超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

kocorono全曲レビュー その6「7月」

2010-07-31 23:26:50 | kocorono全曲レビュー



7月の終わり。
そういう訳で「kocorono」全曲レビュー、その6「7月」です。
・・・ようやく追いつけました。
途中で日記も挟みましたが(約2ヶ月ぶりだった)、ほぼ連続で更新です。
 だけど、この曲はどうしても7月にレビューしなくてはいけなかったんです。
自分の中で。
その為、今週はブッチャーズの記事が多くなってしまいましたね。
久々のフジロックはどうだったのかな。
そんな事を思いつつ。



この曲は、ちょっと色々な意味で思い出深くて
まずこのアルバムの中で一番人気のある曲、というのがあって
自分自身も多分一番印象に残る曲、っていうのもあって
思春期、中学生時代によく聴いていた曲、というのもあって・・・
というか引越しの最中だか前後だかは忘れたけど、その時期に聴いていたというのもあって。
 ふと、気が付くとこの曲を聴いてる最中に泣きそうになった事が何度もあって。
でも、今聴くと切なさは感じるんですけど
泣きそうになる、ってのはちょっと違うな、って思っていて
それを考えると、思春期の、或いは十代特有のメランコリックだったりペーソスがこの曲には詰まっていて
それが当時の自分に大きく作用したんじゃないか、とか
今はそれを俯瞰しているんじゃないか、とか色々な事を思うような、そんな曲です。
まあ、一言では語れない曲ってのは確かですね。
やっぱりこの曲は、ブッチャーズのファンならきっと誰しもが特別な曲なんじゃないかな。
違ってたらゴメン、ですけど。


9分もある曲。
でも、全体的に疾走感のあるサウンドやきっちりと盛り上げどころの付いたメロディラインが
兎にも角にも印象的で
意外とそこまで長くは感じない曲になってるのがミソです。
基本、バンドアンサンブルがガッチリしていて常に気持ち良いので
演奏面に関しても飽きずに聴ける曲、って表現も出来るかも。
そして、間違いなくアルバムに於いてもハイライトって位置づけの曲、だと思います。
曲自体がハイライトな上に、曲間でもハイライトを容赦なく刻むもんですから
結果的に2重ハイライト、みたいな形になってるのが素晴らしいです。
確実に名曲だと思われます。
思います。


「君に伝えたいだけ どこにも君はいない」


多様な解釈が出来る、といえば出来る歌詞なんですが。
それと同時に、情景が直に分かり易く浮かぶ歌詞でもある。
丁寧にイメージさせてくれるというか
聴き手を世界観に誘ってくれるような、非常に浸れる感じの詞。
と、共に襲い掛かってくる相当の喪失感。
ここで描かれている「君」は、
どんな「君」かは知りようがないんですが
突然消え去ってしまったのか
それとも合意の上で立ち去ったのか。
何にせよ、一人ぼっちで取り残されてしまった主人公の想いが
宙ぶらりん状態のままその場でずっと蠢いてるような
なんとももの寂しい感じのフレーズが全体を占めていて
最後の大サビの切なさ加減は、多分大いにグッとくるようなものになっていると感じます。
一気にブアッって来る感じ。
こういう状態のときに、誰にも触れられたくない、ってのは本当分かり過ぎるくらいに分かってしまって
それが更にその感情を加速させている印象もあって。
恐らく、このアルバムの中では最も感情に訴えかける歌詞になっていると思います。
 そして、「6月」に続いて季節感もたっぷり。
7月の思い出、といえば、やはり夏休み。
と、家族旅行。
けど、その時期に転校があった事とかもあって
自分の中では妙にせわしない季節というか、多感な季節だった、という記憶がある。
 そして、実際私は7月に「7月」を聴くという行為をよくしていた。
この曲もまた、今までの7月の記憶の中に、何度も何度も経験した季節の中に
ピッタリと張り付いているんだろうな。と思うと、やっぱり大切な曲だなあって思います。
そろそろライブでも聴きたいね。



