(1)石破首相が今夏の参院選の最重点公約として2040年の名目GDP1000兆円、平均所得5割以上上昇することを森山幹事長ら党幹部に指示したといわれる。森山幹事長が「かなり夢のある」と述べたように国民も15年先の実現を聞いて、今夏の参院選の選択をせよといわれてもおかしいし、むずかしいだろう。
(2)石破首相は2年続きの5%超の高い賃上げで物価上昇を上回る賃上げを実現して国民に安心感を持ってもらうと述べているが、今でも物価高を抑えられずに実質賃金はマイナス成長が続いており、コメ価格は昨年比2倍の異常高騰でトランプ関税の影響も解消していない。
「現実」を見ずに15年先の「夢物語」(dreaming narrative)を聞かされて、参院選「公約」といわれても石破首相大丈夫かとの心配が先に来る。
(3)もちろんこの公約を進める石破首相、森山幹事長は多分15年先には議員でいる保証はなく、こういうものを公約にされてもお門違いというしかない。昨年の衆院選は国民民主の手取りを増やす主張が国民支持を受けて議席倍増の躍進をしたことが石破首相の頭にあるのか、すぐ結果のでるものは避けて15年先の「かなり夢のある」多分当事者として確認できない公約で国民に夢を売るというのは、政治理論としてはデフォルトが強すぎる。
(4)大型物価高、コメ不足、高騰、補助金行政、年金改正、夫婦別姓問題と解決すべき重要課題は多く、もちろん素通りはしないだろうが「夢物語」は未来の政治家にまかせたほうがいいだろう。
現代世界でも露のウクライナ軍事侵攻が長引き、トランプ米大統領の再登板で世界は高関税発動に振り回されて米中経済対立は続いて軸が定まらずに漂流しているのが現実感だ。
(5)15年先が良くなるのか、もっと悪くなるのかなど1年、1年の積み重ね、改革、改善、取り組みの努力の積み重ねを見るしかない、変化の激しい時代を生きている。日本でいえば少子高令化の最中で15年先のGDP1000兆円、平均所得5割増の政府公約をみせられても、統計上は日本の未来を見られる人もだんだん少なくなっていく人口問題を考えるとパラドックスとして非現実的な公約といえて問題を直視していない、直視しない石破政権の特色がみえる。
(6)公約というのは2040年GDP1000兆円、平均所得5割増の目標のために「今」何をするのか、具体的に行程表、設計図を示すことであって「かなり夢のある」話を聞かされることではない。