読書な日々

読書をはじめとする日々の雑感

『マルクス 資本論』

2018年08月11日 | 人文科学系
佐々木隆治『マルクス 資本論』(KADOKAWA、2018年)

最近よく読んでいる佐々木隆治によるマルクスの『資本論』(第一巻)の解説本である。第一巻のほぼ全体を、マルクスの抜粋と佐々木隆治の解説という形で網羅している。

内容的には以下の通り。
◆第一篇 商品と貨幣
◆第二篇 貨幣の資本への転化
◆第三篇 絶対的剰余価値の生産
◆第四篇 相対的剰余価値の生産
◆第五篇 絶対的および相対的剰余価値の生産
◆第六篇 労賃
◆第七篇 資本の蓄積過程
全体で25章ある。

当時の古典派経済学だとか思想家、またイギリスの労働運動などを前提として書かれている箇所は、そうした思想的コンテクスト、政治的コンテクストが分からないので、頭を捻る箇所が多々あるが、それ以外の理論的な箇所は、よく理解できる。

やはり学生時代に取った杵柄というやつで、学生時代に経済学部の人たちとあーじゃ、こーじゃと言いながら、議論したことが身についている。

一人でさ~と読んでしまうと、小説ではいいけれども、こうした理論書の場合には、本当に理解しているとは言えない状態で、読み終えてしまう。いろんな考え方を知るという意味でも、あれこれ議論しているうちに意味が分かってくるという意味でも、その議論自体がなんらかの結論を引き出すものでなかったとしても、それなりに意義がある。

第23章の「資本主義的蓄積の一般的法則」で書かれている相対的過剰人口の姿など、現代の非正規雇用の増大そのままで、決して『資本論』は古びていないと思える箇所がたくさんあった。

急ぐことはないので、これからも何度も読み返したり、関連する本を読んでいこうと思う。


この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 大山旅行 | トップ | 『ソ連国家資本主義論』 »
最新の画像もっと見る

人文科学系」カテゴリの最新記事