1月9日土曜日(2021年)第8回がん患者・家族語らいの会がオンライン講演会、
講題 「周産期医療ドラマ「コウノドリ」の医療監修で伝えたかったこと・気づいたこと」講師 豊島勝昭氏について、過日紹介しました。
この先生のご著書『NICU命の授業: 小さな命を守る最前線の現場から 』(2020/8/19。・豊島勝昭著)を購入して読みました。講演の中でもお話しされていたことですが、その中から一つだけ転載して紹介します。
患者家族の軌跡
この子がいるからこそ知ることができた想い
告知を聞いて泣いた日
ダウン症は、染色体異常によって起こります。私たちのNICUには、年間400人の入院患者さんのうち、毎年ダウン症の赤ちゃんは30人前後います。しかし、ダウン症だから入院するわけではありません。ダウン症の赤ちゃんは、心臓病や食道や腸の病気、血液の病気などがある場合が多いので、その治療のためにNICUに入院してきます。
2008年に生まれたけいたくん。血液の病気で私たちの病院に運ばれてきました。重症だったので、ご両親には「もしかしたら3ヵ月以内にごくなってしまうかもしれません」ということと、顔つきなどから「ダウン 症だと思います」とお伝えしました。その後、けいたくんの病状は回復し退院することができました。今もNICUフォローアップ外来で成長を見守らせてもらってます。
けいたくんのお父さんは小学校の先生です。このお父さんが勤めている学校で、いっしょに命の授業を続けてきました。けいたくんのお父さんが命の授業のときに、生徒さんに語っていた言葉を紹介します。
「先生は、どんな子にも幸せになってはしいと願って、学校の先生になった。息子がダウン症だと告げられた日のことは忘れられない。病院から学校へ戻るために車を運転したときに、どしゃ降りで前が見えなくて、危ないと思いながら運転していた。でも、学校に戻って車から降りると雨なんて降っていなかった。どしゃ降りだと思っていたのは、先生の止まらない涙だったんだ。一生でいちばん泣いた日だと思う。先生は自分のことを差別や区別のない人間だと思っていだけど、息子がダウン症と言われたとき、すごく悲しかったんだ」(以上)
自分の心の中に、ダウン症実子を差別するこころがあったことを知って涙が止まらなかったという。スゴイ先生がいることに頭が下がりました。