(1)北朝鮮の金正恩総書記が能登地震の見舞いの電報を岸田首相に送ったと朝鮮中央通信が伝えた(報道)。林官房長官も「感謝の意を表したい」と述べて「メッセージが発出されたと承知している」(同)と述べた。
こういう電報がどういう手続きでどこに発信されいつ到着するのか手順がわからないが、市民感覚からすれば即刻受信元に着くというのが慣例で林長官の「発出されたと承知している」発言は政府としても突然で戸惑っているのだろうが違和感はある。
(2)確認すればわかることで(偽情報も多い)本モノかどうか精査、時間を要するということなのか、林長官発言にはよそよそしさはある。林長官によれば「北朝鮮の最高指導者から日本の首相にメッセージが送られたケースは近年では把握していない」特別なものだから、余計判断に戸惑い慎重な言い回しになるのだろう。
(3)ニュースを聞いたものとしても金総書記が「(能登地震の人命被害と物資的損失に)深い同情」と哀悼の意を表したといわれて、あきらかにこれまでの北朝鮮が認めた日本人拉致事件は5人の帰国で解決済みとの判で押した北朝鮮側の強い表明とは違うものを受ける。
これで日本側が強く求める拉致被害者の全員帰国にあらたな展望、展開、道が開けるのか、期待はしたいがわからない。
(4)これまで北朝鮮の伝えられる洪水被害、食料危機に対して日本政府から見舞いの意思が伝えられたという情報は聞かれないし、北朝鮮の度重なるミサイル発射に国連決議違反として米国と連帯して北朝鮮への経済制裁を強化しており、これに反発している金総書記が突然のように姿勢転換するように能登地震の見舞いを岸田首相に電報を送るというのもまだ驚きと行動がとらえられない。
(5)素直に受け取っていいものか、日米韓同盟へのクサビ、切り崩し、策略とみるべきか、しかし事が能登地震への見舞いなだけに簡単にはいかない受け取り方だ。北朝鮮としては能登地震の見舞いを申し出て友好性をみせてバイアス(bias)な圧力をかけて、日本側に拉致問題のこれ以上の提起を拒もうという意向もあるのか、そこを見極めることが林長官の慎重な言い回しになっているともいえる。
(6)北朝鮮側の能登地震の見舞いの本意、真意について十分な分析、検証、判断が必要ということが両国の複雑でわかりにくい関係性だ。
せっかくの北朝鮮側からの能登地震見舞いなのだから、日本としては制約のない自由な立場での日朝首脳会談実現に向けて事態を前に進めたいところだ。
(7)北朝鮮は3日続けて韓国海上境界線付近に90発以上の砲弾を撃ち込んでいる。