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ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
現在、 フジロック ブログ と化しています。

89年のダニエル・ラノワ

2012-01-17 20:40:04 | ニューオーリンズ
NEVILLE BROTHERS / YELLOW MOON

この世で一番好きなアルバムは? と問われれば、私は多分「YELLOW MOON」と答えるでしょう。ネヴィル・ブラザーズ、89年の大名盤。このアルバムをプロデュースしたのはダニエル・ラノワ。

さて、ダニエル・ラノワと言えば、やはりU2でしょうか?それともブライアン・イーノとか? イーノはラノワの師匠のような存在ですし、ラノワのプロデューサーとしての出世作は84年にイーノと共に手がけたU2の「UNFORGETTABLE FIRE」ですよね。しかもその後もイーノとのコンビでU2作品に関わり、数度のグラミー賞を受賞したりしています。ですがね~、私にとってはネヴィル・ブラザーズなんですよ。1989年なんですよ。(ま、実質的には88年~89年なのかな。)

ダニエル・ラノワは、1951年、カナダはケベック州ハル出身のフレンチ・カナディアンです。その昔、カナダを巡るイギリスとの植民地戦争に敗れたフランス系カナダ人の多くがルイジアナに逃れ、ケイジャン文化を育んだと云う歴史があります。ラノワにとってもルイジアナ/ニューオーリンズは特別な地だったに違いありません。そのラノワが初めてニューオーリンズへ向かったのはネヴィル・ブラザーズ「YELLOW MOON」録音のためだったそうです。どういういきさつでラノワがネヴィルズをプロデュースすることになったのかは、私の知るところではありませんが、「ネヴィル・ブラザーズ自伝」の中で、シリル・ネヴィルは『会社側(A&M)がダニエル・ラノワとやるように言ってきてね、』と語っています。ラノワはセント・チャールズにあったヴィクトリア様式の邸宅をスタジオとして使ってこのアルバムを録音したそうです。またラノワはヴードゥーにのめり込んでいて、そこには霊能者が出入りしていたとか。

そんなムードで録られたこの「YELLOW MOON」。ニューオーリンズに限らない広がりを持ちながらも、ルイジアナに根付く奥深い神秘を感じさせるような大傑作となりました。まさにネヴィル・ブラザーズの“血と魂”を感じさせてくれる作品です。モワッとした幻想的な音空間や、低音の効かせ方などは、いかにもダニエル・ラノワな音作り。他のネヴィルズ作品と比べても、明らかにラノワ色の濃い作品のようにも思いますが、「ネヴィル・ブラザーズ自伝」の中で、シリル・ネヴィルはラノワについて『ぼくらをリラックスさせて、やりたいようにやらせてくれた』、チャールズ・ネヴィルも『おおくのプロデューサーみたいに、おれたちに対して支配的な態度に出ない』とそのラノワの立ち位置を絶賛しています。

確かにラノワ色が濃い一方で、シリルのメッセージ色やミクスチャー感覚が身を結んだのもこの作品ですし、チャールズ独特のメロディー・ラインがスタジオ作で初めて活かされたのもこのアルバムと言っていいでしょう。またアーロン・ネヴィルのゴールデン・ヴォイスも、それまでとは一味違うスピリチュアルな響きを感じさせますし、全体に漂う長兄アート・ネヴィルのクールネスのような感覚も秀逸です。これらメンバーの個性を引き出し、一つに纏めたダニエル・ラノワ、やはり恐るべし。このアルバムによって、ネヴィル・ブラザーズは自らの進むべき道を悟ったかのような、そんなターニングポイントとなった作品。私はそんな風に思っています。


BOB DYLAN / OH MERCY

さて、ボブ・ディランです。ボブ・ディランにダニエル・ラノワを紹介したのはU2のボノ。『ボブ・ディラン自伝』にその頃の話が詳しいです。それはボノがディラン宅の夕食に呼ばれたある夜のこと。ボノはディランの新曲のレコーディングに最適な人としてラノワの名を挙げ、その場でラノワに電話をかけ、ディランと直接話をさせたそうです。その時ラノワは「ニューオーリンズで仕事をしているので、来ることがあれば立ち寄ってほしい』という話をしたとか。おそらく、「YELLOW MOON」の録音中だったのでしょう。

