八割おじさんこと西浦博・京大教授の数理モデルには誤算がある。
それは彼が社会・経済的要素を変数として取り入れていないことである。
彼が算出する感染率や死者数はあくまで疫学内のものであり、経営破たんや貧困やオリンピック開催の裏にある政治的利得などの社会的変数を顧慮していない。
また、純粋に感染症医学の観点から見ても完全なものではない。
それこそ、医学的、疫学的に見ても八割正当といったところであろう。
これに社会的変数の無視が加わり、彼の提出する数理モデルは部分的にしか信用できないものとなる。
彼の意見は非常に参考になるが、全面的に信頼してはならない。
それは、近藤誠のがん放置療法を全面的に信じてはならないのと同様である。
近藤よりはましだが。
日本の大学は教養教育、リベラルアーツの教育が薄っぺらで、多くの専門馬鹿を排出(輩出ではない)している。
感染症(と人間の関係)は生物・心理・社会のトリアーデから理解されるべきものだが、日本の医学者は専門馬鹿なので、社会的要素を顧慮できない。
また、政治家や社会科学者は医学に疎いので、医学者の意見を鵜呑みにしてしまう。
理解されるべきなのは感染症のメカニズムだけではなくて「感染症と人間」「感染症と社会」の生物・心理・社会モデルによるシステム論的理解である。
それにトランスパーソナル・エコロジーの観点が加わらなければならない。
医学の中には公衆衛生学があるが、これの専攻者たちも真の哲学、システム論的思考を身に着けていないので、十分に対処できないでいる。
一方、哲学者も医学や生物学に弱いので、手をくわえて見ているしかない。
生命倫理学などで対処するのは、内科医が脳や心臓の手術をするようなものであり、危険極まる。
とりあえず、オリンピック中止を早急に決定し、10万円一律給付を早急に実施することが必要だ。
中止を決定したがらないのは、政治的・経済的既得権益を守るためなのである。
このことについてはまた後で詳しく説明します。