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超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

よしづきくみち「クローンフィーユ」で参戦!別冊少年マガジン2013年2月号 感想

2013-01-12 00:44:52 | 漫画(雑誌感想)









取り上げる作品が多いので簡易気味です。でも頭からケツまで楽しめる雑誌だと思います。









◆クローンフィーユ

よしづきくみちの新連載。別マガの空気にはピッタリですね。

一応ラブコメ?だとは思うんですが主人公のワカメ髪の方が目立ってますね(笑
コメディとしては正解、かつ組み合わせ的な意味合いでもちょっと背徳的な感じがして楽しい。
だけど、このテーマ性はある種他人と同じ人間を望むこの世界に向けての
一つのアンチ的な思想も含まれてるんでしょうね
別にいてもいいよ、というか
存在承認の為の作品というか。転がし方次第ではかなりの良作になりそうな予感がするので
是非頑張って人気を獲得していってもらいたいですね。やっぱりこの方はピュアな表現が巧い。

と、同時に挨拶代わりのサービスシーンもあったりしてそれもまた良いですね
ノエミのさりげなく漂ってくる無垢な色気も印象に残りました
主人公の存在がどう受け入れられるかは心配ですが
勝手に嫌われるなら~の辺りの心情は
案外誰しもが一度は感じた事なのではないか、と 心も温まる良い具合の滑り出しだったと思います。
一番面白かったのは寛造がノエミを追い掛け回すシーンですかね(笑
いくらなんでも勘違いしすぎだっ。



◆さんかれあ

気が付けば相当雰囲気漫画になりつつありますね
その分、オチが沁みる感じで読後感は相当に良かったです
なんというか、表面上だけでなく水面下の色々も伝わって来る印象でした。



◆カオス・ウィザードと悪魔のしもべ

犬先生やら調教やらしゃべるまくらやらカオスっぷりは相変わらずなんですけど
それに加えてハートフルコミックとしても読める懐の広さが好きですね
雰囲気は割と軽薄なんですけど
読んでみると普通にしっかりと楽しめる感じ
少年誌らしい友情を感じさせるエピソードで相応の勝負回だったかなと



◆ディアボロのスープ

今月も面白かった。攻略の仕方も確かに魔女ならではだったし
常に生きるか死ぬかの瀬戸際の雰囲気は緊張感も理由もあって素直に夢中になる事が出来る
後はやっぱり魔女自身が能動的に活躍してくれれば更に良くなるんじゃないかと
そして掘り下げにも期待してます。ハチヒメが特にお気に入りです。

個人的には看板か主力レベルまで育って欲しいですね。



◆マックミラン高校女子硬式野球部

これで移籍かあ。
個人的には残ってて欲しかったですが、まあ仕方ないのかな
一応管轄内ですからねえ。でも、人知れず涙を流すコマはグッと来ました
爽やかなエンディングで良かったのではないでしょうか。



◆こもりちゃんはヤる気を出せ

いや、別の意味でヤる気を出しちゃってるんですけど・・・(笑
初回から飛ばしてるなー。前作の犬ポリを主人公に持ってきた感じでよりシンプルになった感
気軽に読めて箸休めとしては中々の印象。勿論単体でもイケると思いますが。



◆悪の華

昔の知り合いにあって自分の方が明らかに大したことない状態だと
色々と後ろめたいし、変な劣等感を受けてしまいますよね。そういう回でした。
でも確かに今の彼氏の冴えない感じは主人公と似ている・・・笑
いきなり修羅場ってて次回も楽しみ。



◆無重力コミュニケイション

すっごい特殊なラブコメっぷりを発揮していてニヤニヤ
更には少年心をくすぐるセリフの連発で男子的には堪らない回でした
やっぱりきれいごとを排除している感覚がありますね
年代的にも素直に楽しめます。
そして、お互い同じ事やってる天丼っぷりが最高でしたね(笑 気持ち悪いけど、分かる。かわいい二人。



