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仏教ライフを考える西原祐治のブログです

千鳥ヶ淵法話原稿①

2023年09月19日 | 浄土真宗とは?
千鳥ヶ淵全戦没者追悼法要法話原稿です。少し加筆して3回に分けて掲載します。

 地球が誕生して46億年。原始の地球は、現在の10分の1、10数回の小惑星との衝突が相次ぎ、数百キロメートルの深さのマグマオーシャンであったようです。最後にジャイアントインパクトといわれる、火星大(地球の十分の一)の惑星との衝突が起きます。この衝突は地球に対して斜めに起こり、地球表面のマントルを大量にはぎ取り、地球のその熱エレルギーによって中心付近までマグマと海をつくったようです。はぎ取られたマントルは、円盤状になって地球を取り囲み、一ヶ月程度で円盤の物質が集まって月が誕生したとあります。できたばかりの月は地球から約2万kmしか離れておらす、やはりマグマの海で覆われていた。また、衝突によって地球の自転軸は傾き、自転も加速されて数時間で自転し始めた。自転速度は次第に減速し、それにつれて月は地球から徐々に離れていく。現在も地球の自転速度は数年で秒速1ミリ程度遅くなっていて、月も1年間に3cmほど地球から遠ざかっているともいわれます。現在の地球と月の距離は、38万キロです。
地球というマグマの星を、窒素、一酸炭素、二酸化炭素、水蒸気なの大気が覆い、安定してくると大気の90% 以上を占めた水蒸気が、雨と成って降り注いだと言われています。最初に降った雨は摂氏300度、150気圧の中の出来事で、その雨は数千年降り注いだようです。そして海ができ、その海の中に、私たちの命の源となる生命体が誕生しました。38億年とも言われています。
 神奈川県立 生命の星・地球博物館に35億年前の地球最古のバクテリアの化石が展示されています。西オーストラリアで発見された化石で、すでに光合成を営み酸素を排出する有機体の化石複雑な構造をもつと言われています。以来、35億年、この生命体のいのちの連鎖は、一つの方向を向かって進んでいったようです。それは弱肉強食、強くあれ、賢くあれと願い、その時の環境に適応して今日に至りました。それは花の美しさから人間の賢さに至るまで共通した願いであったようです。
 しかしこの弱肉強食のいのちの連鎖の中で、弱く愚かにはかなく終わって行った命は、無数にあったことは申すまでもありません。この弱く愚かに虚しく終わっていった命が流した涙は、四大海水、全地球の海の水の量より多いと『涅槃経』に説かれています。
 この大海の如き、弱く愚かに終わったいったいのちは、阿弥陀仏の大悲とは無縁ではなりません。
この大海の水のごとき弱く愚かにはかなく終わっていった命を、見捨てることなく摂め取るという慈しみの世界を、お釈迦さまは、お覚りとして体験され、ある日、そのお釈迦様は、すべの命ある存在を、虚しく過ぎることなく攝取してくださる阿弥陀如来という仏さまがおられますというご説法をされた。これは私たちの浄土真宗のみ教えです。親鸞聖人は、

如来の作願をたづぬれば
苦悩の有情をすてずして
回向を首としたまひて
大悲心をば成就せり
(『正像末和讃』)

阿弥陀様が、すべての人を無条件に救うという願いは、悲しみと苦しみの涙に終わっていった命を見捨てることが出来す、全ての存在を救うという慈しみと成って、私の上に、お経の言葉となり、私たちの称える念仏と成って、至り届いていますとご和讃されております。(つづく)
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