信州山事情・・・・その3

2008年03月19日 | 信州の木材
 「原木安定供給システム研究会」の後半はパネリストによる討論となっていたが、信州の林業・素材生産業のゆくえについて、パネリストたちから、現状を聞くという形だった。

 素材生産をしている方の共通の問題点は事業量の安定確保だ。これは民有林においては、山の境界もはっきりしていないものがあり、手がつけられない問題も含めて、一所有者ごとの面積も小さい。それらを集めて団地的間伐を目指して事業とすることは、かなり大変らしい。一番は所有者に利益が還元できないということもある。

 現時点では、やはり個人よりも、区有林のような共有林から事業を進めているのが現状のように受け取れた。それゆえに森林税が必要ということなのだろうが。

 次には人材の確保だ。長い間日の当たらない産業だったので、高齢化は通り越して絶対量がいない。機械化も進んではきているが。二酸化炭素の予算で国有林の仕事も出ているので、つまるところ人材不足だ。

 次が価格の安定だ。パネリストの話の中で「価格の決定権を持ちたい」という言葉が印象的だった。
 流通の変化がここで起きたということにほかならない。かっては山の木を買って素材生産して売る方式から、最近は所有者から委託をうけて販売するようになった。所有者に還元するためには、販売先も多様にしていく方向にするという。
地元生産したものは地元で売りたいが、所有者に還元するためには、県外の合板工場に出荷するという意が伝わってきた。

 最後に、一般参加者が「民有林の間伐を頼みたいのに、国有林の仕事で手一杯でできないと言われたが、どういうことか」と質問された。・・・・良く見てますね・・・、と関心した。

 実はこれが悩みの発端だつたのです。二酸化炭素削減の予算が出て、5ケ年の国有林の仕事がでました。この4月から始まる新年度で5年目となります。 たぶん今後も継続事業となるでしょう。
 秋口、木材の需要期の頃、近在のほとんどの素材生産をする業者がこの事業で確保されます。委託生産ですから、出材は基本的には入札でということになります。

 この方式になってから、地元の製材工場は材の確保がむずかしくなってしまったのです。
 そこにきて、合板工場の内地材へのシフトですから、いよいよ価格競争の時代に突入でしょう。「価格の決定権」の意味がこれだと思いました。しかし需要と供給のバランスがこれをどこまで許すでしょうか。

 でも長年の低価格で山は補助金でなければ手入れもできませんでしたから、再投資できるような方向になれば本当は幸いなことなのですが。

 どちらにしても、急激な変化です。いろんなミスマッチが重なっています。10年後、あの時どうしていればよかった、なんて思わないためにも、注意深く現状を見ていきたいと思っています。

 帰り道、嘆く私に社長が「見方を変えればいいんだよ」と言ってはくれましたが。うーん、どう変えたって私は微力だわね。

                         依田 美恵子
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