AmazonからKindle版として新著『不死鳥よ、君自身にではなく自然に還れ』を出版しました。
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Amazon.co.jp: 不死鳥よ、君自身にではなく自然に還れ eBook : 河村次郎: Kindleストア
内容紹介文は以下の通り。
書は2022年にAmazon Kindke版として出版された『人生論的短編小説集』の中の同名の一作品を10倍以上の長さに増幅した長編小説である。内容の骨格と二人の主人公は変わらないが、登場人物を加え、内容を増幅させ、登場人物間の思想的、心理的葛藤を詳しく描いた秀作である。つまり、大幅に増幅、改訂されているというわけである。
主題は不老不死と死後の魂の復活の完全否定であり、その親玉でありアイドルである「不死鳥」に向って「君自身にではなく自然に還れ」と言い諭すことである。もういい加減生き返るのはやめて、自然に還りなさい、土に還りなさい、と説得するのである。
著者は長年の間、この「君自身にではなく自然に還れ」というテーゼを軸に意識哲学と生命哲学と自然哲学の融合を試みてきた。その際、「生命の大いなる連鎖」と「自然の大生命の躍動的前進」ということを強調した。それはほとんど哲学的論述という形でなされてきたが、短編小説を書くようになってからは、短い物語の中でこの思想を文学的に表現し、その真理性を暗示してきた。前述のこのタイトルの短編小説は一回目のその試みであり、今回の作品はその長編化である。そこでは、短編小説には盛り込めなかった登場人物間の議論の是々非々の反復と最終的結論への到着の経路がきめ細かく描かれている。
二人の主人公とは、宗教好きで永遠の生命の象徴たる不死鳥をこよなく愛する豊田、そして哲学者で不老不死と霊魂の不滅を完全否定する自然的合理主義者、西村である。この二人は三度の絶交を乗り越えて最終的和解に至るのである。そこでは豊田の両脚切断からの奇跡的に復活し、時代の寵児となる過程がまず描かれる。彼はその快挙に酔いしれるが、その後なんと脊髄腫瘍を発症し、一気に末期に至る、という苦難が待っていた。これが物語の軸となる。しかし、何といっても、豊田との対話における西村の発言内容が圧巻である。それこそこの作品の真骨頂をなすものであり、不老不死と死後の世界における魂の復活を完全否定し、永遠の生命の象徴たる不死鳥に対して、「君、教育上よくないから、もう生き返るのはよしなさい。自然に還りなさい」と言い諭すことを趣旨とするものである。
どういう結末に至るかは、読んでからのお楽しみということで。
とにかく、本作品は著者渾身の哲学の小説化の試みとなっている。不老不死に憧れる者、それを馬鹿にする者、どちらにとってもこの小説は非常に興味深い内容のものとなっている。間違いなく。