THE NEVILLE BROTHERS / LIVE AT JAZZ FEST 2009
個人的フジロック・ベスト・アクト、第2位。ネヴィル・ブラザーズです!!
なんだかんだでネヴィル・ブラザーズですよ! 初日の金曜日、終日雨降りだったとは言え、夢にまで見た野外フェスで見るネヴィル・ブラザーズです。昨年のJCBホールでのライヴはもちろん最高でしたが、野外のネヴィルズは濃密度150%増しです。残念ながら末弟シリル・ネヴィルは来ませんでしたが、それでもネヴィル・ブラザーズは最高でした。この日は、レーベン、ジェフ・ラング、パティ・スミス、ロバート・ランドルフ、そしてネヴィル・ブラザーズと並んだ個人的に最強の布陣。もちろんそれぞれ素晴らしいステージを見せてくれましたよ! しかしネヴィルズが始まった瞬間、そのリズムの豊かさ、そして深さに、他を寄せ付けない圧倒的な“別格”さを感じさせられました。
例えば、当ブログで第3位とさせていただいたシェウン・クティ&エジプト80を、鋼のように強靭でしなやかなリズムと例えるならば、ネヴィル・ブラザーズのそれは水気をたっぷり含んだ粘土のようなグルーヴ。まさにネヴィルズならではのバイユー・ファンク。そのグルーヴに身を任せた瞬間、それまでの疲れが一気に吹き飛びました。やっぱり私にはこのグルーヴが一番体に染みるのです。
核となるのはウィリー・グリーンのドラムス。このネヴィルズ不動のドラマーが叩き出す力強く躍動するリズムこそ、ネヴィルズのライヴを“最強”たらしめているのです。ニューオーリンズ屈指のパワフル・ドラマーでありながら、そのリズムは極上にハネている。そしてネヴィルズのファンクが、ロック、ソウル、ブルース、ジャズ、カリブ、アフリカなどなど、ありとあらゆるジャンルを飲み込みつつも、常にしっかりと腰が据わっているのは、彼が後ろからどっしりと支えているからなのです。
そしてそのドラムスに絡み合うベースとキーボード、そしてギター。この辺りのメンバーは、ネヴィルズの長い歴史の中で概ね流動的でありながら、その都度、芳醇なネヴィルズ・ファンクを現出させています。今回のメンバーも流石はネヴィル・ブラザーズな、濃密且つガンボなファンクを醸しだしていました。(ちなみに現ギタリストは日本人のマクニ・フクダ。)この、メンバーが変わっても脈々としたネヴィルズの本質は変わらないというところが何とも不思議なのです。
その答えは案外アート・ネヴィルなのかもしれません。彼の空間を縫うようなパーカッシヴ且つおおらかなオルガンが、ネヴィルズ系グルーヴの要なのではないでしょうか?濃密なリズムに彼のオルガンが絡み合ってこそあのグルーヴなのではないかと。で、案外、シリルのパーカッションが無くてもあのグルーヴは不変であると…。そんなことを考えたり。
実際の話、ライヴ中は、シリル不在をほとんど感じませんでした。もちろん、フジ直前に彼が TRIBE 13 の全米ツアーのため来れないことを知ったときはテンション下がりまくりでしたよ。そして開演待ちの時間、シリルのパーカッションが無いステージ上には寂しさを感じました。しかし始まってしまえば、それはネヴィル・ブラザーズ以外の何者でもないネヴィル・ブラザーズだったのです。
もちろん曲目的にはシリルが活躍する「Tipitina」や「Big Chief」などカーニヴァル・モードの曲は封印です。その分、アーロンが歌うビル・ウィザーズ「Aint No Sunshine」やヴァン・モリソン「Crazy Love」などカヴァー・ヴァージョンが聴けて嬉しかったです。特に「Crazy Love」は素晴らしかったですね。チャールズは定番の「Besame Mucho」。他にもニューオーリンズ・クラシック的なよく分からない曲(すいません…)も演ってくれましたし、相変わらずアートも元気な声を聴かせてくれました。
アートといえば、ミーターズの「Fiyo On The Bayou」で、初っ端の“Fiyo On The Bayou~”というコーラスをすっ飛ばしていきなりAメロを歌いだしちゃって、すかさずアーロンとチャールズに同時に突っ込まれるという場面もありましたね。この辺りは流石は兄弟なコンビネーションというか、ちょっと微笑ましい感じでしたが、アートは笑ってやり直したのの、突っ込んだ2人は笑っていませんでしたけど…。
終盤の「Iko Iko」では苗場がニューオーリンズの空気で満たされ、名曲「Tell It Like It Is」では必殺のアーロンの黒いヨーデルが夜空を甘くトロトロに染め上げました。最後はお馴染み「 Yellow Moon」。後半、チャールズのサックスとフクダ氏のギターとの熱い掛け合いで盛り上げ、最後は二人のハイタッチで大団円。メンバーがステージを去っていく中、鳴り止まない拍手にアーロンが中央に進み出ての「Amazing Grace」。
苗場の山々にアーロンのファルセットがこだまします。これは感動でしたね。山の中で聴くアーロンのゴールデン・ヴォイス。これ以上のものがありますか?まるで時間が一瞬止まったかのような。そして空気と、風と、木々と、呼吸が、スピリチュアルに共鳴するような。そしてその声は、えも言えない余韻を残しながら夜の挟間へと消えていきます。シリルが居ない今夜はこれで終わりだろうと思ったところへ、まさかのギター・カッティングが。
歓喜の中「One Love/People Get Ready」。やっぱりネヴィルズはこれを演らないとね。アーロンの歌う「People Get Ready」がまた良い! そして「One Love」のコーラスが呼ぶ幸福感。やっぱり私はフェスが好きです。指定席のホールでは決して味わえない高揚感がここにはあります。良くぞ呼んでくれました!そして良くぞ来てくれました!