◆そんな未来はウソである

いや~今回の話は特に面白かったですね
桜場コハルの本領発揮!って印象でめっちゃニマニマ出来ました
各々の行動に違和感がなく間違いが進展していくドライブ感が心地良い(笑
それにしてもオチの後の光景は色々と悲惨だろうな・・・。



◆じょしらく

フラクタルの時のヤマカンもアセンションしてた感(何







「スライムさんと勇者研究部」は個別で取り上げる事にします
後々更新するので良かったら。殆どの漫画が面白く感じられて久々にワクワクしながら雑誌を買えてます
それはやっぱり普段の少年誌では出来ないタイプの連載が多いからなんじゃないかと思います
少年誌が抱える少年誌っぽさに辟易しつつもそれでも少年誌が好きっていう
そういう段階の人には突き刺さる雑誌なのではないかと
今年も感想を毎月書いていくので。
もう少し過去作品に関しても掘り下げていければ尚良いですね。今月も満足度の高い号でした。


単行本派なので、最後に。
ネコあね。 5巻 感想



僕は友達が少ないNEXT 第1話「やはり俺の青春はまちがっている」 感想

2013-01-11 03:13:04 | アニメ











ビックリするほど星奈が可愛い。










なんでこんなに可愛く感じるんだろうか?っていうのを色々と考えてみたんですけど
星奈って今時のギャルっぽいというか、結構居てもおかしくないような女の子だなー、と思って
小鷹との距離感だとか関係もすっごく自然で馴染んでるなあ、と
だから素直にニヤニヤ出来たんですけど
正直小鷹が普通に格好良い男だからっていうのも個人的にはありまして
はっきり言うと釣り合ってるように感じるんですよね(笑 傍から見れば割とお似合いの二人と言うか
そういう部分は他のラブコメにはあまりない真っ当さではありますね
大体女の方が美人なのが定石ですし。
だから観てて純粋に楽しかったしラブコメの旨味を搾取も出来たし、今後の展開も楽しみだし・・・
って事で滑り出しとしては特に文句もない磐石の一話だったと思います
本人も知らぬ間に将来の夫候補にされてるのが笑える(笑
まあ小鷹も無防備にナイト宣言かましちゃったしね(勿論知人としてなんでしょうけど)
今後どういう感じでラブコメ展開に移行していくのかが至極楽しみですね。
彼の思春期男子っぷりもニヤニヤ出来ました。
相変わらず間抜けだけど、どこか憎めない面々の描写
きっちり楽しませてもらいました。
基盤となるキャラクターの出来がイイので30分過ぎるのも早かったです
目的がはっきりしてた分1期以上にテンポ良く感じた一話だったかも。今後もこのテンポ感でよろしく願う。

星奈は話し方や格好こそやや生意気で今風に映りますが、
中身は思った以上に滑稽で、かつ親しみやすい女の子なんですよね
勿論ギャルっぽいと言っても本格的なギャルっぽさを身に纏っている訳ではありませんけど
そういう部分でギャップ的な可愛さとかあいらしさを感じざるを得なくて
「憎めない」をここまできれいに具現化したキャラも早々いないかと
それでいて天然でもありますし、
夜空なんかにおもちゃにもされてるけど、その無垢な性格もまた外見とのギャップがあって面白いんですよね
おしりぺんぺんとかされちゃったりね(笑 高飛車に思えて時折ビックリするくらい純粋な笑顔好意を向けてくれる
その上でお約束のラッキースケベも発生したりと
星奈の魅力を余すことなく出し尽くしてくれた印象ですね
それだけではなく、
実は夜空に関してツンデレ的な一面があったり小鷹の勉強に協力してくれたり
小鳩と話す為に相手の好きな作品を観たりと能動的な部分もちょこちょこ垣間見れたので
お話的な部分でもオチも含めて個人的にはほぼ満足出来た作りでした
小鷹って変な主張もなくスッと格好良さを見せるタイプなので
その点でも素直に観れていいです
2期もまたこの調子でみんなの滑稽で実はちょっとずつ前進してる日々を楽しんでいけたらなと
なんかもう素直に、自動的に楽しめた30分間でした。やっぱりどこか陰のある設定のが自分は好きらしい。


