(1)トランプ大統領が(米国が)イランの地下濃縮ウラン核施設を攻撃して、イスラエルとイランの停戦につなげたとして「広島、長崎の例を使いたくないが、本質的には同じだ。戦争を終結させた」(報道)と述べたことは、今でも米国社会で1945年の広島、長崎への原爆投下が第2次世界大戦の終結につながったと支持する、正当化する声が多いことを印象づけるものだ。
(2)昨年日本の被団協がノーベル平和賞を授賞して、長年の反核運動が評価されたが、米国トランプ大統領、米国社会では広島、長崎への原爆投下が正当化されていることを示すものだ。
この発言に対する日本政府の反応は林官房長官の「評価は専門家により議論されるべきだ」というもので、唯一の戦争被爆国としては歴史的、政治的に無責任な発言だった。
(3)少なくともガザ、ウクライナ問題を停戦に導いてノーベル平和賞を狙っているともみられるトランプ大統領にとっては、不規則発言でしかない。日本は今赤沢大臣が日米関税交渉で7度目の訪米をしており、日本政府としてもトランプ大統領、米国政府を「刺激」したくない事情にあり、しかし日本政府としては最も「刺激」を受ける問題発言に対して「正当」に直接抗議、反対意見を述べれなかったことは国家、政府として問題が大きい。
(4)ひょっとしてトランプ大統領が政治的、政策的に日本を米国に付属する「米国州」と思っているのではないかと思い違いをしているようにも聞こえる。問題の本質は米国社会が今でも広島、長崎への原爆投下を戦争を早期に集結させたと正当化している声が多いということに日本政府が「正当」に反論ができていないことだ。
(5)日本の被団協の運動は広島、長崎への原爆投下で一瞬にして10万人以上の人が犠牲になり、その後も長く後遺症に苦しめられている人々の現実の問題を世界に知らしめているが、日本政府は国連の核兵器禁止条約にも核保有国米国などに同調して参加せずに米国社会の原爆投下戦争終結論の正当性に正当に反論していない、できない政治的思惑、不足の問題がある。
(6)冒頭のトランプ大統領の発言は米国社会の多くの意見、考えであり、日本政府が政治的行動で反証しなければ続くものだ。