『PTGの可能性と課題』(著者宅香菜子編集)を県立図書館から借りてきました。
PTG(Posttraumatic Growth・ポストトラウマティック・グロウス)とは、大変つらい出来事や突然の不幸な出来事に直面した人が、さまざまなストレスを経験しつつ、苦悩と向き合う中で生じる人としてのこころの成長を表すことばです。
興味深いところを転載してみます。この本は27人、その分野の研究者が執筆われている。その中に「成長の旅路を伴走する」というタイトルで開浩一(長崎ウレスレアン大学准教授)氏が執筆されている。この方は車椅子での生活をされている方です。以下転載。
「車いすになってよかったことは何ですか」
小学校5年生の女の子から投げかけられたこの何気ない問いかけ。筆者にこれほど大きな衝撃をもたらした質問はかつてなかった。衝撃を受けた理由は筆者に2つあった。まず,これまで誰からもたずねられたことがなかったこと。そして,自分ですら一考えたことがなかったことにある。
交通事故により車いすを使うようになった筆者は,多くのものを失い困難さを抱えながら生きてきた。よかったことなどあるのだろうか。スイッチが入ったかのように頭の中をひっくり返してよかったことを探し始めた。この少女の問いかけは何かとても大事な意味があるように感じた。
それからほどなく,偶然にも「外傷後成長」という概念に出会った。少女の問いかけとPTGという概念が結びついて,日の前の霧が晴れたように感じた。 トラウマ後に成長する可能性があるとするならば,筆者が事故に遭ったことにも何か意味があり,事故後の人生のすべてが悪いことばかりではないように思えた。これが,PTGを研究するきっかけとなった。(以上)
一つの言葉によって未来が開かれていったという事でしょうか。問いを与えられることの大事さが思われました。つづく