アッパレじゃ!

大好物は舞台観劇♪ようござんすか?ようござんすね。”私見”バリバリ入りますっ!ネタばれアリアリ~。

娘道成寺 蛇炎の恋

2005年10月07日 | 歌舞伎

2004年9月  公開
2005年10月 衛星放送

『京鹿子娘道成寺』を映画化!しかも中村福助主演!
喜ぶべきか、怒るべきか、それが問題だ。
福ちゃんの映画。といえば、『シベリア超特急2』(by水野晴郎)
…今回は、…まともだ(笑)
岡本喜八プロダクションの岡本みね子プロデューサーだし。
でも、ソ~と公開して、ソ~と終わった。

当代一の女方・村上富太郎(中村福助)のもとで
『娘道成寺』の稽古をしていた女(牧瀬里穂)が自殺する。
その双子の姉(牧瀬2役)は、妹が自殺した原因を知りたいと、
無理矢理富太郎に弟子入り。

♪花のほかには松ばかり♪ 京都南座ロケ。
富太郎が踊る『娘道成寺』は圧巻ッッ!

“火サス”(9月いっぱいで終わったって?)の
『歌舞伎役者 中村歌留多』でこの情景が映されていた~。

中村福助!大画面!アップ!
瑞々しいっっ!美しいっっ!
皺もほど良く。目立った肌のたるみも無く。
44歳(当時)ってそういうお年頃なのね。

姉の職業はダンサー。
レオタードから着物へ。
広い鏡張りの床から畳敷きの和室へ。
数十人から、数人へ。
日本の伝統芸能って『個』だわ。
西洋の踊りの方が、遥かに自由奔放に見えてしまうから不思議。

『道成寺・安珍清姫伝説』
奥州から熊野詣に行く途中の僧・安珍。
彼に恋してしまった清姫。
彼女のあまりの情熱に気圧され、安珍は、帰りに会う約束をして去った。
だが、待てど暮らせど恋しい人は戻って来ない。
遂に安珍を追う旅に出た清姫。
やっと再会出来たのに、「人違いだ」連れない言葉…。
情熱は情念となり、彼を追って追ってどこまでも。
日高川まで来た清姫は、遥か彼方の安珍を想い想って、渡りきってしまう。
さて安珍。振り向くと追ってきたのは蛇。
鐘の中に身を隠して逃げのびようとするが、大蛇となった清姫は、
その身体で鐘を巻きつけ、恋しい安珍を焼き殺した。

「女を演じる為には女を捨てろ」
いやぁ、歌舞伎の女方ってストイック~。…んなわけないじゃん。
でも、ほの暗い稽古場や、着物姿、ピンと張った背筋。
そんな厳格な雰囲気は、かなり!きてますっ。

今を盛りと咲く花、村上富太郎。突然の引退発表。
最期に世界遺産に指定された高野山で『京鹿子娘道成寺』を踊るっ。
純白の衣裳で臨んだ富太郎。一世一代。
50メートルを超える根本大塔正面を背景に、踊るのだぁぁぁ。

夜空の暗さと、かがり灯の明るさ。舞う中村福助。
ここはM78星雲か~。大画面で観る美しさは格別だぁなぁ。
世界は貴方の為にある!!

富太郎が“永遠”に姿を消して1年。
姉は、妹が最期に立ったビルの屋上に立つ。そして踊る『娘道成寺』。
いつしか、富太郎がそこにいたのでありました。
でも、夢はいつしか覚めるもの…。
おわり
え…これで?。拍子抜けしたぞィ。

心に残るゾクゾクシーンは、
福ちゃんが、舞台化粧の紅を、牧瀬の唇にさす場面。
それはまさに、映画『
ドラゴン・イン/新龍門客棧』(’95年香港)
あの禁欲ワールドじゃ~。

何にせよ1時間50分。
『2004年の中村福助』その『美』を堪能したしたー。
孝明天皇(by大河ドラマ「新撰組」)どころじゃなかったー。

今月の歌舞伎座は道成寺物。
『日高川入相花王』人形振りで玉サマの登場でございますなぁ。


☆あくまでも主観で書いたものです。特に他意はありませんので平に容赦下さい。


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