(1)自公連立政権が始まって25年が過ぎた。当初は公明党が平和の党として保守的自民党政権に対して軍備力増強の歯止めになると連立意義、効果を強調していたが、自民党が頼った公明党の選挙集票率の高さが段々発揮できずに勢力を伸ばせずに埋没していき、安倍元首相時代には集団的自衛権の行使を容認し、自衛隊の米国同盟国などと共同しての海外紛争地域周辺への派遣を進め、岸田前首相時代には防衛費5年43兆円増額を決めた。
(2)中国、北朝鮮の軍事力増強、尖閣領有権問題など日本を取り巻くアジア情勢の変化もあり、議席が伸びない公明党の連立意義は次第に効果を見失って自民党政権追随に変わっていった。今年自公は少数与党となって野党との連携、協力がなければむずかしい政権運営の政治状況にある。
(3)すでに多党連立政権が定着しているEU、ヨーロッパでは、英国がEUを離脱してその英国はEUとの経済関係も低調で保守党から労働党へ政権交代し、仏もマクロン政権与党が敗北して支持を失い、独もショルツ政権が連立崩壊していづれも国民の現政権への批判、不満が大きい政治事情にある。
(4)急激な時代、社会、国民の革命的な多様性、価値観、世界観の変化に対応できない政治、政党事情がある。米国は二大政党制で民主党がダメなら共和党で、共和党がダメなら民主党へ回帰する政治体制で連立はみられないが、国民の中には二大政党制への不満、不足、不服もみられてまだ勢力は小さいが第3勢力の存在も高まりをみせている。
(5)近年ではこれまでの共和党政治の中枢ではない当時の政治経験のない不動産王のトランプ氏が米国経済の恩恵を受けてこなかった白人マイノリティ層の固い岩盤支持を背景に、これまで米国政治を支配してきた米国エスタブリッシュを批判して共和党米国大統領に選出されている。米国メディアも予想、判断を誤る変化だ。
(6)世界の民主主義、自由主義、資本主義を主導してきた米国で、トランプ大統領は米国第一、保護主義を主張して同意しない相手国には高関税を課す経済貿易戦争を仕掛けている。中国の軍事、経済の拡張、発展、GDP成長のインドが主導する新興国グローバルサウスの存在もあり、世界は漂流を続ける中で思想、主義、利益共同体の連携、同盟の模索が続く。
(7)日本政治は自公少数与党であらたな連携、連立政治、政権交代時代を迎えており、試行錯誤の始まりが続くが欧米の政治、社会体制の変化から何を感じ取るかだ。
世界と日本は連立の危機(crisis of coalition)を迎えている。世界は革命的な多様性、SNSなど情報、手法、価値、意識、観念の変化の中で専制国家、独裁制国家でもなければ(米国も大統領と議会が違う政党所属で対立することがある)1党で政権を維持することはむずかしく、政策ごとの連携、連立の政治、政権が続き、国民の審判、判断、考えがより重要性を持つ時代観、世界観だ。