2期で期待してるのは、夜空との関係がどれだけ描かれるのか、ってのもあります
基本的には星奈のが可愛いしお似合いだと感じてますけど
でも1期の最終回を観てたら夜空に感情移入をしてしまう節もあった訳で
星奈一強になるのも個人的には違うかな、と
友情が愛情に変わるのか
それともこういう距離感をずっと続けていくのか。原作未読なのでその辺は割と期待してますね
微妙に態度自体は柔らかくなってるのは感じましたけどね。星奈に謝るところとかね。
冒頭のいがみ合いの時点である程度クスクス出来たのも良かったかと。

後は、OPEDに関しては明らかに良くなってると思いました
1期のOPは好きは好きだったんですけど、やや口ずさみにくかったですからね
その点直ぐに覚えられて口ずさめる2期のテーマの方が好みかなと
EDに関して言えばそれぞれの「繋がり」とその尊さを示唆させる映像も見事でしたね。
色々とナチュラルになっている印象の一話目でした。
やっぱり大好きだなあ、この子たち。







改めてキャラ造詣が秀逸だな、と感じられた2期一話目
納得が出来るだけでここまで違うものなのかと思いました。類似作品と比べてね。
めちゃめちゃ面白かったです。
2期でもまた小鷹の頑張りに期待しつつ(笑



夢1号/NICO Touches the Walls

2013-01-10 19:01:08 | 音楽










NICO Touches the Wallsのニュー・シングル「夢1号」を聴いた。











これは正直名曲ですね・・・聴いててちょっと鳥肌立った。
間違いなく今までのNICOのレパートリーにはなかった類のナンバーなんですけど
ちょっと一皮剥けたというか、和洋折衷というか
カテゴライズのしにくい曲で
それ即ち聴いてて王道どころかこれちょっとオルタナなんじゃないの?って思えるその広がり
これまでノータッチだった音像に敢えて踏み込んでるその度胸と結実に痺れた
今までのシングル曲の中でもここまで求心力が高い曲って早々ないのでは
勿論丁寧な仕事っぷりは常に発揮してましたけど
この曲に関して言えば完全に「あれ系だよね」って形容も出来ないくらいオリジナリティが高い
似たようなタイプの曲がない、そして何より理屈ではなく感覚的にグッと来る曲・・・という事で
変な曲ではある為ライブに組み込みにくいだろうなあ、とは思いつつ(笑
一つの楽曲としては最高沸点を刻んだんじゃないかと感じました
いや、本当に決定打的な名曲だと思う。
空気が完全に違う。

鎮魂歌的なエッセンスを多く含んだ楽曲で、例えば現実に負けて傷付いた人たち
愛に負けて悲しみにくれてる人たちの心をそっと撫ぜるような
弱者の為のナンバーになっている感覚が伝わって来て
そこに他意はなく
説得力のあるシリアスな歌声とお遊び一切なしのエンタメ排除の欲目のない雰囲気と方向性が
よりこの曲を真剣に沁み込ませてくれる、聴き手の感情ラインに素直に作用してくれる純度を形成していて
そのメッセージ以外何もないシンプルな強度に惚れ込まざるを得ない渾身の名バラッド
敢えて言葉にせずとも聴けば感情がスッと伝わってカタルシスに変わる
そういう即効性のある一曲になってるとは思うのですが
言葉にするとしたらこんな感じ
バラッドなのに小気味良い語感重視の歌詞が手伝ってリズミカルにも感じられたり
多少重めのアレンジとゴスペル的なアプローチが融合してオルタナティブな手触りを演出していたり
とにかく今までの限界や許容量を越えて一歩新しい表現を掴んだような手応えを感じられる
一皮剥けたって素直に思える
シンプルながら奥深さも併せ持った実験作でありながら傑作
個人的にはそこまで言っちゃってもいいのかな、って思える程度にはグッと来た新曲でした
全てを許すような慈しみに近い気持ちが作中から受け取れるのがツボにハマった出色のシングル
これはちょっと今年出るであろう新譜がすっげえ楽しみになって来たかも。
今は完全に模索が上手く行ってる時期だと思います。


