ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
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ネヴィル・ブラザーズ@JCBホール 1

2008-10-30 21:43:40 | ソウル、ファンク
ネヴィル・ブラザーズの東京2DAYS。堪能してきました。まずは28日から。セットリストは以下の通り。

08年10月28日JCBホール
01. Fiyo On The Bayou
02. No Butts No Maybes~They All Asked For You
03. Africa
04. Brother Jake
05. Fever
06. Everybody Plays The Fool
07. Besame Mucho (Charles solo)
08. R&R Medley 1
  Johnny B. Goode~Bony Moronie~Dizzy Miss Lizzy~
  Slow Down~Oh Boy~Long Tall Sally
09. R&R Medley 2
  Rockin' Pneumonia and the Boogie Woogie Flu~
  Something You Got~I Know~Everybody Loves A Lover
10. Brother John~Iko Iko~Jambalaya
11. A Change Is Gonna Come
12. ? (Charles solo)
13. It Ain't No Use
14. Voo Doo
15. Tell It Like It Is
16. Yellow Moon
 -encore-
17. Amazing Grace~One Love~People Get Ready


ほぼ定刻通りにステージに姿を現したメンバー達。オープニングは彼等のテーマ・ソングとも言える「Fiyo On The Bayou」。まだまだ様子を見ながらみたいな雰囲気もありましたが、それでもシンコペーションの効いたガンボなノリはネヴィル・ブラザーズそのもの。そして長兄アートが昔程のハリは無くなったものの、元気に歌ってくれました。

2曲目はシリルが歌うメドレー「No Butts No Maybes~They All Asked For You」。前者はシリルがソロ作「NEW ORLEANS COOKIN'」で取り上げたプロフェッサー・ロング・ヘア曲。後者はミーターズ時代のレパートリー。この選曲は意外でしたね。渋すぎますよ! でも古き良きニューオーリンズな楽しい雰囲気が最高で、シリルもパーカッションの後ろで踊りだしたり。そして「Africa」、「Brother Jake」とファンキーな曲が続き、これも意外だった「Fever」。「NEVILLE-LZATION」収録の曲ですが、見せ場でもある冒頭のアーロンの声が美しく、チャールズのサックス・ソロも格好良かったです。

そして待ってましたのアーロン・ネヴィルが歌います! 12年振りに聴く生ゴールデン・ヴォイスです。曲は「Everybody Plays The Fool」。まるで軽やかに宙を舞うかのようなアーロンのファルセット。もう、聴いてる私の方も天に昇るかのような気持ちに。至福の一時でした。続くはチャールズのソロ・コーナー。何が来るか楽しみにしていたのですが、これもビックリな「Besame Mucho」。ムーディーでした。

さて、ここからがこの日のハイライト。得意のメドレーを、しかも3連発で! ネヴィルズのライヴって、後半にいくつか有るメドレーのうち一つを選んで演るようなイメージが有ったのですが、まさかの3連発でした。特にR&Rメドレーの連続には驚きました。ヒューイ・スミスの「Rockin' Pneumonia and the Boogie Woogie Flu」から始まる方は、クリス・ケナーやバーバラ・ジョージをつないだニューオーリンズ色濃厚なもので、ミーターズ時代でもお馴染みのメドレー。一方、チャック・ベリーからラリー・ウィリアムス、バディ・ホリー、リトル・リチャードなどを繋ぐ方も、オフィシャルでのリリースはないものの、私はネヴィルズ92年のライヴを収めたブート盤で親しんできたメドレーで、おそらくもっと前から演っているものなのでしょうね。このメドレーではアーロンとチャールズがおちゃめに同じステップで踊ったりしていい感じに盛り上げていました。そして最後は「FIYO ON THE BAYOU」収録のメドレーにハンク・ウィリアムスの「Jambalaya」を繋げたもの。これももう名人芸!

