DONNIE FRITTS / EVERYBODY'S GOT A SONG
9月28日、ドニー・フリッツ&ザ・デコイズの渋谷O-EAST公演。前回からの続きです。
*以下、完全なネタバレになりますので、これからライヴを観に行かれる方は読まないことをお勧めいたします。
いよいよ本日の主役、ドニー・フリッツの登場。上下黒のスーツにサングラスできめています。1曲目は「Sumpin' Funky Going On」。74年の1st作にして名盤の誉れ高き「PLONE TO LEAN」に収録されたドニーとトニー・ジョー・ホワイトによる共作ナンバー。ドニーの泥臭くヨレた歌声とトニー・ジョー絡みの曲調により一気にスワンプ色が強くなります。やはりドニーの存在感は絶大です。最新作の「Nothing But The Blues」もそのやさぐれた味わいはブルースとはまたちょっと違うダウンホームさ。続く、マスルショールズのご当地ソングみたいな、“~down in Muscle Shoals~" って感じに歌っていたような曲は、私には出所が分からなかったのですが、なんか聴いたこと有るような、無いような…、誰の曲ですかね?でもこのバンドにはぴったりの曲でした!そして待ってましたの名曲「We Had It All」。
この曲はダン・ペンとの共作ですが、ドニー・フリッツの書くスロー・ナンバーは格別ですよね。色々な人がカヴァーし歌い継がれている名曲ですが、ドニーはレイ・チャールに取り上げられたことを喜んでいたようですね。MCでもそんな雰囲気で語っていました。この曲はステージ中央に据えられたキーボードを弾きながら歌ったのですが、その仕草がレイ・チャールズのように見える瞬間もあったりしたような。
さらに最新作から「Waking Up In Reno」、2nd作から「Short End of the Stick」を披露。3枚のソロ・アルバムから良い案配に散らして来る選曲ですね。ステージはこの辺りから後半戦に入ります。前半は「We Had It All」以外は立って歌に専念していたドニー・フリッツでしたが、後半はキーボードの前に座りながら歌うスタイルが多かったです。まずは最新作からのブルージーなスロー・ナンバー「Across The Pontchartrain」。キーボーディストのN.C.サーマンはそこかしこにアーシーな鍵盤捌きで南部フィーリングをステージに注入していましたが、この曲では鄙びたハープを吹くんです。これがまた良いんですよ~! 美しくもブルーなメロディーにドニーの感傷的な歌声、そしてハープ、最高でした。この曲もトニー・ジョーとの共作ですね。
そして待ってましたの「Three Hundred Pounds Of Hongry」。名作「PLONE TO LEAN」の冒頭を飾ったナンバーですね。やっぱりこの曲を演ってくれないと始まらない感じはありますよね。今は亡きマスル・ショールズ・レジェンドの一人、エディ・ヒントンとの共作です。そして最新作のタイトルナンバー「One Foot In The Groove」とスワンピーなナンバーが続きます。こういう曲でのドニーのヴォーカルは南部のバーでとぐろを巻いてるような荒くれ感があって痺れます。
続く「Huevos Rancheros」は珍しいテックス・メックス調で、最新作の中でもその朗らかな空気感が印象的な曲ですが、ライヴでもドニーならではの優しい歌声に、なんだか幸せな気分になりました。今回の来日公演ではドニーの歌声の予想以上の力強さに嬉しくなりましたが、こういった暖かい歌声にはなんかホッとさせられると言うか、個人的にはこの夜のハイライトの一つでしたね。リラックスした幸福感の中にドニー・フリッツのシンガーとしての魅力が詰まっていたように思います。
さらに最新作から「Jesus Was All I Had」に続き、驚きのカヴァーはミーターズの「Jungle Man」!! ミーターズと言えばニューオーリンズ・ファンクの箱バンですから、そんな彼らの名曲をマスル・ショールズ勢の演奏で聴くと言う贅沢。ミーターズのポリリズミックな粘着グルーヴとはまた違う、デコイズならではの低重心のサザン・グルーヴが格好良かったです。ヴォーカルはほとんどスコット・ボイヤーがとっていたようでした。この曲はメンバー紹介を挟んだりして、後半の見せ場でしたね。
意外なカヴァーで盛り上げつつ、バンドの演奏力を見せつけたデコイズのメンバーがステージを去っていきます。「あ~、終わりか…」と思ったら、ドニー・フリッツだけキーボードの前に残り、弾き語りタイム。ここで掟破りの「Rainbow Road」、「My Friend」の2蓮ちゃん!! これには参りましたね~。ドニーの歌声は70年代のまろやかな味わいから年輪を重ね、ソウルフルながらどこか頼りなげで、その節々から哀愁を漂わせる。あの味はそうは出せませんよね~。南部の土と空気が育んだ味わいなんでしょうね。そしてもちろん曲が良い!!前者はダン・ペンと、そして後者はスプーナー・オールダムとの共作ですね。鉄板です!