カップリングの「決戦は金曜日」に関しては、両者とも声を張り上げるボーカルスタイルの為
単なるカラオケになってしまうんじゃないか・・・って危惧してたんですけど
思った以上にモノに出来てる感覚でこれまた楽しかったです
サビは流石にドリカムだぁって感じですけど
それ以外の部分をNICO流にしっかり加工出来てるので
不思議とこれはこれでNICOらしいなあ、と感じられる良カバーになってるかと
分かりやすく言うと、ドリカムはポップですがこのバージョンはきちんとオルタナ色を入れてるって感じですね
「ラッパと娘」のカバーが好きなら多分このカバーも余裕で気に入れるかと思います
正直このシリーズ創意工夫!って感じで個人的には大好きです(笑
これからも続けて欲しいですね
アレンジの腕前に関しては最近のNICOの大きな武器の一つになってきた感覚で
王道ロックをきれいに鳴らすバンドって評判からもう一段階上に進めた感じがするなあ
ライブで聴いた「行方」のリアレンジや「ホログラム」のアレンジも新鮮で面白かったですし
如実に進化の過程を観させてもらってる印象ですね
これからの実験と結実にも期待してます。

ライブ音源は、函館のライブから3曲、音が良くてこれまた気に入れた音源でした
「風人」の良い意味でねちっこいライブアレンジや「バイシクル」の熱狂プレイがいつでも楽しめる他
今となっては少し懐かしい「芽」なんかも入ってたりして中々お得ですね
「芽」って最近全然演奏してなかった印象なので。
冬場にピッタリな温かみのある演奏、
どの音源もしっかりと楽しめた前作に続いての好シングルに仕上がったと思います
こりゃ今年もまた追っていくのが楽しみだわ(笑 また、「夢1号」をライブで聴きたいですね。
衝撃的だったので。









「夢の中で浮かんだ曲」という物語があるだけに非常に不思議な一曲ではありましたが
その分奇跡のような美しさも含まれてる渾身の名曲として鳴っていました
それをここまでしっかりとした形に出来た意思の力も凄い。
いつまで経っても色褪せないエバーグリーンな楽曲であり、同時にオルタナでもある明確な新境地でした。
やっぱ面白い、底が見えないバンドですね。NICO Touches the Wallsは。




侵略!イカ娘 13巻/安部真弘

2013-01-09 23:57:30 | 漫画(新作)