お祭り騒ぎの後はしっとりとアーロン・ネヴィル。曲は「A Change Is Gonna Come」。待ってましたのスロー・ナンバー。もう、とにかく聴き入りました。アーロンの声を一言も漏らさず聴き入りました。素晴らしかったです。またここでは日本人ギタリストの福田氏も聴かせました。前半のカッティングには多少ヒヤヒヤさせられたような気もしましたが、タメの効いたブルージーなソロが絶品でした。

続く2度めのチャールズ・コーナーですが、曲目が分かりませんでした、すいません。福田氏やサポートのキーボーディスとのソロも交えたジャズ・セッション。チャールズ・コーナーが2曲もあるとはちょっと意外でしたし、もう少しネヴィルズっぽい曲を演ってくれた方が良かったかも…、みたいな。

そしてまたもミーターズな「It Ain't No Use」、「Voo Doo」と若干へヴィーな曲が続き、ついに、ついに、きました!「Tell It Like It Is」。アーロンの出世曲。美しき“黒いヨーデル”が響き渡りました。もううっとりです。御歳60大後半にして、何て艶やかで、色っぽく、スウィートなのか! いや~、生で聴けて良かったです。

最後は「Yellow Moon」。エンディングでの最大の見せ場であるチャールズのサックスと福田氏のギターの掛け合いで大いに盛り上がって終了。ですが個人的にはこの曲で終わりというのも意外でした。確かに最後の掛け合いは盛り上がりますけど、曲的にちょっと暗いと思うんですよね。でも最後、チャールズと福田氏がハイタッチして終わる光景は見事でした。

そしてアンコールを求める拍手が鳴り響き、その喧噪が冷めやらぬうちにアーロンがマイクを手に持ちます。そしてそれを口元から離したり振るわせたりしながら、まさに天から降ってくるようなファルセットを。曲はもちろん「Amazing Grace」。静まる観客。まるで空気に溶け込むかのような歌声。そしてその歌声は空気を浄化し、我々の心をも浄化してくれるような、そんなスピリチュアルな響き。ここは教会か?いや天国か? 嗚呼、やっぱりアーロン・ネヴィルは素晴らしい!

そして「One Love~People Get Ready」。シリルの歌うこの曲、大好きです。そして昔と変わらないメンバー紹介をして、この日のライヴは終了。最後は観客がステージ前に詰めかけ、メンバーみんなが握手攻めに会っていました。


1時間40分ぐらいでしたでしょうか。新しい曲は一切なし。90年代初頭までの曲とお馴染みのカヴァー曲、プラス若干の意外な選曲で楽しませてくれた名曲オン・パレード。4兄弟それぞれに見せ場があり、それぞれ年齢を重ねたとはいえ、元気な演奏を聴かせてくれた素晴らしい内容でした。ですが期待に100%答えてくれたかと言いいますと、必ずしもそうでなかったのも事実。

まず、私はシリル・ネヴィルが好きで、90年代前半に観たネヴィル・ブラザーズのコンサートのような、魂を振り絞るようにステージを盛り上げる熱いシリルを期待していたのです。ですが少し前に彼がニューオーリンズ・オールスターズを率いて来日した際は、思いのほかクールと言うか、静かと言うか、元気がない、という感じで、現在のシリルのテンションってこんな感じなの? いや、ネヴィルズでは違うはず、といった期待、といより不安に近いものが有ったのですが、この日のシリルも、元気な歌を沢山聴かせてくれたとは言え、私の期待するシリルの姿ではなかったんです。

それと、出音がやや小さいかったのでは?という印象も。なのでリズムがもう一つガツンとこなかった気もするんです。もちろんグラグラと沸き立つようにうねるグルーヴはネヴィル・ブラザーズ意外何者でもないものでしたし、ウィリー・グリーンの叩き出すリズムは強烈でしたけどね。全体的には円熟のノリ、といった印象でした。それとアートのオルガンの音が弱かったり、アーロンの声ももう少し上げて欲しかったとか、ま、微妙すぎて好みの問題かもしれませんけど…。

それとお客さんも全体的に静かめでしたね。横の方のブロックのお客さんは結構立ち上がって踊ってらした方が多かったようですが、中央前方は大人しかったですね。私は前から8列目のど真ん中で観てたのですが、私より前方はほぼ全員座って観てました。って言うか、かくいう私も座ってみてましたけど…。ですがR&Rメドレーで我慢出来ずに立ち上がっちゃいましたけどね。でも前の方の席って、周りが立ってないと一人で立って良いのかしら?みたいに牽制し合っちゃって結局立ち上がれないみたいな雰囲気って有りますよね? そんな感じだったのかも。そしてアンコールで堰を切ったかのように総立ち。最終的には良い雰囲気で盛り上がりました。

こんな28日でした。29日についてはまた次回。

(演奏曲目等、間違っていたらごめんなさい。)




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