ディランがニューオーリンズ、セント・チャールズに建つ例の邸宅に向かったのは、その「YELLOW MOON」もほとんど完成していた頃。そこでアーロン・ネヴィルが歌ったディラン曲「With God On Our Side」と「The Ballad Of Hollis Brown」の2曲を聴き深く感銘を受けます。この時のディランのアーロンに対する敬意を語った『ボブ・ディラン自伝』のくだりは、そのディランの言葉の美しさがとても感動的。ま、それはそうと、ディランは確かな手応えを感じ、数ヶ月後、再びニューオーリンズに赴きラノワと新作のレコーディングを開始するに至る訳です。その作品こそ「OH MERCY」。

この時はニューオーリンズのソニアットストリートに建つやはり古い邸宅をスタジオとしてレコーディングを始めたそうです。ラノワはこういうシチュエーションが好きなんでしょうね。そしてラノワが集めたミュージシャンの中には、ウィリー・グリーン(ds)、トニー・ホール(b)、ブライアン・ストルツ(g)、シリル・ネヴィル(per)といったネヴィル・ブラザーズのメンバー達も居ました。ですがニューオーリンズ色はほとんど感じられません。なのに「YELLOW MOON」と似たようなムードを感じさせられる。それはやはりラノワの感性の成せる技なのでしょうね。この作品は、レコーディング・アーティストとしてはそれまでに比べれば停滞気味だったディランの80年代において、まさに起死回生の傑作となりました。また、ラノワならではの音響的音像から、ある程度ラノワに任せて製作されたと想像していたこの作品ですが、実はそうでもなかった難産振りが赤裸々に語られる『ボブ・ディラン自伝』は必読です。



DANIEL LANOIS / ACADIE

そして89年にリリースされたダニエル・ラノワの1stソロ作「ACADIE」。大半がニューオーリンズで録音されたこの作品も、上記2枚のアルバムと地続きの作品と考えていいでしょう。タイトルはフランス語でアカディ。英語ならアケイディア(ACADIA)。カナダ東部のフランス語圏地域を指す言葉だそう。ルイジアナのケイジャン文化を語る上で決して避けられない言葉ですね(ケイジャンの語源はアカディアン=アカディア人から来ています)。参加ミュージシャンにはウィリー・グリーン(ds)、トニー・ホール(b)というネヴィル・ブラザーズのリズム隊の他、シリル、アーロン、アートの名前もクレジットされています。ですがネヴィル・ブラザーズとはまた違う、ダニエル・ラノワにとっての“血と魂”を感じさせる作品に仕上がっています。独特のエコー処理による立体感溢れる叙情的なサウンドが聴くものの想像力を刺激し、悠久の旅に連れて行ってくれるような。そして最後を締めるアーロンが歌う「Amazing Grace」の素晴らしいこと!!!

この3作品には、何か同じ不思議な魔法がかけられてるように思います。その魔法、それが私にとっての「89年のダニエル・ラノワ」。


さて、そのダニエル・ラノワが来日中です。私は明日、1月18日、ビルボードライヴ東京にて観てまいります。もちろん89年だけがラノワではありません。その後も素晴らしい仕事を連発しています。ちなみに昨年リリースされた彼のバンド、ブラック・ダブ名義の最新作「BLACK DUB」がめっちゃ素晴らしい作品なのですが、それにはまた近々触れることもあると思いますので、またその時に。



CSS@新木場STUDIO COAST

2012-01-15 14:33:36 | 余話

1月14日、新木場スタジオコーストにてCSSのライヴを観てまいりました!!

当ブログの2011年フジロック・ベストアクト企画で第2位とさせて頂いたCSS。あの夏の興奮からおよそ半年後の単独公演。すいません、ディスコ・パンクです。今時のパーティ・バンドです。まったくルーツな感じではありません。でも大好きなので書かずには居られません。という訳で、ブラジル出身のガールズ・グループ、CSSのライヴ・レポ! ちなみに私はステージ向かって右寄りのかなり前の方(5~6列目ぐらい?)を陣取りました。

