仏教を楽しむ

仏教ライフを考える西原祐治のブログです

親切の人類史①

2023年03月22日 | 現代の病理

『親切の人類史――ヒトはいかにして利他の心を獲得したか』(2022/12/20・マイケル・E・マカロー著)、図書館の新館コーナにあった本です。

 

本書は、人間の利他行動の列挙から始まる。


埋解を深めるため、チンパンジーにできないことを列挙してみよう。もっとも近縁の霊長類とは対照的に、米国では毎年。150人以上、英国でも100人近くが、赤の他人に腎臓を提供している。エルサレムにある世界ホロコースト記念顫は、ホロコーストの惨禍の中、死や投獄のリスクを侵してまでユダヤの人々を助けた、27.362人もの非ユダヤ人の栄誉を称えている。力-ネギー財団は、他人の命を救うため、覚悟の上で自ら重大な危機のなかに身を投じた米国の一般市民を、これまでに1万人以上も表象している。。カーネギーメダル受賞者の五人に一人は、死後に賞を授かっている。命を救おうとしたまさにその行為によって、かれらは亡くなったのだ。もちろん、英雄たちのほとんどは、メダルには縁がない。(以上)

 

利他の心は、学習によると次の様に結んでいる。以下転載。

 

 進化はわたしちちに、遠く離れ場所にいる赤の他人への思いやりを授けなかった。生まれてもいない他人や、国境を越えて入国しようとする他人ともなればなおさらだ。しかし、進化はわたしたちに学習能力を授けた。だからリチャード・ドーキンスば『利己的な遺伝子』で、思いやりの教育が必要だと主張した。

もしあなたが、私と同様に、個人個人が共通の利益に向かって寛大に非利己的に協力し合うような社会を築きたいと考えるのであれば、生物学的本性はほとんど頼りにならない……私たちが利己的に生まれついている以上、私たちは寛大さと利他主義を教えることを試みようではないか。

 

 チャールズ・ダーウィンもまた、寛大さと利他主義は、わたしがちが拡散する遺伝子ではなく、わたしたちが説く教訓のかかにあると考えた。ダーウィンは『人問の由来』のなかで、全人類への思いやりが「尊重され、いくら・かの人間がそれを実行するようになると、教育と子どもに対するお手本を通してそれが広まり、ついには公共の意見となる」と想像した。(以上)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 領解文ー本願寺派4僧侶が議論 | トップ | 喚びたまふ 仏の御声のなつ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

現代の病理」カテゴリの最新記事