のら猫の三文小説

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香奈とコシロの子供たち No.164

2013-11-09 00:00:32 | 香奈とコシロの子供たち

ボッタクリの瑠璃


敷地内と隣接するような山脈は、元々大同機械の創業者一族が持っていた。北の山の端にはご先祖様が作ったお城の城跡まであり、少し平らな盆地まであった。ただ山の中なので、荒れ果てていた。




カミカミのアフリカの機械会社が、日本で販売し、窮地に陥った時に言葉巧みにこの山脈を売らないかと言ってきた人がいた。山なのでそんなに高くかえないけど、持っていても仕方ないでしょうとか言ってきた。提示された値段もそれこれ二束三文だったが、何しろ広大な山脈なので、総額では相当の金になった。




仕方なしにこの山脈を売って大同機械の配当を出せるように、その金を大同機械に増資した。神太朗が売り圧力を強め、株価も上がらず、成績も悪かったが、油断して株価を下げると神太朗が突然に買いに転じ、買い占められる恐れもあった。




この山脈を買ったのは、瑠璃鉱業と云う会社だった。あまりに安いので、城跡を含む盆地部分は腹が立ち、売らなかった。瑠璃鉱業も欲しいとは言わなかった。瑠璃は気まぐれで城跡を見に行き、転がっていた石を持って帰り、成分分析をした。あるレアメタルがそこそこあった。




本格的に調査しようと思い、自分の個人会社を使って、そんな事はおくびにも出さず、買い叩いて買っていた。金は香奈オフィスから借りた。




お城近くの山を調べると、そのレアメタルは本当にあった。瑠璃はそこら中を堀り、採掘費用が少ない所、地表近くに集中的にある部分に鉱山を作った。鉱山と云っても露天掘りに近いものだった。




採掘費用も安かった。そのレアメタルは電子機器に需要があった。突然と高くなり、瑠璃は一気に多量に掘りつくし、そこそこの値段で香奈オフィスに売り、香奈オフィスは高い値段で売り、瑠璃鉱業も香奈オフィスもやたらと儲けた。




あまり価格が高いので、代替品の開発とか、使用量を抑える方法とかが開発され、値段は一気に下がった。瑠璃鉱業の鉱山からのレアメタルの純度も落ちてきた。精錬というか、純度を高める費用が飛躍的に増えていった。




とりあえず鉱山を掘るのは止めて、様子を見る事にした。瑠璃は、なんとかいう動物と同じでしゃぶり尽くすと次の獲物を探す習性があった。鉱山もそれこそ掘ったらかしにした。




瑠璃が大儲けした事は、悪事千里を走り、大同機械もその事は知った。大同機械はその後、アフリカカミカミの傘下に入り、その時の悔しさを神太朗にぼやいた。




城跡からの風景も穴ぼこだらけになり、その小さい盆地も更に荒れ果てた。住んでいる人もいなくなり、地価はただ当然のように下がった。その後、香奈オフィスに組んで、旧大同機械がまだ持っている山の資源調査をする計画を、神太朗が立てた。




ボッタクリの香奈オフィスと手を組むのは気に入らないと、旧大同機械側は、ゴネたので、神太朗は、ジブの里にも近いので、その盆地部分は、下がった価格ではなく、以前の通常の価格で、城跡を含む広大な盆地をカミカミとして買ってあげた。




まだ、カミカミは、まだ神太郎が仕切っていて、やたらと儲けていた時なので、神子も神之助どころか正子も知らない事だった。神太朗は新宿の不動産チームにその手続きをさせ、ちゃんと経費もカミカミが負担した。城跡は、大同機械の創業者一族のご先祖様の作ったものなので、公園として保存する事まで約束していた。




瑠璃は、この山脈を今度は香奈オフィスにまだまだレアメタルは取れると理由をつけ、通常の市価、つまり瑠璃が買った値段の3倍で売却してさやを抜いた。




瑠璃としては、相手が香奈オフィスだったので、おまけした値段だった。元々市価で売るのは正しい選択でもあった。瑠璃は香奈オフィスの社長でもあった。譲渡だの、財産隠しだのと言われる可能性もあった。




それに、この山脈には、一つの鉱山があった以上、あのレアメタルが埋蔵している可能性も高いと思い、奈津美も黙って買う事を承諾した。単に、二束三文で買った瑠璃鉱業が、ズル賢かっただけであった。




香奈オフィスの土地になったので、奈津美はこの山脈一帯の調査を資源探査ロボットにやらせた。本当にこの山脈全体に、このレアメタルはあった。多くはそんなに純度は高いとは言えなかった。数箇所、ジブの里近くの山の山頂付近、直ぐ隣の山など、いくつか、かなり高い所もあった。




そのレアメタルの価格も下がり、奈津美は他の仕事も一杯抱えていた。奈津美は又このレアメタルの価格が上がったら、採掘を検討しようと思っていた。




報告書を瑠璃に渡して他の仕事に専念した。瑠璃はいい歳なので、海外には行かなかったし、敷地内にいて、奈津美の報告を受ける事が多かった。要するに暇だった。




瑠璃は報告書をよく読んだ。まさしく、意外な報告書だった、しゃぶり尽くした骨と思ったのに、思いがけず肉がついていたのを知らずに、捨てたような気になった。




香奈オフィス名義になっても、香奈オフィスの瑠璃の報酬は利益比例だったので、更に調査する事にした。まず一番、行きやすい、ジブの里に近い山を調べる事にした。瑠璃もこの敷地から離れると疲れやすい歳であった。