さて、最新作から「Rhythm To The Rebels」で始まったこの夜のステージ。もう、とにかくラヴフォックスですよ! 最近の写真では真っ黄っきな髪の毛で話題を振りまく彼女ですが、いきなり真っ黒なアフロのような髪型で登場。意外な髪型に会場も大盛り上がり。アフロのラヴフォックス、カッチョエ~!! そしてそのアフロを揺らしながらリズムに合わせて観客を指差しながら掛け声をかけていく。もうこの時点で会場のボルテージも最高潮。「Off The Hook」「La Liberación」「Music Is My Hot Hot Sex」「Red Alert」、「Let's Make Love And Listen Death From Above」など、新旧織り交ぜた楽曲が続く。なんかもう序盤からキラー・ソングのオン・パレードですよ。イントロが鳴る度に観客から「キャー!キャー!」と歓声が上がり、その都度フロアはぎゅうぎゅうに波打つ感じ。ラヴフォックスは途中、ジャケットを脱ぎ、ズボンを剥ぎ取り、Tシャツ&短パン姿に、そしてアフロもバサッと脱ぎ捨て黄髪を振り乱す。あ~、もう最高!

ラヴフォックスの自由さってのはホント気持ちイイ!幸せな気持ちになる。彼女の弾ける姿を見ているだけで何故か大興奮!で、今回はさらにシンガーとしての貫禄も感じさせられましたね。これまではアドリアーノが後ろからサポートしてくれて、ツイン・ヴォーカルっぽいスタイルだったりもしたのですが、彼は昨年末に脱退してしまったので、今回、一人で歌い切ったラヴフォックスに、シンガーとしての魅力をこれまで以上に感じましたね。時に可愛く、時に色っぽく、時にパンキッシュに、時にダーティーに、独特の声音で彼女ならではの享楽感をまき散らす。そして歌ってる姿が格好良い!! 間近で観るラヴフォックスの迫力っていうのは、ちょっと筆舌に尽くし難いものがあります。あれはやっぱりオーラなんでしょうね~。

もちろん行き当たりばったりなダンスも健在でしたよ。そこはやはりラヴフォックス!! ステージ狭しと飛び跳ね、ムチムチの身体でエネルギッシュに弾けまくる。お馴染みの側転も連発してました。「Let's Make Love And Listen Death From Above」では早くも観客にダイブ!! 私はフロアの右寄りに居たのですが、今回ラヴフォックスが飛んだのは中央でした。そっちか~!みたいな。観客にもみくちゃにされながら歌い続けるラヴフォックス。ステージ上のメンバーが、それを心配しつつ楽しそうに見守る表情も印象的でした。「Red Alert」では悪魔のようなお面とマントを被って歌ったり、その他、観客から飛んだ巨大猫手を嬉しそうに付けてみたり、突如大きな“おにぎり”を持ち出してかじる振りをしながら歌ったり。若干意味不明ながら、それがラヴフォックス!!

楽曲の多彩さも印象的でしたね。中盤に披露された「Jager Yoga」や「Left Behind」のようないかにもCSSらしいダンサブルな曲だけではなく、「Hits Me Like A Rock」や「Move」、「Echo Of Love」など可愛らしくポップな曲も彼女達の魅力。私「Echo Of Love」大好きなんです。多分、最新作の中で一番好きかな。サビの“ウォウ!ウォウ!”ってコーラスでの大合唱は幸せすぎました~。さらに「Fuck Everything」は超パンク! CSSってCDよりライブの方が遥かにエネルギッシュなんですが、この曲なんか凄まじかったですよ。「ファック・エブリシ~ング!!!」って叫びまくり。もちろん私も叫びましたよ~! 楽しかった! そしてヘヴィーなパーティ・ソング「Alala」。これを演らなきゃって感じの名曲ですよね。この曲でラストかと思いきや、最後は最新作から「City Grrrl」。この曲は新しいCSSのアンセムって感じで格好良いですね!

