ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
現在、 フジロック ブログ と化しています。

mount sugar @恵比寿 CACCIATORA

2012-01-14 14:35:55 | 邦アーティスト
1月10日、恵比寿カチャトラにてマウントシュガーを観てまいりました。対バンはとんちピクルス。ライヴは2部構成で、まずマウントシュガー ~ とんちピクルス、そして30分程の休憩の後、今度はとんちピクルス ~ マウントシュガーという流れでした。

カチャトラでマウントシュガーを観るのは案外久しぶり。でもやはりカチャトラはマウントシュガーの“ホーム”という印象もあるので、やはりここで観るマウントシュガーは格別なのです。前半はアリサさんと森さんの二人だけによるセット、後半はカセットコンロスのフケさんをドラムスにむかえてのセッション、といった感じでした。やっぱりアリサさんの歌声は何度聴いてもグッときますね。そしてそれに溶け込むような森さんのギター。前半の「農家の嫁」、良かったな~。後半はカナさんをゲスト・ヴォーカルに呼んだ「純情フリーウェイ」が素敵でした。いつもよりスピードを落として、緩~い感じのアレンジで。あとアリサさんとカナさんのツイン・ヴォーカルみたいな感じの知らない曲も1曲ありました。あれは新曲?それともカヴァーだったのかな?  あとは「今日思う事の唄(2011年3月19日)」とか、「野生」とか。フケさんのドラムスが入ってるので「スニーカー」を期待したのですが、残念ながらやりませんでしたね~。

そしてとんちピクルスさん。とんちさんを観るのは今回が2度目。前回もカチャトラでマウントシュガーの対バンでした。この方はなんか不思議な魅力がありますよね~。ステージ進行なんかはかなりグタグタなんですが、それも含めて独特の世界観と憎めないキャラで観客達をとんちワールドに染めていく。ウクレレの弾き語りを中心に、チープなピコピコ音のカラオケ、ラップ、アダルト歌謡、腹話術とやりたい放題でありながら、ブラックユーモアを含んだその音楽には妙に惹かれてしまうから、やっぱり不思議。で、腹話術ですよ。“うくちゃん”だったかな?そんな犬の人形相手にとんちさんが会話するんですけど、その会話の中で、『このあと、とんちピクルスが4曲、マウントシュガーが5曲、最後にみんなでスタンド・バイ・ミーを歌うよ』みたいなことを言ってしまったんですよ。多分、その場の思いつきだったと思うんですけど。とんちさん自身、自分で『え!スタンド・バイ・ミー歌うの!?』なんて突っ込んだりして爆笑を誘ったりしたはいいんですけど…。

で、マウントシュガー&フケさん&カナさんによる素晴らしいライヴが終わり、鳴り止まない拍手、そしてアンコールという状況になる訳ですよ。ここであのとんちさんの言葉が思い出される。もう「スタンド・バイ・ミー」やるしかないよ…、みたいな。「スタンド・バイ・ミー」、誰もが知ってる超有名曲ですが、その英語詩を全て覚えている人ってそんなに居ないですよね。残念ながらこの夜の出演者にも居なかったんです。で、どうする?どうする?みたいな雰囲気の中、とりあえず演ってみようみたいな感じで手探りで始めたは良いですが、やっぱり誰も歌えない(笑)。とんちさんが何とかさわりだけ歌って形を作ったはいいですが、あとが続かない…。すると観客の一人がスマートフォンを差し出したんです。どうやら歌詞を検索してくださったらしい。その一つのスマートフォンをアリサさん、とんちさん、カナさんが寄り添って覗きこみながら歌う「スタンド・バイ・ミー」。なんとも頼りない展開ながら、サビの『ダーリン!ダーリン!』で大合唱! 妙な一体感! こんな楽しい「スタンド・バイ・ミー」は初めて!!

なんとか「スタンド・バイ・ミー」を歌い切ると、またも鳴り止まない拍手。『これで終わって良いのか!』みたいな愛情たっぷりな野次も飛ぶ。結局、最後にとんちさんが1曲、マウントシュガーが1曲歌って終わることに。これで丸く収まるかと思いきや、とんちさんが最後にとんでもない爆弾を落とす。お茶目な曲調に放送禁止用語を絡めてタッチ!だのキッス!だのと笑顔で歌っちゃうものですから、場内騒然の大盛り上がり。正直、とんちピクルスさんって、凄いな!って思いました。で、この後、マウントシュガーはどうするんだろう?みたいな。

すっかりとんちさんの毒気が充満した会場内、その後を引き継ぐマウントシュガーのお二人がちょっぴり可哀想な感じでしたが、『もう何を歌って良いか分からない…』みたいなことを言いながら、マイクスタンドを横に退けるアリサさん。森さんがギターを爪弾く。アリサさんの生声が響くと同時に場内がシーンと静まり返る。ここはもうマウントシュガーの空間。この「太陽」はホント素晴らしかった! アリサさんの歌声はその一声で場内の空気を変える。しっとりとしたエモーションが滲みわたる。声とリズムの微妙なニュアンスにうっとりと聴き入る。極上でした。

私にとってはこれが新年初ライヴ。素晴らしい幕開けとなりました! (ヤリイカのパスタ、美味しかったです!)