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仏教ライフを考える西原祐治のブログです

なぜあなたは自分の「偏見」に気づけないのか②

2023年03月09日 | 日記

『なぜあなたは自分の「偏見」に気づけないのか:逃れられないバイアスとの「共存」のために』(2021/10/15・ハワード・J・ロス)からの転載です。


ジョー・ハンデルスマンは、ハワード・ヒューズ医学研究所の分子細胞生物学、およびイェール大学の発生生物学の教授で、ホワイトハウス科学技術政策局の科学担当次長も務めている。このハンデルスマンと研究チームは、男女の科学者の能力差が何世代にもわたって縮まらないのは何らかの力学によるものではないかと考えた。そして研究室のスタッフを雇うときにジェンダーが影響をおよぼすかどうかを調べるため、いささか単純な実験を企画した。この単純といえば単純な試みにおいて、ハンデルスマンは私立大学3校と公立大学3校の科学の教授と連絡を取り、ラボマネージャーの職を希望する新卒者の評価を依頼した。そして1枚の用紙に志願者の経歴を書き、すべての教授に同じものを送った。経歴は意図的に、有望だが非凡とまではいかない内容に調整された。ただし、ある志願者の名前はジョンとし、ある者はジェニフアーとした。それ以外の要素は、どれもまったく同じだった。

 この依頼に、全部で127人の教授か応じてくれた。結果は興味深く、同時に悩ましくもあった。教授たちには、志願者を7段階で評価してほしいと頼んであったが、総合的な能力として志願者の「ジョン」につけられた点数の平均は4だった。いっぽう「ジェニフアー」は3・3だった。志願者を雇いたいと思うかという質問に対し、教授たちはジョンを雇いたいと考え、しかも進んで指導したいとまで考えていた。

 また、教授たちは志願者に払う初任給を提案するように求められた。志願者ジョンは、年収3万328ドルに値ずると考えられた。志願者ジェニファーの場合は、2万6508ドルだった。

 おそらく最も驚くべきは、女性の教授たちの回答が、男性の教授たちと実質的に同じだったことである。往々にして科学者は理性的と思われがちだが、この研究結果を見るかぎり、科学者がほかの誰よりも理想的といえるだろうか。この特異な研究が示した事実からすれば、とてもそうは思えない。(以上)

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