武梨えり「かんなぎ」8巻読了。
ある意味5年ぶりの新刊。
どういう事かというとようやくかんなぎらしいかんなぎが帰って来たというか、
凄く懐かしいテンションで読めたなあ、という印象です。7巻の内容は去年読んだ漫画の中でも
10本の指に入るくらい好きなものでしたが、「面白い」と「らしい」って別物ですからね。
前巻はスリリングで熱い展開を真っ直ぐに楽しめる内容でしたが
今回はしっかりと楽しめるコメディあり、
ニヤニヤ出来る恋愛模様あり、
仁の成長物語あり、
更には水面下で隠されてきた設定も徐々に語られる等休止以前のかんなぎが帰って来た感覚
もう一度あの頃のテンションのまま読めるかんなぎがフルパワーで復活したようで
読んでて最高に気持ちの良い巻になっていました
私自身武梨さんのやや中性的な作風が元々大好きでしたし
コメディとシリアスが同時進行していく小気味良さがお気に入りだったので
個人的なフェイバリットテイストが見事に再現されたようでかなり満足出来た新刊
最早長期休載が昔の事のように「いつも通り」をしっかりと貫いてる姿勢に感銘を受けました。
7巻に続いてまたも重要な意味を持つ巻になったのがファンとして嬉しいですね。
7巻と比べて最も違うのは展開がゆっくりという事ですかね
7巻で出てきた新キャラの男の子・・・いや、もとい男装女子か(笑
彼女との触れ合いのエピソードを入れてきたり、
ざんげちゃんが一旦消えたからこそ白亜が一歩踏み出すエピソードをここで挿入したりと
かゆいところに手が届く感覚が読んでいてなんとも素敵でした
こういう急がずにじっくりと展開していくペースは正にかんなぎらしいものだと思うので
その意味でもここに来てのペースダウンは個人的に正解だったと思っています
何より、読んでて楽しかったし(笑)。
真に迫るようなシリアス描写がここ最近は多目でしたが
前半のようなクスクスニヤニヤ出来るまったり模様も武梨さんの確かな味なんですよね
その純度だったり誠実な恋愛描写をきっちりと味わえたのは大きかったです
一つ一つの描写も、
一つ一つのセリフもしっかりと意味合いがあって面白い
そういうかんなぎ独特の堅実で中身のある笑い描写を久々に堪能出来たのは嬉しい事でした。
7巻からの新キャラの男装女子・火上くんは相当オイシイキャラに仕上がっていて非常にいいですね
ここに来てラブコメ勢力図に新規参入か?と思わせるくらいのナチュラルな可愛さ
正直ただ単にBLネタやりたいんでしょ?って途中まで思ってたので
かなり意表を突かれました
何かその意味でも良かったですね~
初めからバレバレだとしらけるけれど、一旦BLネタ挟んで読者を騙すセンスが流石というかなんというか。
それによって白亜ちゃんが過剰に意識したりラブコメ要員としての役立ちっぷりも流石
後半のコスプレ衣装含めて新キャラがもたらす新鮮なテイストが実に楽しかった
単なる主人公の補佐役以上の役割があるのがいいなあ、と
話も順当に進んでいきますしね。
で、今回一番良かったと思うのは白亜とのエピソードですね
ここまで長々と引っ張って来ただけあって「ようやく!」って感動がありました
また踏み出す勇気をくれたのがなんだかんだいってざんげちゃんだった、というのも感慨深いです
7巻では拒絶したけれど、結局は彼女の存在に助けられている、という・・・
ざんげちゃんファンとしてもそれは嬉しい描写でした。
ざんげちゃんは所々で目だっていたけど、白亜はどっちかと言えば不遇ポジション
または温存ポジションだっただけに今回の大フィーチャーのカタルシスは相当大きなものでしたね
恋愛描写の楽しさは勿論、意外と仁の異性交流に対して心配性な一面を覗かせたり(笑
ナギ以外の女の子とちょっと良い感じになるのも新鮮味があってよかったです
まあ仁は一途なタイプだろうからきっと彼女は選ばれないだろうけど
一時的にも満たされる描写があるだけでも違いますからね。
ただ支えられているだけじゃなくて、
彼女が見せた確かな成長
ざんげちゃんにもらったいくつもの後押しのメッセージたち
白亜のこれ以上ない成長具合をしっかりと描いてくれたからこそ
恋愛描写だったりに通常以上のカタルシスが生まれたのかもなあ、とか感じつつ
過程の巻とは言えようやく一つの結実を垣間見れた印象もあって非常に良かったと思います
「かんなぎ」も初期からのファンなら分かってると思いますが相当に堅実な作風でもありますからね
そういう一貫した良さが滲み出ていたのが読んでて心地良かったんだろうな、と
もう一つ、成長と言えば勿論この人、仁に関しても中々に掘り下げられた内容になっています
元々備わっていた霊感を基にナギに近づこうと努力し続ける描写だったり
本巻の最初から最後まで泣き言言わずに頑張り続ける様だったり、
もう以前の苦悩している彼はここにはいないですね
一度挫ける描写はありますけど(笑
それにもすぐに答えを見つけるところが成長したなあ、と
元々単純に居候として転がり込んできたはずのナギを能動的に追い求める様というのは
成長の度合いを示すには十分で異様に男らしくなったなあ~と感じながら読む事が出来ました
その想いの甲斐あってか最後には一つの「成果」が舞い降りる訳ですけど、
その瞬間もまたドラマチックで・・・
また9巻以降を読むのも実直に楽しみになりましたね
主にキャラの成長・コメディ描写の面白さを描いているような巻でしたけど
水面下ではちょくちょく設定や過去描写が明かされたりと物語自体も地道に進んでいます
その中でナギがどういう類の神様なのかも語られたりと
設定的な意味でも楽しめる8巻
どの要素も殺しあわずに上手くかみ合いつつ進んでいくネームの上手さを感じられた最新刊
まだまだ面白さや独特のテンションは健在も健在!と言い切れる内容になってたのが嬉しかったですね。
ラブコメ模様も、根源の設定明かしも含めてこれからも全力で楽しんで行きたいです。
満を持して、かんなぎらしいかんなぎが完全復活してくれました。
あとは細かい部分で語るとまた大鉄と仁のコントのようなやりとりが見れたのが嬉しかったですね
何かこう、この二人なら擬似BLネタも許せちゃう雰囲気が悔しくも楽しい(笑
仁は相変わらず可愛いしなあ。
ここまで嫌味のないラブコメ主人公も中々いないですけど、
今の仁はそれに加えて男らしくもなってるので余計に良い感じだと思います
途中の自問自答の描写も中々に奥が深くてよかったなって思う
割とそういう部分は真面目な作品でもあるんですよね。
あと今回は限定版と通常版両方買ったんですが(表紙が違うので)
限定版の方には単行本未収録のショート漫画集が付随されていますね
基本的にはおまけの詰め物、という印象なんですけど
つぐみのワンエピソードがかなりツボだったので結果的には買って良かったです(笑
でもまあ基本はコレクター向けですね。それとざんげちゃんの1P漫画が全部フルカラーで収録されてるのも○。
総じて満足度の高い新刊でした。やっぱりこの漫画大好きですね。今も昔も。
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