スティーヴ・マルティニという作家の名前は随分以前から知っていて、リーガル・サスペンスで有名だからと図書館で借りたことはありましたが、読みきっていないのです。
新作が出て前評判が良いので読んでみました。
プロローグのあと、颯爽とした女社長がスポーツカーで乗り付けて、ガラスの彫刻を買う場面から始まって、これからこの社長にいろんな出来事が降りかかるのかなと思えば、登場から19ページであっさり殺されちゃいました。
この作家ちょっと時代的で、実に丁寧な筆運び、女社長の行動とか性格を細かく表現するのでなかなかページが進みません。
ストーリはおもしろいので読み進みます。
正統派の弁護士ポール・マドリアニがこの女社長を殺したとされる元身辺警備を担当して元陸軍軍曹を弁護します。話は国防省のスパイプログラム問題など連邦政府が絡んでいくのです。
正統な弁護はちょっと引用すればこんな感じです。
「あいにくではあるが、刑法は人の無罪を証明するようには作成されていない。刑法は、たったひとつのことを明らかにするためだけに作成されている-有罪である。」
8割がた読み進んでも勝利は見えないし、どう収めるのだろうとおもってしまいました。
なんだかとても丁寧なつくりですが、主人公のおじさんのエピローグ、必要なのか私は解りませんでした。
上下巻を最後まで読んだのだからつまらないことはなかったけれど、三分の二ぐらいに縮めてほしかったな。