安部真弘「侵略!イカ娘」13巻読了。











今回はこの漫画が持っている生真面目な目線が光っていた巻でした
中でも千鶴さんの描写からそれを色濃く感じたんですが、お客さんを第一に考える姿勢だとか
その為に労力や資財を惜しまない欲目のない姿勢
要するに、
手抜きや誤魔化しなしで真面目に自分の役割に取り組むという事なんですけど
それは裏を返せば知識も向上心もなしに利益や快楽を求める姿勢に対してのメッセージになっていて
特に接する相手に対しての信頼関係って表現は正に今描くべき事柄だな、と
そのストイックな姿勢の数々が印象に残って
益々千鶴さんというキャラを腹黒や暴力的な視点抜きで尊敬出来るようになった付加価値の一冊だな~と
かと思えばイカ娘もイカ娘で行動の端々から思い遣りや他人を更生させようとする意識を持ってたり
悟郎も磯崎も早苗も渚もそのお姉さんも含めて
全員が全員、ベクトルは違えど自分の目標に対して真面目な人物ばかりだと思うんです
少なくとも「何となく」で存在しているキャラなんていないように感じる
そのキャラが真っ当に生きている感じ、
ちゃんと役割をこなしている感じ
きちんと教訓やメッセージ性を含んでるから子供にも読ませたいと思うその感じこそが
イカ娘の確かな個性であり面白い部分なんじゃないかと。少年誌に載ってるのもあながち間違いではなく
むしろこういう作りの作品こそ少年に読んで欲しいな、と思えたことが大きかった。
生き物を使って遊ぶ事に対しての批判的な視点も冴えてたし
とにかく「感心」する事が多かった新刊ですね
ネタ自体も素直に笑えるものが多かった印象で、めちゃくちゃ満足出来た13巻目だなと

イカ娘が今も好評を得て続いてるのはイカ娘以外のキャラクターが真っ当に育ってきたからに他ならない
13巻を読んでると三分の一くらいはもうイカ娘をメインに据えてないんですけど
それが普通に面白くイカ娘らしい話なんですよ(笑
シンディーが主役になるのも普段は垣間見せない女性らしい部分が浮き彫りになって新鮮だし
悟郎や磯崎を主役にすると一気に正統派少年漫画のテイストに様変わりする
渚をメインにするとイカ娘の変化を如実に感じ取れるし
千鶴さんは前述のように職業モノとしての面白さが垣間見れる作りに変化をするし
凄く均等になってきた感覚がするんですよね
それでいて違和感がない
イカちゃんが出てなくて面白くないとはならない
それこそがこの漫画一番の成長であり進化と呼べる変遷かなと
気が付けば少年向けのコメディとして真っ当に育って上手くなってきた感
それを含めてまだまだイケる、まだまだ面白くなりそうな手応えが掴めたとても楽しく有意義な一冊でした
この半分教育漫画としても使える生真面目さ、ダラダラに頼らない美意識の持たせ方は
個人的にはもう少し長所として目立っても構わないんじゃないかなと
そんな事を如実に感じた語りたい13巻目でもありました。
今回も水準以上にクオリティ高し!









ちなみに私のこだわりは「内省的な音楽を好む」事と
「ニッチな作品を愛する」事でしょうかね。あんまり誇れるようなこだわりでもないですけど(笑
でも自分に正直に生きてるからいいんです。




空が灰色だから 4巻/阿部共実

2013-01-08 23:26:01 | 漫画(新作)











阿部共実「空が灰色だから」4巻読了(★後半短編集に関して追記しました)。












璃瑚奈ちゃんの気持ちも実は結構分かるんですよね・・・(笑
同じような固定観念、共通観念を浴びせられ続けると「そうだよなあ」と思う一方で
「息苦しいなあ」って思ってしまうのも人間なんですよね。一つの枠しか選択出来ないような感覚。
ただ、安易に批判的な目線になるのではなく、結局「動いてないから」って批判に対する注意も盛り込まれてる
その中立的な感覚こそがこの漫画の良い部分なんじゃないかなあ、と改めて感じられた巻でした
ニヒルに気取っていても傍から観れば滑稽なだけだったり
想像の世界でいくら楽しんでも現実に還元する事は一切なかったり
誰かに教えを与える偉そうな態度を取っていても、結局はストレスの捌け口でしかない
そういう一面性を徹底的に排除した作りには本当に感心させられますね
要するに、美も醜も同時に存在させている
人間らしさを追求している
それがエンターティメントなのかと問われれば間違いなくNOですけど
表現として考えればこれだけ個性的な作品も珍しいんじゃないかと個人的には思います
つまりは、今回も水準以上に面白く楽しめたという話ですね。この漫画で描かれている人間の殆どが
一言で形容すれば滑稽なだけの人間ですけど、それは理想を排除した生々しい姿でもあって
そういう意味じゃ物凄く良くも悪くも現実感に溢れた漫画なんですけど
それもまた認めるべきなんですよね。
誰も彼もが全員きれいにまっとうに生きてる訳ないですからね。
本当は見えないところで色々やってたり考えてたりするもんなんですよ。
そういう部分を描いてるのがこの漫画です。
・・・っていうのが分かりやすいかな
なまじ読み手の日常に近いからこそ、妙な親近感が沸いて堪らない、そんな作品でもありますね。
インパクトやペーソス的には3巻のが爆発してましたが、その分4巻では徹底して「弱者」に焦点を絞って
多角度から人間の「弱さ」を描いていた印象ですね。それはコメディ話であってもね。


