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時代の先駆者

2007年08月13日 | 日々の雑感
時代の先駆者

昨日の「なんでも鑑定団」で(といっても去年の10月頃の再放送だが)、牧野義男という画家の霧のロンドンを描いた水彩画が2000万円するという鑑定が出て、鑑定士も鑑定団史上めずらしい発見と言っていた。

牧野義男という画家は、夏目漱石と同じく明治元年生まれで20数歳にしてすでに単身アメリカに飛んで絵の勉強をしていた。もちろん私財をなげうっての渡米で、皿洗いなどのアルバイトをしながらの勉強であったが、まったく芽が出ず、イギリスに渡ったのが1900年頃で、そこでやっとのことで画商に認められ、霧のロンドンを描いた水彩画集がロンドンで絶賛されたとのこと。

熊楠もかなりはやい時期からアメリカに渡っているが、この画家の場合にも同じで、ちょうど漱石が官費留学生第1期生としてロンドンに渡ったころに、牧野もロンドンに渡っている。

明治時代の激動期、日本国内だって食べていくのがやっとのような時代に、言葉も分からなければ、身よりもないし、同胞だってまったくいないような外国の地に行って一旗あげようという覚悟がすごい。熊楠には類まれな記憶力があったが、この牧野という人の場合にはけっして最初から画家になろうと思っていたわけではなく、アメリカに渡ってから絵を描き始めたようだ。

もちろん医学とか自然科学の分野の場合には欧米が先進国だったわけで、否が応でもヨーロッパに渡って勉強してこなければならなかったわけだが、なんのあてもなく、見知らぬ土地にいけるものだろうか?現代でさえも、私はアメリカなんか行く気がしない。
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