読書な日々

読書をはじめとする日々の雑感

『ラインの黄金』

2017年03月05日 | 舞台芸術
ワグナー『ラインの黄金』(びわ湖ホール)

びわ湖ホールのプロデュースオペラとしてワグナーの『ラインの黄金』を見てきた。「ニーベルングの指環」第四部のうちの序夜になる作品である。

ニーベルング族の小人のアルベリヒは「愛」を放棄したのと引き換えに、ラインの乙女たちが守るラインの黄金を奪い、魔の指輪を作って王となり、世界支配を狙っている。天上の神の長であるヴォータンは巨人族にヴァルハル城を作ってもらった代償として、妻フリッカの妹で愛と青春の女神のフライア(彼女が栽培するリンゴは神々にとて若さと活力の源である)を奪われることになる。

それに代わるものとして巨人族は黄金を要求したので、ヴォータンと火の神のローゲは地底に赴いて、アルベリヒを騙して天上に連れ去り、黄金をもってこさせ、さらにアルベリヒがもっていた金のスカーフと指輪を奪い取る。その時アルベリヒは指輪に呪いをかける。その結果、フライアを取り戻すために巨人族にわたした指輪のせいで巨人族は兄弟で喧嘩になり、兄が撲殺される。

まずラインの乙女たちと小人のアルベリヒのやり取りはライン川の水中で行われるという設定になっている。この舞台では、舞台前面に置かれたシルクスクリーンのようなものと舞台奥のスクリーンに映し出された水中の揺らめく中をラインの乙女たちが泳ぎ回る映像と、個々の乙女が歌うときに生身の役者を登場させることで、じつに見事に水中の雰囲気を出していた。私はこれを見た時点で完全にこの演出に感心させられた。

というのはびわ湖ホールが主催したワグナーセミナーにも私は参加していて、そこでこの箇所を過去の上演でどんなふうにやっていたかという話を聞いていたので、ずいぶんと興味を惹かれていたからだった。

この第一場が完全に成功していたので、私はあとは少々変なところがあっても(例えば、巨人族の演出など)、わりと作品世界に入ることができた。さらに、第三場で、ヴォータンとローゲが地底のアルベリヒのところに行った場面。ここでは何にでも変身することができる金のスカーフを自慢するアルベリヒが大蛇に変身した場面の演出がじつに見事だったので、ここでも感心した。

全体として、映画の『ロード・オブ・ザ・リング』の原作みたいな知識しかなかったが、休憩なしの2時間30分で上演されたこのオペラで、ワグナーって面白いなと思った。大阪の南から琵琶湖くんだりまで出かけただけの甲斐があった。来年は「ワルキューレ」だそうだから、楽しみにしておこう。

今回は、いろいろ迷った末(せっかくだから京都見物でもしようかとか、京都三条で昼食でもとろうとか)、梅田まで南海と地下鉄で行って、梅田で昼食をとった。「司」という和食屋さんで、カツオのたたきと和野菜の炊いた定食をいただいた。昼食は量を少な目にしているので、ちょうどよかった。

そしてJRの新快速で一気に大津へ。本当は膳所まで行って、そこで京阪に乗り換えて一駅戻るとびわ湖ホールに近いので、その予定だったが、大津についてみると、まだ時間はたくさんあるし、暖かそうなので、歩いて行ったが、正解だった。

終演後は、浜大津で一泊した。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 母親の実家に滞在中 | トップ | 『テレマックの冒険』 »
最新の画像もっと見る

舞台芸術」カテゴリの最新記事