そしてもちろんアンコール。去年のフジロックではオープニング・ナンバーだった「Art Bitch」。そして“I love you"、"I love you too"のコール&レスポンスも楽しかった「I Love You」。さらにラヴフォックス、アナ、ルイザがストリートっぽくラップを決めた曲(すみません、曲名わかりません…)。このラップは弾けてましたね~。3女子が飛び跳ねながらラップするっていうのも、CSSらしいポップさがあって最高でした! そして正真正銘ラストソングは「Beautiful Song」。この曲で終わりっていうのはちょっと意外でしたが、これがハッピー感覚横溢でもう昇天でしたね。途中、ラヴフォックスのマイクの音が切れてしまうアクシデントがありましたが、まったく気にせず駆け抜けていきました。最後は「We Are the Champions」のSEが流れる中、ステージ上ではしゃぎまくるメンバー達。そしてサビで“ウィ~ア~ザチャンピオ~ン!!”と大合唱。なんかよく分からない盛り上がりながら、こんなに楽しく、こんなにハッピーなライヴは初めてだったかも~。


セットリスト
01. Rhythm To The Rebels
02. Off The Hook
03. La Liberación
04. Music Is My Hot Hot Sex
05. Red Alert
06. Let's Make Love And Listen Death From Above
07. Jager Yoga
08. Hits Me Like A Rock
09. Left Behind
10. You Could Have It All
11. Move
12. Echo Of Love
13. Fuck Everything
14. Alala
15. City Grrrl
----------------------------
16. Art Bitch
17. I Love You
18. RAP
19. Beautiful Song


このライヴの後、CSSのOfficial Twitter に「今日のショウは今までで一番!最高だった!夏に戻って来たいから応援してね!」という投稿がされました。なんか嬉しいですね。で、夏ってどういうことですか?


あ、今回は抽選制のサイン会があったんですけど、残念ながらハズレてしまいました。今度こそラヴフォックスにちゃんと『RYOJI』って名前を入れて貰おうと思ってたのに~。


CSS / CITY GRRRL
ここにサインを頂く予定だった来日記念のシングル。


~関連過去ブログ~ お時間有ったらぜひ!

 12.01.13 フジロック・ベストアクト第2位!CSS

mount sugar @恵比寿 CACCIATORA

2012-01-14 14:35:55 | 邦アーティスト
1月10日、恵比寿カチャトラにてマウントシュガーを観てまいりました。対バンはとんちピクルス。ライヴは2部構成で、まずマウントシュガー ~ とんちピクルス、そして30分程の休憩の後、今度はとんちピクルス ~ マウントシュガーという流れでした。

カチャトラでマウントシュガーを観るのは案外久しぶり。でもやはりカチャトラはマウントシュガーの“ホーム”という印象もあるので、やはりここで観るマウントシュガーは格別なのです。前半はアリサさんと森さんの二人だけによるセット、後半はカセットコンロスのフケさんをドラムスにむかえてのセッション、といった感じでした。やっぱりアリサさんの歌声は何度聴いてもグッときますね。そしてそれに溶け込むような森さんのギター。前半の「農家の嫁」、良かったな~。後半はカナさんをゲスト・ヴォーカルに呼んだ「純情フリーウェイ」が素敵でした。いつもよりスピードを落として、緩~い感じのアレンジで。あとアリサさんとカナさんのツイン・ヴォーカルみたいな感じの知らない曲も1曲ありました。あれは新曲?それともカヴァーだったのかな?  あとは「今日思う事の唄(2011年3月19日)」とか、「野生」とか。フケさんのドラムスが入ってるので「スニーカー」を期待したのですが、残念ながらやりませんでしたね~。

そしてとんちピクルスさん。とんちさんを観るのは今回が2度目。前回もカチャトラでマウントシュガーの対バンでした。この方はなんか不思議な魅力がありますよね~。ステージ進行なんかはかなりグタグタなんですが、それも含めて独特の世界観と憎めないキャラで観客達をとんちワールドに染めていく。ウクレレの弾き語りを中心に、チープなピコピコ音のカラオケ、ラップ、アダルト歌謡、腹話術とやりたい放題でありながら、ブラックユーモアを含んだその音楽には妙に惹かれてしまうから、やっぱり不思議。で、腹話術ですよ。“うくちゃん”だったかな?そんな犬の人形相手にとんちさんが会話するんですけど、その会話の中で、『このあと、とんちピクルスが4曲、マウントシュガーが5曲、最後にみんなでスタンド・バイ・ミーを歌うよ』みたいなことを言ってしまったんですよ。多分、その場の思いつきだったと思うんですけど。とんちさん自身、自分で『え!スタンド・バイ・ミー歌うの!?』なんて突っ込んだりして爆笑を誘ったりしたはいいんですけど…。

