な柱になろうとしたものだった。
そして 幾つかの研究ベンチャー企業と手を結び 益々大きくなっていった。当然そういう人材も会長室で抱えている。紡績の会長室は 洋太郎の秘書では毛頭ない
洋治を介して 紡績グループとも猫資本は協力関係を結んだ。洋治も仲介していった。洋治は色々と多様な業界についての知識は深かった。化学の会長は折に触れて 洋治と連絡を取り 相談したが 挨拶なんかではなかったのだ。
猫資本と 化学との協力関係も 当然 こっそりと進んだ。リトルチャグループは業務は多岐に渡るが金融資本としても実は大手なのだ。そしてリトルチャは神之助とも親しく、神之助グループは海外の銀行グループを持っているがそれほとんどは 投資銀行。金持ちたちの資産運用を助けている銀行なのだ。海外進出の時に大変役に立つのだった。
有希エンタープライズを実質的に預かった アイツは当然 これらの関係を利用していった。直接的な販売網を持つ チャタロウグループとの協力関係は深く、有希エンタープライズの社員福祉は知らない間にチャタロウグループと近似していった。アイツもそれは初め 渋々認めたが その有効性に気が付いて チャタロウグループでは考えていない業務としても役に立つように工夫していった。
ただアイツは自分の悪名を むしろ利用したいタイプだったので それはこっそりとしていた。大体 有力ブランドの実質的なオーナーはどこかなんか人は気にしない。そして会社として宣伝もしないし、社員たちも外部にたいして話す事は少ないのだ。もっとも 有希でさえ 有希エンタープライズの社員福祉が そんなに進んでいるとは思っていなかった。