超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

ひとつ屋根の下の 3巻(最終巻)/藤こよみ

2014-04-10 23:59:14 | 漫画(新作)

















藤こよみ「ひとつ屋根の下の」3巻読了。


















う~ん、ときをちゃんときをちゃんときをちゃん・・・
はっきり言って序盤に於いては彼女は単なるお邪魔虫キャラだと思ってましたが
こうやって想いを告げられて号泣するシーンを見てると可哀想にも感じられるのが不思議
理屈とかじゃなく
表情とか演出でキャラの感情が伝わって来るので読んでて堪らないですね
藤こよみさんは作品を重ねる度に画力がどんどん磨かれていってるので今後の作品も是非楽しみです
そんなときをの傷心モードから始まる最終3巻目は真っ直ぐにハッピーエンドに突き進む潔い内容になってます
基本的に殆どの問題をまとめてしっかりと終わっているので有り体に良作と言える仕上がりになったかなと
今まででも最もストレートな恋愛ものになってますが、
その分色々と新境地も垣間見えて面白い作品になっています
特に男子の情欲に関してちょくちょく触れられているのが最たるものでしたかね

藤こよみさんは女流作家のはずですが
なぜここまで男子の情欲を理解されてるのだろう?ってくらいに
男子の切実なそういう感情を執拗に描かれていて、それが実に良いな、と(笑
それが邪まだとか助平なだけじゃない~って部分まで踏み込んで描かれてたのは収穫だなと
こういう方面を更にディープに突き詰めた新作なんかも読んでみたいですけど(笑)。
取り敢えず画力、表現力、そして新境地獲得と実りは相当に多かった印象の新作です
展開を一切もったいぶらなかったので
結果的にはそこまで長引かずに終了しましたが
その分怒濤に次ぐ怒濤の展開が繰り広げられているのである種「濃い」とも表現出来ますね
ちゃんとときをの対処を最後までやり抜いた事、そして久太の劣情の行方をきちんと描いた事も含めて
割ときれいにまとまった秀作に仕上がったかなと
いつもの如く今回もちょっと短いは短いんですけど
間違いなく経験は積まれたとは思うんで今後の活躍に是非期待したいです。
とっても「純真」な二人の物語、楽しませてもらいました。カバー裏のウェディング模様もまた素敵!

最終回も順当にハッピーで楽しめたんですが
個人的に礼堂先輩のその後(?)が気になります
短く完結されたのであんまりサブキャラ自体は掘り下げられてませんでしたが
その分色々と想像して楽しめる余地があるかなあ、と 彼女みたいな人が落ちる所も見てみたかったけど(笑
しかし誰も切り捨てない丁寧な作劇は最後まで貫かれていてとても良かったですね
ときをの顛末は驚きましたけど、これはこれでワンエピソード作れそうでイイ感じでした
オチに関してもこれまでの苦労があったからこそ・・・グッとくる印象で
まとまってはいるけど
盛り上げる事も忘れてない構成がまた好感触でしたね。

・・・本当はファンとしては藤こよみさんの長期連載を読んでみたい気持ちもあります
この作品を読んでると様々な観点からポテンシャルの高さを強く感じるので
でも、それはそれとして
短い巻数であってもこうやってしっかりと纏め上げ印象に残るシーンを作れる地力は流石ですね
ときをちゃんは最終的にはいじらしく可愛いキャラに仕上がったし、りり姉の美しさも本物だった
今まで踏み込んでなかったポイント(男子の情欲、叶わなかった想いによる号泣等)にも踏み込んでたので
やっぱり今思う事はまた藤こよみさんの作品が読みたい!って事ですかね
素敵な作品をありがとうございました。


















それにしても久太は女流作家が描いたとは思えないくらい
男性の目から見てリアリティのある主人公だったと思います
前述しましたが、そういう方面を突き詰めた作品を描いても形になる気がしました
ニヤニヤも切なさも情欲もドラマチックさも一遍に詰まってる小気味良い秀作です。
後は表紙が毎回シンプルで潔くて良かった(笑


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