で、マウントシュガー&フケさん&カナさんによる素晴らしいライヴが終わり、鳴り止まない拍手、そしてアンコールという状況になる訳ですよ。ここであのとんちさんの言葉が思い出される。もう「スタンド・バイ・ミー」やるしかないよ…、みたいな。「スタンド・バイ・ミー」、誰もが知ってる超有名曲ですが、その英語詩を全て覚えている人ってそんなに居ないですよね。残念ながらこの夜の出演者にも居なかったんです。で、どうする?どうする?みたいな雰囲気の中、とりあえず演ってみようみたいな感じで手探りで始めたは良いですが、やっぱり誰も歌えない(笑)。とんちさんが何とかさわりだけ歌って形を作ったはいいですが、あとが続かない…。すると観客の一人がスマートフォンを差し出したんです。どうやら歌詞を検索してくださったらしい。その一つのスマートフォンをアリサさん、とんちさん、カナさんが寄り添って覗きこみながら歌う「スタンド・バイ・ミー」。なんとも頼りない展開ながら、サビの『ダーリン!ダーリン!』で大合唱! 妙な一体感! こんな楽しい「スタンド・バイ・ミー」は初めて!!

なんとか「スタンド・バイ・ミー」を歌い切ると、またも鳴り止まない拍手。『これで終わって良いのか!』みたいな愛情たっぷりな野次も飛ぶ。結局、最後にとんちさんが1曲、マウントシュガーが1曲歌って終わることに。これで丸く収まるかと思いきや、とんちさんが最後にとんでもない爆弾を落とす。お茶目な曲調に放送禁止用語を絡めてタッチ!だのキッス!だのと笑顔で歌っちゃうものですから、場内騒然の大盛り上がり。正直、とんちピクルスさんって、凄いな!って思いました。で、この後、マウントシュガーはどうするんだろう?みたいな。

すっかりとんちさんの毒気が充満した会場内、その後を引き継ぐマウントシュガーのお二人がちょっぴり可哀想な感じでしたが、『もう何を歌って良いか分からない…』みたいなことを言いながら、マイクスタンドを横に退けるアリサさん。森さんがギターを爪弾く。アリサさんの生声が響くと同時に場内がシーンと静まり返る。ここはもうマウントシュガーの空間。この「太陽」はホント素晴らしかった! アリサさんの歌声はその一声で場内の空気を変える。しっとりとしたエモーションが滲みわたる。声とリズムの微妙なニュアンスにうっとりと聴き入る。極上でした。

私にとってはこれが新年初ライヴ。素晴らしい幕開けとなりました! (ヤリイカのパスタ、美味しかったです!)

フジロック・ベストアクト第2位!

2012-01-13 15:08:29 | フジロック
CSS / CANSEI DE SER SEXY - DELUXE EDITTION

年も開けて、レディオヘッド出演決定で盛り上がるフジロック。そんな今にいたっても懲りずにやってる我がブログの昨年度フジロック・ベスト・アクト、今回はその第2位!! CSSで~す!!!!

いやね、「ルーツな日記」でCSSはどうなの?って思いましたよ。だってディスコ・パンクですから、ルーツのルの字もないですから。でもCSS最高だったんですよ! そりゃ「ルーツな日記」的ベスト・アクトとしては悩みましたよ。いっそのこと、CSSは特別枠として扱って、ルーツ系だけでベスト5を選ぼうかとも考えました。ですがそれではフジロックの面白さに反すると思いまして、やはりここはCSSも含めた全ての出演アーティストから(いや、あくまでも私が観た一握りのアーティストからですが…。)選出させて頂くことにいたしました。という訳で、第2位、CSSです!

初日金曜日、ホワイトステージのトリ前に出演したCSS、実はオレンジのトリを務めたサム・ムーアと被ってたんです…。そうです、私はあのサム・ムーアを蹴ってCSSを観たんです。まあ、それぐらいCSSが好きというか、ラヴフォックスが好きというか、とにかく個人的には今年のメイン級な楽しみだった訳ですよ。

あの日の夜、ヘヴンでアマドゥ&マリアムを堪能し、急いでオレンジのサム・ムーアを一目拝んで、とんぼ返りでホワイトに走った私。名曲「That Lucky Old Sun」を歌うサム・ムーアの声を背中に聴きながら…。しかしこういう断腸の思いでの移動というのもフジロックの醍醐味だったり。そしてアヴァロンを抜ける辺りから気持ちは完全にCSSへ!ラヴフォックスへ! さらにホワイトへと抜ける坂道をくだり、巨大なステージとその前方にもの凄い数のオーディエンスが集まっている様を観た時は、もうなんか「うわ~!!!」って感じでしたよ。そしてステージ向かって右側のそこそこ前の方へ潜り込む。そして開演!!

