一昨日、夜の七時半からNHKで現代の貧困を報道していた。
特に若い女子における貧困を紹介しいた。
貧困とは手取りの年収が約120万円以下を言うらしく、実に現代の若い女子の三分の一がこれに当たるらしい。
この年収は私が大学生(学部生)のとき、親の仕送りだけでアルバイトをせずに勉強に明け暮れていたときと変わらない。
少し多いくらいである。
だから大体どういうことか想像はつく。
しかし、私は東京の風呂なしアパートで家賃1.5万円のところに住んでいたので、それほど苦痛は感じなかった。
ところが、現代の貧困若者は家賃4~6万円のところに住んでいる人がほとんどである。
これでは食費と光熱費と通信費と交通費を引いたらゼロか赤字であろう。
東京23区では風呂有の賃貸物件は最低で4万し、まともなのは6万円以上だから、こうなるのだ。
古くからある風呂なし物件は減ってしまったし、そこに入るのはさすがに抵抗があるだろう。
だったら、川を超えて埼玉や千葉に行けばよいのだ。
荒川や中川を超えただけで家賃は2万円も安くなる。
それでいて、駅前は繁栄し、都心へのアクセスは23区の辺鄙なところよりもよい。
川口、戸田、松戸などは都心まで20分であり、大宮、川越、所沢、柏、千葉で30-45分である。
ここらへんに転居すると3万円代から風呂有物件があり、何よりも広い物件が東京に比べると安い。
たとえば東京で40㎡クラスの2DKが家賃10万円だとすると、埼玉や千葉では5~7万円なのである。
約半額である。
15~22㎡のワンルームや1kではそれほど格差はないがやはり安い。
引っ越しを勧める。
まぁ、それはいいとして、女子をはじめとした若者がこうした貧困状態だと、少子化がますます進み、ジャパンシンドロームは激化するはめになる。
なぜ貧困が進むかというと、雇用が悪化しているからである。
それと賃金が安い。
かつて時給1000円で残業しまくって稼げた1990年代に比べると、同種の仕事で時給800円程度で残業できないどころか、出勤日まで減らされている。
それゆえ、アルバイトでも月25~30万円稼げた90年代に比べて、数年前から月収10~15万円がやっとなのである。
先の番組で紹介されていた母子家庭の母親(25歳)は二人の子供を育てているが、月収が10万で自治体から給付される子供手当が4万で計14万円にすぎない。
この母親は「私が倒れたら子供が餓死するであろう」とインタビューに答えていたが、これを個人の貧困の問題とだけ捉えてよいであろうか。
現代の若者の三分の一に及ぶ貧困は、そのうち日本を滅ぼすであろう。
一部の富裕層を生かすために貧乏人を造りだすという社会経済の仕組みは古くから知られている。
その傾向が激化してきたのである。
しかし富裕層、勝ち組は、それに見向きもしない。
格差を是正しないと、そのうち経済が破綻し、国が亡び、全員が貧困化することに気付かないのである。
社会意識が低く、道徳心が希薄なのである。
このことと昨日の同時間の特集「グローバル企業の悪徳」が結びつく。
劣悪な労働環境の下で労働者を奴隷扱いする大企業は、そこの商品を買わないという反対運動のせいで倒産の危機にさらされる。
つまり、労働者を軽視してあくどく儲けようとすると、一時は繁栄しても結局は滅びてしまうのである。
国を支え、経済を支え、生活を可能にしているのは多くの低所得者の労働である。
これを「負け組の言い訳」などと言うやつは、小学校低学年生なみの道徳意識しかない。
いや経済や社会の仕組みが分かっていないのである。
有島武郎を少しは見習いたまえ。
とにかく、件の悪徳大企業のようにケツに火がついてしまう前に、雇用環境を改善するしかないのだ。