「ブルース銀座」さんのブログによりますと、この2曲は初め演る予定にはなかったのですが「リクエストに応えて」演ってくれたとか。いやいやこの2曲は演らなくちゃだめでしょう!でも確かに、弾き語りとは言え、ちょっととって付けたような印象は有ったんですよね。特に出だしや終わり方などが、何て言うか、雑と言うか…。せっかく名曲なんですから、もっとしっかりとドラマチックに聴かせてくれても…、みたいな感じはありました。でもそんなリラックスした雰囲気だからこそ、ドニーの人柄が滲み出るような歌声を堪能出来たのかもしれませんね。リクエストしてくれた方、ありがとうございます!
再びバンド・メンバーが戻って繰り出されたのはなんと「Iko Iko」。またもニューオーリンズ。なんだかんだでニューオーリンズが好きなんですかね?って言うか、スワンプの故郷はルイジアナに有り!って感じですかね。ここで初めて観客が総立ちに。彼らのライヴで一番盛り上がるのが「Iko Iko」というのもどうなんだろう?と思いながらも、盛り上がったもの勝ちって感じで。この曲もスコット・ボイヤーがヴォーカル。そして本編最後の曲は「Memphis Women and Fried Chicken」。先日のタワレコでも最後に演奏された曲ですね。やはり「Iko Iko」の派手なセカンド・ラインに比べると、なんとなく大人しく感じてしまいますし、個人的にはニューオーリンズ大好きな私ですが、今夜はこちらのスワンパーズ・リズムの方が心に染みるのでした。
アンコールは「Why Is My Day So Long?」。この曲もニューオーリンズ的ですが、ルイジアナ・スワンプを感じさせる最高の曲ですよね。場内も最後ならではの高揚感で満たされました。日本に居ながらにして本物のマスル・ショールズ産南部フィーリングを味わえた奇跡に拍手喝采を送る観客達、それに最高の演奏と笑顔で答えるメンバー達。こうしてマスル・ショールズからやって来たスワンパーズ達の夜は更けたのでした。
終演後はお楽しみのサイン会。メンバー全員がサインしてくれるということで、長蛇の列が出来ました。写真撮影もOKだったようで、みなさん思い思いに懇親されていたようです。なので長い列が遅々として進まない…。私の後ろにもさらに長蛇の列が。メンバーも疲れたでしょうね。でもファンにとっては最高の思い出ができましたね。私ももちろんサインを頂きました。デコイズの面々からは前回紹介したデコイズのアルバムに、ドニーには彼の2nd作にサインして頂きました。ドニーには正しく名前を入れて貰うという、タワレコでの失敗のリベンジも果たしました!
ぜひ、また来てほしいですね。ドニー・フリッツは数年前に病が重くなり、腎臓移植をして生死の境から生還したとか。私は20年程前から腎臓病を患っていまして、これからもその病と付き合っていかなければならないのですが、ドニー・フリッツの元気な姿には勇気づけられましたね。日本に来てくれてありがとうございました!
そしてトムス・キャビンさん、こういうのまた続けてください!
~関連過去ブログ~ お時間有ったらぜひ!