キーボードの爆音が闇を切り裂く。ラヴホックスがステージ中央へ躍り出る。まだ照明は暗い中、観客を煽るようなアクションを決めまくるラヴフォックス。もうこの時点で興奮は最高潮!! 私も「イエー!!!」だの「ウォー!!!」だの叫びまくり! 始まった曲は1st作から「Art Bitch」。とにかく音がバッキバキ!! 腰の入ったビートが会場全体を揺らしまくる。そしてラヴフォックスが踊りまくる。相変わらず行き当たりばったりこの上ないダンスなんですが、その肉感的な躍動感が、堪らない程に享楽なオーラをまき散らす。やはりラヴフォックス!!

正直な話、セットリストとか覚えてる余裕なんてありません。もうととにかく大興奮で、楽しくて、踊りまくって、ただただCSSが放出するエネルギーに飲み込まれていった感じ。「Let's Make Love And Listen Death From Above」、「Music Is My Hot Hot Sex」、「Let's Reggae All Night」、「Off The Hook」あたりはやったかな? とにかく出音の勢いが半端無い。強靭なビート、そしてギターやキーボードのギラギラとした爆音。これらが生み出す強固かつ濃密なバンド感。CSSってこんなに芯の太いサウンド出すバンドでしたっけ? たしかにホワイトステージのサウンドシステムの力もあったかもしれません、ですがそれだけではない、あきらかにバンドの勢いと自信を感じさせられるエネルギー。デビュー当時のDIYなポップ感覚を残しつつ、完全にバンドとしてのパワーに目覚めた感じ。まさにニュー・モードのCSSですよ!

その証拠にこの時まだリリース前だった新作「LA LIBERRATION」からの楽曲がまたパワー全開で、初めて聴く観客達を飲み込んでいく。ヘヴィ且つバウンシーなリズムにジワジワと侵されていくような「City Grrrl」、レゲエっぽい浮遊感のあるグルーグが不思議なポップ感を生む「Hits Me Like A Rock」、そしてスピード感抜群の「La Liberación」。この曲は格好良いですよね~。曲によってギターとキーボードを取っ替え引っ替えするカロリーナ、アナ、そしてルイザの女性陣もこの曲では3人ともギターをかき鳴らす。ロッックです! しかも歌詞はスペイン語。英語と違う語感が妙な興奮をそそる。この曲を歌うラヴフォックスの弾けっぷりも堪りませんでしたね~。

ラヴフォックスと言えば、やはりそのトレードマークはド派手な全身タイツ姿な訳ですが、やはりニューモード、もう全身タイツではありませんでした。最初はジャケットのようなものを着ていたと思うのですが、すぐにそれを脱ぎ捨てると、胸の当たりに“TRASH"と書かれた、裾をギザギザにカットした真っ赤なTシャツ。そして膝下まであるピチッとしたパンツ。しかもそのパンツを「Music Is My Hot Hot Sex」が始まる瞬間にバシッと早脱ぎ、いや早外しって感じかな?とにかくあっという間に剥ぎ取った後にはピチピチの短パン!! このTシャツに短パン姿で踊りまくるラヴフォックスが格好良い!格好良い! 髪を振り乱し、カオティックな表情を見せながら、飛び跳ね、飛び回るラヴフォックス。時に床に寝転んだり、さらに元気よく側転したり。しかもTシャツに短パン姿っていうのがかえって全身タイツよりも彼女のムチムチなボディを強調する感じで、ポップな色っぽさを発散しまくってました。

それとお約束のネタと言いますか、おふざけもしっかりありました。途中、ラヴフォックが『ドリンクタ~イム!!』とか、そんなようなことを叫ぶと、アナがなにやらボトルを用意(私は覚えてないのですが、ステージ上でラヴフォックスが「八海山ダイスキ」と言っていたという証言があるので、そのボトルはおそらく八海山の一升瓶だったんでしょうね)、そしてラヴフォックスの持つグラスにそそがれる、頃合いを見てラヴフォックスが、「おっとっとっとっと~!!」と言いながらグラスを持ち上げてボトルを遮るという、サラリーマンの飲み会によくある風景を再現。そんなのどこで覚えたんでしょうね!おちゃめなラヴフォックスに乾杯!!

