東京周辺は関西に比べると国公立の医学部が少ない。
それに対して私立の医学部が桁違いに多い。
国公立の医学部と私立のそれでは学費がまた桁違いである。
そこで首都圏では国公立の医学部は激しい椅子取り合戦になり、その結果偏差値は分不相応に跳ね上がる。
東大理Ⅲは別格中の別格なので、さておくとして、問題は東京医科歯科大の位置である。
医科歯科大の偏差値は高い。
全国の全医学部の偏差値のランク付けでは1. 東大、2.京大、で3.が慶應か阪大となる。
問題はその次である。
予想通り、旧帝、つまり九大、名大、東北大が続くが、実はそれらを押しのけて医科歯科大が第5位にランクされるのである。
設立が古く伝統と実績にあふれる旧帝や慶應医のランクが高いのは分かるが、医科歯科ってそんなにいいのか?と思ってしまう。
医科歯科はもと医専系であり、旧国立二期校であった。
実績は悪くないが、東大はもとより慶應にはとうてい及ばない。
医科歯科は東京にある国立医学部として分不相応の高偏差値(単なる受験人気)を獲得しているだけなのである。
特に国立信仰が強くなった近年、医科歯科の人気は高い。
そして、医科歯科と併願される第一候補は慶應医学部である。
併願して成功度が高いのは医科歯科のほうである。
つまり、慶應のほうが難しいのである。
それでは両方合格した場合、どちらに進むかというと、金(6年間で2000万円の学費)がない場合のみ医科歯科となる。
2000年から2013年にかけてこの傾向が強かったが、最近それが弱まり、医科歯科を蹴る受験生が15人ちかくになった。
このほとんどは慶應医に進学したと思われる。
医学部としての真の格と実力を知る者は、奨学金乃至特待としての援助があるなら医科歯科は眼中になくなるであろう。
「私立」だからと無下に見下す無知な人がけっこう多いが、慶應医は別格中の別格である。
また、他の私立医学部も全般的に難しくなっており、ほとんどが早慶理工以上の学力を求められる。
週刊ダイヤモンド(2016/6/18号)の記事を引用しよう。
「東京医科歯科大は難易度でいえば今や、旧帝国大学である北大を上回り、東北大と同等クラス。慶應大にし少し届かないといったレベルだ。
にもかかわらず、医師や予備校講師の間では医科歯科は慶應よりずっと下に格付けされてしまう、という。実際の格でいえば千葉大の下、筑波大の少し上のあたりになるだろう。
その理由は、東京近郊に医学部が少ないうえに難関すぎる。そのため選択肢が少ないからだ、と予備校関係者は口をそろえる」。
医科歯科は系列病院が貧弱で、卒後医師として恵まれないが、上記の理由で偏差値が高いだけの「お買い損医学部」の代表なのである。
慶應に比べれば明らかにワンランク下と言える。
研究でも慶應はかなり強いし、何よりも臨床医学では国内トップである。
慶應医のライバルは阪大医と言って間違いない。
東大医は権力だけの巨塔ならぬ虚塔なのである。
ちなみに京大医は慶應医と仲が良い。
慶應義塾大学病院(待望の新棟が加わり、ますます荘重な雰囲気に)
東京医科歯科大学病院(単なる高層ビル乱立)