09.09.29 ドニー・フリッツ@渋谷O-EAST その1
09.09.27 ドニー・フリッツ@渋谷タワレコ
9月28日、ドニー・フリッツ&ザ・デコイズの渋谷O-EAST公演。前回からの続きです。
*以下、完全なネタバレになりますので、これからライヴを観に行かれる方は読まないことをお勧めいたします。
いよいよ本日の主役、ドニー・フリッツの登場。上下黒のスーツにサングラスできめています。1曲目は「Sumpin' Funky Going On」。74年の1st作にして名盤の誉れ高き「PLONE TO LEAN」に収録されたドニーとトニー・ジョー・ホワイトによる共作ナンバー。ドニーの泥臭くヨレた歌声とトニー・ジョー絡みの曲調により一気にスワンプ色が強くなります。やはりドニーの存在感は絶大です。最新作の「Nothing But The Blues」もそのやさぐれた味わいはブルースとはまたちょっと違うダウンホームさ。続く、マスルショールズのご当地ソングみたいな、“~down in Muscle Shoals~" って感じに歌っていたような曲は、私には出所が分からなかったのですが、なんか聴いたこと有るような、無いような…、誰の曲ですかね?でもこのバンドにはぴったりの曲でした!そして待ってましたの名曲「We Had It All」。
この曲はダン・ペンとの共作ですが、ドニー・フリッツの書くスロー・ナンバーは格別ですよね。色々な人がカヴァーし歌い継がれている名曲ですが、ドニーはレイ・チャールに取り上げられたことを喜んでいたようですね。MCでもそんな雰囲気で語っていました。この曲はステージ中央に据えられたキーボードを弾きながら歌ったのですが、その仕草がレイ・チャールズのように見える瞬間もあったりしたような。
さらに最新作から「Waking Up In Reno」、2nd作から「Short End of the Stick」を披露。3枚のソロ・アルバムから良い案配に散らして来る選曲ですね。ステージはこの辺りから後半戦に入ります。前半は「We Had It All」以外は立って歌に専念していたドニー・フリッツでしたが、後半はキーボードの前に座りながら歌うスタイルが多かったです。まずは最新作からのブルージーなスロー・ナンバー「Across The Pontchartrain」。キーボーディストのN.C.サーマンはそこかしこにアーシーな鍵盤捌きで南部フィーリングをステージに注入していましたが、この曲では鄙びたハープを吹くんです。これがまた良いんですよ~! 美しくもブルーなメロディーにドニーの感傷的な歌声、そしてハープ、最高でした。この曲もトニー・ジョーとの共作ですね。
そして待ってましたの「Three Hundred Pounds Of Hongry」。名作「PLONE TO LEAN」の冒頭を飾ったナンバーですね。やっぱりこの曲を演ってくれないと始まらない感じはありますよね。今は亡きマスル・ショールズ・レジェンドの一人、エディ・ヒントンとの共作です。そして最新作のタイトルナンバー「One Foot In The Groove」とスワンピーなナンバーが続きます。こういう曲でのドニーのヴォーカルは南部のバーでとぐろを巻いてるような荒くれ感があって痺れます。
続く「Huevos Rancheros」は珍しいテックス・メックス調で、最新作の中でもその朗らかな空気感が印象的な曲ですが、ライヴでもドニーならではの優しい歌声に、なんだか幸せな気分になりました。今回の来日公演ではドニーの歌声の予想以上の力強さに嬉しくなりましたが、こういった暖かい歌声にはなんかホッとさせられると言うか、個人的にはこの夜のハイライトの一つでしたね。リラックスした幸福感の中にドニー・フリッツのシンガーとしての魅力が詰まっていたように思います。
さらに最新作から「Jesus Was All I Had」に続き、驚きのカヴァーはミーターズの「Jungle Man」!! ミーターズと言えばニューオーリンズ・ファンクの箱バンですから、そんな彼らの名曲をマスル・ショールズ勢の演奏で聴くと言う贅沢。ミーターズのポリリズミックな粘着グルーヴとはまた違う、デコイズならではの低重心のサザン・グルーヴが格好良かったです。ヴォーカルはほとんどスコット・ボイヤーがとっていたようでした。この曲はメンバー紹介を挟んだりして、後半の見せ場でしたね。
意外なカヴァーで盛り上げつつ、バンドの演奏力を見せつけたデコイズのメンバーがステージを去っていきます。「あ~、終わりか…」と思ったら、ドニー・フリッツだけキーボードの前に残り、弾き語りタイム。ここで掟破りの「Rainbow Road」、「My Friend」の2蓮ちゃん!! これには参りましたね~。ドニーの歌声は70年代のまろやかな味わいから年輪を重ね、ソウルフルながらどこか頼りなげで、その節々から哀愁を漂わせる。あの味はそうは出せませんよね~。南部の土と空気が育んだ味わいなんでしょうね。そしてもちろん曲が良い!!前者はダン・ペンと、そして後者はスプーナー・オールダムとの共作ですね。鉄板です!