奈津美からの報告書を見ながら、瑠璃は直接指導して、その周辺をあっちこっちとボーリング調査させていった。瑠璃は、掘った後始末する気もなく、やたらと掘った。




山は、穴ぼこだらけにはなったが、面白い事が判った。地面より段々深くなると、どんどん純度が高くなっていた。頂上付近を10メートル近く掘ると、ほとんど純品といってもいいほどだった。




さすがロボットにも深い所は、良く判らなかった。山の端から麓一帯には山林があった。その山林を切り開いていった、そして採掘場まで道をつくる工事も計画していた。最後にジブの里の美術館の外周の道路に通じる計画だった。




ところが、突然そのレアメタルの価格が上がりそうになった。何でも新しい電子機器の開発には必須とか言われ出した。携帯を超える携帯との前評判だった。




瑠璃は採掘を急ぎ、道路の完成をまってはいられらなかった。コンベアみたいなもので山の麓まで、掘ったレアメタルを移動して、元々山林だった所に、木を切り倒して、山積にして、それをトラックで、処理場に運んでいた。面白いように儲かった。






香奈オフィスの採掘には、ほとんど人手を使わない、ロボット主体の採掘だった。元々ロボットは瑠璃の注文で作られたのが発端なので、採掘用のロボットは進化していた。




穴ボコだらけのハゲ山そしてボタ山みたいなレアメタルの山は、見苦しい限りだった。山の中ではいざ知らず、そこは、ジブの里から丸見えだった。時には雨も降った。ボタ山みたいなレアメタルも雨にあたり、レアメタルのボタ山からポトポトと汁みたいなものを落ちて、更に見苦しい風景だった。




冶部の里は、暇で元気な高齢者や超高齢者がいて、みんなでそれを見ていた。とうとう香奈は、瑠璃を呼び、ちゃんと道路ができるまで待ちなさい。道路も自然と調和したものにしなさいと命令した。香奈は依然として香奈オフィスの会長だった。




ボタ山みたいなレアメタルも処理場に全部運びこませた。コンベアみたいものも撤去させ、穴ボコだらけの山も植林させる事にした。辺りの山林だった所もちゃんと整地させた。




一挙にジブの里には、広大な空き地ができた。一方、奈津美も大した女だった。鉱山も整備に時間がかかっているとか言って、香奈オフィスの世界的シェアの高い、このレアメタルの出荷を制限して、値段を高値安定させていた。




ジブの里には、広い空き地ができたが、しかしうまくいかないもので、その頃には、ジブシティーもそろそろ建築も一段落していたし、研究センターや大学院大学もほとんど基礎建設工事は終わりかけていた。




しかしこれに目を付けたのは、牛乳好きな聖子だった。乳牛の牧場としては、美術館前の牧場は小さすぎた。そこで搾乳場や食品加工場などを、ここに移転する事にした。以前の牧場は肉牛専門とした。エンジェルスターやパワースターもやっばり植えた。これは、分岐状の水やリング状の水とか云った問題だけではなく、乳牛の大好物だったからでもあった。




聖子は、押しが強く、瑠璃は、あっさり同意した。瑠璃は、同類のような人には、弱いハゲタカでもあった。この空き地対策には俊子も興味をもっていた。増えていく子供対策のために、マンション建設を考えた。




陽太のためのマンションみたいな大きな家の建設に夢中になっていた神子ではなく、神之助にマンション建設を頼んだ。これがまずかった。




何をするか判らない神之助であった。しかも神之助には金があった。そして強烈に大きく、豪華な高層マンションをなんと2棟も建て、一挙に150戸以上もあるマンションが出来た。




このマンションは、各部屋は広かった。4LDKが普通サイズで5LDKやそれ以上の部屋もあった。冶部の里には、子供が多かったので、部屋は普通よりも多かった。その上、大きくなった子供用の部屋として、一つの部屋が大きい1LDKサイズの部屋も相当作っていた。




それはホテルのジュニアスイートみたいな部屋だったが、ホテルのジュニアスイートとは違い、子供たちに万一の事故のないように、1階や2階の低層階に作り、しかも子供たちがみんな仲良くするように、そんな部屋を集めていた。そんな部屋は、部屋数に含んでいなかった。




勝手に音楽ホールやそれに接続するように神香用の家まで建てた。神香がコンサートをしやすいように考えた。この家も強烈に大きい家で五階建ての50室もある家だった。神子が建てようとしていた家に対抗した。しかも山を背景に広大な庭があった。神之助はケチくさい事が嫌いだったので、この山林の跡地を全部売ってくれと瑠璃にいったが、もはや香奈オフィスの所有地だったし、香奈に説明するのも面倒と思って、香奈がうるさいとか言って、借地契約とした。神之助も香奈だけには頭が上がらなかったので、従った。




「神子ちゃんも漸く、大きな家を建てようと姫子ちゃんと相談しているわ。ジブシティーの建設も落ち着いたからね。でも神之助君も大きな建物を建てているわよ。あそこは、全部広い牧場になると思ったのに。」
香奈「あれは俊子さんが、子供たち用の家がいると言って、神之助君に頼んだらしい。牧場だけでは勿体ないと言って、俊子さんが聖子ちゃんに言ったのよ。聖子ちゃんも案外俊子さんに弱いのよ。一応香奈オフィスの土地らしい。瑠璃も貸したよと言っていた。」
「それでも大きいわよ、何棟もあるわよ。そんなに人はいないよ。」
香奈「まあ神之助君はチマチマ建てるより、大きい建物を建てれば、一回で済むと思っていると思っているんじゃないの。」
「私の家も子供が一杯いるから、助かるけどね。」