最後の曲「Alala」では、ラヴフォックスによる、これまたお約束の観客へのダイブが敢行される。正直、ホワイトでは無理かな~、なんて思ってましたが、やってくれましたラヴフォックス。観客の頭上で揉みくしゃになるラヴフォックスの勇姿、しかと見届けました。それと、最後に、終始ベースで強力グルーヴを生み出しつつ、バック・ヴォーカルで常にラヴフォックスをサポートしていたアドリアーノの存在感も格別でした。

いや~、ホント、最高のライヴでした!!


さて、実はこれだけではないんです。CSSはこのホワイトステージの出番の前、同じ日の昼間に、オアシスエリアにある岩盤スクエアで、MTVの公開収録とサイン会を行なっていたんです。もちろん私も参加しました! ミーハー魂を炸裂させて前から2列目をゲット。MTVの公開収録ではアコースティック・セットによるライヴ演奏が。パーカッション、アコギ、ピアニカ、チープなキーボードなどで演奏される新曲「Red Alert」、「Hits Me Like A Rock」。ラヴフォックスのいつもの弾けた歌いっぷりとは違う、押さえた歌声が良かったです。メンバーもジャムっぽい雰囲気を楽しんでるようでしたね。インタビューでアコースティックは初めてと語っていたので、貴重なライヴを見れました。しかも間近に!!

そしてお楽しみのサイン会。メンバー全員にサインを頂きました!(写真上) 私はこの時、これみよがしにラヴフォックスのデザインTシャツを着ていたのですが、ラヴフォックスはそれに気づいて「サンキュー」と言ってくれました。私もいい加減な英語ながら「My favorite T-shirt!」とか言ってみましたら、今度は日本語で「ありがとう!」と応えてくれました。そのラヴフォックスに「What your name?」と聞かれたので、「リョウジ!」と答えて、書いて貰ったサインが下の拡大写真(左)。Yoji…。それじゃヨウジだから…。そのサインを見たアナも握手しながら「サンキュー、ヨウジ!」みたいな。ま、いいですけどね。


ちなみに、数年前にCSSが来日した際に頂いたサイン。この時も名前を聞かれ、「リョウジ」と答えましたら、ひらがなで「りおじ」と書いてくれたラヴフォックス。下の拡大写真(右)。いつになったら、私の名前を分かってくれるのか?いや、もちろん私の伝達能力の低さに問題があることは分かっていますよ。ま、そんなことも含めて、ラヴフォックスってキュートな人ですよね~!

 


こんなフジロックの興奮ももう昔の話、懐かしく思い返しているうちに、明日、1月14日は待ってましたのCSS単独公演、新木場スタジオ・コーストです! もちろん私も行きますよ~! 年甲斐もなく弾けてきます!!


~関連過去ブログ~ お時間有ったらぜひ!

 11.10.16 フジロック・ベストアクト 番外編 その3
 11.09.30 フジロック・ベストアクト 番外編 その2
 11.09.29 フジロック・ベストアクト 番外編 その1
 11.09.23 フジロック・ベストアクト第3位! アマドゥ&マリアム
 11.09.19 フジロック・ベストアクト第4位! ウィルコ
 11.09.17 フジロック・ベストアクト第5位! マーク・リボーと偽キューバ人達
 11.08.05 フジロックの10曲!



フジロック第2弾!

2012-01-12 22:28:36 | フジロック
フジロックにレディオヘッド!!

いよいよ今年のフジロックも本格始動です。オフィシャルサイトがリニューアルされて、早割を含むチケットの発売スケジュールがアナウンスされました! そしてなんと、早くも出演者発表第2弾です!しかもレディオヘッド!! ストーンローゼスに続いて英ロックの超大物のエントリーです!これで3日のうち、2日分のヘッドライナーが埋まりましたね~。今年のフジロックは早いです!早割発表前にこの豪華さですよ! 今年の早割はさらに倍率が上がりそう…。何はともあれ、ヘッドライナーに初登場の大物2バンドを並べたフジロックに拍手!!