「ブルース銀座」さんのブログによりますと、この2曲は初め演る予定にはなかったのですが「リクエストに応えて」演ってくれたとか。いやいやこの2曲は演らなくちゃだめでしょう!でも確かに、弾き語りとは言え、ちょっととって付けたような印象は有ったんですよね。特に出だしや終わり方などが、何て言うか、雑と言うか…。せっかく名曲なんですから、もっとしっかりとドラマチックに聴かせてくれても…、みたいな感じはありました。でもそんなリラックスした雰囲気だからこそ、ドニーの人柄が滲み出るような歌声を堪能出来たのかもしれませんね。リクエストしてくれた方、ありがとうございます!
再びバンド・メンバーが戻って繰り出されたのはなんと「Iko Iko」。またもニューオーリンズ。なんだかんだでニューオーリンズが好きなんですかね?って言うか、スワンプの故郷はルイジアナに有り!って感じですかね。ここで初めて観客が総立ちに。彼らのライヴで一番盛り上がるのが「Iko Iko」というのもどうなんだろう?と思いながらも、盛り上がったもの勝ちって感じで。この曲もスコット・ボイヤーがヴォーカル。そして本編最後の曲は「Memphis Women and Fried Chicken」。先日のタワレコでも最後に演奏された曲ですね。やはり「Iko Iko」の派手なセカンド・ラインに比べると、なんとなく大人しく感じてしまいますし、個人的にはニューオーリンズ大好きな私ですが、今夜はこちらのスワンパーズ・リズムの方が心に染みるのでした。
アンコールは「Why Is My Day So Long?」。この曲もニューオーリンズ的ですが、ルイジアナ・スワンプを感じさせる最高の曲ですよね。場内も最後ならではの高揚感で満たされました。日本に居ながらにして本物のマスル・ショールズ産南部フィーリングを味わえた奇跡に拍手喝采を送る観客達、それに最高の演奏と笑顔で答えるメンバー達。こうしてマスル・ショールズからやって来たスワンパーズ達の夜は更けたのでした。
終演後はお楽しみのサイン会。メンバー全員がサインしてくれるということで、長蛇の列が出来ました。写真撮影もOKだったようで、みなさん思い思いに懇親されていたようです。なので長い列が遅々として進まない…。私の後ろにもさらに長蛇の列が。メンバーも疲れたでしょうね。でもファンにとっては最高の思い出ができましたね。私ももちろんサインを頂きました。デコイズの面々からは前回紹介したデコイズのアルバムに、ドニーには彼の2nd作にサインして頂きました。ドニーには正しく名前を入れて貰うという、タワレコでの失敗のリベンジも果たしました!
ぜひ、また来てほしいですね。ドニー・フリッツは数年前に病が重くなり、腎臓移植をして生死の境から生還したとか。私は20年程前から腎臓病を患っていまして、これからもその病と付き合っていかなければならないのですが、ドニー・フリッツの元気な姿には勇気づけられましたね。日本に来てくれてありがとうございました!
そしてトムス・キャビンさん、こういうのまた続けてください!
~関連過去ブログ~ お時間有ったらぜひ!
09.09.29 ドニー・フリッツ@渋谷O-EAST その1
09.09.27 ドニー・フリッツ@渋谷タワレコ