前に取り上げた女優の水野久美(1937-)さんを再び取り上げます。
水野さんは東宝の特撮映画が全盛期のころ、ヒロインないしマドンナ的役で出演していました。
その中でとりわけ印象深いのは、1966年と1967年の二つの姉妹的な特撮怪獣映画で演じた女性科学者の役です。
『フランケンシュタイン対地底怪獣バラゴン』と『フランケンシュタインの怪獣サンダ対ガイラ』というのがその作品です。
どちらにも水野さんは白衣を着た女性科学者として登場しますが、化粧が比較的濃く、特にアイシャドウが鮮烈な印象を発してます。
水野さんはこのとき28~29歳であり、まだ若いのですが、昨今の同年齢の女性タレントに比べると非常に大人っぽく見えます。
右端の女性が言うまでもなく水野久美さんです。
もともと欧米の女優のような大人っぽい妖艶さを売り物にしていた彼女の美貌は、白衣を着た化粧の濃い科学者の姿において頂点に達しています。
日本はもとより全世界に大量のファンを抱えていた水野さんの人気を決定づけたのは、この白衣の女性科学者の姿だったのです。
特に欧米の男性に大受けで、彼女の元には多数のラブレターが届き、その中には真剣に求婚しているものもあった、といいます。
しかも、海外の男性からのファンレターは現在もなお彼女の元に送られてきているらしいです。
昭和における東宝の一連の特撮怪獣映画は世界映画史上に残るものだったので、海外のファンは非常に多いし、DVD化されているので現在でもそうなのです。
これで28歳というのは、現在話題となっている30歳の小保方春子さんに比べると、大分大人っぽいでしょう。
というか、本当の大人の色気をもった本格派美人と単なるかわいい系との差は歴然です。
といっても水野さんは女優であり、これらの作品において女性科学者を演じているだけなんですが。
ちなみに、彼女が演じているのは医学系の生物学者というところでしょうか。
フランケンシュタインというのはドイツの科学者が造りだした人造人間であり、ホルマリン漬けの心臓だけから20mの巨大な人間に成長した怪獣です。
つまり、数十年前にES細胞やiPS細胞の話が先取りされていたようなものなのです。
実際の作品では、ドイツから送られた「心臓」が広島大学附属病院に届いて、開包された時点で原爆投下となりました。
しかし、心臓は生き延び、次第に人間の形に成長したのです。
そして生肉を食う浮浪児として発見され、水野博士が務める研究所に収容されました。
次の画像は、母親のような愛情をもって幼児フランケンシュタインにミルクを与える水野博士の姿です。
しかし、フランケンシュタインは成長すると少し興奮しやすくなり、ときおり凶暴な行動に出るようになりました。
次の画像は、彼が水野博士の光るネックレス に反応して、それを引きちぎった場面です。
水野博士の表情は悩ましいですが、くれぐれも誤解のないように。
まぁ、これに欧米の男性が反応するのは当然でしょう。
とにかく、我々は本当の美人とそうでない人の売り出し戦略に惑わされることなく、真実を見極めたいものです。
DVDで観れる1966年の作品『フランケンシュタイン対地底怪獣バラゴン』
一度観てみてください。