超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

ロスト アンド ファウンド全曲レビューその6 「夢」

2011-05-23 22:58:39 | LOST IN TIME 全曲レビュー





LOST IN TIME「ロスト アンド ファウンド」全曲レビューその6「夢」です。丁度真ん中ですね。

静かに、そっと歌われる縮こまった人生の歌。
何かが終わったような感じも受けますけど
その実すがりつくような想いも感じるボーカルで。時折強く鳴らされるピアノもまた聴き所です。
そして最後のフレーズの威力もまた凄い。
生で聴くとより海北大輔の歌力を感じられる曲です。






6.夢




【努力や情熱と余りにも 不釣り合いな報いばかり受けて
 それでもまだ明日があるって事に 希望を捨てられずにいる僕らにこそ】 

【明日は来る】


基本的にやった分だけ返って来る、っていうのはありえない。
どころか返って来るのはほんのこれっぽっちで
絶対に同等ではなくて
損をするばかりで
それでも前に進めるか、って話。夢を観るのはいいけれど、その分却って傷つくならば
それすら抱かない方がマシだ、って思えるのも常ですが
じゃあそのまま腐って死んでいくことを望むか、っていうと。

無様でも、しがみついていたい。
死んだ魚の目でも、まだ生きていたい。
この歌で歌われている「希望を捨てられずにいる」っていうのは
いかにも頑張ってます、って人だけじゃなくて
ギリギリの状態で
フワフワの状態で
それでも立つ、結果的に前に進む人々も含まれていると思う。そこに差異は確実にあるけど
でもだからといって、その人にはその人なりの人生があって。
どんな結果でどんな日常であろうと
踏み止まることを選んだ
それだけである種の賞賛にあたる
そういう人を総てひっくるめて肯定しているような歌。もちろん傷も痛みもあるけれど。


【僕らは いつまで 夢を見る事を許されてるんだろう】

生きてる間はいつまでだって夢を見ていいと思うけど
それが許されなくなるような時があって
それは自分自身の可能性の上限を知った時であったり
そこに向かう力が失われた時であったり。
弱い人間は持続することすら叶わない。

ただ、若干クサいようでも、その意志がなくなった瞬間に終わるんだとしたら
例え無様でも不恰好でも達観なんかせずに
心の奥底で密かに燃やしておけばいいし
断絶されたとしても
道はひとつだけじゃない、それだけじゃない。待つのも立ち止まるのもいいけど
最終的にはそこに向かえる様に
辿り着けるように。

ある種死や別れも連想させるフレーズですけど、生き残れたなら、その分命をめいいっぱい使って。
ペースなんて早くなくてもいいから、亀の歩みでもいい。
夢の形はなんだっていい。
ただ希望であれば。





諦めなければきっと、っていうのはどうにも嘘くさく詭弁に聞こえますが
諦めれば何も生まれないのもまた事実であって
その意味では
この曲を聴いていると、もう少しだけ歩いて見ようかな、的な。
例え許されなくても、認められなくても。
それでもまだ夢を見ます。
それが積もる様に。






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