「このままではすべて流れて行きそうで」


揺れ動く少年の、或いは少年の心の移ろいを真正面から描いているような、そんな一曲だと自分は感じています。
この曲で何かを感じてくれたなら、ファンとしてとても嬉しい、って思いますね。
いつもより長くなりましたが、「7月」のレビューはここで終わり。
次からはまた月イチで、
当初のコンセプト通りにやっていきます。 なんか今年はブッチャーズの年だね。自分の中で。





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4 コメント

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生まれ月 (スー)
2011-05-26 10:59:35
ロストの海北さんもこの曲を聴いて号泣したと、「希望」のキャンペーン中におっしゃってました。

ブッチャーズは演奏部分で(演奏自体が)訴えかけてくるというのが非常に大きくありますよね。
そこに歌が乗るという具合で。

まだ聴き始めの段階ですが「kocorono」は人生に関わるほどの名盤だなと思います。

個人的に7月は私が生まれた月でもあるので感慨深いものがあります。
自分の意思とは関係なく感情が揺さぶられる感覚が凄いなと思います。
私の中でも特別な曲になりそうです。
返信する
僕は8月です(笑) (西京BOY)
2011-05-27 22:08:16
スーさん再びコメントありがとうございます。当日中に返信出来なくて申し訳ない。


海北さんはtwitterでもよくブッチャーズに対する想いを呟かれてますよね。
自分自身ブッチャーズ世代ですし、その強い憧れに嬉しくなるんですが
そもそもブッチャーズの曲からバンド名を拝借したってのも珍しい話ですよね。
そのロストきっかけでバンド始めたのも今はいるみたいですし
こうやって魂が受け継がれていくのかー、ってのを実感してる最中です。

>演奏部分で(演奏自体が)訴えかけてくるというのが非常に大きくありますよね。
確かに、それは大きいと思います。
新譜の曲なんかもイントロの時点でグッと来るものが多いし
独特の轟音サウンドには常にやられる事しきりです。
その音に身を任せてるだけでも気持ち良いというか。

ブッチャーズのアルバムはどれも名盤、傑作なので是非是非ハマってやって下さい。
ブッチャーズファンの私も喜びます(笑)。

私は8月なんですけど、
あの混沌とした感じは正に自分らしいというか何と言うか(笑)。
>自分の意思とは関係なく感情が揺さぶられる感覚が凄いなと思います。
個人的にはこれが出来るバンドが凄く好きですね。
何ともない気分の時でもグッと来ちゃうような。


この「kocorono」全曲レビューは一応毎月恒例って形でやっていたのですが
コメントを貰えたのは今回で初めてですね。
改めて、感謝します。
返信する
一発 (エイジ)
2013-04-13 01:14:36
初めまして。シロップのレビューも読ませてもらっています。

僕がブッチャーズを初めて聴いたのがAIR JAMでのこの曲の演奏でした。中二の中頃だったか………とにかく衝撃でした。ここまで9分という短い時間に魅了されたのが初めてというくらいで。その勢いでkocoronoを衝動買いしたのを覚えています。

高二だった去年、偶然にもライブを経験することが出来ました。やっぱり眼前でのブッチャーズに感動して。言い表せないんですけど、どうしてもこのバンドは特別なものに思えました。

ブッチャーズとの出会いという意味でも7月は特別な曲ですね。
返信する
色々とありがとうございます (西京BOY)
2013-04-15 07:36:47
エイジさん、初めまして。シロップのレビュー共々ありがとうございます。


この曲の衝撃は自分も凄かった記憶がありますねえ。
私もまた中学生の、思春期の多感な時期にこの曲を聴いていたので
ずうっと記憶に張り付いて離れないような感傷が確かにあります

ブッチャーズの楽曲は結構長尺のものも多いですが、長尺だとは感じさせないのがやっぱ素晴らしいなあ、と
むしろずっと聴いていたくなる音作りのセンスは独特のものがあるなと
この「7月」でも往々にして感じる事が出来ますよね。

このバンドは感傷を音に言葉にするのが本当に巧いなと感じています
生で観ると更にその感傷がリアルに伝わって来るのでライブはオススメですね
自分にとっても昔も今も欠かせない特別なバンドの一つです。


「7月」はある種普遍的な感情を高度に一つの楽曲に落とし込めた名曲で
今でも現在のロックファンにきちんと伝わっているあたりやはり偉大な曲だな、と
改めて私も思いましたね。
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