流石は“世界最高のライヴバンド”と讃えられるネヴィル・ブラザーズ。シリル抜きでもしっかりと対応出来るところがまた凄い。それはこれまでに蓄積された膨大なレパートリーがなせる技なんでしょうね。でも冷静になってみると、やはり物足りなさが残る感はありますね。ライヴ自体の充実感では1位でも良い位なのですが、やはりシリル不在という面を考えての2位なのです。シリル抜きでもこれだけ凄いライヴを魅せてくれた訳ですから、ここにシリルが加わったらどんなことになっていたか、と思う訳です。やっぱり苗場の地で「Tipitina」や「Big Chief」を聴きたかったですよね~。シリルに熱く観客を煽って欲しかった…。それと、観客の入りも芳しくなかったようで、それも残念ですね。アートが元気なうちにもう一度シリル込みでリベンジして欲しいな~。
~関連過去ブログ~ お時間有ったらぜひ!
09.08.02 フジロック・ベスト5 第5位!
09.08.05 フジロック・ベスト5 第4位!
09.08.14 フジロック・ベスト5 第3位!
09.08.15 フジロック・ベスト5 番外編
09.07.23 フジロック現地リポート 出発
09.07.24 フジロック現地リポート 初日
09.07.25 フジロック現地リポート 二日目
09.07.26 フジロック現地リポート 最終日
09.07.27 フジロック現地リポート さらば
09.07.20 フジ予習:ネヴィル・ブラザーズ
*昨年の来日公演レポート*
08.10.30 ネヴィル・ブラザーズ@JCBホール 1(10月28日)
08.10.31 ネヴィル・ブラザーズ@JCBホール 2(10月29日)
08.11.02 ネヴィル・ブラザーズ@JCBホール まとめ
*昨年の来日に向けた予習特集*
08.10.28 アート・ネヴィル
08.10.26 チャールズ・ネヴィル
08.10.25 シリル・ネヴィル
08.10.24 アーロン・ネヴィル
個人的フジロック・ベスト・アクト、第2位。ネヴィル・ブラザーズです!!
なんだかんだでネヴィル・ブラザーズですよ! 初日の金曜日、終日雨降りだったとは言え、夢にまで見た野外フェスで見るネヴィル・ブラザーズです。昨年のJCBホールでのライヴはもちろん最高でしたが、野外のネヴィルズは濃密度150%増しです。残念ながら末弟シリル・ネヴィルは来ませんでしたが、それでもネヴィル・ブラザーズは最高でした。この日は、レーベン、ジェフ・ラング、パティ・スミス、ロバート・ランドルフ、そしてネヴィル・ブラザーズと並んだ個人的に最強の布陣。もちろんそれぞれ素晴らしいステージを見せてくれましたよ! しかしネヴィルズが始まった瞬間、そのリズムの豊かさ、そして深さに、他を寄せ付けない圧倒的な“別格”さを感じさせられました。
例えば、当ブログで第3位とさせていただいたシェウン・クティ&エジプト80を、鋼のように強靭でしなやかなリズムと例えるならば、ネヴィル・ブラザーズのそれは水気をたっぷり含んだ粘土のようなグルーヴ。まさにネヴィルズならではのバイユー・ファンク。そのグルーヴに身を任せた瞬間、それまでの疲れが一気に吹き飛びました。やっぱり私にはこのグルーヴが一番体に染みるのです。
核となるのはウィリー・グリーンのドラムス。このネヴィルズ不動のドラマーが叩き出す力強く躍動するリズムこそ、ネヴィルズのライヴを“最強”たらしめているのです。ニューオーリンズ屈指のパワフル・ドラマーでありながら、そのリズムは極上にハネている。そしてネヴィルズのファンクが、ロック、ソウル、ブルース、ジャズ、カリブ、アフリカなどなど、ありとあらゆるジャンルを飲み込みつつも、常にしっかりと腰が据わっているのは、彼が後ろからどっしりと支えているからなのです。
そしてそのドラムスに絡み合うベースとキーボード、そしてギター。この辺りのメンバーは、ネヴィルズの長い歴史の中で概ね流動的でありながら、その都度、芳醇なネヴィルズ・ファンクを現出させています。今回のメンバーも流石はネヴィル・ブラザーズな、濃密且つガンボなファンクを醸しだしていました。(ちなみに現ギタリストは日本人のマクニ・フクダ。)この、メンバーが変わっても脈々としたネヴィルズの本質は変わらないというところが何とも不思議なのです。
その答えは案外アート・ネヴィルなのかもしれません。彼の空間を縫うようなパーカッシヴ且つおおらかなオルガンが、ネヴィルズ系グルーヴの要なのではないでしょうか?濃密なリズムに彼のオルガンが絡み合ってこそあのグルーヴなのではないかと。で、案外、シリルのパーカッションが無くてもあのグルーヴは不変であると…。そんなことを考えたり。
