JAZZ評論家で出版物も大変多い小川隆夫氏の新書はピアノ・トリオの名盤を選んだもので、題名も「ピアノ・トリオ決定盤 ベスト 100」と先日現役JAZZピアニストを100名選出した身には、内容とても気になるものでした。
まず小川氏が本題に入る前に書かれたピアノ・ヒストリーとピアノ・トリオ小史がちょっと説明不足にはなるけれど簡素ですっきりしています。
その前書きの部分で氏はベスト100の選定について次のように書かれています。
「ただし、セレクションはあくまで筆者に独断と偏見によるもの、また思いいれの強いものもふくまれているから《名盤》と謳うには少々不適切な作品も含まれている、ゆえにより正確に表現するなら「筆者の考える名盤100枚」ということになるだろう。
と護憲書な発言ですが、確かに見ていて思いいれの深いものあります。
さてわたしも独断偏見には変わりがありませんが、どのようにラップするのかが気になるところです。
もちろん視点がまるでちがうので、比較ということではありません。
まず私が現役JAZZピアニストということで100名ですが、小川さんの場合アルバムですのでプレーヤーがダブっています。
大西順子2、O・ピーターソン2、キース2、モンク2、フラナガン2、パウエル2、ハンク・ジョーンズ2、B・エバンス2、C・コリア2とダブりのぞいて90名のピアニストです。
そして私が現役としたのに対して、名盤ですので古い方が多い、今どうしてます、とか現役といえるかどうか、なくなっている方は現役でないので、その人を差し引くと38名、ミッシェル・サタビーさんなどどうしているでしょうか、ラムゼイ・ルイスさんは最近名前を聞きました。ミッシェル・ルグランさんなんかもはいいているので、そこを選んでいないわたしとの現役JAZZピアニストで重なったのは12名でした。
重なった12名は次の方たちで、上原ひろみ、エンリコ・ピエラヌンツィ、キース・ジャレット、ジャッキー・テラソン、スティーヴ・キューン、チック・コリア、ビル・チャーラップ、ブラッド・メルドー、マッコイ・タイナー、ミシャエル・フォアマン、山下洋輔、そしてロバート・グラスパーでした。
私もうっかりしていましたが、わたしハービー・ハンコック入れていませんでした。ピアニストってこと忘れてました。
さてこの12人でアルバムも一緒なのはわすかに2枚、ジャッキー・テラソンなんか一緒になってほしかった。
小川さんの選んでいるものは2000年以降の録音が4枚だけで後の96枚はそれいぜんですから、これはしょうがないでしょう。
ただ一緒になったものが、小川さんプロデュースのミッシェル・フォアマンのエバンスに捧げたものと、JAZZの変化を端的にあらわしていると思ったロバート・グラスパーの作品だったことはとても嬉しい、それだけで満足できました。