いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

非現実的な所信表明演説。 unreal belief manifestation speech

2018-10-29 19:55:49 | 日記
 (1)臨時国会が召集され、安倍首相が所信表明演説を行った。これまで安倍首相、政権が何をしてきたのかといえば、13年の特定秘密保護法、15年の安保法制、17年の共謀罪と自らの憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認により、日米軍事同盟の強化をはかり、海外に自衛隊を戦力としては派遣するものであり、そのための国の重要情報は国民に示さずに逆に国民への監視を強める非常に偏屈な政治傾向であった。

 (2)安倍首相はその自衛隊を憲法第9条に明記する改正案の実現をめざしている。一昨年から昨年にかけての国会は安倍首相、昭恵夫人がかかわるとみられる森友、加計問題の疑惑追及に終始して、野党の合流混乱、準備不足に乗じて昨年秋の臨時国会冒頭で解散総選挙に打って出て与党自民党は勝利して、今年9月の自民党総裁選では3選を果たして今回18年の臨時国会を迎えた。

 日本政治にとっては失われた空疎な2年であり、野党がしっかりしていれば政治の流れが変わった節目のものだった。

 (3)今年の安倍首相の臨時国会での所信表明演説(belief manifestation speech)では、強靭な故郷づくり、地方創生と9月の総裁選で対抗する石破茂議員に40%の地方党員票が入り善戦したことを受けてか、地方重視の姿勢を示した。

 経済が好調を示す中で成果を強調してみせているが、4年連続で過去最高の予算規模を続けて国家財政累積赤字が1千兆円を超える中で消費増税分を教育の無償化に充てて、本来増税対策とした課題の財政健全化の実現については触れていない。

 (4)来年のG20日本開催、皇位継承、20年の東京五輪とまさに歴史の転換点にあって、「平成の、その先の時代に向かって日本の新たな国創り」(演説文)をめざして憲法改正に強い意欲を示している。

 安倍首相自らの疑惑がかかわる2年の空疎な政治空白を経て、これから3年で「その先の時代の新たな国創り」が可能なのか、時間はそうはない。

 (5)冒頭にも述べたように、これまでの安倍首相、政権の辿った道は国民の過半数がその重要政策に反対する(世論調査)もので、数の力頼りの強行成立で進めてきた独断政治であり、今所信表明演説では最後に「私もまた、次の3年、国民の皆さんと共に新しい国創りに挑戦する」(演説文)と言われても、この白々しさにはとても信用できるものではない。

 国創りは3年、5年のスパンで進めれるものでもなく、次世代国民、社会の感性、責任、自覚にまかせるものとして、安倍首相が自らの政権で解決するとした拉致問題解決に方法論(methodology)を考えて、国際的な協力、支援、協力のもとに本腰を入れて解決に向かわせるべき重要課題だ。

 (6)安倍首相も今演説で「次は私自身が金正恩委員長と向き合わなければならない」(演説文)と述べているように、これは今後3年の安倍政権の中で可能なことだ。

 安倍政権はよほどのことがない限りこれからの3年の日本の政治を担うもので、今回の安倍首相の所信表明は多くがこれまで先送りしてきた課題を述べるものだけで実現性に乏しく、そうでなくとも権力集約がむずかしい政権最後の3年間の政治運営に安倍首相が具体的にどうかかわっていくのかわからない非現実的な所信表明(unreal belief manifestation)となった。

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