仏教を楽しむ

仏教ライフを考える西原祐治のブログです

喪装

2012年03月14日 | セレモニー
去る11日(24.3)、政府主催の東日本大震災一周忌追悼式がありました。追悼法要と言わないところが政政府色で、「法」は仏教をさす言葉なのでしょう。

その夜のニュース番組で、美智子皇后さまが和服の黒喪装で出席されているのを見て、“これはめずらしい”と印象的でした。

美智子皇后さまは、秋の園遊会で和服をお召しになることもあるので、違和感はありませんでした。実父の葬儀でも和装をご着用されていたとのことです。

政府主催の行事では、何かお考えがあってのことかとも思われます。ちなみに昭和天皇が崩御された際は、当時の美智子様は洋装の黒喪服姿でした。これは大正4年の皇室令で、「皇族の葬儀の衣服として、洋装の喪服を黒」とされ、女性の場合は、透けない黒の詰襟長袖のフォーマル・ドレスに帽子に黒ベールを付けた姿です。


仏教では「法式故実」(ほっしきこじつ)という、伝統をかんがみて儀式作法を研究する分野があります。同様に公家故実、武家故実があり、これらを求めて有職故実(ゆうそくこじつ)といいいます。古来の先例に基づいた、朝廷や公家、武家、仏教界などの行事や制制度、風習、儀式、装束などを考察することです。

その有職故実に「衣紋道(えもんどう)」というものがあります。衣紋道とは、ごく簡単に言ってみれば十二単衣(じゅうにひとえ)や束帯(そくたい)などを着る方法を伝えるものです。これに則った衣装だけが皇室の伝統衣装です。

一般的に言う「和服」は、皇室および公家の衣装ではありませんでした。武家や町人の着るもので、皇族の伝統衣装は、束帯や十二単です。

これは同様に、僧侶が正式の場で紋付羽織袴を着用することにも、違和感があります。日本の伝統衣装は、それぞれの分野で、その分野ごとの正装を着分けるきめ細かさが、伝統なのでしょう。

喪服の黒色については、仏教界では喪装は「鈍色(にぶいろ)」(濃いねずみ色)装の装束です。宮中でも「忌色」は、「黒つるばみ」と「鈍色」です。


天皇の喪服は「錫紵(しゃくちょ)の御服」と呼び、厳密には「錫色(すずいろ)」で、濃いねずみ色で、「黒つるばみ」というのは、「どんぐりで染めた黒」という意味で、厳密には焦げ茶が極端に濃くなって黒になった色をさすようです。そして喪の期間が一定期間を超えるとか、関係の少し薄い場合は、「鈍色(にびいろ)」というグレーに少し藍のかかった色だそうです。
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