いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

私的な財津和夫論。(4) private essay about k. zaitsu

2010-12-07 19:19:51 | 日記
 「私的な財津和夫論」の第4回目、コスモス(宇宙)です。
 4 コスモス(cosmos)
 (1)財津和夫さんは一時期、宇宙(cosmos)に強い関心を持ち、楽曲のテーマ(theme)と
してよく取り上げてきた。「Take Off(離陸)」(74年)、「無限軌道」(75年)、「宇宙塵」(78年)、
84年の「Pagoda」もその先の宇宙、「New tune」(85年)、そして、チューリップアルバムの中
でもベスト盤に入る、チューリップというコスモス・スペースをはるかに飛び出した「財津和夫」
の思想哲学、サウンド果実として位置づけられるのが、82年7月発表のアルバム「2222年
ピクニック」だ。その年、ライブバンドとしてのチューリップが10年間で1000回コンサートを記
録する8月を前にして発表、発売された。

 (2)財津和夫さんは、ミュージシャン、コンポーザーとしての音楽活動中も、いつもずっと先を
見すえて、見つめて歩いてきた。ニューミュージックとして日本のポピュラー音楽を先駆的にリ
ードしていた当時にも、コンサート中にすでに数十年先の1999年9月9日の9時9分に元気
でいたら金閣寺に集まり、会いましょうとコメントして驚かせている。
 財津さんそのものもバンド活動は数年間のことと割り切っていた中での、当然人気商売で
移り気な聴衆観客を前にしての突然の発信だった。

 その時(1999年)世界がもし戦っていても、日本の伝統文化の古都の京都なら攻撃の対
象とはならない定説の中で、金閣寺をモチーブ(motive)にして未来の世界と平和と愛(友情)
の中に生きるために呼びかけたのだ。
 97年にチューリップは、ほぼオリジナルメンバーで再結成を果たして全国コンサートを展開
した。そして、1999年9月9日9時9分に財津和夫さんは約束どおり金閣寺で元気でいたフ
ァン(その後にファンになった人も含めて)と再会して、構内を散策している。財津さんは夢を
語り、数十年をかけて夢を現実のものとしたのだ。

 (3)今年、2010年を迎えた。財津和夫さんがチューリップとして「2222年 ピクニック」を発
表したのが82年7月1日。あと212年先、「空がまだ青いなら 君とふたりピクニック」と書い
て、歌っている。82年と言えば、日本は経済成長期の中にあり、国際社会も東西冷戦の緊
張が続いて、240年の時間の流れは、想像すら気の遠くなる未知の空間(cosmos space)
であった。
 しかし、現実は経済成長との反比例(inverse proportion)で地球環境の破壊が続き、地球
温暖化対策が未来の課題として直面し、ようやく世界がひとつになって取り組もうとしている。
東西冷戦時代はすでに経済協力基調のグローバル化に型を変えた。財津和夫さんが82年
に発信したテーマ(theme)が「現実」のものとなろうとしている。財津さんが見つめて歩いて
きたコスモス・スペースへの先見性の高さ、確かさだ。

 (4)ここに1枚のアルバムレコードがある。82年7月発売発表の当時のチューリップ「222
2年 ピクニック」(東芝EMI)。縦横31.3cmの紙ジャケットのレコード。
 表紙はアンリ・ルソーの描いたスカイブルーの青空に浮かぶ低い綿雲が4つ、中央のなだ
らかな山道には黒い帽子に口ひげの男性が右手を横に広げて立っている。
 その絵を四角く囲む白いフレームの上段には「2222 picnic」、下段には「tulip」の同じキ
ャラクターのロゴ(logogram)が入っている。
 裏表紙には、レッド(朝)、イエロー(昼)、ブルー(夜)の地球と、テーブルに置かれたナイ
フ、フォーク、ディッシュ、バスケットの写真。
 中の見開きのリーフレットの表紙にはこれもアンリ・ルソー作品と思われるアナログ版で
巨大なクジラ(sea cucumber)が陸に打ち上げられ中世の人がそれを見守る構図だ。裏面
は若い若いチューリップのスナップ写真。

 (5)見開きを開くと、プロローグ(prolog)の「美しい星」、「2222年 ピクニック」から「生ま
れる星」、「アルバトロス」まで財津音楽の宇宙のファンタジーのトータルサウンドとして見
事に全10曲が収録されリストアップされた楽曲(lyrics)が並ぶ。

 左下に財津和夫さんのこのアルバ思想哲学への強い思いを伝える散文詩「平和な国の
反戦歌 財津和夫」が載る。「生ギターがエレキギターに変わっても~文化がどんなに威
張ってみても 戦争はおこる。~恥ずかしがるな日本人 殻に入るな日本人 心を開け日
本人 照れるな日本人 もっと強いもっと強い~もっと強い力を下さい。~我々は自然の子
自然は人を愛している。~」すでに今の課題となった世界環境、世界観をストレートに見す
えた洞察力だ。

 (6)アルバムの最終章は、ゆったりと豊饒(じょう)に時の流れるように、コスモス(宇宙)
を「生まれる星」(6分13秒)に向かうふたりを乗せた宇宙船909号と、フィナーレはその
時もきっと地球に宿るであろうパラダイス(paradise楽園)へ誘(いざな)うように、深遠な波
の音から始まる7分37秒の壮大勇壮な財津音楽の大作叙情曲「アルバトロス」のエピロ
ーグ(epilog)で、完結です。
 聞き終わって、心の、脳内スクリーンにはるか深遠な宇宙のパノラマ(panorama)がひろ
がっているのに気づかされる。                  〔転載禁止です〕

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