
マイケル・レイスの「MITO」というアルバムが出たときに、とても素晴らしいソロ・アルバムだけれど、こんな地味なアルバムは今後再発売されないだろうし、持っていることだけでもうれしいと書いた。
水戸にある”コルテス”で録音されたもので、オーナーの伊藤氏のお考えと尽力が大きいと思う。
そうしたら、レイスの新作のソロ・アルバムがCAMからリリースされたけ。これが「MITO」の続編のようなので驚いた。レイズのピアノ・ソロに対しての考え方があるのだろう、見事にその意思を再現している。

「MITO」に続いてこの「SHORT STORIES」でも私はチック・コリアの1971年のソロアルバム「Improvisations vol 1]を思い浮かべた。随分古いアルバムだけど、当時とても印象深いアルバムで、その感覚が時を経てよみがえったよう。
ここのところ何人かのピアノ・ソロアルバムがリリースされて買ったけれど、このアルバムと雰囲気がまるで違う。それはそれでいろいろなピアノ、うけとめられかたが違ってそれぞれの意味がある。
一つはこのキースのソロ、22016年7月というキースとしては最新の録音で、その意味で買いに行くことになる。

ここでの演奏は最近のキースの演奏をきっちりと再現されている感じで、最後に見たキースに非常に近い演奏に感じてその価値がある。

セルフ・デレクションでもあるので、現在のキースの考え方のあらわれ、ライスとの曲の置き方はまるで違っている。
当たり前かもしれないけれど、キースの方はピアノ理論は完成されて、その理論展開が克明にでている。
もう一枚Baptiste Trotignonの「You've Changed」もやはり気になって買いに行った。

ジャケからすると久しぶりの入魂アルバムかなとも想像したけれど、ゲストも多く呼んで、こちらはうまく作った感がしてしまう。残念ながらこちらはあまり大きな価値は感じない。
そこでライスに戻るのだけれど、真摯にピアノに向かって、自分のみえる世界を描くことに没頭しているようで気持ち良い。
ベテランの域にい入ってきたといえるけど、その真摯な表現は、ピカソの「青の時代」に感じるような統一感がある。
完成の域といってもよいのかもしれないけれど、いまだに自分の形を探求しているピュアさが若々しい。
ピカソはその後、スタイルをたびたび変えたけれど、ライスはどうなるのかは、これからも注目を続けたい。
キースはまず変わらないっていうのは書く必要がないか。
SHORT STORIES / MICHEL REIS
Michel Reis (p)
1. Sunae II
2. From The Eyes Of Old
3. How It All Began (The Story Of Mr. Potes)
4. Monologue
5. Could I See You Again
6. Gratitude
7. Road To Dilijan
8. Gravity And Lightness
9. Tales Of Oleander
10. Eugène And Valentina Main Theme
11. Awakening
12. Eleni (For Eleni Karaindrou)
13. Bells
14. Goodnight