「想像」、という言葉がありますけど
マシンガン娘のお話は正にそんな言葉を彷彿とさせる傑作回でした
あの話で描きたかった事を個人的に解釈するならば、人の言葉や態度なんてものは
それだけを切り取れば印象に付ければ単なる一面的なものに過ぎない
でも裏では水面下ではもっと複雑な感情が蠢いてるもの
だから切れ端で判断するのは止めよう
そのまま受け取るのは止めよう
思考停止ではなく、想像を膨らまして考えてあげよう・・・ってそんなメッセージ性を感じました
同時にそれは人間は思った以上に脆弱で抱えてしまう生き物って事実でもあるんですが
かといって、直せない癖はいつまで経っても直らないものですから
半永久的に本音と建前の間で苦しむしかない
それは悲しい事ですけど
結果的にはそれを受け入れて何とか生きている彼女の姿
それは傍目から観ている以上に尊いものなんだなあ、と個人的には思いました
「上手く行かない」事が「当たり前」の我々の日常、それをナチュラルにポンポンとここまで描けている
それは安定なんて言葉で済ましては本当はいけないんだろうな、と
まあ安定してるとは思うんですが(笑
しかしまあ、それを維持してる事自体が凄い。
今回も全体的に滑稽で、でも滑稽だからこそ憎めない連中ばかり
それは自分の体験の一部一部を作品から垣間見るようで気持ち悪くも気持ち良い妙な感覚
この感覚こそがこの漫画の一番の武器なんだと確信出来た4巻目になってました。
アネゴのその後も気になってしまうのですが・・・(笑
半ばストレス解消だったとは言え、
褒められた行為じゃないにしても
それでも根底にはわずかな優しさがあったんじゃないかなあ、と思う
でも子供にそういう気持ちが理解出来る訳はないですよね。全く、救われて欲しい人物ばかりの漫画だぜ(笑
だからその後を想像したりするのも楽しい漫画になってるんじゃないかなあ、とも思いました。










第43話の「膨らんだ」に関して言えば、
理想を押し付けてそれと違ったら有無を言わさずシャットアウト
勿論間には事件もあったんでしょうが「人間」ではなく「人形」を求める残酷性が良く出ていて
でもそれは誰しもがそういう面があるんだよ・・・と本質的なオチになってたのが見事でした
決して読んでて気分の良い話ではないんですけど(笑
でも、そういう話にはそういう話なりのカタルシスがある事も知って欲しいですね。


★追記:大好きが虫はタダシくんの

短編集も購入して読みました
基本的に空灰の延長線上ですが「ドラゴンスワロウ」は連作なので回を増す毎のデレが楽しめたり
表題作はこの作者ならではの伝家の宝刀って感じで良い具合に切ない余韻を残す良作
漫才ネタに関しても「ならでは」という印象で読み応えは抜群でした
この漫画が好きなら多分普通に気に入ると思います
まあ、そもそも空灰自体がオムニバスなのでそこまで印象の違いが目立つ訳ではないんですけど(笑
作品としては良作揃いだった印象ですね。という訳で是非2冊味わって頂ければ。