実際の話、ライヴ中は、シリル不在をほとんど感じませんでした。もちろん、フジ直前に彼が TRIBE 13 の全米ツアーのため来れないことを知ったときはテンション下がりまくりでしたよ。そして開演待ちの時間、シリルのパーカッションが無いステージ上には寂しさを感じました。しかし始まってしまえば、それはネヴィル・ブラザーズ以外の何者でもないネヴィル・ブラザーズだったのです。
もちろん曲目的にはシリルが活躍する「Tipitina」や「Big Chief」などカーニヴァル・モードの曲は封印です。その分、アーロンが歌うビル・ウィザーズ「Aint No Sunshine」やヴァン・モリソン「Crazy Love」などカヴァー・ヴァージョンが聴けて嬉しかったです。特に「Crazy Love」は素晴らしかったですね。チャールズは定番の「Besame Mucho」。他にもニューオーリンズ・クラシック的なよく分からない曲(すいません…)も演ってくれましたし、相変わらずアートも元気な声を聴かせてくれました。
アートといえば、ミーターズの「Fiyo On The Bayou」で、初っ端の“Fiyo On The Bayou~”というコーラスをすっ飛ばしていきなりAメロを歌いだしちゃって、すかさずアーロンとチャールズに同時に突っ込まれるという場面もありましたね。この辺りは流石は兄弟なコンビネーションというか、ちょっと微笑ましい感じでしたが、アートは笑ってやり直したのの、突っ込んだ2人は笑っていませんでしたけど…。
終盤の「Iko Iko」では苗場がニューオーリンズの空気で満たされ、名曲「Tell It Like It Is」では必殺のアーロンの黒いヨーデルが夜空を甘くトロトロに染め上げました。最後はお馴染み「 Yellow Moon」。後半、チャールズのサックスとフクダ氏のギターとの熱い掛け合いで盛り上げ、最後は二人のハイタッチで大団円。メンバーがステージを去っていく中、鳴り止まない拍手にアーロンが中央に進み出ての「Amazing Grace」。
苗場の山々にアーロンのファルセットがこだまします。これは感動でしたね。山の中で聴くアーロンのゴールデン・ヴォイス。これ以上のものがありますか?まるで時間が一瞬止まったかのような。そして空気と、風と、木々と、呼吸が、スピリチュアルに共鳴するような。そしてその声は、えも言えない余韻を残しながら夜の挟間へと消えていきます。シリルが居ない今夜はこれで終わりだろうと思ったところへ、まさかのギター・カッティングが。
歓喜の中「One Love/People Get Ready」。やっぱりネヴィルズはこれを演らないとね。アーロンの歌う「People Get Ready」がまた良い! そして「One Love」のコーラスが呼ぶ幸福感。やっぱり私はフェスが好きです。指定席のホールでは決して味わえない高揚感がここにはあります。良くぞ呼んでくれました!そして良くぞ来てくれました!
流石は“世界最高のライヴバンド”と讃えられるネヴィル・ブラザーズ。シリル抜きでもしっかりと対応出来るところがまた凄い。それはこれまでに蓄積された膨大なレパートリーがなせる技なんでしょうね。でも冷静になってみると、やはり物足りなさが残る感はありますね。ライヴ自体の充実感では1位でも良い位なのですが、やはりシリル不在という面を考えての2位なのです。シリル抜きでもこれだけ凄いライヴを魅せてくれた訳ですから、ここにシリルが加わったらどんなことになっていたか、と思う訳です。やっぱり苗場の地で「Tipitina」や「Big Chief」を聴きたかったですよね~。シリルに熱く観客を煽って欲しかった…。それと、観客の入りも芳しくなかったようで、それも残念ですね。アートが元気なうちにもう一度シリル込みでリベンジして欲しいな~。
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09.07.20 フジ予習:ネヴィル・ブラザーズ
*昨年の来日公演レポート*
08.10.30 ネヴィル・ブラザーズ@JCBホール 1(10月28日)
08.10.31 ネヴィル・ブラザーズ@JCBホール 2(10月29日)
08.11.02 ネヴィル・ブラザーズ@JCBホール まとめ
*昨年の来日に向けた予習特集*
08.10.28 アート・ネヴィル
08.10.26 チャールズ・ネヴィル
08.10.25 シリル・ネヴィル
08.10.24 アーロン・ネヴィル