なんて言いながら、私自身はそれほどレディオヘッドには思い入れが無かったりするんですけどね。アルバムも「KID A」までしか聴いてませんし。「OK COMPUTER」は結構好きでしたけど…。でもストーン・ローゼスもそうですが、やっぱり一度は生で観てみたいバンドではありますよね~。

そして気になるのは、ヘッドライナーの残り一枠。個人的にはビョークに来て欲しいんですが、無理ですかね~。


とにもかくにも、フジロックの季節がやってまいりました(気が早い?)。当ブログでも追いかけますよ~!! ちなみに私は、今年も前夜祭から4日間の参加予定です。もう宿も確保しました。さあ、来い、フジロック!!

(昨年のベストアクト企画をまだ書き終わってないんですけど…)

タワレコ・クリアランス・セール!

2012-01-06 00:59:11 | 余話
1月4日、新年恒例の渋谷タワーレコード・クリアランス・セールに行ってまいりました。対象CD1枚290円から。ま、いわゆる在庫処分セールなんでしょうけど、これが案外掘り出し物の宝庫なんです。私もいつもなら開店前から並んで必至に物色するところですが、今回は余裕を見せて夕方頃に会場入り。お目当てのブルース/カントリー・ワゴンは大方荒らされた後のような感じでしたが、それでも何だかんだで30枚! だって30枚買っても1万円いかないんですからね!

下に並べた写真はその一部。

ノラ・ジョーンズやキャット・パワーも参加したジェシー・ハリス楽曲による映画のサントラや、タウンズ・ヴァン・ザントのデビュー前デモ音源集、バーデン・パウエルの名盤、さらにゲスト陣が豪華なシェーン・テリオの09年作やワイルド・マグノリアスの30周年記念盤とか、買いそびれていたものから、安さのあまりの衝動買いまで、よりどりみどり。アール・スクラッグス、アリソン・ブラウン、ベラ・フレックと共演陣も豪華なTONY TRISCHKAの「DOUBLE BANJO BLUEGRASS SPECTACULAR」も欲しかった1枚。

これで当分、聴くものに困らなそう。







そそるライヴ 1月編

2012-01-03 23:43:16 | そそるライヴ
関東近辺にて1月に行われるライヴ、フェス、イベントのなかで、気になるものをピックアップしてみました。

1/03(火)MACY GRAY @ブルーノート東京
1/05(木)LALAH HATHAWAY @ブルーノート東京
1/06(金)CLAP YOUR HANDS SAY YEAH @Shibuya O-EAST
1/09(月)Chaka Khan @ビルボードライヴ東京
1/10(火)mount sugar @恵比寿 cacciatora
1/13(金)Muriel Anderson @吉祥寺 STAR PINE'S CAFE
1/14(土)CSS @Shinkiba STUDIO COAST
1/16(月)Daniel Lanois @ビルボードライヴ東京
1/19(木)Arrested Development  @ビルボードライヴ東京
1/20(金)FLEET FOXES @Shinkiba STUDIO COAST
1/20(金)PAT METHENY @ブルーノート東京
1/23(月)BEIRUT @Shibuya O-WEST
1/27(金)David T. Walker @ビルボードライヴ東京
1/29(日)Kirk Franklin @ビルボードライヴ東京



お出かけの際は事前のご確認をお願いいたしま~す!

謹賀新年

2012-01-01 12:15:40 | 余話
あけましておめでとうございます!

昨年、我がブログを読んでくださった皆様、本当にありがとうございます。
今年もより一層、趣味に隔たった内容で邁進したいと思っておりますので、どうぞご期待ください!!


恒例の「ルーツな日記」的ベストアルバムは、今月中にはなんとかしたいと思っております。
ただ、先月中に書きたかった話題がまだ書けてないのでその辺も追々な感じで。

例えば、

上原ひろみ ザ・トリオ・プロジェクトのライヴレポ(12月4日東京国際ホーラム)
エリック・クラプトン&スティーヴ・ウィンウッドのライヴレポ(12月10日日本武道館)

とか。



まあ、なんだかんだ言って、今年も始まる前からスロー・ペースな雰囲気満載な当ブログですが、本年もどうぞよろしくお願いいたします。